ラブシャッフル9話「愛の裏返しは孤独だった」名セリフ&感想
REVIEW #09
2009.3.14up
(菊田) 一度、死なせてみようと考えた
人は死に誘われると、どこか盲目的にそこに突き進んでしまう
後のこと、自分がいなくなった後の世界など想像もしない
死ぬという感覚じゃないんだ
たぶん、消えるという感覚に近いんだろうね
(啓) 海里ちゃんを一度消して、後の現実を彼女に見させる?
そう、僕が見せようとしたのは、Oちゃんの姿さ
彼の悲しみ、苦しみ、喪失感
海里を想うすべての、その変わり果てた姿を見せる
僕には、もうその方法しか思いつかなかった
それで踏み止まってくれればという
治療と言ったが違うね
それは、祈りのようなものなのかもしれない
祈り?
(愛瑠) わかる、菊リンの想いね
もし、自分の苦しんだ姿を先に恋人に見せたとしたら
菊リンの恋人も、死なないでいてくれたかもしれない
ああ
Oちゃんはそこから立ち直る
その姿をも、海里に見せて欲しいんだ
自分がいないとダメだと思ったのに、その人が元気になったらどう思う?
ちょっとがっかりする
っていうか、ムカつくかも
その人間らしい感情が、タナトスからエロスへ繋がる細い糸さ
つまり、愛のジェラシー
(啓) 人ってさ、一度どこかで消えてしまうべきかもしれないって
それで、今の海里ちゃんのように
その後の世界を見つめるべきかもしれないって
自分が消えることで、誰かが泣いたり
いや、泣くだけじゃなくて、Oちゃんのように
心にポッカリ穴が開くほど、壊れちゃう人がいるのかって
もし誰もそういう人がいなかったとしたら
それは自分の今までの生き方が、間違ってるってことなんじゃないかって
(芽衣) 思い出に残らないと意味がない
それも強烈にさ
その人の変わりなど、決していないって
人生って、大袈裟かもしれないけど
自分が死んだら終わりってわけじゃないのかもしれない
その後に残された人への影響もひっくるめて、自分の人生なのかもしれない
今の俺に、そんなふうに思い続けてくれる人、いるのかな
(菊田) 僕の恋人が、ある女性に惹かれてしまったんだ
僕はそのことでひどく彼を責めた
もしかしたら、自殺してしまうほどに
二人で素晴らしい世界を築いていた、そう信じていたから
僕はうろたえ、そして脅えていた
僕には他の相手など想像することすらありえなかったから
取り残され、一人になるのが怖かったんだ
そして結局、僕は一人ぼっちだ
(啓) 消えてしまうと、心にポッカリ穴が開いてしまうほど
誰か僕を思って欲しい
それが、この世に生きている唯一の証なら
ほんとは、どれだけの人が生きていると言えるのだろう
恋人でも、友達でも、誰でもいい
たった一人でもいいから、僕が消えたら、心にポッカリ穴が開いて
会いたいよ、もう一度会いたい
--感想--
タナトスに誘惑され、死にたいと望んでいた海里。
自分は死んだことにして、その後の世界を見るというのは面白いですね。
自分の死に対して深く悲しむ人、壊れてしまう人がいるというのは、海里は想定していなかったことで。
自分の人生だけではなく、旺次郎の人生を含めて生きていたことを知る。
愛する人や大切な人というのは、他人であっても自分の一部のようなもので、それが失われると、自分の心にも穴が開いてしまう。
大切な人を想ったり、想われた時、人は自分だけの人生を生きているのではなく、そこには生の証というべき関係性が芽生えているのだと。
9話はそれぞれが孤独感を抱えたまま終わりました。
ラブシャッフルを通して、菊田と玲子さん以外は、愛する人、気になる人を見出したけど、相手の不在やすれ違いで、孤独に陥ることに。
しかし心の中にいる相手というのは、(芽衣以外は)明確になっているので、最終話ではその開いた穴が埋まる形になるといいです。
ただ9話では芽衣の心の中にいる人は諭吉よりも啓で、芽衣と諭吉のカップルは果たして成り立つのかというのが気がかりです。