真柴家。母・由美と瓜二つの食堂の店員・園子をめぐり、徹生(竹中直人)とみちる(綾瀬はるか)は深刻な表情で朝食を食べる。
豪(市原隼人)は失われた家族の絆を取り戻すべく、「今晩、家族会議をしよう」と提案。
(幌) このとき僕は、家の中で何が起こっているのか
ちっともわかりませんでした
それどころじゃなかったのです
未来に靴をプレゼントした際、「あなたは幌じゃない、ボロよ!」と言われた幌(神木隆之介)。
あれは、なぞなぞだったのでしょうか?
だとしたら、僕は彼女の出した最後のなぞなぞが
どうしても解けずに…
ほのか(沢尻エリカ)と一緒に園子の食堂にやって来た豪。
あまりにも母に似ているため、「親父の気持ちもわからなくもないなって」と豪。
続けて「また生まれ変わっても、母さんの子になりたいと思ってます」と変わらぬ母への想いを語る。
下校するバスの中で、未来に靴を投げられた理由を考える奈々。
(奈々) そういう歩きたくないやつに靴贈るのって、なんだか偽善っぽいぜ
(幌) 偽善?
余計なおせっかいっての
ムカつくんじゃねえの
私の気持ちなんか知らないくせにって
二股をかけられていると知ってから避けていた淳一(小栗旬)と、久しぶりに会って話すみちる。
淳一は「彼女とは別れた、婚約は解消した」と告げる。
父に命じられるままの人生にうんざりして、医者をやめてパリの美大に留学するという。
そんな頃、町である事件が起きる。
聖子の父・篤(浅野和之)が薬を大量に飲んで自殺を図ったのだ。
病院に駆けつける徹生と芳夫(高橋克実)たち。
幸い未遂に終わったが、離婚や慰謝料の問題で悩んでいて、最近は仕事にも行ってなかったという。
病院のロビーでは、幌と聖子がビー玉を手に回復を祈っていた。
真柴家。
淳一にもらったアクセサリーをみちるが外したことに気づいた豪。
豪がつっこむと、「中途半端になってたから」とみちる。
「普通に話せたの、友達っていうか…」と、淳一のことはふっきれた様子。
豪は「他に誰か好きな人がいるんじゃないの?」と言い、瀬戸(田中幸太朗)のことを話題に出すが、みちるは「あの人は大嫌いよ!」とムキになって答える。
病院では京子(高橋ひとみ)、夕子(桜井幸子)、竜一(萩原聖人)、明示(杉浦直樹)らが篤の病室に見舞いに来ていた。
今回の事件の原因が離婚問題にあると感じた明示は、「奥さんに電話したらどうだね」と篤に声をかける。
(明示) これから、東京の奥さんに電話してみなさい
今しないと、一生後悔することになるよ
(篤) 何言ってんですか、私は別に…
君がいなくなって苦しい
生きる気力さえ失っている
そう伝えるんだ
それこそ、命懸けでさ
何言ってんです、私は…
愛していると、伝えなさい
(京子) 千秋さんに電話してあげて
夫婦なんてしょせん他人よ
離れて暮らして時が経てば、それこそどんどん忘れちゃうわ
男の人は引きずるって言うけど
女は適応能力高いから、忘れてせいせいしちゃうようになるかもしれない
若い子の恋愛とは違う
生活ベースになってるから
そりゃあ毎日、愛だ恋だってわけにはいかないわよ
だけど、一番そばにいる旦那からね、女じゃない、子供の母親なだけっていう目で見られるのも、正直ストレス溜まったりもするのよ
身体についたお肉じゃないけど、いいとこあったり悪いとこあったり、知らないうちに溜まっていくって感じよね
千秋さんはどっちかっていうと、自分に正直だっただけなんじゃないの?
それでさ、あんまり溜まっちゃったマイナスのお肉が、自分で手に負えなくなっちゃったのよ、きっと
(夕子) だけど、プラスの分もきっとあったはずです
そっちばっかり目がいっちゃったけど、必ずプラスのことも
覚悟を決めた篤は、聖子に見守られながら妻・千秋(南果歩)に電話をかける。
(篤) 私だ
(千秋) あなた
どうしたの?
聖子に何かあったの?
愛してる
え?
情けないが、仕事も手につかない
おまえを、愛してるんだ
世間体ばっかり気にして、おまえを何もわかろうとしなかった
いつも被害者面して、無言で責めてばかりで、最悪の夫だったかもしれないが
俺はずっと、今でもおまえを愛してる
うん…
愛してる
そこで電話が切れた。
千秋は夫の愛に涙し、篤の顔には充実感が満ちていた…。
夜になり、病院に見舞いに行っていた徹生が家に帰ってくる。
すると大伴巡査(塚地武雅)に案内されて、真柴家に園子がやって来た。
豪が呼んだのだ。
「よく来れましたね」と険しい顔つきで話すみちる。
園子は豪に頼まれて来たこと、徹生はタイプではなく興味がないことをサバサバと話す。
嫌悪感をむき出しにするみちるは、次第に言い合いになり、園子も厳しい口調で言い返す。
(園子) 唄ちゃんの母親代わりって力んだって、うまくやれないんでしょう?
