世界の中心で、愛をさけぶ
第7話ストーリー・あらすじ

復習用&見逃した人向けです。できるだけ詳しく書いています。

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8/13 OnAir "#07" STORY.

第7話「明けない夜」

2004年。
息子・一樹の誕生日を、二人で祝おうとした明希(桜井幸子)。
だがサクがいないと6歳になれないと、一樹はダダをこねる。
一樹はサクを父親として慕っていたのだ。

一方、アキのいない世界に生きる意味を見出せないサク(緒形直人)は、入水自殺しようとするが、それに失敗。

生きていると、思い知らされただけだった。
最低だった。
僕は17年間で、一体、何を得たのだろうか――


「何かを失うことは、何かを得ること」という、17年前にアキと交わした言葉が蘇る。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

1987年。
アキの父・真(三浦友和)から、まだ娘に白血病という事実を知らせていないと聞いたサク(山田孝之)。
アキに希望を持たせるための仕方ない嘘だが、サクは後ろめたさを感じていた。

アキ(綾瀬はるか)は、病院の庭で絵を描いていた青年患者・真島と知り合う。
二人が仲良く会話しているところに見舞いに来たサクは、つい嫉妬してしまう。

真島が自分と同じ点滴液を使っていたことから、同じ病気ではないかとアキが聞くと、「僕は白血病だ」と真島。
アキは自分も白血病ではないかと疑い始める。

サクたちの学年はオーストラリアへの修学旅行が間近に迫っていた。
早く退院して皆と一緒に参加したいアキ。
パスポート写真を撮りに行こうと制服に着替えるが、退院許可が下りるはずもなかった。

サクはお見舞の帰り、アキの母・綾子(手塚理美)から、白血病も6割は治るが4割は厳しいという話を聞かされる。

一人になると考えてしまう。
6割、4割という数字はとても微妙で。
アキは6割なのか、4割なのか。
ボーっとしていると言われる僕でさえ、こうなんだ。
もし、アキがこの事実を知ったら…。



アキは真島の病室を訪れ、庭で描いていた絵に合う詩をプレゼントする。

もしもおまえが
枯れ葉ってなんの役に立つの?ときいたなら
わたしは答えるだろう
枯れ葉は病んだ土を肥やすんだと
おまえはきく
冬はなぜ必要なの?
するとわたしは答えるだろう
新しい葉を生み出すためさと
おまえはきく
葉っぱはなんであんなに緑なの?と
そこでわたしは答える
なぜって、やつらは命の力にあふれてるからだ
おまえがまたきく
夏が終わらなきゃならないわけは?と
わたしは答える
葉っぱどもがみな死んでいけるようにさ

いつも笑みを絶やさない真島に、どうしていつも笑顔でいられるのかを聞くと、
「何かを失うことは、何かを得ることだと思わない?」と真島。

白血病によって色々なものを失った一方で、そうなることで初めて知ったことや、得られたものもあった…。
そう考える真島はどこまでも前向きだった。

自分の病気について調べたいと思っていたアキは、ベッドのそばにあった医学辞典を借りる。
すると、「再生不良性貧血」の項目にバツ印がしてあった。

自分も初め、再生不良性貧血だと医師に言われたが、実は白血病だったと真島。
アキは自分もやはり白血病ではないかと不安に襲われ、眠れない夜を過ごす。

翌日。
医師から白血病だと告げられたと、アキは見舞いに来たサクに言う。
動揺して嘘の病名をついたことの弁明をするサク。
だが、それはアキのひっかけだった。

病名をバラしてしまったサクは落ち込む。
真に謝罪に行くと、「本当は俺がやるべきことだったんだ」と諦め顔。

夜の病室。
楽しみにしていた修学旅行に参加できないことが明確になってしまったアキ。
なんで私が…と、やるせない気持ちで問い続ける。


翌朝。
一時的に外泊許可が出たアキは、元気に登校する。数ヶ月ぶりの学校だった。
サクはもちろん、クラスメートも久しぶりのアキの姿に歓声を上げる。
ウォークマンの交換日記も久しぶりだった。

おはようございます! 廣瀬アキです。
あ、考えたら、なんか「おはよう」って久しぶり。
とにかく今日1日は、病気のことは忘れようと思ってます。
まずは、コロッケパンが食べたいぞよ。


束の間だが、かつての幸せな日常が戻ってきた。
サクは嬉しさのあまり涙ぐむ。

クラスメートの前で無理して明るく振舞っていたアキ。
それを心配したサクは、午後からサボらない?と提案。

二人は防波堤へ。告白した頃の思い出が蘇る。

その後、アキはサクの家を訪れる。
サクの母・富子はアキを歓迎。料理を教えたりする。

今晩はサクの家で食事することになったアキ。
重病だと知らない陽気な富子は「病気もそのうち治るよ」と明るく元気づける。

そんな和やかな空気を打ち消すように、「私、白血病なんです」とアキは告白。
それを聞いて感情的になった富子は、「なんで仏さんそんな意地悪するのかねえ」と、誰に向かってでもなく怒るのだった。


