あいくるしい

あいくるしい 第5話「家族最期の思い出〜僕達は母さんから生まれた」あらすじ・ストーリー

#05 STORY.
オンエアを見ながら個人的に書いたあらすじ+名セリフです


第5話「家族最期の思い出〜僕達は母さんから生まれた (5/9up)

豪(市原隼人)と幌(神木隆之介)を連れて散歩にやって来た母・由美(原田美枝子)。
野原に座ると、愛おしむように幌と豪を抱きしめる。

(由美) 二人とも男前、ママに感謝するのよ。
黙っててもモテる顔に生んであげたんだから。
だけどね、その顔はせいぜい成人する二十歳までよ。
その後は自分のしたこと、することが、顔に出てくるから。
(幌) 悪どいことをしたら?
悪どい顔に。
いい、男の子は損とか得とか考えないで、行動しなさい。
カッコいい方を選びなさい。
やせ我慢でも何でもいいから、カッコつけなさい。
(幌) わかった、僕カッコつける。
(豪) おまえ単純なんだよ、単純。
男の子は、カブトムシ。
だから間違ってるって言われても、自分が正しいって思ったら、進みなさい。


3人は手を繋いで野原に寝そべる。
「幸せ…」と由美。

(幌) チリチリ、チリリ
こうしていると僕たちは
お母さんのお腹にいたことがわかります
プクプク、プクク
こうしていると僕たちは
お母さんのお腹の中でつくられたことがわかります
ほら、手や足が
ほらほら、目や口が
そうして最後に…



真柴家。豪が庭でドラム缶を前に太鼓を叩く練習をしていた。 町のお祭りで豪が奉納太鼓を叩くことになったのだ。 それを知ると父・徹生(竹中直人)はなぜか張り切り、豪に叩き方のレクチャーを始める。


小学校。耕作は幌と聖子がキスする現場を目撃していた。 虹色の戦士内でわだかまりが起きないようにと、奈々は二人を池の桟橋に連れてきて、「いさぎよく決着をつけろ。勝った方が聖子と付き合う」と。

聖子は反対するが、耕作はやる気を見せる。 「男ならカッコつけなさい」と母に言われたことを思い出した幌は、奈々の提案を受けることに。

自転車で池に突き出た桟橋の先まで走り、ブレーキを踏まない根性を見せた方が勝ち。
レースはスタート。2台の自転車が桟橋の上を走るが、耕作が先にブレーキを踏んでしまう。幌の自転車はブレーキが効かず、そのまま池に突っ込んで落ちてしまう…。勝負は幌の勝ち。


一方、徹生はいつしか自分でドラム缶を叩くことに夢中になり、夕食の時間になっても叩き続けていた。「どうしちゃったのかな」と言うみちる(綾瀬はるか)に、「太鼓も音楽だから」と由美。
子どもたちには秘密にしていたが、徹生はかつて東京でバンド活動をしていたという。父の意外な過去に驚く豪たち。押入れには当時使っていたトランペットがしまってあった。


竜一(萩原聖人)が仕事を終えてアパートに帰り、部屋に入ろうとしていると、近くのドアが開く。耳の不自由な少女・ほのか(沢尻エリカ)だった。同じアパートに引っ越してきたという。
ほのかは「ありがとうございました」と紙に書いて竜一に見せると、続けて「あの人は?」と。 名前だけを知っていた竜一は、「真柴豪」と書いて渡す。


真夜中。幌がトイレで起きると、台所で由美が息を切らしながら薬を飲んでいた。普段は平気そうに装っていたが、病状はかなり悪化していたのだ…。母が心配になる幌。


翌日。祖父・明示(杉浦直樹)が仕事帰りにいつも寄る喫茶店に、先に来ていた母・由美。
由美は明示に伝えておきたいことがあった。

(由美) あとのこと、お願いします。
(明示) え?
と言っても、別に今まで通りでいてくださればいいんです。
それは、私じゃなくって…
あの家で大人なのはお父さんだけですから。どんな時でも冷静に。
子どもたちのことも心配です。
だけど、一番心配なのは、あの人です。
あの人が心配です。壊れてしまわないかと…。
まさか。
幸せなことに、それだけ愛されてました。だから不安です。
あの人が壊れてしまい、家族がバラバラになるのが心配です…。



町のお祭りの日がやってきた。豪はみこしに乗って太鼓を打ち鳴らす。
聖子たちは家まで幌を迎えに来るが、幌は腹痛のため行かないと言う。

唄は聖子たちに連れられてお祭りに行き、「みちるも行ったら? それとも約束の時間があるのかしら」と由美。由美は豪から彼氏らしき人がいると伝え聞いていた。

「まだそういうあれじゃないの」と照れながらも、インターン・淳一(小栗旬)との約束があったため浴衣に着替えに行くみちる。すると由美が声をかける。

(由美) 子どもは生みなさい。
(みちる) 何言ってるの、私たちまだ全然そんなんじゃ…
今の話じゃなくて、いつか必ず。
なんだ。そりゃあ、いつか誰かと結婚したら。
一人でいたとしても。
なにそれ、未婚の母でもいいってこと?
(うなずく)
お母さん…?

