世界の中心で、愛をさけぶ
第8話ストーリー・あらすじ

復習用&見逃した人向けです。できるだけ詳しく書いています。

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8/20 OnAir "#08" STORY.

第8話「プロポーズ」

2004年。
サクに会いに一人で故郷までやって来た一樹。
一樹を追って駆けつけた明希(桜井幸子)に、サク(緒形直人)はある告白をする。

実は、死のうとしてさ。
でも全然ダメで、溺れただけ。
馬鹿すぎ。
俺もそう思う。
だけどさ、俺は本当は生きたいんだなって。
生きたいんだなって、やっとわかったよ。
ねえ、もし亜紀さんの存在がなかったら、松本君は一樹を産めって言った?
そういう形で、亜紀さんは、松本君の中で生きてるんじゃないのかな。
忘れるとか、忘れないとかじゃなくて。
もう、ずーっといる…。

夏にしては、穏やかな朝だった。
走り出すこともなく、けれど、留まることもなく。
時はゆるやかに流れていくのだろうと
ふと、そんなことを思った…。


* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

1987年。
サク(山田孝之)は連日お見舞いに通う日々。
今日はアキの父・真(三浦友和)も、アボリジニの本を差し入れに見舞いに来ていた。

帰りに病院のロビーで言葉を交わすサクと真。
たまたま通りかかったアキ(綾瀬はるか)が、二人の会話を聞いてしまう。

君は大学は、どうするんだ?
治療は何年かかるかわからないんだぞ。
君の人生っていうのもあるだろう。
あの…僕の祖父の恋人は、結核だったんですけど。
頑張って生き延びてたら、ある日、特効薬ができて治って。
そういうことだってあると思うし…。
そう願いたいね。

(モノローグ)
そうは言っても、僕はアキのお父さんの言葉を気にしていた。
あと何日、あと何年、あと何十年…。
何本テープが溜まるまで…。
でも、とにかく生き延びればいいのだ。その日まで。



オーストラリアへの修学旅行が1週間後に迫っていた。
旅行中にアキに何かあったら困ると、サクは参加を辞退するつもりでいた。

放課後。見舞いに訪れたサクに、オーストラリアの先住民・アボリジニにとっての世界の中心はウルルという聖地であると、アキが語る。

弔辞で読んだ詩がアボリジニのものであると真島に教えてもらって以来、アキはアボリジニの世界観に興味を持ち、何冊か本を読んでいた。

いつか二人でウルルに行ってみたいと話すアキ。そしてその時のために修学旅行で下見をして、写真を撮ってきて、とサクに言う。 自分を気にせず楽しんで来て欲しいという、アキなりの心遣いだった。

サクは亜紀が心配だったが、気をつかい過ぎるのもよくないと、オーストラリアへと旅立つ。
だがその直後、亜紀の容態が悪化してしまう。


オーストラリアに到着したサクは、滞在先のホテルで急に「帰る」と言い出す。
大木らは呆れたようにそれを止めるが、「今日死ぬかもしれないんだ」とサクは本気。
そして亜紀が白血病であることを、大木・智世・中川に初めて告白する。

再びクリーンユニットに戻された亜紀。
抗がん剤の影響で、髪の毛がごっそりと抜け始めてしまう…。

担任の谷田部に「ちゃんと連絡は取ってるから」と慰められたサクは、
翌日から皆とオペラハウスなどを観光するが、アキのことがずっと気にかかっていた。
そしてアボリジニの聖地・ウルルを訪れたサク。

世界のへそは、空に近かった。
結局、写真は1枚しか撮らなかった。
いつか、アキと一緒に来るのだから。
アキがその目で見ればいいと、
僕は自分に言い聞かせていた。



帰国したサクは病院へと直行する。
だがアキは再び面会謝絶の状態で、会うことができない。
代わりにアキの母・綾子(手塚理美)から録音したテープを手渡されたサク。
聞いてみるとアキの声が…。

サクちゃん。
私、最近サクちゃんといると、すごく疲れるんだ。
病人扱いされるのも、治るとか信じられるのも、うっとうしいし。
だから、もう来ないでください。
さようなら、サクちゃん。


