2009.1.15up
ラブシャッフル、恋人交換
それは決して開けてはいけなかったパンドラの箱
燃え上がる嫉妬の炎、めくるめく欲望
隠しておきたかった秘密、そして真実
しかし、箱の中に希望が残っていたように
ラブシャッフルの果てには、本当の自分の姿
心から求めていた愛の形が見つかるはずです
あなたも覗いてみませんか
パンドラの箱を開けてしまった、8人の恋愛を
(1月10日放送「ラブシャッフルナビ」内での菊田のナレーション)
ラブシャッフルのテーマは「恋人交換」という斬新なもので、
野島ドラマの中では比較的平穏だった過去2作品
あいくるしい(2005)・・・田舎町の家族愛
薔薇のない花屋(2008)・・・人のいい花屋の人間愛とミステリー
と比べても、強いインパクトやオリジナリティを感じさせます。
今までの野島ドラマの流れを簡単に振り返ると、
1990年代に「高校教師」「世紀末の詩」に代表されるシリアスドラマを書いて
2000年代に入ってからは、それとは対照的で楽観的な右脳ドラマである
SOS(2001)、
ゴールデンボウル(2002)を書いた後、
右脳+左脳の融合である
高校教師(2003)を書き、
それ以降はヒューマンドラマ(人間愛)にシフトしたと思います。
しかし人間愛を前面に押し出した
あいくるしい(2005)が低視聴率だったからか、
薔薇のない花屋(2008)では人間愛をベースに、連続ドラマとしての面白みであるミステリー要素を加えたことで、ヒットしました。
しかし「薔薇―」は世間的には謎解きの部分ばかりが注目されて、人間愛の部分はあまり注目されてなかったように感じました。
そして
ラブシャッフル(2009)は、2000年代初頭の右脳ドラマ、そして過去2作の人間愛の流れとはまた別の、新機軸だと言えるはずです。
そして野島さんはまったく新しいドラマを書いた時はたいてい成功してるイメージがあります。
例えば・・・
「101回目」(1991)・・美男美女ではなく、中年男と美女の恋愛(脱トレンディドラマ)。
「高校教師」(1993)・・野島さん初のシリアスドラマ。破滅的な展開の中で愛を描き、90年代の作風を確立。
「人間・失格」(1994)・・野島さん初の社会派ドラマ。いじめ問題を正面から描き、話題に。
「世紀末の詩」(1998)・・ラブストーリーでありながら、愛の存在を毎回否定する。
これらは当時のTVドラマとしてはかなり斬新な設定で、最初はリアリティが薄かったりTVドラマ向きではないと思えたりするのですが、野島マジックで物語に引き込まれていくんですね。
そして「ラブシャッフル」も今まで野島さんが書いたことがないタイプのドラマで、「恋人交換」というモチーフに意外性や違和感を感じるからこそ、期待できるのではないかと。
野島ドラマでラブコメというのは珍しく、過去ドラマでは
愛しあってるかい!(1989)、
ゴールデンボウル(2002)ぐらいしかありません。
ただ事前情報を見ると「ラブシャッフル」はただのラブコメではなく、隠されたテーマがありそうです。
恋人交換をモラルを取り払って本質に迫るための道具だとしたら、構造的には「高校教師(93)」と似てるところがあるのかもしれません。
「高校教師(93)」は教師と生徒の恋愛という、モラルに反する設定でありながら、
モラルを含めて社会的地位などの装飾を取り払うことで、剥き出しになった本質的な愛が描かれました。
今作の恋人交換も、「恋人を安易に交換するのはおかしい」という前提(モラル)を壊してみて、交換自由のフリー恋愛になった時、今まで見えなかったものが見えてくるのかもしれませんね。
気が早いですが、「パンドラの箱」の奥に何があるのか楽しみです。