レビュー
管理人の
個人的な感想です。各話の
あらすじはこちら。
[ テーマ考察 / 特別編 / 最終話 / 10話 / 9話 / 8話 / 7話 / 6話 / 5話 / 4話 / 3話 / 2話 / 1話 ]
↓9/17放送特別編の感想はこちら
THINK OF "DRAMA THEME".
テーマを考える (9/12up)
私はドラマを見る時はキャストよりもストーリー重視なので、描かれているテーマは何なのか?が、見ていて気になると言えば気になります。
ではドラマ版セカチューのテーマ(言いたいこと)は何だったのでしょう?
まず10話が終わった段階で、私が最終話に漠然と期待していた点を挙げます。
1. [1987年] サクはアキの死後、どのような喪失感に直面するのか?
2. [1987年] サクはアキの死後、どうやって(いったん)立ち直ったのか?
3. [1987年] サクはなぜウルルで散骨せずに、遺骨を肩身離さず持ち続けているのか?
4. [1987年] サクはどのような理由で医師を目指したのか?
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5. [2004年] 大人サクは17年間乗り越えられなかったアキの喪失を、どのようにして克服するのか?
6. [2004年] 大人サクはどこで、どのような理由で散骨をするのか?
7. このドラマにとっての「世界の中心」とはどこか?
8. このドラマのメインテーマは何か?
挙げてみるとけっこう多いですね…。長くなりますが順番に考えてみます。
1. [1987年] サクはアキの死後、どのような喪失感に直面するのか?
恋人の死という酷な現実を受け入れられず、心を閉ざす。
自分がなぜ生きているのかわからなくなる(防波堤のシーン)。
葬儀にも出席せず、友人や両親にも卑屈な態度を取る。生命力を失った状態。
といった感じでした。
やはり「恋人を亡くす哀しみ」は10話の空港のシーンに凝縮されているわけで、それと比べると最終話はそれほど強烈なものではなかったけど、その哀しみが静かに伝わってくる喪失感だったと思います。
これは原作でもだいたい同じでした。
そして、この喪失感からどのように回復していくのか。
2. [1987年] サクはアキの死後、どうやって(いったん)立ち直ったのか?
アキを亡くして哀しみに打ちひしがれ、部屋に閉じこもっていたサクは、大木たち友人と、父・潤一郎に叱咤されることで、考えを改めることになります。
特に注目したいのは大木の発言で、
「廣瀬が一番欲しかったものは、おまえさんが持ってんだよ!」と言っています。
これを言い換えると、
「アキが一番欲しかったもの=健康に生きれる身体」をサクは持っているということになるはずです。
つまり、
「アキが生きたくても生きれなかった分を、自分が代わりに生きていく」ということでしょう。
3. [1987年] サクはなぜウルルで散骨せずに、遺骨を肩身離さず持ち続けているのか?
この点については谷田部に語っています。
(サク) これがアキなんだって思うと、やっぱりできなくて。
でも、ずっと持ってようかなって。
(谷田部) 忘れないように? 廣瀬といたことを。
(首を振って否定するサク)
アキが、死んだことを…。
アキとの「永遠の別れ」になるような気がして、骨を撒くことができない。これはよくわかります。
それがアキの一部であるからこそ、手放したくないのでしょう。
骨を持ち続ける理由としては
「アキが死んだことを(忘れないために)」と答えています。
この点はドラマオリジナルのサクの心境なので、新鮮でした。
谷田部が言った
「アキとの幸せな日々を忘れないために」ではなく、
「アキが死んだことを忘れないために」持ち続ける。
これはどういうことでしょうか?
