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過去ログNo1
漫画のセカチュウ@  Name:サト
漫画の「世界の中心で、愛をさけぶ」。
僕は亜紀と出会った・・。
僕は何度も色んな理由で亜紀を見失った・・。
でも亜紀はいつだって・・。
僕の側で僕を呼んでくれてた・・。
そう気ずくまで・・。
少し時間がかかった・・。
本文
↓↓
僕の亜紀が死んだ・・。
アナウンス「カンタス航空805便ケアンズ行
だだ今 塔乗手つずきを行っております。
ご搭乗のお客様は・・・」
朔の父「うちの朔太郎をお願いします。」
亜紀の母「こちらこそ・・・。」
亜紀の父「大切なご子息をお預かりします。」
亜紀の父「亜紀が最期にあれだけ行きたがったオーストラリアへ一緒に朔太郎くんも来てくれて亜紀もきっと喜んでいます。」
亜紀の母「ね?」
僕は今、亜紀があの中にいると信じられないまま
納得している・・・。
僕の心はきっと一生こんなふうにバラバラだろう・・。
亜紀とは中学2年で同じクラスになった・・・。
亜紀「朔ちゃん!」
朔「あの・・・、俺”松本朔太郎”ってゆうんですけど?”広瀬亜紀さん?」
亜紀「”朔太郎”長すぎ!!」
朔「だからって、お前はかーちゃんかよ。」
亜紀「いーじゃん。呼びやすいし。
お互い学級委員でよくしゃべるじゃない?
”松本くん”てよそよそしくて嫌なの。」
亜紀「だから、私のことも”亜紀”って呼んで♪」
朔、頭の中で「んだよ。その”えへへ”♪って・・・。」
朔「広瀬〜。委員たって押しつけられたんじゃん
俺ら。何もそんな・・・。」
亜紀「亜紀♪」
亜紀「でね!朔ちゃん。これ」
亜紀は朔に交換日記を差し出す・・・・・。
亜紀「委員の仕事も含めて、どんどん書いてね!!」
朔「広瀬!!!」
亜紀「亜紀♪」
朔「そーじゃなくてっ!!
何これ?やだよ!!俺!!ほかに誰かいねーの!?」
亜紀「朔ちゃん。私が誰にでもこんなこと頼むと思ってるの?」
朔「ん・・・。じゃあ。」
朔「さしあたってー。」
朔は、教室で日記を開く。
朔「遠足の、しおりの打ち合わせか??」
亜紀「だめぇー!!朔ちゃん!!」
亜紀は、日記を開けた朔にビンタ。
亜紀「今、開いちゃやだっ!!
家で開けてっ」
朔「ごっ。ごめんなさいっ」
トモヨ「亜紀ー。先行くよー。」
亜紀「あっ!待って!!」
亜紀「次、朔ちゃんの番ね。」
朔「広瀬!!!!!」
亜紀「亜紀♪」
ボウズ・大木「くすくす」
ボウズ「朔ちゃん」
大木「亜紀ー」
朔は、日記を開いて顔を真っ赤にする・・。
僕と亜紀は確かにクラスの男女の間で
お互い一番よくしゃべる相手で・・。
ボウズ「朔ちゃん!!」
大木「亜紀が死ぬなら俺も死ぬ!!」
大木「はっはっは!ばっかでーっ」
亜紀が仲の良い異性として僕とのやりとりを楽しんでることは、うすうす気ずいていた。
朔、頭の中で「何書きゃいいんだよ。
って書く気だよ。俺」
実は僕だってそうで・・・・。
ただ・・。
僕らの世界はあまりにも賑やか・・・・・。
朔、頭の中で亜紀の字を見て「かわいい字だな。」
テスト・サッカーの勝敗・先生の悪口・新譜のCD・・・。
亜紀はそのうちの一つ、ほかの女子よりわずかに
心地よい存在・・・。
そんな僕らの恋のない日々はただやみくもにひかっていた・・・・。
亜紀、先生に呼ばれる「広瀬!ちょっと。」
朔「どしたの?亜紀。町田先生なんて?」
亜紀「国語の斉藤先生、亡くなったって・・・・・・。」
朔「え!マジ?」
朔「亜紀。斉藤と仲良かったのにな。」
生徒「マジ寒い。俺らが死ぬ」
生徒「建物ん中入りきんねーなら、学年全員、呼ぶなっての。」
生徒「斉藤って。どーして死んだん?」
生徒「ガンだってよ。ガーン。」
大木「俺、修学旅行でドライアー取られたっての。」
生徒「あー。大木、目ェつけられてたもんなあ」
大木「”大木くん待ちなさいっ”ってさ。
俺の呪いがきーたんだよ。」
(つずく)
...2004/12/31(Fri) 01:03 ID:Y4H1BAZc    

             漫画のセカチュウA  Name:サト
生徒「がはは!!」
朔「やめろよ大木!!斉藤は本当に死んだんだぞ!!」
ささいな冗談が何故、許せなかったか・・。
答えはすぐにわかった・・。
大木「あっ。広瀬あいつが弔辞読むんだ。」
凛とした彼女は光の中、美しく僕が知っていて全く知らない亜紀だった・・。
生徒「なぁ!やっぱ広瀬って良くねぇ?
