「世界の中心で、愛をさけぶ」入門ガイド

作家・片山恭一さんの恋愛小説。
2001年4月に発売され、現在は300万部を突破しているベストセラー小説。
今から10数年前の1990年前後の時代設定で、高校生の二人の純愛、恋人の死、喪失感などが描かれた物語。
その後、2004年に映画化、テレビドラマ化、コミック化、ラジオドラマ化されるなど、メディアを超えて一大ブームになりました。

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「世界の中心で、愛をさけぶ」（せかいのちゅうしんで、あいをさけぶ）の略称。
おそらく2004年に入ってから定着しました。
「セカチュー」「セカチュウ」「せかちゅー」「せかちゅう」など色々使われていますが、「セカチュー」が一般的です。
この「セカチュー」が2004年の流行語大賞トップ10に入賞するなど、世間の認知度も高いです。

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・ニュース記事＞「セカチュー」が流行語大賞に入賞

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現在は321万部突破と発表されています。

発売は2001年4月で、初版8000部でした。当時は著者の片山恭一さんが無名だったこともあり、注目度は低かったです。

2002年4月に柴咲コウさんの紹介文「泣きながら一気に読みました」が帯につくと、徐々に話題に。 それでも10万部を突破したのは2003年3月で、刊行からすでに2年近くが経過。

2003年夏に映画化が決まった頃から爆発的に売れ始めて、2003年11月に100万部を突破。
その後も売れ続け、映画が公開された2004年5月には300万部に到達。

国内作家の小説としては、1987年9月に出版された村上春樹「ノルウェイの森」上巻の238万部を越えて、過去最多部数を達成しています。

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・セカチュー現象のまとめ

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小説「世界の中心で、愛をさけぶ」は片山恭一さんの３冊目の単行本です。
片山さんは「きみの知らないところで世界は動く」(1995年刊)、「ジョン・レノンを信じるな」(1997年刊)という２冊の小説を刊行していましたが、売れ行きは不振で、「世界の中心で、愛をさけぶ」は背水の陣で書かれたとのこと。自ら出版社に持ち込んだ作品でした。

片山さんが当初つけたタイトルは「恋するソクラテス」というものでしたが、インパクトが弱いのと内容が伝わりにくいので、小学館の担当編集者が「世界の中心で、愛をさけぶ」というタイトルにしています。

似たタイトルに「世界の中心で愛を叫んだけもの」というハーラン・エリスン著のSF小説(1979年発表)がありますが、内容はまったくの別物です。

またインタビューで自身の体験を描いたものかを尋ねられて、「完全なフィクション」と片山さんが答えているので、実話でもありません。

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・片山恭一さんの小説について
・セカチュー現象＞どこかで見たタイトルなんだけど…

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2004年5月8日に公開後、約1ヶ月で動員300万人、興行収入40億を突破!
その後もロングラン公開を続けて、11月時点では動員623万人・興収84億円を突破しています。
2004年の邦画実写映画最大のヒット作になると共に、日本の実写映画歴代７位にランクイン。

★日本の実写映画歴代成績ベスト１０

順位 タイトル 興収(単位は億) 1 踊る大捜査線２ １７３ 2 南極物語 １１０ 3 子猫物語 １０８ 4 踊る大捜査線 １０１ 5 天と地と １００ 6 敦煌 ９０ 7 世界の中心で、愛をさけぶ ８４ 8 ビルマの竪琴 ５９ 9 探偵物語／時をかける少女 ５７ 10 影武者 ５５

データ参考元：SANSPO記事(2004/6/3)

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全11話の平均視聴率は15.9%、最高視聴率は最終話の19.1%でした。
TBS金曜ドラマ枠は近年10%台前半で低迷していたこともあり、同枠では約３年ぶりの高視聴率ドラマに。
「ザ・テレビジョン」誌のドラマアカデミー賞で１４部門中９部門を制覇するなど、TVドラマ版も大ヒット。

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・TOPICS：ドラマアカデミー賞で９冠獲得！
・関連情報＞セカチューの視聴率について

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「セカチュー」の特徴として３つの作品がそれぞれ大ヒットして受け入れられているので、どれが気に入るかはその人の好みによります。興味が沸いたものから見てみてください。

細部はそれぞれ異なりますが、「サクと亜紀の純愛」「愛する人を失う悲しみ」「喪失感」は共通して物語の中心にあって、どの作品にもそれぞれの美しさや感動があります。

ただ映画とドラマは、原作を見ていないまっさらな状態の方がより楽しめるはずです。
ストーリーを知っていると客観的に見てしまうところもあると思うので。

そして映画・ドラマは映像作品なので、たとえばサクや亜紀に対するイメージが固定される可能性もあり、どちらか一方に深くハマったら、もう一方の映画orドラマには違和感を感じるかもしれません。 もちろん３作共に好きという人も多いとは思います。