この点は私はあまりスッキリと理解できません。遺骨を携帯し、常に「アキの死」を確認し続けるわけで、自虐的とも言えます。
ただ夢島や空港へアキを連れ出したことに対しての自責の念が強いと考えると、あえて自分を苦しめて生きることで、償いをしようとしたと、考えることもできそうです。
*9/13追記
と私は考えたのですが、この点について納得できるご意見を頂きました。
サクは亜紀を失った後、夢の中では亜紀に会えるんだと言って現実逃避しています。
また、受験勉強中、夢から覚めると現実との乖離に頭が混乱するような意味のナレーションが入ります。
亜紀のいない世界で亜紀の死を確認しなければ現実の世界にすんなりと入っていけないサク、
その死を確認するためのアイテムがあの骨が必要なんだろうと。
(さんきちさん)
なるほど。該当の台詞はこちら。
寝てると会えるんだ、アキに。
夢見てる時は、これは夢だって思わないじゃん。
時にはアキが、すぐ近くにいるような錯覚を覚えた。
でもそれは幻想に過ぎなかった。
何度も確かめて、それでもなお、ありもしない現実に期待する。
そんなことは、あるはずもないのに。
最終話序盤でアキの死を受け入れようとしなかったサク。と言っても、アキはもうこの世にはいない。
「アキが生きている」というのは幻想に過ぎないから、アキの死を認めなければ、現実を生きてはいけない。
幻想を打ち消し、現実を生きていくためのアイテムが、アキの遺骨なんですね。
逆に言えば、アキの死を確認し続けなければ、いつまでも幻想の世界の中にいたのかもしれませんね、サクは。
「死をすんなり認められない」というのは、それだけサクにとってアキがかけがえのない存在であったということでしょう。サクのアキへの深い愛情を改めて感じました。
4. [1987年] サクはどのような理由で医師を目指したのか?
この点も谷田部に語っています。
先生、俺、医者になろうかなって。
え?
やっぱり、無理ですか?
そうじゃなくて、人を救う仕事でもあるけど、看取る場所でもあるんだよ。
結局、アキに何もできなかった気がするんです。
サクは十分すぎるほどのことをしたし、アキもそんなサクと死の間際まで一緒に過ごせて幸せだっただろうと私は思うけど、サクは謙虚ですね。
「アキに何もできなかった」と悔やみ続ける。やはり連れ出したことへの自責の念が強いのかな?
その代償として、一人でも多くの命を救うために、医師を目指した。この点はスッキリと理解できます。
5. [2004年] 大人サクは17年間乗り越えられなかったアキの喪失を、どのようにして克服するのか?
本題と言っていい、この物語の
最重要テーマだと思うのがこれです。
私が原作を読んで一番に感じたテーマは、「泣ける悲恋ストーリー」でも「純愛」でもなく、
「恋人を亡くし絶望に陥ってしまった人間が、どのようにしてその喪失を克服し、回復していくのか」です。
そしてこのテーマの結論はすでにひとつ出ています。
原作でもドラマでもだいたい同じですが、恋人と一緒になることができず、先に亡くしてしまった祖父は、
遺骨を一緒に散骨することで、死後の世界で結ばれることを願います。
逆説的ですが、死後の世界で結ばれることを希望(救済)として、生き続けるわけですね。
それもひとつの究極的な考え方ですが、サクの場合は祖父とは違う再生の道を歩むことになります。
まずは今までのおさらいから。
[4話]
ずっと一人でやっていこうと思ってたんです。
毎日忙しくしてれば、人生なんてあっという間だって。
で、気づいたら17年で…。
もう?
