真柴家の朝食時、長男の豪(市原隼人)は「今日東京に行く」と宣言。母のカルテを持参し、治せる医者を探すためだ。
父・徹生(竹中直人)、長女・みちる(綾瀬はるか)らもそんな豪を応援し、「森のクマさん」をみんなで歌いながら送り出す。
(幌) 僕たちは、最近はスキがあれば、歌を歌っています
そうやって、家の中を無理やり明るくしているのです
不思議に、歌を歌うと希望が沸いてくるのです
きっときっと、お母さんは助かるよ
ねえ、きっときっと、助かるよね
世界中のすべての人が、祈ってください…
新学期が始まり小学6年生になった幌(神木隆之介)。
クラス分けが掲示され、幼なじみの聖子、耕作とは別のクラスになったが、転校生の愁が幌と同じクラスになった。
幌は愁と友達になろうと何度か話しかけるが、冷めた愁は幌を相手にしない。
豪が飛び乗った東京行きの電車には、奈々が乗っていた。
奈々は「田舎もんじゃ東京は迷子になるだろ」と言い、一緒に行くことに…。
電車内で、奈々は竜一(萩原聖人)に引き取られた経緯を告白する。
(奈々) ボクサーだったの
私のパパは、アイツと8回戦の試合を
(豪) その試合でか、おまえの親父さん
そうよ
だったら殺したなんてよ
事故じゃねえか、試合中の
それなのに身寄りのないおまえ引き取ってくれたなんてよ
すげえいいヤツじゃねえか
冗談じゃない!
ふざけてんだよ、アイツ
なんて言ったと思う?
パパの前で泣いてるあたしに、アイツなんて言ったと思う?
竜一は奈々に「良かったな」とつぶやいた…。
小学校の下校時。
幌は妹の唄、聖子、耕作らと帰りのバスに乗ろうと走っていたが、唄が転んで泣いてしまう。先に乗り込んだ幌に、耕作は「バス止めといてくれよ」と言うが、幌はそのまま一人で行ってしまう。
バスには愁が乗っていたので、二人きりで話したかったのだ。愁の隣に座る幌。
(幌) ようやく二人になれたね
(愁) 僕にその趣味はないよ
その趣味って?
いいかい、前にも言ったけど、僕は友達なんか欲しくないんだ
どうして?
群れるのが嫌いなんだ
群れるヤツは弱虫だからさ
ねえ、君は強いの?
どんな時にも逃げたりしない?
逃げる…?
あぁ
そっか
だから僕、君と友達になりたいんだ
というのも僕、弱虫だから
向こうに行ってくれ
この玉をあげる、君に似合う色のを
いい加減にしろ!
愁は紫のビー玉を窓の外に放り投げてしまう。
それでも「どうしてもって言うなら」と付け加え、山の上にいる蝶のオオムラサキを取ってきたら幌と友達になると言う。
東京に付いた豪と奈々は、さっそく病院を次々と訪問。
しかしどの病院でもいい反応は得られなかった。
最後に訪れた病院で、「大変難しいがオペは可能だと思う」と言われるが…。
紹介されたのは、母の担当医だった。今の担当医が母の病気の日本一の権威だったのだ…。
張りきっていた豪だが、どうすることもできず顔を曇らせる。
翌日。
幌は虫あみを片手に妹の唄と共に山へと向かった。
山頂にいる蝶を採ってきて愁と友達になるためだ。
そんな頃、みちるはインターンの淳一(小栗旬)と初デートをしていた。植物園を訪れ、笑顔を見せる二人。
「初デートの記念に」とアクセサリーをプレゼントした淳一に対して、「これってデートですか? 一人で浮かれてたらバカみたいだなと思って」とみちる。淳一は「僕も十分浮かれてるから」と。
そんな話をしていると、雨が降ってくる。
山に出かけた幌と唄に傘を持たせなかったことを心配したみちるは、デートを早めに切り上げて帰ることに。
山頂を目指して山を登っていた幌と唄だが、強い雨が降ってくると「帰りたい」と唄が駄々をこねる。「じゃあここで待ってて」という幌の提案も拒む唄。
どうしても蝶を採ってきたい幌は、泣き始めた唄を置いて一人で行ってしまう…。
母・由美(原田美枝子)を見舞いに病院を訪れた祖父の明示(杉浦直樹)。
(明示) なんと言っていいか…本当に残念だし、悔しいことだね
裕福じゃないが、端から見ていても仲のいい、本当に素晴らしい家族だ
(由美) 端からだなんて、お父さんも家族の一員じゃないですか
あはは、そうだねぇ
感謝しています
突然東京から、ろくに素性も知らない女を紹介されて、ずいぶん戸惑ったことでしょう
あの人も、自分で家出していたくせに、有無を言わせない感じで
みちるがお腹にいるからって
あぁそうか、あの時もうみちるが…
毎日、賑やかでうるさいでしょう?
子供たち、迷惑かけてませんか?
迷惑?
年寄りは頑固で意固地になってしまう
私もご多分にもれずいつの間にかそういうところが
しかし、迷惑などとは程遠い感情だ
今となっては、むしろ私の方があなたに感謝しています
お父さんが私に?
あぁ、そうさ
あなたが徹生に、田舎で暮らしたいと言ってくれなかったら、
私と息子はもしかしたら、親子の縁を切ったままだっただろう
あなたは素晴らしい母親として、明るく思いやりのある子供たちを4人も生み、そして育ててくれていなかったら
私は今もきっと孤独な老人として、寂しく息をしているだけだっただろう
お父さん…
あぁ、まるで夢か幻のようさ
なんという幸せな騒がしさだろう…
雨の中、淳一(小栗旬)に家まで送ってもらったみちる。
車内で幌が採りに行った蝶・オオムラサキの話になり、山にその蝶はいないことを淳一から知らされる…。
一方、山頂に辿り着いた幌は目当ての蝶を見つける。
蝶の方へとそろそろと崖を歩いていると、足を滑らせて転倒してしまい…。
みちるは夕子(桜井幸子)のスナックを訪れると、店内にいた愁に声をかける。
(みちる) あなたよね、幌が友達になりたがってる転校生って
(愁) え?