意外にもそれは、一方的に別れを告げる内容だった…。

動揺したサクは、夜中に再び病院を訪れるが、アキはすでに眠っていた。
付き添いをしていた綾子は、サクに病状を説明する。

アキ今ね、毎日お風呂に入ることもできなければ、髪を洗うこともできないの。
24時間、点滴を打ち続けて、抗がん剤で髪の毛は抜けてきてるし。
食べ物だってよく吐いてしまうし。
そんな生活がいつまで続くかわからない。
それが亜紀の現実なのよ。
見なかったことにしてあげて。
…何かあった?
テープにもう、来るなと入ってて…。
すみません、取り乱して…。
それで…それから?
俺といると疲れるとか…。
うん。
鬱陶しいとか…。
うん。

(モノローグ)
アキのお母さんの「うん」が、アキにとても似ていて。
僕はもう駄目だった。
僕はもう、何がなんだかわからなくなっていた。
何に泣いているのかわからなかった。
ただ現実の前で、僕のやっていることは、あまりにも浅はかで。


アキに見せようとしたウルルの空の写真。

生まれてからこんなに、恥ずかしいと思ったことはなかった。
飛べない鳥に空を見せ、何を希望と言うのだろう。


自分の無力さを痛感したサクは、アキのためにできることを真剣に考え始める。


翌日の病室。綾子がアキの髪を洗っている。

お母さん、私ね、サクにもう来ないでって言ったんだ。
サクのためを思ったら、そうするべきだよね。
手間ばっかりかかるけど、お母さんは付き合ってね。

サクはこれからどんどん色んな世界に行って、ちゃんと出会いもあって。
その時、私の方がいいよって言えるもの、何ひとつないと思うんだ。
髪の毛なくて、一人で髪も洗えなくて、お金ばかりかかって、性格もひがみっぽくて。
きっと、子どもとかも無理っぽいよね。
そんな女、選ぶ理由、何もないよね…。
生きてたら、それって遠くないよね。
でも、それくらいは生きてそうな気がするよね。
お母さんはいてね。
お母さんだから…いてね…。
ずっといてね……。


アキはサクにもう何もしてあげられないと、自分から身を引いたのだ…。


授業に出ず図書室にこもっていたサクを、谷田部が見つける。

先生、俺、何かアキにできることって…。
わからないな。
廣瀬が松本に求めてるものなんて、あなたたちにしか。


一方、アキが白血病であることを知った大木・智世・中川は、そろって神社でお百度参りをし、アキの回復を祈っていた。

放課後。サクが埠頭でたたずんでいると、大木が声をかける。

なあ、俺だって、お前だって、明日死ぬかもしれないって思わない?
みんな同じだよ。
明日死ぬとしたら、おまえさんは何がしたい?


「私1回も好きって言われてない」というアキの言葉が頭をよぎる。


サクはある決意を固め、アキの病室へ。
アキは「帰って」と突き放すが、サクはテープを聞いて欲しいと手渡す。
テープにはサクの声が…。

こんばんは、松本朔太郎です。
今日は俺の嫌いなものについて話します。
第5位。図書室でキスされるような、男にガードがゆるい廣瀬アキ。
第4位。俺の前で無理をして、俺を特別扱いしない廣瀬アキ。
第3位。夜の海で死のうとする廣瀬アキ。
第2位。テープ1本で別れようとする、ふざけた廣瀬アキ。
第1位。後ろに乗ると言ったくせに、約束を破る廣瀬アキ。
以上…のみ。
あとは好き。全部好き…。


テープを聞き終えたアキが、近くにいたサクに泣きながら声をかける。

サクちゃん…。
私、もうサクちゃんにあげられるもの、何もないよ。
私といても、いいことなんてないよ。
もう何もないけど、ほんとにそれでもいいのかな…。


サクは婚姻届けを取り出してアキに手渡す。

じゃあ、結婚して。
ここに名前書いて…。
俺を、幸せにして…。


アキはクリーンユニットから出てきて、サクとキスを…。

僕たちは失い続けた。
分かち合える未来も、描ける夢も、当たり前だと思っていた幸せも。
もう、何ひとつ残されていなかった。
たったひとつを除いては。
廣瀬アキが好きです。
とても、とても…


2004年。

好きでした。

写真館を訪れたサク・明希・一樹。
サクは二人の写真を撮ろうとするが、やっぱり自分も入っていいかなと言い、自分も写真に納まる。
それは家族写真のようでもあった。

あの頃のような、張り裂けそうな想いじゃない。
だけどあの頃のように、僕は二人を幸せにしたいと、
幸せにしてもらいたいと、そう思ったんだ。
そう思ったんだよ、アキ…。
明日には失う未来とは、何ひとつ気づかずに…。


8話終わり。




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