高校教師

―― 湖賀
―― 雛
―― 藤村
―― 悠次
―― 紅子
―― 真美
―― 百合子
―― 手島
―― かおり(2話)

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※湖賀のナレーションは公式サイトのStory(text)に掲載されているのでそちらをご覧下さい



 第1話 禁断の愛、再び

[1-1]
あたしが声をかけなかったとしたら、あたしのこと知ってた?
ホラ、あたし目立つ方じゃないから
きっと卒業したら忘れちゃってたね
成績も中くらいでね、運動も…その、家もごく普通で
平凡で、退屈な子なんだ
きっと…この先もずっとそうなの

[1-2]
別に好きな人ができたとでも言えば
ハッキリと、迷惑だからもう連絡をしてこないでくれって
酷い人だと思われるでしょうね、それが嫌?
ただ結果的には、その方が相手を思ってると言えるわ
僕を忘れることが、彼女の幸福だなんて
普通の別れを装うことよ
そうして、そのうち彼女には新しい彼ができる
残酷なようだけど、人はそういうものよ
僕は……

[1-3]
僕はとてつもない孤独の中にいた
何もかもが虚しい
誰に話しても意味のないことだ
かすかな苛立ちも、やがて諦めに変わるのだろうか

[1-4]
私は…きっと普通に恋愛して
平凡に結婚する
子供も二人
幸せかもしれないけど、幸せじゃないかもしれない
なんだかよく分からないんだけど、突然思ったの
自分だけの秘密が欲しいって
幸せじゃなかったとしても、ママには内緒の思い出があるって

また元の平凡な女の子に戻る、それはいいの
自分がひとつだけ、秘密を持てれば
だけど、そのたったひとつの思い出を…
相手が憶えてないのは…寂しい?
よかった、憶えてくれてたなら


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 第2話 先生の秘密

[2-1]
見えないかい?
仮面をかぶってるからね
鋼鉄の仮面さ
もはや、本当の自分の顔は忘れてしまったよ
諦めと怠惰の中でね

[2-2]
あなたを…愛してるからよ
愛?
そうよ…愛してるわ
それが…
愛とは理解力だ
僕の行動を理解できなかった、君のその発言は適当じゃない
結婚相手としては適当だったということだろう
それに対する執着さ
いずれ消える

[2-3]
最初はすごく好きだったんでしょ?
なのに…その気持ちがだんだんなくなっちゃうなんて
相手がそうなるのも、自分がそうなるのも怖いな
君は…?
まだそういうのないみたい
人を好きになったりとか、嫌いになったりとか
でももし、誰かを好きになったら
ずっとずっと変わらず好きでいたいな
お互い変わらずに
でも先生も本当はそうしたかったんだよね
さぁ
そうだよ
だってわざと嫌いになる人なんかいないもん


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 第3話 眠れないふたり

[3-1]
僕には理解できないね
死ぬことが怖くない
忘れられることが寂しくもないなんて
さっぱり分からないね

[3-2]
強い子ね、とても
あなたとは違う
男性と女性の違いかしら
強がりですよ
僕も最初はそうでした
自分の中の、強い自分が弱い自分に話しかける
大したことじゃない
人は皆いずれ死ぬじゃないか
それが速いか遅いかの違いで
そうやって人前では強がって
何事もなかったように…演じて
彼女も……?

[3-3]
あの後…僕はこう言おうとしたんだ
うん…
いいかい…君は……
君は一人じゃない
この僕が、ついてるから


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 第4話 哀しいデート

[4-1]
しょせん先公やオマワリは俺には勝てない
鉄の鎖に縛られてるからね

[4-2]
楽しまないと損だよ
人はみんな死んじゃうんだから
いつかはね
毎日毎日楽しまないともったいない
快楽主義だね
苦しんだり悲しんだりなんてバカみたい
違う?
それはそうだ
やっぱり、先生もそうだと思ったんだ
モラルとかに縛られないタイプだって
刹那的に楽しもうとするタイプだって
それとも、永遠とか信じちゃうの?
いいや、信じないよ
俺は信じない…
じゃあ一緒に楽しみましょうよ
一緒に?
連れてってあげる
どこへ…?
悩みごとのない世界へ

