「世界の中心で、愛をさけぶ」作品群の比較
COMPARE "SEKACHU-" WORKS. (8/5設置)
現在5つある「世界の中心で〜」作品の比較。ネタバレあり。マニア向け(?)です。
9/11 ドラマ数項目追記。一応完成?
「世界の中心で、愛をさけぶ」は小説から始まって、今のところ5作品存在します。
発表順に並べると
「小説」「コミック」「ラジオドラマ」「映画」「TVドラマ」の5つ。
似ているようで、それぞれ少し違う物語たち。その違いをまとめてみます。
※以下ネタバレありなので各作品を未見の方は注意してください。
シーン |
小説(原作) |
コミック |
ドラマ |
映画*1 |
ラジオドラマ |
↓ストーリー展開 |
オープニング〜二人の出会い |
中2:一緒にお見舞いに |
中2:交換日記始める |
高2:弔辞を読むアキ |
高2:弔辞を読むアキ |
中2:一緒にお見舞いに |
交換日記は? |
普通の交換日記 |
普通の交換日記 |
テープに録音 |
テープに録音 |
(シーンなし) |
サクがラジオに投稿した理由 |
嫉妬と自覚しない恋心から |
(シーンなし) |
ボウズに頼まれて |
ウォークマンが欲しくて |
アキとの競争で |
どちらから告白した? |
自然の成り行き |
サク |
アキ*2 |
サク |
自然の成り行き |
祖父の恋人の遺骨を 盗んだのは? |
サク&祖父 |
サク&祖父 |
サク&祖父 |
サク&アキ |
サク&祖父 |
祖父の骨はどこで散骨? |
(シーンなし) |
(シーンなし) |
山奥の廃駅 |
(シーンなし) |
夢島 |
二人のファーストキス |
神社 |
神社 |
アジサイの丘 |
ビニール越しだけ(?) |
夢島 |
夢島で二人は結ばれた? |
たぶん結ばれたけど解釈による |
たぶん結ばれたけど解釈による |
結ばれなかった? |
結ばれなかった |
結ばれなかった |
夢島で蛍を見た? |
外で見た |
ホテルの中で見た |
外で見た |
(シーンなし) |
外で見た |
ラジオに再投稿した? |
してない |
してない |
した? |
した |
した |
入院中のキス |
無菌状態 |
無菌状態 |
普通のキス&ビニール越し |
ビニール越し |
無菌状態 |
アキの骨はどこで散骨? |
アボリジニの聖地&中学の校庭 |
アボリジニの聖地&中学の校庭 |
ウルル&高校のグラウンド |
ウルル |
(シーンなし) |
世界の中心はどこ? |
(説明なし) |
夢島からの帰り |
好きな人に抱きしめられた状態 |
ウルル |
(説明なし) |
ラストシーンは? |
中学の校庭 |
中学の校庭 |
1.サクの故郷 2.再会した二人 |
ウルル |
夢島 |
↓設定関係 |
高2の時代はいつ? |
1992年前後 |
(不明) |
1987年 |
1986年 |
(不明) |
大人になったサクの設定は? |
20代(?) |
26歳(?) |
34歳 病理研究医 |
30代(?) ITエンジニア |
(シーンなし) |
サクの新恋人は? |
彼女(名前なし) |
彼女(名前なし) |
明希 |
律子 |
(シーンなし) |
祖父の名前は? |
祖父(名前なし) |
祖父(名前なし) |
謙太郎 |
重蔵*3 |
祖父(名前なし) |
アキの誕生日は? |
12/17 |
12/17 |
7/2 |
10/28 |
12/17 |
サクの誕生日は? |
12/24 |
12/24 |
10/24 |
11/03 |
12/24 |
舞台orロケ地は? |
愛媛県の宇和島がベース |
(不明) |
静岡県松崎町 |
香川県庵治町 |
(不明) |
サク役は? |
- |
- |
山田孝之 |
森山未來 |
松田龍平 |
アキ役は? |
- |
- |
綾瀬はるか |
長澤まさみ |
宮崎あおい |
シーン |
小説(原作) |
コミック |
ドラマ |
映画*1 |
ラジオドラマ |
|
*1 映画の項目は「映画」と「指先の花(原作本)」を両方参照。
*2 サクからアキへの謝罪テープを告白として考えた場合はサク。
*3 重蔵はサクの祖父ではない。
小説は原点なので、これが基準になります。
コミック版は簡略化されたり細かい部分の差異はありますが、原作にほぼ忠実で、大きく異なるストーリー展開はありません。
ラジオドラマは約40分と短いので、コミック以上に簡略化されていますが、これも原作に近いです。ラストシーンが夢島で終わるところにオリジナリティがあります。
映画では原作にはなかった大人のサクと婚約者(律子)の関係を描くなど、原作にだいぶ手が加えられているので、原作から一番遠いと言えます。
ドラマも全11話と長いのでオリジナルの要素が多いですが、映画に近い設定(ウォークマン・写真館)もあるので、原作と映画の中間あたりと言えそうです。
―ドラマ以外の作品一覧―
[小説(原作)]
世界の中心で、愛をさけぶ
片山恭一 著
[2001/04発売 小学館 205P
\1470]
→原作について
[コミック]
世界の中心で、愛をさけぶ フラワーコミックススペシャル
一井かずみ 画 / 片山恭一 原作
[2004/05/31発売 小学館
\500]
[映画原作]
指先の花―律子の物語
益子昌一 著
[2004/04発売 小学館
\460]
[ラジオドラマCD]
ラジオドラマCDブック「世界の中心で、愛をさけぶ」
[2004/07/10発売 TOKYO FM出版
\1575]
→関連記事(スポニチ) /
→関連記事(東宝)
―それぞれの良さを考える―
このように「世界の中心で、愛をさけぶ」は現在5作品ありますが、「全部大好き」という人はおそらく少ないはずです。
どれにハマるかは人それぞれだと思うので、自分が好きな物語を大切にして欲しいですね。
ここではそれぞれの「良さ」を考えてみます(個人的な印象)。
原作 … 繊細な文章表現が美しく心に沁みる。喪失感と死生観をメインテーマに描いているところ。派生作品にはない祖父の哲学的な洞察。
映画 … 原作の間口を広げて泣ける(?)ストーリーに仕上げているところ。映像表現の美しさ。律子の存在と残されたテープによって、サクを救済しているところ。
ドラマ … 全11話と長いのでじっくり楽しめる。高校時代のサクと亜紀の純愛や、家族や友人とのエピソードも丁寧に描写。34歳の大人サクの心境の変化に合わせて物語が進展していくのも新鮮。
コミック … 原作を分かりやすく描いていて気軽に読めるところ。手っ取り早くどんな物語か知りたいならコミック版。
ラジオドラマ … 音声だけで「愛しさ」と「哀しみ」を描いているところ。空港での悲痛な叫びが胸に迫る。