おとなしー度胸あるし。」
朔、心の中で「おとなしい?」
大木「広瀬には、朔太郎がいんだろ。むりむり。」
亜紀は無防備な部分を僕だけに見せてたのだと僕はようやく気ずく・・。
亜紀「朔ちゃん!」
亜紀「先生のため泣かないように頑張ったの。
変じゃなかった?」
それが、どれだけ幸運なことであるかも・・。
朔「カッコ良かったよ。」
亜紀「何それ!」
朔「マジだって!!」
僕は、はっきりと亜紀に恋をした・・。
でも、何もないまま季節だけが変わる・・。
僕らは高校生になった・・。
朔「こんちは。じーちゃん!!」
重じい「朔、遅かったじゃないか。」
朔「んだよ!もぉ始めてんの?」
朔「補習!」
重じい「年寄りは、わずかな時間が惜しくてなぁ」
朔「まだ陽が高いっての!!」
じーちゃんは、ばーちゃんの死後うちの近くのマンションに一人で住んでる。
親子でも他人でもない関係は、お互いに気軽で
僕は、ひんぱんにじーちゃんと会ってた(てか飲んでた)
重じい「朔も何か買って来たのか?」
朔「ビールと、イカくん」
重じい「朔は、つまみの好みが下品だなぁ」
重じい「早いがメシにしよう」
朔「じっ!菊川の、うな重っていくらすんの!?」
重じい「まぁ喰え。うまそーじゃのー♪」
重じい「そのあと大事な話が、あるんだ」
朔「いっ・・・。嫌だっ!!人の墓から骨を盗むなんてっ!!」
重じい「朔。うな重おいしかったろ?」
次の日の学校で・・。
亜紀「で。おじいさんは好き合ってたのに、その女性と結婚できなかったの?」
朔「らしーね。その女性はいいとこの、お嬢さんで結核を患ってた。
その頃のじーちゃんは”超”がつく貧乏。」
朔「嫁にもらうための治療費をあこぎに稼ぎまくってたら、その女性が治っちゃって。
ヤクザな、じーちゃんとの結婚を向こうの親許さなかった。」
亜紀「で。その女性は、ほか男性と結婚しちゃったんだ。」
僕と亜紀は同じ高校の同じクラス。
気ずけば、いつも二人でいた・・。周りはもう「そういうもん」と勝手に認知してくれていた・・。
朔「まぁ。時代ってやつ?でっ!!!」
先生「松本!!うるさいっ!!」
朔「なんで俺だけなんだよっ!!」
周りの認知から程遠く、僕らの中身はまったく中学生のままだった・・。
亜紀「それでも、一人の女性を50年間も思いつずけてたって素敵ね」
朔「どこが」
朔「最後にゃ相手70のばーさんだぜ?キモい!」
亜紀「ふーん」
亜紀「朔ちゃんは50年後の私が「キモい」わけね〜〜〜」
朔「えっ。そーいうことじゃあ・・・・・」
朔、先生に教科書で頭を、ぶたれる。「ばん!!」
亜紀は、朔にノートに書いたメッセージを見せる。
亜紀「朔ちゃんは、あの世って信じる?」
朔「亜紀は、どう思う?」
亜紀「私は信じない。あの世はこの世の都合だけで作られてる気がする。」
朔、普通に声で「だったら。その女性の骨どうこうすんのも無意味だろ!!?」
先生「廊下。」
亜紀「くすくす」
亜紀「さっきの話だけど。おじいちゃんの場合”あの世”はありよ?」
朔「勝手だね。君」
亜紀「お互い生きてる間に一緒になりたかった。
でも、その女性が先に亡くなってしまったんなら
”あの世”がどんなふうにあやふやでも
今を生きていくために必要だわ・・。」
朔「だからって。その女性の墓暴いてさ
”彼女と自分の骨を一緒に撒きたい”なんて
言うんだぜ。」
(つずく)
...2004/12/31(Fri) 13:52 ID:Y4H1BAZc    

             まん画のセカチュウA  Name:サト
朔「ロマンチスト通り越して悪趣味。」
亜紀「とかって、怖い?」
朔「なっ!俺は犯罪者になりたくねーの!!」
亜紀「犯罪?立派なボランティアじゃない。」
朔「バカ!!窃盗だよ。こんなの!!」
廊下で、大声を出して、先生に見つかり、頭をぶたれる「ばこっ!!」
朔、頭の中で「いでーっ(泣)」
亜紀「朔ちゃん。」
亜紀「食い逃げも犯罪よ?