狭い土地だし、きれいな顔してる男の子って言ってたから
いや…
(愁にビンタをするみちる)
友達になりたくないなら、それはそれでいいと思う
幌にも言っとくけど、そういうのは知らないうちになるものだから、求めてなるものじゃなくて
だけど、嘘をつくのは許せない
しつこく、付きまとうから…
自分の弟だからじゃなくて、そういう人が嫌いなの
嫌いなの
すると店の奥にいた夕子が出て来て、「この子は転校が多かったから、たぶん友達の作り方がわからないんだと思うの」と。
(夕子) 仲良くなってもすぐに離れてしまう
寂しい思いをするぐらいなら、最初から仲良くしない
いつの間にか、そういう風に
みちるに厳しく言われて反省した愁は、幌を迎えに山へと向かった。
雨が上がり、太陽が顔を出す。
転倒して意識を失っていた幌だが、気がつくと目の前には唄がいた。そしてその隣には愁が…。
山頂で並んで座る三人。
幌が蝶を見たと愁に言うと、それはただのアゲハ蝶だと言われる。そしてみちるが持たせたお弁当箱を開けると、お弁当は紫の蝶の形をしていた。「やっぱりいたね」と笑顔の幌たち。
原沢千秋(南果歩)が濃い化粧をして外出しようとしていた。
すると、娘の聖子が外に行かせないようにと玄関の前で両手を広げる。
男の匂いを敏感に察知したのだ。
千秋は「いけないって思ってるんだけど…どうしたらいいかわからないの」と言い、娘の制止もきかず行ってしまう。
今日も夕子(桜井幸子)の店にやってきた竜一(萩原聖人)。
すると先に飲んでいた芳夫(高橋克実)らが歓声を上げる。
かつてインターハイで優勝したボクサーで、地元の英雄だということを知ったのだ。
芳夫らは一緒に飲もうと招き入れるが、過去を振り返りたくない竜一は店から出て行こうとする。
そんな竜一に声をかける徹生。
(徹生) 逃げるのか?
いいじゃないか、みんな色々あるさ
みんな色々あって、地元に戻ってきたんだ
俺だってそうだよ
最後にここに戻ってきたんだ
だったらこれ以上、どこに逃げるって言うんだよ
竜一は「じゃあ一杯だけ」と言って席につく…。
山を降りて、祖父の天文台にやってきた幌と愁。
星を見ながら話す二人。
(幌) 実はね、君に謝らなくちゃいけないんだ
(愁) 君が僕に?
うん
君と友達になりたいっていう気持ちにはね、別の理由もあったんだ
あれ、七色のビー玉、全部で虹色になるんだ
だから、7人の虹色の戦士をつくろうって
そうすると、お母さんが助かるような気がするんだ…
続けて生まれてからまだ泣いたことがないと告げた幌。
愁は「かわいそうに、そんなに悲しい顔なのに、涙が出ない」と言い、幌の頬にふれる…
家に帰ってきた徹生は、豪とみちるに「話しがある」と。
母・由美を家に戻そうと言うのだ。
東京の病院を探し回った結果、最良の医師が今の担当医であることを知った豪も、それに賛成。
だがみちるは納得ができなかった。
(豪) 母さんは帰りたいんだよ!
最後はみんなの側にいたいんだよ
この間、病院から抜け出したの見てもわかるだろう
(みちる) だけど…
(徹生) 確かにそうだ、母さんは帰りたがってる
でもな、母さんは弱虫でそんなこと言ってるわけじゃない
豪、みちる、幌、唄に、伝えたいことがあるんだ
母親として
(豪) 母親として?
本当ならゆっくりと、もっと長い時間をかけて、親が子供に伝えることだ
でも、母さんにはもう時間がない
残り少ない時間、おまえたちと過ごして、急いで伝えたいことがあるんだ
すごい母さんだ
すごい女だ
本当は、ものすごく怖いだろう
悲しいだろう
でもそんなことより、おまえたちのことばかり考えてる
だからみちる、泣いたりしちゃダメだ
母さんが戻ったら泣いたりしないで、母さんのその言葉をちゃんと聞いてくれ
母さんの…命の言葉だ
(豪) 姉ちゃんそうしようよ
普通に過ごして、こんなこと絶対言いたくなかったんだけど、みんなで母さんを天国に見送んだよ
(みちる) うん……
いつの間にか帰宅していた幌がその話を聞いていた。
(豪) おまえ、聞いてたのか
(幌) 違うよ、母さんは死んだりしないよ
(徹生) 幌、おまえももう分かる年だな
わかんないよ、わかんないよ!
幌は耳を塞いで部屋に行ってしまう。
幌はまだ母の回復を信じていた…。
(幌) 僕は、たとえば毎年お参りに行くと
たくさんのことを神様にお願いしていました
成績が上がりますように
みんなが元気で幸せになりますように
だけどきっと、僕ひとりの力ではどうにもならないのです
だから、僕は世界中の人の代表として、虹色の戦士を集めているんです
翌日。幌たちがバスで登校していると、窓から愁の姿が見えた。
降りて駆け寄ると、愁が裸足になって何かを探している。
愁が川の中から見つけて手にしたのは、幌が渡した紫のビー玉だった。
駆け寄り、手を繋ぐ幌と愁…。
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