小説の巧と澪の純愛の軌跡をまとめてみました。
ネタバレありなので、小説を読んだ人向けです。
※年齢は巧と澪の年齢です(二人は同い年)
[15歳・春] 高校1年の春・
15歳の時に出会った巧と澪。(p.83)
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ベリーショートで銀色のメタルフレームの眼鏡をかけ、澪は男に興味ないそぶり。
3年間ずっと同じクラスで同じ班。巧の右隣か左隣、あるいはすぐ後ろの席に澪がいた。
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二人とも国宝級の奥手だったため、恋とは無縁の関係で終始した。(p.133)
巧は陸上に、澪は新体操に夢中でもあった。
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[18歳・春] そんな二人の関係が変わるきっかけとなったのは、高校の卒業式の日。(p.135)
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澪がサイン帳に何か書いて欲しいと求め、巧は
「きみの隣はいごこちがよかったです。ありがとう」と書く。澪も
「私もあなたの隣はいごこちよく感じていたわ。ありがとう」と告げる。(p.136)
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卒業して二人は別々の大学に進学。それから約ひと月後、澪から
「あなたのシャープペンシル預かってます。どうしましょう?」という短い手紙が届く。そのシャーペンは巧が伯母から貰った大切な記念品だったため、会って返してもらうことに。(p.137)
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[18歳・夏] 大学1年の夏休みも終わろうとしている9月7日。お互いの家の中間にあるターミナル駅で待ち合わせる。二人とも異性とどこかで待ち合わせるのは初めての体験。(p.138)
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澪は高校時代のショートカットではなくセミロングになり、眼鏡もコンタクトに変えて大人っぽくなっていた。(p.139)
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シャープペンシルを返した後、二人はぎこちない空気の中、
「ええと、喉が渇かない?」と巧が誘い、駅近くの喫茶店で
初デート。(p.144)
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教室では隣か前後だったので、この時に初めて向かい合って座る。結局、喫茶店で5時間も話し込んだ。(p.148)
「知り合うことが大事だ。互いのことを知りたいと願い、自分のありのままの姿を知って欲しいと思う」
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駅のホームで別れて、その後、週1回程度の手紙のやり取りが始まる。電話は互いに嫌いだからしない関係。(p.154)
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[19歳・冬] その冬、年が明けて最初の月曜日にようやく
2回目のデート。約4ヶ月ぶりに再会する。(p.170)
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二人は前回と同じ喫茶店へ。巧は澪の後ろ姿をスケッチしたペン画を誕生日プレゼントとして贈る。
澪も誕生日&クリスマスプレゼントとしてニットの耳当てをプレゼント。この日も5時間ぐらい話し込む。(p.173)
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帰り、駅のホームで電車を待つ間、澪が巧のコートのポケットに手を入れて、二人は
初めて手を握り合う。(p.176)
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[19歳・春] 大学2年になった4月。この頃、微熱が出るも食べず眠らず、巧は1日6時間は走っていた。その結果、身体が壊れ、呼吸困難の発作を起こして病院に運ばれる。(p.186)
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脳内の化学物質がでたらめに分泌される症状だと分かり、生活に色々な支障が生じる。100メートル以上の範囲に外出できなくなり、3度目のデートは延期に。病気のことは澪に秘密にした巧。(p.186)
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[19歳・夏] 大学2年の夏。運動公園で
3度目のデート。巧は自分から身を引こうとして、わざとそっけない態度を見せる。(p.191)
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次はいつ会えるかわからないと言う巧。それでも澪は手紙を書くと言って別れる。
「ぼくのあまりに冴えない人生にきみをつき合わせるのは良くないって、この時は思っていたんだ。好きあっていてもさ、幸せとは限らない」
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手紙のやり取りは続いていたが、巧が返事をわざと遅らせて書き、間隔が開いていく。(p.198)
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[20歳・春] それから半年後の春。澪は短大を卒業。フィットネスクラブでダンスのインストラクターになる。
巧は大学3年になる前に、病気のせいで通学が困難になり中退。コンビニでバイトを始める。(p.199)
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社会人になった澪。手紙内容が変わり始め、自分から離れていく寂しさを感じる巧。
「これで良かったんだと、ぼくは自分に言い聞かせた。これがぼくの望むことだったんだよね?」
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巧は
「のっぴきらない事情により、これから先きみへの手紙を書くことができなくなりそうです。ごめんなさい。さよなら」と手紙を書いて、澪に別れを告げる。ただそれからも澪からの手紙は届く。(p.200)
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[20歳・夏] それから数ヶ月後の8月。澪は巧のバイト先に突然やって来て
1年ぶりの再会。洗練された綺麗な女性になっていた澪。
澪は巧のことを心配するが、
「また、いつか会えるといいね。同窓会とかさ。おたがい結婚していたりしてね」と突き放してしまう。(p.204)
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それ以来、澪から手紙が来ることはなかった。巧は病院に通い、コンビニでバイトする単調な日々。
1年があっという間に過ぎる。
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[21歳・夏] 巧は病気が一時的に回復し、遠出ができるようになる。スクーターに乗って海岸線を周る旅に出る。(p.209)
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旅の途中で澪から連絡が入っていることを知り、巧は旅先から電話をかける。
1年ぶりに澪と会話。
「私、会いに行ってもいい?」「大丈夫よ」。何かの自信に満ちた澪の声。(p.212)
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標高700mの湖畔の町・花火大会の会場で
1年ぶりに再会。巧は今まで澪を遠ざけていた理由である病気のことを打ち明ける。
「大丈夫よ」「行きましょう。先に進むの」。すべてを受け入れる澪。(p.220)
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突然降り出した雨の中、泊まれるホテルを探してチェックイン。二人は
初めてキスをして、結ばれる。(p.222)
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[22歳・春] 湖畔で再会した翌年の春・22歳の時に
結婚。巧は就職先が決まり、二人でこの町に引っ越してくる。ノンブル先生と知り合ったりする。しばらくして澪が妊娠。(p.230)
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[23歳・夏] 澪が30時間の難産の末に
佑司を産む。(p.62)(p.233)
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[28歳・梅雨] 佑司が5歳の時に澪が他界。
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[29歳・梅雨] 21歳の澪がタイムスリップして巧と佑司の前に現れる。
6週間の奇蹟…。
=感想=
出会ってから4年経って初めて手を握るなど、とにかくスローテンポな巧と澪ですが、初恋の人とそのまま結婚できるのは幸せなことですね。
巧と澪にとっては相手以外の選択肢はないわけで、だから恋を急いだりする必要もない。時間をかけてその仲を大切に育んできた…そしてこれからも一人の人を想い続けていくという、誠実で理想的な恋愛です。