それに、おじいさんも朔ちゃんだから話したんじゃない?」
朔「・・・・・・おもしろがってんな。亜紀。」
亜紀「ふふ・・。」
しょーもないけど・・・。
亜紀が笑うと僕は幸せだ・・・。
亜紀の笑顔が枯れないように僕は水やりを欠かさない・・・。
そして。それ以上のことも、できないんだ・・・。
そして、本当に骨を盗みに墓え・・・。
朔、頭の中で「やっぱり、やんのか。」
重じい「菊川は上寿司も美味かったなあ朔!!
さぁーて!!やるか!!」
朔「ったくさぁ。じーちゃんも亜紀も軽く考えすぎ。」
重じい「朔。灯はいかん。墓地を管理する寺の人に
見つかる」
朔「はぁ?この墓地広いよ場所わかんの!?」
重じい「なんとか、なるさ」
重じい「ところで朔は亜紀ちゃんとチュウぐらいしたのか?」
朔「ほっほっとけよ!!」
重じい「朔は、どうも考えすぎるのがいかん。」
重じい「優しいのも結構だが、機を逃して
わしのようになるなよ。」
朔「ああ。いけね、追いてかれる。
じーちゃん、よく迷わねーな。
こんな暗がりで・・・。」
朔「お互いの魂が呼び合うのか?
もはやオカルト。
場所が場所だけに、かんべん・・・。」
重じい「ここだ。」
まず二人で、お線香をあげて作業すること10分。
重じい「すんません。ちょっと御無礼します。
朔「じーちゃん。腰、大丈夫かよ。」
重じい「あぶない!!落とすっ!!」
重じい「これだ。」
朔「じーちゃん。早くしよ。見つかるとやば・・・
じ・・・・・・」
じーちゃんが軽く考えてるなんて・・・。
どうして僕は思ってたのか・・・。
暗がりでも迷わないのはオカルトでもなんでもなく
単に通り慣れた道だから・・・。
季節が変わったといっても変わらないといっては手を合わせ、向こうの家族をはばかりつつ幾度も
彼女の骨を夢想しながら歩いた道・・・。
重じい「朔。例の箱」
朔「あ・・・うん。」
重じいは彼女の骨を箱に、入れる。
重じい「かわいそうに。
長く体を患っていたから骨がもろいんだ。
なんて小さく壊れてしまうんだろう・・・。」
朔は、重じいの家に戻る・・・。
重じい「さぁ。ひと仕事終えたし。祝杯をあげるか朔!!」
朔「いつもの、じーちゃんだ。」
重じい「確か。ブルゴーニュ産の赤の×年ものが1本・・・。
つまみは何があったかな?」
朔「じーちゃん、ごめん!俺、軽く考えてるなんて言って!!」
重じい「そうか。」
重じい「じゃぁ、その箱は任せた。わしが死んだら、よろしくな。」
朔「な?」
重じい「わしの骨と合わせて、どこかへ撒いておくれな。」
ひょっとして・・・。
僕を巻き込んだのは最初からそのつもりで・・・・・・!?
朔「だめだよ!!そんな重大なもの!