[4-3]
後に残される人の哀しみを考えるんだ
現実にそんなこと考えられないかもしれない
だけど…自殺なんか絶対に駄目だ!
人間は生まれてくる時も自分の意志じゃない
だから、死ぬ時も自分の意志じゃいけないんだ
生き物はそうあるべきなんだ
たとえ一日でも、精一杯生きるべきなんだ


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 第5話 真夜中の対決

[5-1]
集団カウンセリング、憶えてる?
他の患者さんは積極的に発言していたわ
意見を交換したり
あなたは一人きり、ほとんど口も開かない
きっと自殺してしまう、そう思ったの
実際、その後何日も経たずにあなたは…
僕は弱い人間ですから
ええ、そうね
私の主人のことは、前に一度話したわね
ええ、ガンでお亡くなりに
彼も弱い人だったの
とても…

[5-2]
依存してしまうのは仕方ないわ
依存?
そう、唯一自分を理解してくれると、信じてしまうでしょう
あの、依存っていうのは恋愛とは違いますか
いつも頭の中が先生でいっぱいになっちゃうのは
違うわ
錯覚だし、そう思うのは哀しいわよ
哀しい?
だってそうでしょう
もしもあなたがそう想っても、彼の方はどうかしら
生徒と先生だからなんていう理由じゃないわ
つまり、彼はあなたの病気を知っているわけだから
同情はしても、愛情にはならないわ
決して
逆の立場でもそうでしょう?

[5-3]
退屈な日常、つまらない社会、うんざりするアホなヤツら
俺たちは馬車を引く馬じゃなくてね、上でふんぞりかえっていい景色が見たいのさ
ちょっとした事で支配する側にいける
いいかい
モラルに縛られず、ビビらないで飛んじまえばいいのさ
悩まずにやりたいことをヤっちまう
ゲーム感覚でね


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 第6話 片思いのチョコ

[6-1]
たとえば誰かに、今、世界で一番誰が大切かと聞かれたら
おそらく彼女だと答えるだろう
…なぜ?
彼女は、僕だからだ

[6-2]
彼女はあなたに恋愛感情を
依存から起こる典型的な感情ね
あなたが必要だという気持ちを、愛情だと錯覚してしまう
まさか
あの子の場合、気持ちは混同しやすいわ
確かに、僕もあなたに向けて一時は
君の場合は恋人の存在があったから、分断できたのよ
私への気持ちは逃避であり、依存であると
そうだとしても、しかし
そうね、それだと恋人から別れた意味がないわね
あなたの死をずっと引きずらないために、違う理由を見つけて別れた意味が
…あの子も、あなたをずっと想って生きていくかもしれない
一人ぼっちで…

[6-3]
私は愛する人の死を、看取り損ねたの
それで僕のことを
気持ちを埋めるために、ご主人の代わりに僕の死を
だとしたら?
かまいません
先生には、本当によくして頂いたので
だけど私ではなく、あの子かもしれないわね
もしかしたらあなたを、今度…
僕は彼女に癒されてはいるが、それだけです
彼女の気持ちを受け取るつもりはありません
依存からの錯覚ならば、なおさら
僕は、愛されてはいけない人間なんです
とても哀しいけれど
哀しみの種類は違うが、それならば、あなたの側で…

[6-4]
あのホストを殴りつけた時、僕はゾっとしたんだ
アイツには心がないから
そうじゃない
拳が自分に跳ね返ってきた
どういう意味ですか
因果応報ってとこかな

[6-5]
負けたら、会えなくなっちゃうから
よかった
先生にまた会える
明日も、あさっても、ずっと
私のその時まで…


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 第7話 ふたりが結ばれた夜

[7-1]
あの狭い部屋で工藤と二人きりで居るとね
何か不思議な感覚に襲われるんだよ
鋼鉄の仮面がね、ゆっくりとヒビ割れていくような
ビリッ、ビリッとね
元の自分に戻れると
いや、それよりさらに以前の自分かな
原子レベルまで戻りたいよ
悩みも、苦しみもないレベルにね
そんなレベルが…
存在すればさ

