悲劇の誕生

みじめな一日だけの種族よ、偶然と労苦の子らよ
聞かない方がお前にとって一番ためになることを
どうしてお前はむりに私に言わせようとするのか?
一番よいことは、おまえには、とうていかなわぬこと
生まれなかったこと、存在しないこと、無であることだ
しかしお前にとって次善のことは――すぐ死ぬことだ
(ニーチェ「悲劇の誕生」 p.44)

( ´~`)ノハーイ
ふみっこは上に引用した言葉が好きなのだけど
それは多くの人が思っていること、信じていることと
正反対のことを言っているからです
(o゜~゜)o ホエ?
多くの人が
生まれたこと、存在することに対して
無条件に価値があると思っています
(゜~゜)
それに対して
生存に価値はなく
生まれない方がよかったのだ
無である方がいいのだ
さっさと死んだ方がいいのだ
と言われたら
多くの人は反感を持つでしょう
(´~`)
しかしふみっこは虚無主義者なので
多くの人が信じている価値が
無価値化されること
または正反対の価値が提示されることは
ごく自然なことだと思っています
(o゜~゜)oホエ?
生存することに価値があるという考え方も
価値がないという考え方も
どちらもひとつの価値観でしかないからです
(゜~゜)
それでも私たちは
ひとつの価値を
絶対だと信じたり思い込んだりしがちです
(゜~゜)
それは人間は主観的な生き物なので
何らかの価値を通してしか
世界を認識することができないからです
(o゜~゜)oホエ?
たとえばテレビをつけると
物理的にはカラフルな光線が出ているだけです
(゜~゜)
だんご虫に見せても
意味はわからないでしょう
(゜~゜)
しかし人間はそこに映る意味を認識してしまうのです
(゜~゜)
そしてくだらないとか面白いとか
いろいろなことを思います
(゜~゜)
何の意味もない光線として認識するためには
痴呆老人になるか発狂でもするしかありません
(ノд-。)クスン
同様に
たまたま宇宙空間があって
たまたま地球という星があって
そこでたまたま生命がうごめているということに対して
人間はさまざまな意味(価値)を持ち込みます
(´ロ`)
そうして普遍性のある世界解釈(価値)が
多くの人に信じられたりするのだけど
それはひとつの勝手な解釈に過ぎないので
真実ではありません
(ノд-。)クスン
それでも人間は信じるのが好きで
あるひとつの価値を
普遍的な価値へと高めたり
絶対的な価値へと捏造したりします
(ノ゜~゜)ノ
それが宗教であり
社会常識であり
道徳やモラルなのですが
それがどんなに多くの人に支持されたとしても
別に真実ではありません
(゜~゜)
それらはすべて
「人間が創造した価値」に過ぎないからです
(゜~゜)
もちろん神も
「人間が創造した価値」だからこそ
地域や文化によって多様性があります
(゜~゜)
逆に言えば
すべての人間には
「価値を創造する自由」があり
各人が世界や物事を
どのように価値付けしようと
解釈しようと
完全に自由なのです
(o゜ロ゜)o
たとえ刑務所に入れられても
精神の自由は誰も制限できません
(o゜ロ゜)o
そんなわけで人間が抱くすべての価値は
ただの価値付け
すなわち解釈や思い込みでしかないのだけれど
それは裏を返せば
私たちが住む世界には
無限の自由価値が広がっているのです
(ノ゜~゜)ノ
そこからどのような価値を信じるのか
どのような価値を大切にするのかは
ただその人の趣味の問題になります
(´~`)
一番上で引用した言葉は
ギリシア神話の一場面なのだけど
「生存には価値がある」
という常識的な価値を覆して
「生存には価値がない」
という価値転換をしています
(o゜~゜)oホエ?
このように古代ギリシア人は
人間をどん底に叩き落とす悲劇を
数多く創造し
それを楽しみました
(o゜ロ゜)o
なぜなら彼らは
悲劇から生じる精神への負荷に
耐えうる強者であり
新しい価値の創造者だったからです
(ノ゜~゜)ノ
そしてこのコーナー(暗い作品研究所)で紹介してきた作品を振り返ると
どれも大半の人間が信じている価値
たとえば人間の尊厳や生の素晴らしさ
または明るく前向きにといったありふれた価値を
破壊・転倒させて
どん底に叩き落としたり
残酷な現実を突きつける
といったものばかりです
(´~`)アハハ
しかしそれは
既存の価値を破壊し
精神への負荷を乗り越えて新たに創造された
人間の強さと自由精神の象徴なのです
(ノ゜~゜)ノ
つまりニーチェは
悲劇にこそ
人間の強さの源を見出しました
(゜ロ゜)ギョエ!!
そこにはどのような価値にも屈せずに
自ら価値を創造して生きる
人間の持つ根源的な自由と可能性があります
(*^~^*)ノハーイ


