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POEM01:無題
僕は百万遍のうそをつきます
君は百万遍のうそを見抜いて
どうかぼくをすくって下さい
「野島伸司詩集(1)」 p.5より引用
kiku
詩集(1)を開いて、最初に飛び込んでくるのがこの詩。
この詩を読んだ時、私はあまりの衝撃に言葉を失い、しばらく思考が麻痺した。
一体この「野島伸司」とは、何者だろうか、と。
何がどうすごいのか、と聞かれてもうまく表現する言葉が見つからない。
とにかく、胸が痛くなった…
人間は、死ぬまでに何回の嘘をつくのだろう。
百万遍うそをつくには、一日に…
そんな計算をするのも、ばからしくなった。
「どうして嘘をつくの?」そんなことを聞いてしまうことがある。
こんな明確な答えには、かつて出合ったことがなかった。
「それはすくってほしいからだよ」
私はどんな嘘をついているだろう。
嘘なんかつかない、そういう人もきっといるであろう。
でも人間はうそをつく。
どう考えても「嘘」だと見抜けるうそもつく。
自分のやっていることをごまかすもの、
冗談めいてつくもの、
その人のためと言ってついてしまうもの、
つまらない見栄をはってしまうもの。
様々であろう。
考えていった時に、自分を隠す「うそ」にたどり着いた。
「大丈夫?」なんて聞かれて、つい「大丈夫だよ」なんて答えてしまう。
本当は全然大丈夫なんかじゃあないのに。
平気なんかじゃあないのに…
本当は、だれかに見抜いて助けてほしいのに…
この詩を読むと、「心の叫び」が聞こえてくる。
もがいて、もがいて、救いを求める声が…
『リップスティック』の藍の台詞を思い出した。
「先生を傷つけるときは、いつもあたしも傷ついてるよ…いっぱい」
「きみに嘘をつくときは、いつも僕も傷ついてるよ」
なんだか、そういうふうに重なった。
▽1999年8月5日討論:参加者3名( ふみ、 kiku、 コロ)
コロ> 2人は嘘ついちゃ駄目だと思ってる?
kiku> 絶対にダメなんて思ってないよ。
ふみ> 場合によってはOK
コロ> コロの「うそ」の解釈…
コロ> 嘘があるってことはホントもあるってことでしょ?
コロ> 僕が言ってるのは、ホントの自分、嘘の自分ってこと
コロ> 二人にとって、ホントってなに?
kiku> うそをつく自分もホントの自分
コロ> でしょ
コロ> 「嘘を見抜く」ってことは、ホントも見抜くってことでしょ
kiku> だよね
コロ> ホントの人に会いたいねってやつに近い
コロ> やっぱ、この詩のキーワードはうそだよね
kiku> 本当の自分を見つけてほしい。
コロ> この「うそ」をどう受け取るかで、詩の印象も変わってくる
コロ> 野島さんの言う嘘ってなんだろう
コロ> コロの考える嘘は、「演じること」
コロ> 僕の中にはいろんな性格のキャラが沢山いるんだ
コロ> 好きなキャラも入れば、嫌いなのもいる
コロ> そして、その中の人には人にあまり見せたくないキャラがいる
kiku> 自分の思いとは、反するキャラ?
コロ> 一言で言えば、演じている自分も見せない自分もホントの自分だってこと
kiku> でも、それもホントの自分
コロ> kikuはどうしてこの詩が苦しいの?
kiku> 救って、て叫んでいる気がする。
コロ> 重い?叫び?
kiku> 重い?
コロ> 「僕を見てくれ」って言ってるようにコロは思う
コロ> 相手が重く感じることって無い?
kiku> そう、職業柄重なった子がいる。
コロ> その子重い?
kiku> 見てくれ、も救ってくれも同じだと思う。
kiku> 重いね。
コロ> そうかもね<見て,救って
kiku> だから、胸が痛んだ…
コロ> 僕にとって相手が重さを感じてしまうだろうなあって言うキャラがあまり人に見せたくないキャラ
コロ> だから、人と接するときはちょっとだけ無理してカッコつけたりする
kiku> そうだよね。なかなかさらけ出せない。
ふみ> それも本当の自分?
コロ> ホントとか嘘はどうでもいいんだ
kiku> 見抜いてほしい本当の自分
kiku> まるごとの自分
コロ> 見抜かれたくないな
コロ> 自分の弱いとことか、汚いところ <見抜かれたくない
コロ> だってそれを受け止めてくれる保証はどこにもないから
kiku> でも、だれかに知ってもらいたい、分かってもらいたい、と思ったりしない?
コロ> あるよ
kiku> それが叫びなんだと思う。
コロ> kikuは救いたいと思う?
kiku> 傷ついても分かってほしい。
kiku> 思う。できるならば・・・
コロ> ならばじゃ困る>kiku
コロ> 絶対に救って欲しい
kiku> 救いたい。
コロ> たいでも駄目!
kiku> 救う。
ふみ> 厳しいんですね
コロ> そういう重さがこの詩にはあると思う
ふみ> 妥協を許さない?
コロ> 妥協というか
コロ> 絶対的な救い
コロ> 永遠の救済
kiku> 頭打った気がした。読んだとき
ふみ> だから本当の人に会いたいね、と近いのかな
コロ> …と思う
コロ> コロの結論
コロ> うそ=カッコつけて自分を演じること
コロ> で、どうでしょ、コロの結論は?
kiku> 私のとも通じてるよ。
ふみ> 同意です
コロ> うん、違うとは思わない>kiku
kiku> いろんな感じ方があっていい。
コロ> 僕の場合、あの詩は救いとゆうより求愛かなと…
kiku> そうかもしれない。
ふみ> 求愛かぁ…
感想
phase
求愛っていうのはそのとおりだと思う。
自分の全てを受け入れてくれる人が欲しいけど、今の自分をやめるわけにはいかないから。
見抜かれてもきっとまた嘘をついてしまうことになると思う。
百万遍というのはそのぐらいの数。
その嘘をつく自分を自分ですごく愛してるというのもある。
問題は自分にあってもそれをどうにも出来ない。誰かに助けて欲しい自分。逃げでもあるのかな。
taki
救いがたい貧しい魂。この詩を読んだ時にそう思った。
自らで困難に立ち向かおうとしない、女々しい男。
女に助けを求めるなんて軟弱そのものだろう。
だが、その分人の心の奥底を間接的に表現している。
内容をそのまま見ると、「嘘をつく→見抜く=真実をみて欲しい」なのだろう。
ここで具体的に仮定すると、好きだ→嘘、好きになって。
嫌いだ→嘘、素直になって。
そして、救われる。との形になるだろう。
求愛という解釈があった。
だが、ニュアンスとして男女間と思いがちだが、そうではなく、ここでは親、友人、先生などにも広く向けられるであろう。
心の奥底にある、救いを求める臆病な魂。
それが、愛によって魂の救済を求める詩、と感じました。
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