まだ…まだなんです。
死ぬまでに、あと17年、何回あるんだろうって思って。
ありもしない現実に期待して、夢から醒めると泣いてて。
あと何万回、僕はこんな朝を迎えるんだろうって。
もう…無理だと思ったんです…。
「時が解決してくれる」とよく言いますが、これは大人サクには当てはまりません。
17年経っても忘れられず、苦しみ続けたわけで、相当に根深い問題であることがわかります。
「17年間忘れられない」というのはドラマオリジナルの設定です。原作のサクは、ラストシーンの数年後(8年後?)のシーンでは、新しい彼女がいて、アキのことは忘れかけています。原作の方がリアリティがあるでしょうね。
そして最終話。
でも、忘れたいのでも、忘れないのでもなくてね。
人間は忘れていくんだよ。
生きていくために。
真の言葉。
私は「忘れていく」ことをあまり肯定的には捉えていません。どれだけ愛していても、時が経てば色褪せ、思い出になり、いつしか忘れてしまう。人間の哀しく残酷な一面だと思います。
そうであっても、「忘れていかなければ」たくましく生きていけないという、葛藤があるわけですよね。
だから「忘れていく」サクを、責める気持ちもまったくないですが。
単純に、「忘れること=忘れて前向きに生きること」に対して「忘れられないこと=想い続けて苦しみながら生きること」だとしたら、後者の人間にとって最善なのは、死という結論にもなってしまいます。
なぜならもう、愛した人はこの世にいないのですから。
サクはそれに気づいて、6話で入水しようとしたんでしょう。
だから、残された者がたくましく生きていくためには、忘れていくことは仕方がない。
人間は忘れていく存在なのだと。
ただそこには葛藤があって、全肯定はできないですが。
ではサクはどのような
「生きていく決意」に至ったのか?
まず明希の台詞から。
でもね、今になって思ってみると、すごく色んなものもらってるんだ。
彼が居なかったら、一樹はいなかったし。
一樹がいなければ、松本君とのこともなかったし。
一人で子どもを育てる自信とか、人の助けを素直にありがたいって思う気持ちとか。
変な言い方だけど、彼がいないことが、私を育ててくれたっていうか。
7話で繰り返されたキーワード
「何かを失うことは、何かを得ること」という趣旨の内容です。
アキを失っても、それによって得たものを大切にするということでしょう。
サクがアキを失って得たものとは、明希と一樹です。
(ただ私はこの3人の関係に共感しにくく、説明不足に感じたのが残念でした…)
そしてサクの最後のナレーション。
追いつけない速度で去っていくアキを、
僕はもう、捕まえることができない。
生きている限り、君と僕とは遠くなるばかりだろう。
サクは生きている限り、アキを忘れてしまう。時間が経つ度に、離れていく二人。
でもそれは仕方がないことでもある。
生きていくために、忘れていくことを受容したサク。
だけど、僕は走ることをやめない。
走り続ける僕たちの足跡は、君がいた証だから。
感覚的に捉えると、とてもいい台詞です。
最終話でサクは、一言でいうとアキがいない世界でも「生きる」決意を固めるわけで、
単純に考えると「走る」とはすなわち「生きる」ことでしょう。前に向かって進んでいくということですね。
[アキの絵本]
なぜなら、おまえの中にいるからさ
おまえの脚は、あの子の脚だ
走り続ける僕たちの足跡は、君がいた証だから。
上の方の
項目2.のところで考えた結論は、
「アキが生きたくても生きれなかった分を、自分が代わりに生きていく」というサクの姿勢でした。
それが絵本のメッセージにかかっていて、アキが込めた願いは
「自分の分まで生きて欲しい」という願いであることが分かります。
よってサクが生きることは、アキが生きることにも繋がる。
サクが生きることは、アキが生きたことの証にもなる。
アキは「がんばれ」と応援してくれている。
だからサクは走り続ける。アキのために、そして生きるために。
走り終わったその時に、君に笑って会えるだろう。
「走り終わった=生きることを終えた」時に、またアキに再会できる。
この願いは原作でもそうだったと思うし、祖父の願いとも同じですね。
希望の残るラストシーンでした。
そして一気に時が飛んで死後の世界(?)で再会するシーンは、救いがあって良かったです。
・・・・・・・・・
蛇足ですが、アキの絵本が残されていなかったとしたら、サクはどのような形でこの17年間の苦悩を克服したのでしょう?
