あいくるしい

あいくるしい 第1話「はじめて流した涙」 あらすじ・ストーリー

STORY.
オンエアを見ながら個人的に書いたあらすじ+名セリフです


第1話「はじめて流した涙」あらすじ (4/11up)

1993年。
真柴家に次男の幌(神木隆之介)が生まれる。

(幌) ナインティーン・ナインティースリー。
僕は声を出さずに生まれた。
お医者さんは、僕のお尻を叩きました。
わぉ!
1回、2回…
だけど、僕はどうしても泣かなかったそうです。

父さんは、タクシーの運転手をしています。
僕に障害が残らないようにと、その日から大好きなお酒を止めたそうです。

母さんはいっつもニコニコしています。
どうして?って聞くと、幸せだからと言います。
幸せすぎると、人は笑うんです。
それからしばらく母さんは、入院することになりました。
ときどき僕たちがお見舞いに行くと、やっぱり母さんはニコニコしています。

母さんが入院している間は、お姉ちゃんが家のことをしています。
かなりドジなのはいいのですが、問題は引きずることです。
自分が嫌いになると、時が止まるそうです。

お兄ちゃんは、熱いです。
母さんの入院費は自分が稼ぐと、学校が終わるとバイトに次ぐバイトです。
とにかく何にでも熱いです。

ときどき、何もない場所を眺めている妹は、謎です。
(宇宙人の絵を描く唄)
ちょー謎だ。

おじいちゃんは、僕たちと逆に、昼間眠っています。
この村にある、天文台の管理人さんをしているからです。
寂しくないの?と僕が聞くと、亡くなったおばあちゃんに毎晩に会えるから、と言いました。
そんなロマンチックなおじいちゃんが、僕は大好きなのです。

僕の名前は、幌(ほろ)と言います。
トラックや馬車に付いている、緑の布のことです。
中の大切なものを、雨や風から守れるような人に、という意味だそうです。
友達はポロと呼びます。


教室で「家族と将来の夢」という作文を読み終わった幌。
家族のことしか書いていなかったため、先生から「将来の夢は?」と聞かれる。

将来の夢は…えっと……
世界を救うことです!


教室からドッと笑い声が起きる。

トウェンティー・オー・ファイブ。
信じられないかもしれませんが、僕はまだ泣いたことがありません。
いつか、ポロポロと涙を流してみたいです。



2005年3月。
山間の田舎町に住む真柴家に今日も朝が訪れる。

末っ子の唄(松本梨菜)がおねしょをしたため、シーツを洗う長女のみちる(綾瀬はるか)。
夜中に天文台で働いている祖父の明示(杉浦直樹)は朝に帰宅する。
そんないつもと変わりのない朝、父の徹生(竹中直人)がトイレで流されてないうんちを見つける。 犯人が誰か分からず怒り出す徹生。

父・徹生と長男の豪(市原隼人)が言い争いになりケンカを始めたため、「もう私が犯人でいいわよ」とみちるが言って騒動は収まる。
母は長期入院中だが、にぎやかな真柴家に暗さはなかった。


小学5年生の幌(神木隆之介)は、妹の唄と近所の友達らと一緒に登校していた。
バス停でバスを待っていると、黄色いレインコートをまとった幌と同年代の少年・愁が歩いてくる。 最近引っ越してきたようだ。都会的な肌の白い少年を、遠くから見つめる幌たち…。

タクシー運転手の父・徹生は、タクシー乗り場で客を待ちながら先日担当医に言われたことを思い出していた。 入院中の妻・由美(原田美枝子)は脳に障害があり、余命は少ないと宣告されたのだ…。 そのことを徹生は子どもたちに秘密にしていた。


学校の帰りに幌がスーパーで夕食の買い物をしていると、同年代の少女・奈々(志保)がひき肉を注文していた。 買い物を終えた幌が店を出ると、後ろから奈々が走ってくる。
そして幌にひき肉と玉ねぎを渡すと、そのまま走り去っていくのだった。
万引きをしたのは奈々だが、幌はスーパーの店員に共犯者として疑われ、警察が呼ばれることに…。

町の巡査の大友(塚地武雅)に連れられてトボトボと家に帰ってきた幌は、父の徹生から裸足で外に立っているようにと罰を与えられる。
寒さに震えながら罰を受ける幌は、自分ではないと弁明しなかったようだ。
万引きした食材がひき肉と玉ねぎだったため「ハンバーグ食べたいのかな…」とみちる。


家の中では巡査の大友がみちるの作ったカレーを食べていた。
徹生の親友で理髪店を営む芳夫(高橋克実)も家に来ていて、みちるに恋心を持つ大友をからかう。
そして近くにできたスナックに美人のママがいるから行ってみないか?と徹生に声をかける。 徹生はあまり気乗りしないものの、行ってみることに。

