世界の中心で、愛をさけぶ
第10話ストーリー・あらすじ

復習用&見逃した人向けです。できるだけ詳しく書いています。

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9/3 OnAir "#10" STORY.

第10話「たすけてください…」

2004年。
バイクにひかれそうになった一樹を助けるため、道路に飛び出したサク(緒形直人)と明希(桜井幸子)。
その瞬間、サクはアキの遺骨が入った小瓶を落とし、割ってしまう。
サクがそれに気をとられている間、一樹を助けようとした明希が、代わりにバイクにひかれてしまう。

すぐに病院へと運ばれ、緊急手術を受ける明希。
サクと一樹は手術室の前で祈るしかなかった。

助けてください…
この世界でたった一人、僕を追いかけてくれる人を
僕のために笑ってくれる人を
僕のために泣いてくれる人を
僕を…抱きしめてくれる人を
助けてください…
僕たちを、助けてください。
僕は祈っていた、あの日と同じように。
祈ることしかできなかった…。


サクは17年前にも同じ言葉を発し、祈ったことがあった…。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

1987年。
「世界で一番青い空が見たい」という、アキの最後の願いが録音されたテープを、繰り返し聞くサク(山田孝之)。
サクはオーストラリア行きを本気で考えるようになる。

アキ(綾瀬はるか)は死を覚悟の上で、それでも最後にウルルに行きたいと言う。

アキは…生きること、諦めたの?
死ぬってことが、否定できなくなった時、
死に方に夢を持つことは、諦めることなの?
最後まで生きようと思うことなの?
わかんないな、俺…
私も。
いっか、そんなこと。
ウルルに新婚旅行か…


ウルル行きを決めた二人。
そしてそれは限りなく死を意味する…。サクは一人でむせび泣く。

サクが旅行代理店に問い合わせると、オーストラリアへの旅費は40万円かかると言われてしまう。


旅立ちの前にみんなに会いたいと望んだアキの元に、大木・智世・ボウズが見舞いに訪れる。
アキがニット帽を脱ぎ、スキンヘッドになった姿を見せると、智世は泣いてしまう。
それでも友人との幸せなひと時を過ごす…。

高額の旅費を何とかしようと思ったサク。
タンスの中の通帳へと手を伸ばすが、母に見つかりとがめられる。
どうしても使い道は言い出せなかった。


ある日、担任の谷田部(松下由樹)がアキのお見舞いに訪れる。

先生、わがまま言っても…
何?
授業して欲しいんです。
もう、教室行けないかもしれないから…。
何言ってんの。

そう言いながらも、谷田部は古文の教科書を開いて読み始める…。


一方、サクはアキとのオーストラリア行きに戸惑いを感じ始める。
大木や智世らはアキを元気づけるために、帽子のプレゼントを計画。
またアキの母・綾子からは親族にも配りたいと、結婚写真の焼き増しを頼まれる。
サク以外にも、アキを大切に思う人はたくさんいる…。

アキ、ホントにこれでいいのかな。
会いたい人、いっぱいいるんじゃないの。
アキに会いたい人も、いっぱいいてさ。
みんな1日でも長く、アキの顔見ていたくて…
だけど…もう時間ないじゃない…。

どうしていいのかわからないサクは、谷田部に相談。

アキはウルルに行きたいって言うけど、ほんとにそれが一番いいのか。
なんかもうわかんなくなって…。
アキを大切に思ってる人、いっぱいいるわけで。
迷うくらいなら、やめといた方がいいと思うよ。
もしものことがあったら、あんたのせいだって言う人もいるかもしれない。
あんた自身も、そう思ってしまうと思う。違うかな。



谷田部は定期的にアキを見舞いに訪れていた。

授業のことなんだけどさ、どうせなら廣瀬が興味持てることやろうと思って。
今一番知りたいことって、何?
私、何のために死ぬんでしょうか…。
それは…残された人、一人一人が決めることなんじゃないかな。
その生き様を見て。
廣瀬亜紀は、どんな風に生きてきた?