これは映画のラストも同じでしたが、死んでいく者が、残された者に「生きて」とか「がんばれ」と願うメッセージが残されていれば、それは救われると思います。
でもそれは物語としてはキレイにまとまるけど、あまりリアリティを感じません。
よって喪失からの再生というテーマに関しては、私は原作の方により深みを感じます。
「なぜ大切な人の死はそんなふうに、わしらを善良な人間にしてくれるのだろう。
それは死が生から厳しく切り離されていて、生の側からの働きかけを一切受け付けないからではないだろうかね。
だから人の死は、わしらの人生の肥やしになることができるんじゃなかろうか」
(原作 p.181)
生と死が厳しく切り離された状態から、原作のサクは再生への道を模索することになります。
つまりカセットテープや絵本などは残されていないません。
もう決して会えないし、亡くなった者の考えや願いは決してわからない。こちらの問いかけにも応じてくれることはない。いくら後悔しても事実は変わらない。
その断絶があって、取り返しがつかないからこそ、人間は「人の死」に対して謙虚になれるし、そこから善良さも生まれる。というのが原作にあったメッセージで、私はここに深く感動しました。
と言っても原作で語られたことを繰り返されるのもどうかと思うので、ドラマも最後に納得のできる形でこのテーマが描かれきったのは良かったです。
6. [2004年] 大人サクはどこで、どのような理由で散骨をするのか?
これは見ればわかりますが、高校のグラウンドで、走りながらの散骨でした。
スタートを切るサクの姿が、4話のアキの姿とオーバーラップしたように、
「アキと共に走る=生きるための散骨」で、
項目5.で取り上げた「喪失の克服」というテーマとも合致する、意味深い散骨でした。よく考えられたシーンだったと思います。
7. このドラマにとっての「世界の中心」とはどこか?
これはBBSでも今までに何度か話題になっていますが、3話と10話にヒントがあります。
アボリジニにとっての世界の中心はウルルで、それはアキが8話で語っていましたが、
それ以外に「世界の中心はここだ!」と明確に語られているシーンはありません。
ただ3話のラストシーンが「世界の中心」を象徴していたと思います。
[3話]
世界で一番美しいものを見た。
世界で一番優しい音を聞いた。
世界っていうのは、抱きしめてくれる人のことで。
その腕の中は、暖かくて。
お祖父ちゃん、好きな人を亡くすのは、だから辛いんだよ。
祖父を失った悲しみに襲われ泣き崩れるサクを、母性的に抱きしめるアキ。
アキの深い愛情とそれによって救われるサクを、強く感じるシーンです。
同じようなシーンが10話にもあります。
[10話]
サクちゃん…やっぱり、あの世なんてない。
天国なんて、ない…
もう、しゃべるな…
ここ、天国だもん…
好きよ、サクちゃん……
今度は3話とは逆で、意識を失いかけもうろうとしているアキを、サクが後ろから抱きかかえます。
そして
「ここ、天国だもん」とアキが言い、最後に幸せそうな笑顔を見せます。
よって、
「抱きしめられること=好きな人に愛されること」が、世界の中心だという解釈ができるでしょう。
というわけで、ドラマ版の「世界の中心」は、
「好きな人に抱きしめられた状態(腕の中)」とここでは解釈しておきます。ウルルというのはあくまでも、アボリジニにとっての世界の中心なので。
8. このドラマのメインテーマは何か?
小説や映画にも共通するテーマ(純愛・恋人の死・喪失感など)を別とすると、2つ挙げられると思います。
ひとつは7話のキーワードだった
「何かを失うことは、何かを得ること」で、最終話でも明希が繰り返していました。
サクは亜紀を失うことで得た、明希と一樹と共に生きることになります。17年前の亜紀も健康な時には気づけなかったことを大切にしていました。何かを失っても、前向きに生きようとする人々の姿が描かれていたドラマです。
その喪失からの再生とも関連しますが、もうひとつは最終話の
「走り続けること」ですね。
それをふまえて「自転車」がキーアイテムになっていたのかもしれません。
なお各話ごとのテーマは
ストーリー概略ページにも私の解釈を書いています。
個人的なテーマ考察は以上で終わりです。
9/17 OnAir "#SPECIAL" REVIEW.