真柴家の隣に住む原沢家の父・篤(浅野和之)も誘い、スナックにやってきた男三人。
ママの夕子(桜井幸子)目当ての客で店は混みあっていた。
酒が入ると愚痴をこぼし始める篤。
篤の妻・千秋(南果歩)は、退屈な夫と刺激のない田舎暮らしにうんざりしていた。
役場に勤めている真面目な篤は、「何が不満なんだ」と逆に妻への不満を募らせる。


家の外に立たされ続けていた幌だが、祖父の明示から「もういい、入りなさい」と言われ、許してもらうことに。
そんな時、病院を抜け出した母・由美が、突然家に帰ってくる…。
幌は急いでそのことを父に知らせようと、スナックへと自転車を走らせる。

久しぶりに帰ってきた母に豪ははしゃぎ、みちると唄も喜びを隠せない。
唄を抱きしめ、今日は一緒に寝ようね、と由美も幸せそうな笑顔を見せる。

そこに幌から報告を受けた徹生が、険しい顔つきで帰ってくる。
すぐに病院へ連れ戻されることになった母。唄は泣き始めてしまう。
外泊が許されないほどに病状は悪く、安静が必要だったのだ。
豪とみちるは初めて母の病の深刻さを知り、涙を流す。
だが幌だけは涙を流さなかった…。


翌日。
学校の合唱コンクールで幌のクラスでは「四季の歌」が歌われる。
だが昨日のことを思い出し、一人歌えなくなる幌。
涙を流せなかった自分に悩んでいた。

学校の帰り、祖父が働く天文台をひとり訪れた幌。
星を見ながら祖父に悩みを打ち明ける。

(幌) 死んだ人ってみんな星になるの?
(明示) あぁ、きっとね
おばあちゃんも?
あぁ
お母さんも?
……
おじいちゃん、僕怖いんだ
自分が怖いんだ
お母さんが、家からお父さんに病院へ連れ戻された時に
お姉ちゃんも、お兄ちゃんも、唄も、みんな泣いてた
涙がポロポロ溢れてたよ
そうか
僕、怖いんだよ
だって、僕だけはどうしても涙がこぼれないんだもん
おじいちゃん、僕って冷たい人なのかな
幌…
とっても、冷たい人間なのかな…
そうじゃないさ
幌はやさしい子だよ
おじいちゃんが保証するよ
だったら…
心にある、幹が太いんだ
幹?
木だよ
人間は誰もが、心に木を持っているんだ
心に木が伸びてるの?
そうだよ
その木が、幌は普通の人より、太くて強いんだ
人はね、悲しいことがあると、瞬間その木が折れてしまうんだよ
そうすることで、木が悲鳴を上げるように、涙をこぼす
だけど幌の幹は、太くって強いから、簡単には折れない
風が吹いても、雨が叩いても、折れない
嵐が来ても?
そうだね
でも、どんな意味があるの?
慰めてあげられる
支えてあげられるじゃないか
人はね、心の木が折れると、自分ではどうしていいかわからない
何も考えられない
だけど幌の幹は強いから、そんな時でも考えられる
行動することができる
思いやることもできる…
幌が誰よりも強くてやさしい証が、そこにある
世界を救えるほどさ

それみんなに言ったら笑われたよ
笑わしとけばいい、今にわかる
父さんよりも強い?
そうさ
お姉ちゃんや、兄ちゃんよりも?
あぁ、そうとも
おじいちゃんよりも?
私かい?
私は全然ダメさ
もう枯れ果てて、風がなくても倒れそうさ
だけど、僕を支えてくれる
あぁ
僕、おじいちゃんが一番好きだよ
ダメだよ、好きに順番つけたら
でも本当なんだ
よし、じゃあここだけの秘密にしよう
うん、そうしよう
そうだ、どうしても幌、苦しかったら
おじいちゃんいいものあげよう


そう言って幌に何かを手渡す明示。


翌朝の真柴家の朝食。
一昨日の母のことをひきずったまま、食卓には重い空気が流れていた。
幌は皆を元気づけようと、そして母の回復を祈るように、ひとり立ち上がって「四季の歌」を歌い始める。
皆あっけに取られるが、唄が、そして豪が一緒に歌い始める。
それにみちると徹生も続き、真柴家に再び笑顔がもどった。


幌たちがバスに乗っていつものように登校していると、スーパー万引き事件で一度会っていた奈々が、ぶっきらぼうな表情でバスに乗り込んでくる。
続いてスナックのママ・夕子の息子の愁も冷めた表情で乗り込む。
二人とも転校手続きが済み、今日から幌の学校に通うことになったのだ。

そんな時、すれ違ったトラックの荷台を包む布を見て、祖父との会話を思い出した幌。
幌は祖父にもらった目薬を差し、涙をこぼす。

(幌) トウェンティー・オー・ファイブ。
僕は今日、はじめて涙を流しました。
それはまだ、本当の涙じゃありません。
だけど、僕もいつかはポロポロと、涙を流す時がくるかもしれません。
大きな僕の心の木が、役目を終えて折れてしまう。
世界のすべての人を、救い出した後には…。





[ 一覧にもどる / 2話あらすじ→ ]



GoTop
あいくるしいファンサイト © Copyright FUMI 2005