[7-2]
それで僕はこう言いました
君はいいが、僕は君を思い出にしたくはない
気の毒な君を思って、恋愛しづらくなると
僕があなたに言われて納得したのと同じです
恋人と、かおりと別れる前に
あなたはそのことで苦しんだわね
鏡を見ているような錯覚が、またありました
僕はそう言って彼女を拒否し、一方で自分が言われているようで苦しかった
でも当然だわ
あの子の場合は依存によって、恋愛感情だと錯覚しているに過ぎないのだから
依存と恋愛感情は違いますか?
僕にはその区別がつかなくなっています
依存は内に篭もるわ
排他的で、希望を見出せない
希望…
それに、あの年頃では違う意味かもしれないわ
ある意味、興味本位な部分も
僕も彼女にそういいました
言ってて違うと感じながら
この場合、セックスはその辺にありふれている快楽的なものではないんです
とてつもない不安や孤独から、一瞬でも他人と繋がりたい
そうじゃないとおかしくなってしまいそうで
要するに…生きることなんです
僕は…彼女のそれを拒否してしまった…

[7-3]
それでね、その後、死んじゃおうって思ってたんだ
おかしいのあたし
さっきまでそんな風に、どうでもいいって
死んじゃおうって思ってたのに
今はまるで違うの
先生の顔見たとたんだよ
死にたくないって
わたし死にたくない…


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 第8話 許されない嘘

[8-1]
ホント、ゲームなのよね
もっとちゃんと好きだって言われたい
言ってみたい
じゃないと、ホントの自分が分かんなくなっちゃうよ…

[8-2]
彼女は、僕の友達でもあります
妹でも、そして恋人でも
母親ですらあるのかもしれない
もはや…僕のすべてに

[8-3]
どうして…
そんな嘘ついたの
何をしてもいいの?
自分が病気だったら
私が…どんなに怖くて哀しかったか分かるでしょう
なのにどうしてそんな酷いこと
すまない…
人間じゃないよ
先生は人間じゃない
聞いてくれ、初めは…
悪魔だよ
あぁ……
そうかもしれないね…


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 第9話 壊れかけた先生

[9-1]
どっちが幸せかな
心が満たされても、肉体が病んでる自分
肉体が健康でも、心がどこか空虚な自分
身体が健康な方がいいですよ
心が満たされないっていうのは、みんなどこかそうだろうし

[9-2]
結婚しようって思う
諦めにも似たやすらぎだけどね
実はそれが一番、心に優しいかもしれないなって
つまりね、もの凄く好きな相手と結婚すると、いつも不安が付きまとうかもしれないって
いなくなってしまわないかって、いつも不安にね

[9-3]
先生ひとりぼっちなの
ずっとずっと一人だったの
だから病気のこと誰にも言えないで
たぶん、ずっとずっと我慢ばかりしてたの
だからもしも私しかいなかったら、先生の側に…


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 第10話 よみがえる純愛

[10-1]
それでも途中から僕は、嘘の世界の中でとても幸福だった
そしてその時恐れていたのは、迫ってくる死よりもむしろ君との関係が終わってしまうことだったんだ
海で君が死にたくないと叫んだあの時、この僕もまた、君に合わせてそう叫んでいた
死にたくない…いや、そうじゃない
僕はあの時、本当は死にたいと叫びたかったんだ
この嘘が君に知られる前に、君の側で
あの幸せの只中で、僕は死にたいと…

[10-2]
前にね、君の思い出になりたくないって言われた時、すごい悲しかった
とっても悲しかったの
あたしは鏡だよ
全部わかるんだから
先生だって絶対そうだよ
いっぱい我慢してるけど本当は違う
本当は思い出にして欲しいんだよ
ずっとずっと忘れないで、いっぱいいっぱい引きずって欲しい
できれば一人で、その後も誰も好きにならないでって
あたしできるよ
きっと約束できる


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 最終話 永遠の愛と死

[11-1]
人を好きになること、ゲームだと思ったらつまらないよ
傷つけて、傷つけられて、バンソーコー貼って笑うんだよ
それでも、人生は素敵だって
愛する人は愛さない人より素敵なんだから
愛する人は愛さない人に負けない

[11-2]
正直、僕はついてない人間だと思ってたんだ
この若さであれなんだからさ
だけど、君に会えた
君はバラバラになった僕を組み立てたんだ
ボンドやノリでくっつけたり、さびた部分に色を塗って、君は僕を組み立てたんだ
コツコツ時間をかけて、時々歌を歌いながら
忘れ去られたガラクタを、ひとつ残らずかき集めて、君は僕を組み立ててくれた
ありがとう



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