特別編感想
当初予定されていた内容(亜紀夭折後の朔太郎の17年間を、谷田部先生の視点から描く)から変更されたらしく、ほとんど「総集編」と言っていい内容でした。
そういう意味では残念…。やっぱり時間が足りなかったんでしょうか。
ただドラマの内容とかテーマ自体は1話〜最終話できれいに完結していたと思うので、総集編と考えれば特に不満もないですが。
それで、谷田部先生はやっぱりいい先生だなぁと。
なぜ未だに未婚なんだろう?となんとなく思いながら見ていて…
ラストの方で、大人サクと谷田部先生の別れのシーンを意味深に引っ張り、サクが”ほっぺプニュ”した時は、この二人のロマンスが始まるのか?
(゜ロ゜)ギョエ!! と一瞬思いましたが、違かったので良かったです^^
そんなわけでドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」の放送はすべて終わってしまいました…。
セカチュー関連情報があればこのサイトは今後も更新していく予定ですが、とりあえず今まで見て頂いてありがとうございました〜。
9/10 OnAir "#FINAL" REVIEW.
最終話感想 ★★★★★
ついに最終話を迎えてしまいました。
サクと亜紀の姿を通して、愛すること・純粋さ・人生などについて、みなさんも色々なことを感じたと思いますが、大切にして欲しいですね。
最終話は、たたみ掛けるような感動の連続、という感じではなかったです。
冒頭でアキが逝ってしまい、あとは静かな時間が流れていった、というような。サクの喪失感が演出されていたからかもしれません。
そしてラスト。高校のグラウンドでの、大人サクの散骨シーン。
感動的なシーンになるかと思いきや、手を斜めにかざした姿勢で、突然走り出すサク! そして走りながら、今まで見せたことのない笑顔を浮かべる…。
私はこのシーンでなぜか笑ってしまいました…
(〃^∇^)o_彡☆あははははっ
まさか「セカチュー」のラストシーンで笑えるとは思わなかったけど、とても前向きな明るい終わり方でした。
その後もう一度冷静に見直しましたが、話自体はとても上手くまとまっていますね。
ラストシーンで主要人物のその後を垣間見ることができたし、死後の世界(?)で再会するシーンには救いがあっていいです。
終盤(7〜10話頃)の展開に疑問を感じていた現代シーンも、最終話は良かったです。
自分の意志で散骨し、走り続けることを誓うサクの決意。2回見てようやく素晴らしさに気づきました。
あと一樹の存在によってサクが救われるという、安易な展開にならなかったところもいいです(終盤にそういう流れを感じていたので)。
あとは撮影時間に余裕があれば、もっといい作品になっていたでしょうね。1話ごとの完成度は前半の頃の方が高かったと思います。
公式サイトを見ると撮影がかなり押していたみたいなので、それを考えると仕方ないですが。
まだ特別編もありますが、全11話で私が特に良かったのは3・4・7・最終話あたりです。1・2話もピュアな二人の世界が良かったですね。
原作や映画を見ているので、個人的にはオリジナルストーリーの回の方が、新鮮味があって楽しめました。
何にしろ当初の期待以上の内容のドラマだったので、来週の特別編で全部終わってしまうのが寂しいですね。
9/3 OnAir "#10" REVIEW.
10話感想 ★★★★
空港へと向かうクライマックスシーンは、はじめに原作を読んだ時に絶望的な気分になりました。
このシーンには愛する人を失う哀しみが凝縮されているわけで。
そして映画と同様に、ドラマでもクライマックスにこのシーンが登場。
多くの人は「死」という結末が分かっていて、その悲しみを追体験する私たち視聴者。まさに「悲劇」です。
その悲劇の終着点、空港へと向かう電車内のシーンと、そして空港のシーンが圧倒的に悲しかった。
それでも原作も映画も見ないで(ストーリーを知らないで)、ドラマを見たらもっとショッキングだったはず。
評判の悪い(?)現代編ですが、前回落とした骨が雨に流されてしまった、というのが意外でした。
すぐ拾えると思ったのに、あんな道路の端っこみたいなところで…。
大人サクの散骨はどうなるんでしょう?