今回のテーマに関するニーチェ名言集

私はひとつの悲劇的時代が来ることを約束する
生に向かって然りと肯定する最高の芸術
すなわち悲劇が再び生まれるであろう
(ニーチェ「この人を見よ」)

醜いものに対する渇望はどこからきたのかということが、問題にされなければならぬ
ペシミズムや悲劇的神話、生存の根底にあるすべての
怖ろしいもの・邪悪なもの・謎めいたもの・破壊的なもの・不吉なものの姿かたちに対して、古代ギリシア人ははげしい好意をよせているが、それはなぜかということ

――つまり、悲劇はどこから発生せざるをえなかったのか?
ひょっとしたら、悲劇は快感から生まれたのではないか?
力から、満ちあふれるような健康から、ありあまる充実から発生したのではないか?
(ニーチェ「悲劇の誕生」 p.15)

ニヒリズムとは何を意味するのか
――最高の諸価値が無価値になるということ
目標が欠けている
「なにゆえか」という問いへの答えが欠けているのである
(ニーチェ「力への意志」 *p.146)

ありとあらゆる価値でもって、われわれはこれまで世界を、
何よりもわれわれ自身のために貴重なものたらしめようと努めてきた
しかしそれらの価値が実は適用できないものであることが証明されたとき、ついにわれわれは、ほかならぬそのことによって
世界を無価値なものにしてしまったのである
(ニーチェ「力への意志」 *p.141)

キリスト教的な道徳仮説は、どんな利益を提供したか
それは、人間に一つの絶対的価値を付与した
生成と消滅の流れの中におかれた、人間の小ささや偶然性とは正反対に、である

それは、人間が自分を人間として軽蔑しないようにと、
また人間が生を敵視しないようにと、
そして人間が認識することに絶望しないようにと、取り計らった
それは、一つの保存手段だったのである

要するに、道徳というものは、ニヒリズムに対する大きな対抗手段なのであった
(ニーチェ「力への意志」 *p.133)

ニヒリズムの到来が、なぜ今後、必然的であるのだろうか
すなわち、われわれのこれまでの諸価値自身が、ニヒリズムのうちでその最終的帰結に達するからである
ニヒリズムこそは、われわれの偉大な諸価値や理想を最後まで考え抜けば、出てくるところの論理だからである

――われわれがニヒリズムをまず体験してこそ、これらの「諸価値」の価値が本来何であったのかを看破できるようになれるからである
われわれは、いつの日にか、「新しい価値」を必要とする...
(ニーチェ「力への意志」 *p.131)

ペシミズムの極限形式、すなわち本来的ニヒリズムが登場してきたということは、場合によっては、一つの痛烈なまたきわめて本質的な成長を示す徴候、つまり新しい生存条件への移行を示す徴候であるかもしれないのである
(ニーチェ「力への意志」 *p.154)

哲学者にして自由精神の持ち主であるわれわれは、
「古い神は死んだ」という知らせを聞いて、まるで一つの新しい曙光に照らされでもしたような気持を感ずるのである

われわれの心胸は、そのとき、感謝と驚嘆と予感と期待であふれみなぎるのである
ついに、視界が再び開けきったように、われわれには思えるのである

認識する者のあらゆる冒険が再び許可され、海が、われわれの海が、再び開放されて拡がっているのである

もしかしたら、こんなに「開放された海」など、いまだ一度たりともあったことはなかったかもしれないのである...
(ニーチェ「悦ばしき知識」 *p.125)

*はアンソロジー集「ニーチェ・セレクション」での頁数

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