よって今から見るなら

ドラマor映画 → 原作

という順番がおすすめです。

あとは何となくですが、映画は10〜20代の女性を中心にヒットしたというイメージがありますが、ドラマ版は公式サイトのBBSを見ても30代以上の男性の投稿も多かったです。 一概にはいえませんが、「どちらかといえば」、映画は女性向け、ドラマは男性向け(orファミリー向け)と言えるかもしれません。

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それぞれ原作を元に、登場人物を増やしたりエピソードが追加されたりしています。

映画 … サクと亜紀の純愛は原作を踏襲しつつ、現代シーンを追加して「原作のその後の世界」を独自の解釈で描く。サクの婚約者・律子が登場。原作の哲学的な要素は削ぎ落として間口を広げている。

ドラマ … 映画と同じく現代シーンを追加する一方、高校時代にも様々なエピソードを追加。サクと亜紀の純愛、そして家族や友人との心の交流を全11話を通して丁寧に描く。

では、この３作はどのぐらい違うのか？
以下は私の印象ですが、図にするとこのような感じです。

原作―――ドラマ―――映画

一番離れているのが原作と映画。ドラマは両者の中間。

原作と映画が異なるのは、原作ではサクが少し理屈っぽい性格だったり祖父との哲学的な対話があるなどロジカルな印象があるのに対して、映画はCMで有名になった「助けてください！」という叫びに象徴されるように、登場人物の感情・情動が最優先に描かれていると思います。 感情が揺さぶられるから「泣ける」んでしょうね。

ドラマは原作・映画のそれぞれのいいところを集めているので、泣けるシーンもあれば深いテーマ性もあります。この３作の中ではおそらく一番バランスが取れていて万人向けだと思います。

★映画とドラマの出演者・スタッフ・設定の主な違い

設定 映画 ドラマ サク役(高２) 森山未來 山田孝之 亜紀役(高２) 長澤まさみ 綾瀬はるか 大人になったサク 大沢たかお 緒形直人 大人サクの新恋人 柴咲コウ 桜井幸子 写真館の老人(祖父) 山崎努 仲代達矢 監督(演出) 行定勲 堤幸彦 ほか 脚本 坂元裕二 ほか 森下佳子 主題歌 平井堅 「瞳をとじて」 柴咲コウ 「かたちあるもの」 上映・放送時間 138分 全11話 (約500分?) 二人の高２時代 1986年 1987年 主なロケ地 香川県庵治町 静岡県松崎町 公式サイト Yahoo TBS

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・セカチュー比較(ネタバレあり)

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当サイトBBSに寄せられた中から、いくつかを感想集コーナーに掲載させてもらっています。
ドラマ版についてが多いですが、こちらをご覧ください。

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DVDは映画が12/23、ドラマが2005/1/1に発売されますが、関連書籍などもそれぞれ発売されています。これらを読むとより理解が深まります。

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小説
謎解き「世界の中心で、愛をさけぶ」
ライターズ・ジム 著 [2004/04発売 夏目書房 \1260]

原作の謎解き本。真面目な内容で解釈や考察が豊富。原作ファンにおすすめ。

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映画
指先の花―律子の物語
益子昌一 著 [2004/04発売 小学館 \460]

著者が違うので原作の続編ではありませんが、映画の原作本のようなもので、律子の視点から描かれる物語。 映画でわかりにくかったシーンの説明にもなっています。映画のストーリーを詳しく知りたい人におすすめ。

ビジュアルストーリーブック
杉山芳明 著 [2004/04発売 小学館 \1890]

映画出演者の写真集に加えて、シナリオやインタビューを収録。

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ドラマ
公式ビジュアルブック〜MEMORIES〜
[2004/09/17発売 角川書店 \1400]

名シーンの写真と名台詞が写真集のようにまとめられた一冊。出演者インタビューも収録。

→詳しくは関連グッズ参照

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映画ロケ地である香川県庵治町に、映画を見た観光客がこの夏に殺到。観光名所になっています。
ドラマロケ地の静岡県松崎町も、ドラマを見た観光客が増えているそうで、ドラマの特別展も現在開催中。
詳しくは→ロケ地情報を参照。

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・DVD発売 … 映画DVDが12/23、ドラマDVD-BOXは2005/1/1に発売! 特典映像や封入特典なども多数収録予定。 (→関連グッズ)

・韓国でリメイクされて映画化 … 来春撮影予定(?)。「冬のソナタ」のユン・ソクホ監督が撮影予定よいう情報がありましたが、本人は否定。リメイクされるかどうかはまだ未定のようです。(→詳細)

・ハリウッドで映画化 … 未定(?)。2004年7月に一度そういった情報があった(→記事)ものの、その後の情報はなし。

・各ロケ地で記念行事など
・静岡県松崎町(ドラマロケ地) … 撮影で使用したアイテムなどを展示した特別展が開催中(2005年1月31日まで)。(→詳細)

・香川県庵治町(映画ロケ地) … 映画に登場した写真館を復元した『「世界の中心で、愛をさけぶ」記念館』が来年春にオープン予定。(→詳細)