8/27 OnAir "#09" REVIEW.
9話感想 ★★★★
9話は今までの中でも特に辛い展開ですね。
治療にも効果が表れず、はっきりと死が見えてきて。
あれだけ厳しかった真に心境の変化があったり、皆どうしていいのかわからず、
でもささやかな幸せを見出そうとする。
そして写真だけの結婚式を挙げることに。
儚い幸せを噛み締めるサクたち…。みんなの笑顔が逆に哀しみを誘う。
美しいウェディング姿から一転して、亜紀のスキンヘッド姿は衝撃的でした。
そんな亜紀の最後の願いは、青い空を見ること。これはドラマオリジナルの展開。
最終手段だった抗がん剤の投与も効き目がなく、否応なく迫りくる死に、もう希望も絶望もわからなくなったサク。
聞こえてくるのはテープに録音された亜紀の願いだけ。
亜紀の願いを叶えること…もうそれしか残されてないって思ったんだろうなぁ、サクは。
そして次回、オーストラリアへ?
一方、2004年の大人サク&明希は、前半〜中盤頃は良かったのに、7・8・9話と、個人的にいまいちなシーンが続いてます…。
バイク事故はいかにもドラマ的な展開ですし。
でももう残り2話なので、現代編も最終的に納得のいく結末であればいいんですけど…。
8/20 OnAir "#08" REVIEW.
8話感想 ★★★★
8話は亜紀の姿が痛々しかった。
どんどんつらい展開になっていく中で、でも二人の愛だけは変わらない。
前回、自暴自棄になったアキを支えたサク。
サクっていい人だな〜としみじみ思ったけど、それは亜紀も感じたらしく、サクにとって自分は重荷なのでは?必要なのだろうか?と問う展開に。
髪は抜け落ち、やせ細っていくみじめな自分だからこそ、余計にそう感じてしまうのでしょう。
でも何もなくても、ただ一緒に生きていけることが幸せ…なんでしょうね、サクにとっては。
そして、初めて「好き」と告げる。
亜紀は嬉しかったでしょうね。まさに二人の純愛が伝わってくる名シーンでした。
8話の疑問点はやっぱりラストの大人サク。
あの3人の繋がりを前半でもうちょっと描くべきだったのでは。
サクがどうして「幸せにしたい」と思うのかがわかりにくかったです。
明希への純粋な恋愛感情なのか、それとも亜紀からの現実逃避的なものなのか…。
最後の「明日には失う未来」というのも気になります。
これって現代編のことですよね。この3人にも不幸が襲いかかってしまうのかなぁ。。
8/13 OnAir "#07" REVIEW.
7話感想 ★★★★★
7話は前半はアキが元気に登校したりと、幸せな二人が描かれていました。
見ていて和やかな気分になったけど、序盤の頃はこれが当たり前の日常だったんですね。
つかの間の二人の幸せな姿に、人間を襲う不幸の残酷さを感じました。
そして終盤は一転して重苦しい展開に。
同じ白血病の真島君が突然亡くなったことで、自分の死を考えざるをえなくなる亜紀。
二人の海の会話シーンは壮絶。
「どうせ死ぬのに、なぜつらい治療を受けなければならないの」と亜紀。
もっともな疑問にも思えるけど、亜紀はそんな悲観的な人間ではないとサクは知っていた。
そして自分を見失っていた亜紀に、自分の本来の姿を取り戻させる。
そしてそれができるのはサクだけだったはず。
亜紀は不幸だけど、サクみたいな人に支えられて幸せでもありますね。
「何かを失うことは、何かを得ること」というのが7話で繰り返されたフレーズ。
失うことを恐れたり後悔せず、得られるものが必ずあると信じて前進していこう、という感じでしょうか。
7話で唯一、残念だったのが大人サクと一樹のラストシーン。
サクと一樹との繋がりがいまいちよく分からないので、サクが一樹によって救われた気持ちが実感しにくかったです。
子役を使って泣かそうとする(?)のも安易に感じました。
8/06 OnAir "#06" REVIEW.