由美は静かに微笑んでいた…。


耳の不自由な少女・ほのかがコインランドリーで洗濯物を取り込んでいると、お祭りのみこしが近くを通る。上で太鼓を叩いているのは豪だ。ほのかはみこしの後を追って歩いていく。

みこしはお祭り会場である神社に到着し、豪はやぐらに上がって引き続き太鼓を叩く。 神社では父・徹生が町内会の仕事をしていた。

腹痛だと言った幌は実は仮病で、母が心配で一人にさせたくなかったのだ。 しかし由美は夕方になると、「お留守番でいいのね、お母さん行っちゃうわよ」と言ってお祭りに行こうとする。 母の体調が大丈夫だと感じた幌は、一緒にお祭りに行くことに。


神社では父に姿を見られないようにと警戒しながら、みちるは淳一とデートしていた。

(淳一) だけど、ほんとに良かったの? 大学。
(みちる) 特別、何か目指してたわけじゃないし。
後悔しない?
しない。行く方が絶対後悔する。
やりたいことは家のことしてても、どこにいても見つかる。 今じゃなくても、人生長いから。
少なくとも、家であたしは必要なの。
この歳で必要とされるなんて、すごくないかな? 私ってば。
偉いね。
やだ、そんなことないですよ。
実際電車に乗って、東京に行こうとするまで思わなかったし。
さっきの人はお父さん? 今太鼓叩いてる。
あ、うん、実は…
うるさいから、顔合わせたりするといろいろ…
お父さんは、僕じゃ不満だろうか。
え?
僕が、君の恋人じゃ。
あの…それって……

唐突に告白されたみちるだが、そこに唄がやって来て会話は中断。


神社にやって来た幌と由美。 聖子たち虹色の戦士が声をかけて、5色のビー玉を由美に見せる。あと2人で7色揃うと説明し、そうなれば「おばさんの病気という雨雲はさーっと消え去って、幸せの虹がかかるってわけ」と奈々。 由美は「私はもうすっかり大丈夫なの、それより幌と仲良くしてね」と。


一緒に神社に来ていた夕子(桜井幸子)と竜一(萩原聖人)。
豪が二人を見つけて近寄ると、竜一に声をかける。

(豪) ボクシング、教えてもらえないですか?俺に
(竜一) ふざけんなよ
お願いします!
ケンカしか能がないゴミだろ。
何の思いつきか知らねえけど、やめとけよ。
あんたは違うのかよ?
ゴミじゃなかったのかよ?
(夕子) 彼は英雄だったのよ、この村の。
誰も覚えちゃいねえよ、そんなこと。
おまえの言う通りさ、俺はゴミだ。
いや、ゴミなら掃いて捨てりゃいいけど、またのこのこ戻ってきちまった。
俺はゴミなんかになんねえよ! あんたとは違う。
あんたがゴミなのは、自分のためにしか闘ってこなかったからだ。
俺が、自分のためにしか?
ああそうだよ。あげく逃げた。
ちょうど良かったんだよ。奈々の親父さんと試合してな。
罪滅ぼしのために奈々を引き取った。
おまえに何がわかる?
カッコ悪いよ、あんた。
自分で認めてるのがさらにカッコ悪い。男前じゃねえよ。
おまえ挑発してんのか?
殴られるのはアンタだろ!

豪は竜一に殴りかかるが、軽くよけられてしまう。
それでも殴りかかると、豪を見つけて近寄ってきたほのかにパンチが当たってしまう…。


母・由美は幌と唄を連れてお祭りを楽しんでいた。
由美は幌と唄にも命の言葉を伝える。

(由美) 人の悪口を言ったらダメよ
ときどき思っちゃうのは仕方ないけど、口に出して言ったらダメ
口に出さなければ、そのうち、思うこともなくなるわ

人を指さしたらダメよ
人差し指で指しても、中指、薬指、小指は自分を指しているでしょう

やさしい人になってね
傷つけられても、やさしい人に

好きって言葉は、魔法なの
言われた人を幸せにする魔法
友達にでも、誰にでも
悲しい人はね、好きって言われたことのない人だから
(幌) ねえ、お母さんも好きって言って
…好き

母・幌・唄は幸せな笑顔を見せる…。


豪のパンチが当たり、意識を失って神社の中で横になっていたほのか。しばらくすると目を覚ます。 「ごめんな、痛かったろ」と豪は心配するが、大丈夫そうだった。


みんなよりも先に家に帰ってきた由美・幌・唄。
疲れてすぐに寝てしまった唄を抱きしめながら、愛おしさのあまり涙を流す由美。「神様…なんてあいくるしい…」。それが由美の最期の言葉だった。

お湯を沸かしていた幌が部屋に戻り母に声をかけても、反応がない。 母は唄を抱きしめながら意識を失っていた…。

幌は祖父に電話をかけて知らせると、続けて神社にいる父たちに伝えるため、裸足のまま外に飛び出す。 唄は母の異変に気づいて目を覚ますと、大声で泣き始めてしまう。

裸足のまま、懸命に神社へと走る幌…。

(幌) こうしていると僕たちは
お母さんのお腹の中にいたことを感じます
こうしていると僕たちは
お母さんのお腹の中でつくられたことがわかります
ほら、手や足が
ほら、目も口も
だけどもう、二度とそこに戻れることはありません
どんなに探しても、もう二度と…





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