俺、預かれない!!」
重じい「朔。わしには死んだ、ばあさんがいる。
お前の、ばあちゃんだ。わしは今あれのために生きている。
その箱を身近には置けないんだ。」
朔「な、なら遺言でどっか隠しといてよ。
俺、失くすよ。」
重じい「往生際が悪いぞ!朔。往生すんのは、わしだがな!!」
重じい「失くすような男に、わしが頼むか?」
朔「だって。重すぎるよ・・・。」
(つずく)
...2004/12/31(Fri) 17:12 ID:NoJFkIOk    

             まん画のセカチュウB  Name:サト
重じい「想いとわかるのなら、なおさら朔にお願いするよ。
いずれ朔も大切な人に出会う・・・。
何人もだ・・・。
朔は少しずつ、わしのしたこと全てを身を持って理解していくよ・・・。」
じーちゃんの言葉は、わからないようで、
わかる気がした・・・。
僕は一つ決心をした・・・。
亜紀「朔ちゃん!!」
亜紀「昼間ごめんね。
みずほ達と買い物行ってた。
電話くれた?」
朔「やっ。俺も急だったし。」
朔「そう。これ。」
朔は、重じいの彼女の骨を亜紀に差し出す・・・。
朔「取ってきた。昨日の晩。早く見せたくて・・・。」
亜紀は、骨を見終わった・・・。
朔「何?そのリアクション。どーすりゃいいのさ、俺。」
亜紀「だって本当に取ってくるなんて!!」
どうして私に見せてくれたの?」
朔「亜紀・・・・・・・。
笑わずに聞いて・・・。」
亜紀、怯えてる・・・。
表情が硬い・・・。僕がそうさせてるんだ・・・。
亜紀「・・・何?あらたまって・・・。」
朔「俺。じーちゃんの、やってること正直わかんない・・・。
これは盗みだし骨を撒くのだって気休めとしか思えない・・・。
でも、どうしてそうしたいかは・・・わかるんだ・・・。」
朔「好きだよ亜紀・・・。
亜紀がそうじゃなくとも俺は・・・・・・。」
丹念に守ってきた笑顔を僕は自ら手折った・・・。
朔「ごめっ・・・。
もういいっ!帰ろう!」
亜紀は、朔の手を握り朔とキスをした・・・。
落ち葉舞う中で何度も唇を押しつけあった・・・。
じーちゃんは幾度も同じ道を通った理由は・・・
おんなじな気がした・・・・・・・・。
...2004/12/31(Fri) 17:53 ID:FU/HY75M    

             まん画のセカチュウC  Name:サト
亜紀が笑うと僕は幸せだった・・・。
たとえ、僕のものでなくともそこに在るだけで良かった・・・。
なのに亜紀は僕のものになった・・・。
幸福すぎて怖いという感覚・・・。
今ある幸せを失うことを、その闇の暗さは空恐ろしい・・・。
それ程に僕は幸福だった・・・。
朔、市民プールで・・・。
だけど僕は17歳の健康な男の子でもあったのだ・・・。
朔「亜紀の奴。昨日から熱っぽいなら昨日のうちに連絡しろっての・・・。」
公衆電話で・・・。
亜紀「ギリギリまで頑張ったんだけど無理みたい・・・。」
女性「すみませーん。」
僕がやたらプールに来たがる理由を知ったら亜紀は・・・・・・。
怒るだろうな・・・・・・・・。
色とりどりの薄布一枚が隠してるだけの身体・・。
あっ!やべ。下の人、鎮まれっ!!
大木「何、沈んでんの?大字どうり。」
朔「大木!?」
朔「あ・・・。萎えたかも。サンキュ!!」
大木「溺れてたのか?」
朔「いや、その・・・」
大木「すっげぇ久しぶり。
学科違うと同じ学コでも会わねぇな。
そっちは?広瀬とどうよ?」
朔「どうって・・・。仲いーよ?」
大木「でなくてーぶっちゃけ・・・。
ヤってんの?」
大木「お前らがしてるかしてないか何人がで賭けてて俺はヤってるのに賭けてたんだけど・・・
そうか・・・」
大木「てゆうか、お前らつき合って長いよな?
広瀬に”物足りない”って思われてたりしねーの?」
大木「女ってどっか強い男が好きじゃん。
強引さが欲しいってのはあり得るぜ。」
そうなんだ一番懸念は亜紀に嫌われること
しつこくても、あっさりでも・・・。
大木「実際。いるんだよ、広瀬 狙ってる奴が。
俺、柔道部だけど3年に立花ってのがいてチャラ男のヤリチンでさ。」
大木「傍目に、お前らそーなんだよ。
わかるか?」
勝ち目がない・・・。
大木「俺。連れてってやろうか?
ぜってーヤれるとこ!!」
なぬ!?
朔「亜紀?体どう?
あのさぁ突然だけど来週、水・木でキャンプ行こ?
大木って覚えてるだろ?
プールで偶然会って誘われたんだ。
詳しくは明日にでも、また電話するよ。じゃ。」
大木「とりあえず。おやつにしようぜ色男。」
大木の話はこうだ・・・。
近所の浜から約1`沖に”夢島”という小島がある
大規模なリゾート開発が頓挫した無人島だ・・。
施設はほぼ完成したまま放置されている・・・。
ホテル・遊園地・ゴルフ場・・・。
大木「俺んち真珠の養殖やってんじゃん。
ボートがあるわけよ。
兄キが彼女と二人週末に夢島へ渡っててさぁ。」
朔「バーガー7つ?俺2つ。」
大木「ホテルが使い放題なわけさ。
電気も何もなくベッドだけがあるもん。
そりゃーヤるしかねぇわな!!」
朔「つまり、俺と亜紀、二人で泊まるってことだよな?