6話感想 ★★★★★
6話からは闘病編(?)で、つらい展開になってきましたね。
これから亜紀が苦しむことになるのを考えると、もう少し二人の青春の日々を見ていたかった気も。
そして今後、病院のシーンが中心になってくる中で、どうやって盛り上げていくのか?が気になったけど、とりあえず6話は感動しました。
娘を襲った突然の不幸を、夢島に連れ出したサクのせいにする真。
今まで娘に対して独善的だった真が、亜紀の笑顔を見たことで、自分が知らなかった娘の姿に気づく。
亜紀を救えるのは身勝手な親ではない。娘を愛するこの男なのだと。
そしてなかなか会えなかった二人が、約1ヶ月ぶりに再会したシーンはとても良かったです。
会いたい気持ちと会えたことの嬉しさ、それって理屈でどうこう言うものじゃないと思うけど、まさに視聴者の感情に訴えてくる1シーンでした。
そして2004年のラスト。
かつて亜紀の回復を願ったであろう神社にサクは立ち寄るが、アキのいない世界に願い事はないと気づく。
ドラマ版は大人サクの絶望が深いです。
17年間、亜紀を引きずり続け、結局、亜紀を忘れることもできず、代わりの希望を見つけることもできなかった。そして入水して命を絶とうとする…。
世界の中心と思えるほどに愛した人を亡くすことは、生きる意味を失うことにも繋がりかねないのでしょうか。
そこからどうやって立ち直るのか、期待したいです。
7/30 OnAir "#05" REVIEW.
5話感想 ★★★★
無人島ロケ、廃墟の宿、蛍(CG)など、5話は撮影が難しそうでした。
夢島は幸せな二人の絶頂で、亜紀が「幸せ」であることはわかるけど、それをセリフで言いすぎだったような気がします。もっとさりげない描き方の方が良かったなぁ。
まあ次回以降は辛い展開になっていくはずなので、そう考えるとこの幸せなひとときはとてもせつないわけですが…。
サクが未来宛てに録音したテープを聞き始める亜紀のシーンが微笑ましかったです。
7/23 OnAir "#04" REVIEW.
4話感想 ★★★★★
4話は大木と智世のサイドストーリーといった感じ。
この二人の出番は今まで少なかったので、感情移入しにくいところもありましたが、こういった青春ストーリーもいいですね。爽快感がありました。
でも一番良かったのは34歳のサクと谷田部の会話シーン。今までの1〜4話で一番の名シーンかも。
谷田部の「私が覚えてるから忘れなさい…」に感動(><)
そして苦悩し続けるサク。17年間、ここまで想い続けられるってすごいなぁ、と素直に思った。
1〜2話頃は、いい年した34歳の男なのに…という違和感があったものの、
今となってはやつれた感じの緒形直人さんの演技と共に、すっかり気に入りました。
17年間忘れられずに、想い続け、朝起きる度に泣いてしまう…それほどの「愛」がこの世にあって欲しいです。
そんな深い絶望に落ち込んでいるサクは、今後どういった形で救済され、再生していくのか?
そのことに強い興味が沸いてきました。今後は大人サクのシーンにも期待したいです。
7/16 OnAir "#03" REVIEW.