夜の海辺にたたずむ二人。
気をつかわずに自分を受け止めてくれたことが嬉しかったアキ。

サクのお母さんって、すごいね。
あんな人、私初めて見た。
感情丸出しなんだよ、動物だよ。
ううん、すごい人だよ。
聞くと重いじゃない、私の病気。
気のつかい合いで泥沼になっちゃうからさ。
そのまま受け止めてくれた…なんかすごい嬉しかった。
飾らないお母さんと、のん気なお父さんと。
だからサクちゃんが生まれるんだね。
どっちにも似てないと思ってたけど。
そっくりだよ。

サクちゃん。 何かを失うことは、何かを得ることだって、わかる?
きっと前の私だったら、今日のこと、ここまで喜べなかったと思ってさ。
今度はもうちょっと元気になって、サクちゃんの家で朝ご飯も食べてみたいな。
”おはよう”って言うの。
それが今の夢かな。


(モノローグ)
きっと前の僕だったら単純に喜べたことが、悲しくなる。
世界を飛び回りたいと言っていたアキが、家に来ることが夢だと語る。
たぶん現実を受け入れていくと、こういうことなのだ。
だけどそれすら、心の中で声がする。
そんな未来はあるのだろうか。


大丈夫だよ、サクちゃん。
夜は必ず明けるんだよ。


その帰り。サクはアキを自転車に乗せて送っていく。

ペダルが少し軽かった。
きっとチェーンを直したせいだと、僕は自分に言い聞かせていた。



翌朝、医師から治療の説明を受けるアキ。
抗がん剤によるつらい治療が始まろうとしていた。

アキが真島の病室を訪ねると、ベッドには誰もおらず、真島の母が荷物整理をしていた。
真島は亡くなってしまったのだ…。
前向きになりかけていたアキだが、その無情な事実に打ちのめされる。

遺品として真島のスケッチブックを母親からもらったアキ。
その中には以前、アキが真島に渡した詩が挟まっており、「あきちゃんへ。これはアボリジニの歌かもね」と付記されていた。


放課後、サクがお見舞いに訪れると、アキの病室は空だった。
真らと手分けして探すが、なかなか見つからない。

昨日会話していた海辺に行くと、アキが海へと入ろうとしていた。
気づいたサクは駆け寄って連れ戻そうとするが、それでもアキは沖の方へと歩いていく…。

何考えてんだよ!
今死んだって同じじゃない!
どうせ死ぬんだったら、なんで辛い治療受けなきゃいけないの。
みんな卒業して、社会に出て、結婚して、そういうの横目で見ながら暮らすんだよ。
うらやましがって、ひがんで、可哀想ねって言われて。
いいことなんか何もないのに、惨めにいいこと探して。
私そうやって暮らすんだよ。一生だよ。
なんで私だけそんな目に遭わなきゃいけないの!
なんで…私が何したって言うの……。
治るかもしれないだろ。
気休め言わないでよ!
何で悪いことばかり考えるんだよ。
サクちゃんだって思ってるくせに。
私が死ぬって思ってるくせに!
…そうだ、思ってるよ。
思っちゃうよ…。
だけど……俺の知ってる廣瀬アキは、鼻血出ても保健室行かないんだよ。
雨の日でも、一人で弔辞読むんだよ。
白血病でも自己ベスト更新するんだよ。
誰よりも負けず嫌いで、上昇志向の塊みたいな父親と、強がりで優しい母親から生まれて、 恐竜みたいにたくましく育てって言われて。
だから、俺は廣瀬アキを信じる。
だから…絶対に裏切るなよ!


サクの励ましに、アキは涙を流しながらうなずく…。

言い聞かせていた。
アキに言いながら、僕は自分に言い聞かせていた。
だけど、僕はまだ知らなかった。
信じることは、闘いだということを。


2004年。

僕はまだ知らなかった。
明けない夜はないけれど、目覚めなければ朝は来ないということを。
目覚めていても、明けない夜もあることを。


一樹は一人でフェリーに乗って、サクに会いに故郷までやってきた。
迷子として警官に保護されていたところに、サクが居合わせる。

サク、もう写真撮ってくれないの?
サクがいないと、うちの写真、撮れないんだ。
僕とママは、サクがいないと、困るんだ。
サク、嫌いになった?
僕のこと、嫌いになった?
好きだよ、一樹…。
大好きだよ……。


そう言って一樹を抱きしめるサク。

何かを失うことは、何かを得ることだと、アキはそう言ったんだ。
アキはそう言ってくれたんだ…。


7話終わり。




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