怒鳴りつけて泣かせたりするから、かわいそうに、あたしのところに泣きながら来たんだよ
(みちる) それは…
お父さんのことだってさ、やいのやいの言ってさ
親だってね、自分の人生あるんだよ
これから老後も、ずっと一人でいろって言うの?
それともあんた、誰とも結婚しないで、一生そばで面倒見る覚悟あんの?
あたしはさ、そういう子、嫌いなんだよね
自分ばっかり潔癖で、正義感強いフリしてさ
周り困らせてそれに気づかないで、人のこと鈍感呼ばわりしてるの
それでやっぱり都合が悪くなると、泣いちゃうわけ?
悔しくってさ、自分のために流してる涙だよね
自分が一番で、他の人間のこと思いやれない人間にありがちなさ
ひどいことを言われ、しかし言い返せず涙を流すみちる。
園子に抱きかかえられていた唄も泣き始め、園子から離れてみちるに抱きつく。
「いい加減にしてくれないか、出てってくれ」と徹生。
園子が出て行くと、徹生は園子への感情が吹っ飛んだのか、「みちる、すまなかった。俺どうかしてた。似てねえな、全然」と謝る。
その頃、幌は祖父の天文台にいた。
(明示) 偽善? 難しい言葉知ってるな
(幌) 余計なおせっかいってことだよね
そうか、それでその子とはもう
うん、ムカつかれちゃったからね
幌は世界中の人を応援したいんだろう?
うん
みんなにやさしくしてあげたい
うん
そうなると、これからもきっと、多くの人に傷つけられてしまうかもしれないね
僕、平気だよ
だって、僕の心の幹って強いんでしょう
ああ
お母さんが言ってた
人を傷つけるのは、悲しい人だって
たぶん、誰にも好きって言われたことがない人だって
だから僕ね、そういう人に会ったら、好きって言ってあげるんだ
傷つけられてもかい?
うん、そうだよ
幌がそんな大人になったら、素晴らしいことだね
ほんとに、世界が救えるかもしれないな
そうかな?
ああ
でも、無理かな
だって、未来にも嫌われちゃったみたいだし
それはどうかな、幌
そういう子は、やさしくされることに慣れてないだけかもしれない
慣れてないと、どうしていいかわからなくて、思わず逆な行動をしてしまうことがあるからね
勇気を出してもう一度だけ、チャレンジしてみたらどうだ
真柴家を後にした園子を家まで送る豪。「あれでよかったのかしら」と園子。
みちるにひどいことを言って悪者になったのは、すべてお芝居だったのだ。
豪が考えたシナリオで、徹生と唄に「園子=母」という幻想から目覚めさせるためだった。
(園子) 唄ちゃんと会えなくなるのは少し寂しいけど、みちるちゃんって言ったかしら
なんか、親子ゲンカっていうの?
真似事でも、一度やってみたかったのよ
なんでもずけずけ言い合える、ああいう娘、欲しかったなぁ
結婚はしてたのよ、あたし
(豪) え?
これでも割といいとこにお嫁にいったの
離婚したんすか?
子ども、できないのよ私
え…
それでさあ、なんか、跡取り欲しい家でさ
居づらくなっちゃったんだなぁ
だから、みちる、豪、会えなくて残念だったけど幌くん、それに唄ちゃん
いいなぁって
あなたたちのお母さん、きっと幸せだったよ
すみません俺、そんなこと知らなくて
やだ、あたしそんなつもりじゃ
ほんとにすみません
アパートに帰っていく園子。
明かりのついた部屋に向かって、豪は「すみません…」と涙を流す…。
翌朝。
幌は勇気を出して未来の家へ。
(幌) 今ね、一生懸命考えてるんだ
(未来) 何を?
最後のなぞなぞだよ
僕のこと、ボロって呼んだ
その答えを、必ず見つけるから
だから、怖がらないで待ってて
僕の名前は幌
君をやさしくかくまってあげる
雨や風や、たとえば嵐が来たとしても
いいわ、待ってる
あなたがなぞなぞを解いて、私を救い出してくれる
その時まで
うん
幌はオレンジ色のビー玉を出すと、未来に手渡す…。
もう一度だけ、やさしくしてみよう
それでダメなら、諦めます
ああ、僕はこれ以上、未来に嫌われたくないんです
神様、勇気をください
彼女が最後の、虹色の戦士になれるように…
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