「いま、会いにゆきます」の重要な概念である
アーカイブ星とは?
■ アーカイブ星とは?
・アーカイブ(archive)とは大規模な記録や資料のコレクションの意。
・死んだ人間はこの宇宙のどこかにあるアーカイブ星に行き、そこで穏やかに暮らしているというのがこの物語の設定。(p.2)
・アーカイブ星の表面はすべて図書館みたいな建物がおおっている。海とか山はない。(p.23)
・人口は地球上で心の中に住んでいる人たちを足した数。ひとりの心の中に10人が住んでいたとしたら、60億×10で600億の人間がアーカイブ星に住んでいることになる。(p.24)
・アーカイブ星に住む者は難しい問題を考え続けている。そして何か答えが出るたびに本を書く。(p.27)
・地球上の誰かが亡くなった誰かを忘れない限り、その人はアーカイブ星で暮らすことができる。地球上に憶えている人がいなくなれば、アーカイブ星から去らなくてはならない。(p.2)
・巧は自分の死後、アーカイブ星で澪との再会を望んだ。そのためには息子の佑司が自分と澪のことを憶えていなければならないので、自分と澪の出会いから結婚までを小説に書き残し、佑司の記憶に残そうとする。(p.5)
■ 森と工場のドアについて
・森は町はずれにあって、巧と佑司は週末になると訪れる。(p.28)
・いくすじもの小道があって、迷路のように入り組んでいる。(p.28)
・小道を辿ると森の向こう側に出て、そこには工場の跡地がある。(p.29)
・工場跡地には建物の1部がポツンと取り残されていて、ほとんど崩れ落ちているが、「#5」と書かれた1枚のドアが残されている。(p.30)
・あるのは1枚のドアだけで、壁の向こう側には何もない。(p.30)
・佑司はいつもここでボルトやナットやリベットやコイルバネを拾う。(p.30)
・それらはなぜか、いくら拾ってもなくなることはない。(p.31)
・澪は「#5」のドアの前にうずくまっているところを発見される。(p.65)
=感想=
「アーカイブ星」は単純に言えば「死後の世界」で、このアーカイブ星の存在が「いま、会いにゆきます」をファンタジーにしているわけですが、地球上の誰かが亡くなった誰かを「忘れない限り」存在できるという点がユニークですね。
誰も覚えている人がいなくなってしまえば、アーカイブ星には居られなくなる。
けれど、誰かがその人のことを想っている限りは、その人はアーカイブ星に生き続ける…。
アーカイブ星とは残された人の心の中に存在するのかもしれません。