3話感想 ★★★★★
お祖父ちゃんがあっさり逝ってしまうという意外な展開に。
原作では死なないんだけど…。まだ3話なのに残念。
原作の終盤の、祖父の名台詞の数々は誰が言うんだろう。
そんなわけで3話はほとんどドラマオリジナルの話。
明希(桜井幸子)の息子・一樹の父代わりをしていたというサク。いい話です。
普通に考えると、明希と一樹は大人サクの再生の鍵を握るのでしょう。
祖父と恋人の骨をどこで撒けばいいのかわからないサク。
二人の骨とは永遠の愛の象徴。だからこそ重圧を感じてしまう。
そしてラスト、廃駅で骨が舞ったシーンはとても良かったです。
別れから40年の時を想い続けた祖父。
最後は骨という物質に、死後に結ばれたいという精神的な祈りを込める。
死後の世界に救済を設定するのは人間の弱さだと今まで思っていたけど、
死を乗り越えて結ばれたい、という祖父のロマンチシズムに美しさを感じました。
人間は弱いけれど美しくもある。
そしてこの祖父の恋や想いは、今後訪れることになるサクと亜紀の関係を暗示しているようで…。
ラストの自転車のシーンは演出(見せ方)が良かったです。ジーンときました。
1、2話と穏やかな展開でしたが、早くもせつない展開になってきた感じです。
7/9 OnAir "#02" REVIEW.
2話感想 ★★★★
2話は亜紀に翻弄されるサクが印象的でした。愛するがゆえの独占欲と不安ですね。
亜紀は今までいい子を演じてきたらしく、サクにも素直な態度が取れない。
でもサクは汚いところもズルいところも、すべてを受け止めると。理想的な愛情です。
2話まで見終わって、今のところは、サクと亜紀のピュアな雰囲気が楽しめるドラマ。
あとは何となく、大人サクのシーンに違和感を感じるかも…。
17年後で34歳だとけっこういい年なので、17年も引きずる苦悩の中身が知りたいですね。
=2話・原作との主な相違点=
・「アジサイの丘」は原作にも重要な場所として登場するけど、ファーストキスの場所ではないし、ニュアンスが少し違う。
・学級委員がキスを奪ったり恋敵になるエピソードは原作にない。
・原作では骨を「盗んだ後」に、一緒に撒いて欲しいと祖父はサクに頼む。
7/2 OnAir "#01" REVIEW.
1話感想 ★★★★
ドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」始まりました。
のんびりとした田舎を舞台にした穏やかな展開で、見ていてほのぼのとした心地よさを感じます。
ただこの物語の終盤の展開を考えるとせつないわけですが。
17年後のサクは研究医に、というのはドラマオリジナルの設定。病気を少しでもなくしたいという動機から?
その大人サクの友人の桜井幸子の役名が「明希」。明るい希望で共に「アキ」ですね。
主演の二人の演技はとても良かったです。
山田孝之さんのサクは実際に見てみるまでイメージしにくかったですが、見事に合ってましたね。
亜紀役に抜擢された綾瀬はるかさんはこのドラマで初めて見ましたが、ヒロインとしての華やかさを感じました。今後ファンが増えそうです。
個人的には祖父役の仲代達矢さんに期待したいです。チャーミングでかわいい(笑)し、原作ではサクとアキの次に重要な人物なので。
1話なのでまだよくわからないですけど、予想以上に良いできでした。
=1話・原作との主な相違点=
・ドラマ版は登場人物が多いです。17年後のサクやその友人(桜井幸子)はドラマオリジナルの設定。また、二人の担任(松下由樹)も原作には登場しないし、クラスメートも大木以外はドラマオリジナル。それら周囲の人々とのエピソードを盛り込んで全11話の話を繋げていくのでしょう。
・ドラマではアキだけが学級委員だったけど、原作ではアキとサクは二人とも学級委員。
=1話・映画との類似点=
・サクと亜紀の恋の始まりが弔辞を読むシーンであるところが似ています。
・カセットテープによる交換日記は映画のアイデアを継承(原作では普通の手書きの日記)。