| | えー、セカチューのことでひとつ話を思いついたので、この場をおかりして書いてみたいと思います。素人が書いているので、お見苦しい点もあるかと思いますが、お読みいただければ幸いです。
八月。 宮浦のフェリーの乗り場に、茶髪ぎみの高校生ぐらいの男子と、小学三年生の女の子、それに中年の夫婦が降り立った。 茶髪ぎみの高校生は一樹、中年の夫婦はサクと明希。小三の女の子は、9年前にサクと明希の間に生まれた「翼」だった。 翼がはしゃぎながら道路をあるくのを見ながら、サクは幸せを感じていた。アキの骨を、高校のグラウンドでまいてから、もう10年の月日がたっていた。 「おじいちゃんおばちゃん、こんにちわ」 玄関の戸をあけるなり、翼は元気いっぱいの声で奥にいる潤一郎と富子に言った。 「おー翼。よく来たね」 奥から真っ先に出てきた富子が自分の孫を顔をくしゃくしゃにしながらかんげいした。 「おやじ、おふくろ、ただいま」 「おとうさん、おかあさん、おひさしぶりです」 サクも明希も一年ぶりにあう老夫婦にあいさつした。 「ひさしぶり、おじいちゃん、おばあちゃん」 一樹はおみあげの袋を潤一郎にわたしながらいった。 ひとまず荷物をサクの部屋においたあと、サクたちは居間に集まった。富子と明希が冷えた麦茶を人数分おくと、さっそく会話が始まった。 「おやじたち、今日写真館のほうはいいの?」 とサク。 「一年に一回しか会えない孫がくるのに、仕事するはずがないだろ」 富子はサクと明希の間に座って行儀よく麦茶を飲んでいる翼と、サクの隣にいる一樹をみて微笑んだ。 「それに、龍之介のとこの息子さんの、豊くん。あの子やその友達たちにまかせてあるから大丈夫だよ」 潤一郎もまったく心配していないようすだ。 「そっか、スケちゃんの子供か・・・」 サクは時間というものを感じたような気がした。そういえば、スケちゃんも智世もボウズもみんな親になっていた。気がつけば、自分ももう17の、あの時の自分と同じ年齢の子供をもつような年になっていた。 「すこししたら、アキのお墓参りに行こうと思うんだ」 サクは親にいった。それを聞いて、一樹はまたかよと顔に出すことなくおもった。毎年、誰なのかわからない「廣瀬」という家のお墓にお参りに行っていたからだった。
続く
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