Q01. 「世界の中心」はどこ？ (ドラマ版)

「世界の中心で、愛をさけぶ」という意味深な作品タイトル。
この題名を前にすると、「世界の中心」ってどこだ？と疑問に思うはずです。

意外ですがドラマ版では「世界の中心」という言葉は１シーンにしか登場しません。
真が差し入れたアボリジニについての本を読んだ亜紀が、サクに話すシーン。

[8話・病室]
アボリジニの聖地って、ウルルって言うらしいよ。
アボリジニにとって、世界のへそとか…中心とか。そういう場所らしいよ。
行ってみたいなぁ。

１話で弔辞の時に読んだ詩が「再生」を意味するアボリジニのものであると知り、亜紀はアボリジニの世界観に興味を持ちます。
そのアボリジニにとっての世界の中心は、オーストラリアのウルル（エアーズロック）であることがこの会話からわかります。

そのウルルに、サクは修学旅行（８話）と、散骨（最終話）で二度訪れることになります。
ただそこがいくら「世界の中心」であっても、亜紀がいなければサクにとって空虚な場所に過ぎず、サクは二度とも満たされない気分でそこを訪れています。
８話はせっかくの海外修学旅行なのに、亜紀の心配ばかりして楽しめていません。

よってアボリジニにとって地理的な意味でウルルが「世界の中心」であったとしても、サクと亜紀にとってそこが「世界の中心」であるとは言いにくいでしょう。むしろサク一人でしか訪れられなかったウルルは、哀しみの象徴とすら言えます。

よって地理的ではなく精神的な意味で、サクと亜紀の「世界の中心」はどこか？という問題になってきます。そして３話のラストシーンが「世界の中心」を象徴していたと思います。

[3話・防波堤]
世界で一番美しいものを見た。
世界で一番優しい音を聞いた。
世界っていうのは、抱きしめてくれる人のことで。
その腕の中は、暖かくて。
お祖父ちゃん、好きな人を亡くすのは、だから辛いんだよ。

祖父を亡くした悲しみに襲われ、自転車から転げ落ちて泣き崩れるサクを、母性的に抱きしめる亜紀。
亜紀の深い愛情とそれによって救われるサクを、強く感じる感動的なシーンです。
同じようなシーンが10話にもあります。

[10話・空港]
サクちゃん…やっぱり、あの世なんてない。
天国なんて、ない…
もう、しゃべるな…
ここ、天国だもん…
好きよ、サクちゃん……

今度は３話とは逆で、意識を失いかけてもうろうとしている亜紀を、サクが後ろから抱きかかえます。
そして「ここ、天国だもん」と亜紀が言い、最後に幸せそうな笑顔を見せたまま、意識を失います。
よって、「好きな人抱きしめられること」、すなわち「好きな人に愛されること」が、世界の中心だという解釈ができるでしょう。

というわけで、ドラマ版の「世界の中心」は、「好きな人に抱きしめられた状態（腕の中）」と、私は解釈しました。

他にも色々な解釈はできると思います。
以下は当サイトBBSからの抜粋（みなさんの解釈）です。

世界の中心は見た人たち一人一人それぞれ感じ方が違うと思いますね。だから、世界の中心はひとつじゃないと思います＾＾。ぼくの世界の中心は亜紀と朔が一緒にいる世界だと思っています。つまり、二人の時間こそが世界の中心だと思います。
(ヨッシーさん)

地球って丸いですからね。どこが最初でどこが最後ってことないですものね。ということは、地上にいる愛する２人（サクとアキに限らず、すべての愛する人達）が世界の中心だと思います。
(騰徳さん)

世界の中心というのは、私は好きな人と一緒にいれる特別な場所だと思いました。
(ぇりちん★さん)

世界の中心って　人それぞれで違うと思うし、”誰かの世界の中心がどこか？”というのは他の人からは、わからなくても、知らなくても、いいんじゃないかな、と思います。 ”何を世界の中心とするのか？”も人によって、さまざまだと思うし。
一人の人の世界の中心だって、いろいろな環境や、経験によって、どんどんかわっていくだろうから。 ”ここだ！”とたどり着いたとたんに、旅が終わってしまうのではなく、なんとなく、ずっと探しつづけていく場所なのかもしれません。
(Capriさん)

原作の空港へ向かう電車の中で「僕が生まれた世界はアキのいる世界だったんだ」と話しています。このセリフは原作やドラマ、映画（確かあったと思うのですが…）に共通して出てきます。つまりサクの世界とはアキのいる世界であり、その中心はアキとなります。
(☆さん)

亜紀は病気のため、世界の中心と言われるところに行けなかった。だけど亜紀は表層的な世界の中心ではなく、本当の意味での世界の中心に辿り着くことができた。朔と出会い、好きになり、かけがえのない人になった時、幸せは「自分と朔」が共にいることだとわかった。
(milkさん)

2004/09/26

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