アキは自分らしい生き方について考え始める。


一方、サクはウルル行きをどうすべきなのか、わからないままだった。
仏壇の前で祖父に問いかけるが、返事はない。

するとサクの父・潤一郎がやってきて、一通の通帳をサクに手渡す。
祖父がサクの名義で貯金してきた通帳で、160万円ほど貯まっていた。
お祖父ちゃんと相談して使いなさい、と潤一郎。


旅費の都合がついたサクは旅行代理店へ。オーストラリア行きのチケットを2人分購入する。 10月24日、サクの誕生日が搭乗日だった。

覚悟の変わらないアキは、皆と会えなくなっても後悔しないと言う。

この日、アキの両親は調理した料理を病室に持ち込み、ベッドのアキを囲んで食事。
最後の家族団らんのひと時を過ごす…。

私って、どんな子だった?
頑固で負けず嫌い。
ま、カッコつけの泣き虫だな。
産声がすごく大きくて、男の子ですかって。
ハイハイも歩き出すのも、すごく早くて。



両親がいない間に、サクはアキの家に忍び込み、旅行に必要なアキの衣類などを用意する。

ふと、奇妙な感覚に襲われた。
何もかもがアキを物語る部屋の中で、アキだけがいなかった。
もしかして、これは僕の未来なのだろうか。
何も変わらない、アキだけがそこからすっぽりと抜け落ちた世界。
アキの死と共にやってくる世界。
誰かの痛みも、受けるかもしれない非難も。
一人で死を看取る恐怖も。
すべてを越えて…ただもう、二人で空が見たいと思った。


サクもようやく覚悟が決まる。


旅立ちの日。
サクは置手紙を残して家を抜け出そうとするが、母・富子に見つかる。
「変なことすんじゃないよ」と、お守りを2つ手渡す富子…。

サクが病室に行くと、すでにアキは準備ができていた。
病院を抜け出し、表でタクシーを捕まえる。

立っていることもままならないアキが後部座席に乗り込んだところで、
アキはサクをなぜか突き放し、運転手に発進してと告げる。
アキを乗せたタクシーは、サクを追いて行ってしまう。


一方、娘が抜け出したことを知ったアキの両親は愕然。
アキの主治医は自殺行為だと嘆く。
そしてベッドの上にはいくつかのテープが残されていた。

真は両親宛てのテープを再生する…。

お父さん、お母さん、ごめんね。
これが自殺なのか何なのか、わかりません。
だけど、頑固で、負けず嫌いで、カッコつけで、泣き虫の、私の最後のわがまま。
白血病で死ぬことが私の運命だったとしても、
そんなものに、私の17年をつぶされたくない。
きっと生きたいように生きるために、生まれてきたから…。
最後までそうしたい。
青い空を見に行く。
わがままで、ごめんなさい。



アキは一人で駅に辿り着き、階段を這いつくばりながら登っていた。

追いかけてきたサクが、息を切らしながらアキを見つける。

なんかあったらどうすんだよ。
だって…これ以上迷惑かけられないよ。
私、死んだらどうするの?
かついで戻ってくるよ。
重いかも…
いいよ。
アキは、そのまんまでいいんだよ。


二人は電車で空港へ。

思い出していた。
アキの誕生日、7月2日。
俺が生まれてきたのは、アキのいる世界だったんだって。
待ってたの。
私はずっとサクのいない世界で、サクが生まれるのを、私は待ってたのよ。
アキは…たった3ヶ月とちょっとじゃない、一人だったの。
それって、ズルくない?
俺、これからずっとだよ…。
足速いんだもん、私…。
どこ行くんだよ、そんなに走って。
あの世なんてないって言ってたじゃない。
天国…。
逃げんなよ…。


空港に着いた時は雨が降っていた。

サクはアキをロビーの椅子に座らせ、搭乗手続きへと向かう。
手続きが終わって戻る時、アキが椅子から床へと崩れ落ちてしまう。
アキは意識がもうろうとしていた。

アキ、大丈夫?
戻ろう
いいから…
でも…
行きたいの

アキはサクに支えられながら搭乗ゲートへと向かう。
だがもう歩くこともできず、また倒れこんでしまう。

アキ、アキ…
サクちゃん…
やっぱり、あの世なんてない
天国なんて、ない…
もう、しゃべるな…
ここ、天国だもん…
好きよ、サクちゃん……


アキはついに意識を失ってしまう…。

――僕が生きてきた中で、アキがいなかった日はなかった

アキを抱きかかえたサクは、絶望の中でつぶやく。

助けて…ください…
助けてください…
助けてください…


周囲の人々に対してではなく、巨きな存在に向かって、サクはそう訴え続けた。

10話終わり。





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