その間、大木はどーすんの?」
大木「俺は言い訳つけて帰って翌朝迎えに行くよ。広瀬を一晩、自由にできる。
あとは、お前次第!!」
朔「どっ。どーやって亜紀、連れ出そう?」
大木「んなもん。なんとかなんだろが!!」
大木「俺と彼女とWデートとかさぁ。今からビビんってんのかよ!!二人きりになんのは”事故”ってことで・・・。」
朔「嘘がバレタら?」
大木「ばっか!!そんなんでダメなら、お前に見込みがねぇんだよ!!しっかりしろ!!」
大木「なぁ。斉藤の葬式、覚えてるか?
あん時お前、俺に怒ったろ。
お前なら大丈夫だよ。」
大木「広瀬をちゃんと、つかまえておけ色男」
(つずく)
...2004/12/31(Fri) 19:17 ID:NoJFkIOk    

             まん画のセカチュウD  Name:サト
そして、ついに、その日がきた・・・。
亜紀「私、夢島行くの初めて!!
大木くんの彼女ってどんな人かなぁ!!」
大木「よぉ広瀬!!」
亜紀「大木くん、久しぶり!元気だった?」
亜紀「あれ?大木くんの彼女は?」
大木「それが急に・・・・・・
都合が悪くなって・・・」
亜紀「そっか。じゃぁ残念だけど今日は中止ね。」
大木「や・・・でも、舟が今日・明日しか空いてなくて!!せっかくだし行こーぜ!!」
亜紀「でも彼女に悪いわ。」
朔「亜紀!!」
朔「夢島ってすっげ近いじゃん!?大木達、何べんも行ってんだって!!」
大木「そーそー。あいつなんて「また夢島?」なんて言ってたくらいでさー」
亜紀「そう・・・なの?」
大木・朔、心の中で「はぁー・・・」
夢島に出発。
亜紀「わぁー!!少し沖に出るだけで水が綺麗!!」
大木「じゃ、俺、釣りしてくる。ここに昼集合!!」
朔「OK☆」
朔「泳ご。亜紀。」
空・海・魚・緑・・・・・・・・・・・・・。
亜紀「ここ、淵になってる。深いね真っ暗。」
二人は、海でキスをする・・・。
朔「ええっ!!大木も帰んの!?お母さんが病気!?」
大木「っても持病の薬が切れただけで大したこっちゃねーの。様子見て晩にこっち戻るよ!!」
亜紀「そう。じゃ、気ををつけて。お母様お大事に・・・。」
朔は、心の中で「やったー!!」
すばらしい・・・。
これで亜紀と一晩、二人きりだ・・・!!。
ああもう亜紀の顔が見られない・・・!!。
なのに亜紀の体は輝いてみえる!!
亜紀「朔ちゃん!!」
朔「何!?」
亜紀「曇ってきたから、早く荷物しまお?」
大雨が降る・・・・・・。
朔「あちゃー。やられた。」
亜紀「予定どおりだったんでしょ?」
朔「ななななな何が?」
亜紀「男らしくない!」
亜紀「人に迷惑かけて、私に嘘ついて自分のしたことわかってるの?」
ばれてる・・・・・・・・・・・・・・・・・。
亜紀「荷物どうすればいいのよ!!」
大木にあらかじめ使う部屋のセッティングを頼んであった・・・・・。
朔「ダブルベッド・・・。」
亜紀「水場はどこ?」
朔「建物の裏に・・・。」
亜紀「そう。」
朔「亜紀・・・、待って!俺・・・。」
振り向かない、笑わない・・・・・・・。
僕は取り返しのつかないことを・・・?
朔「亜紀・・・、ごめん!!」
幸福が空恐ろしいのは、真っ暗な闇がすぐ側で待ち受けているから・・・。
朔「亜紀・・・。」
亜紀「朔ちゃん!!」
亜紀「雨、上がったね!!水ってこれ?」
朔「体、洗わない?タオルと着替え取ってきてやるよ。」
僕はバカだ・・・・・・。
なんだって事を急いだんだ・・・・。
亜紀を失ったら何も残らないのに・・・・・。
朔「亜紀・・・・・。」
バカすじて涙が出る・・・・・。
朔・亜紀は、夕食をとる・・・・・・・。
ささやかな食事・・・・。
当たり前の話題・・・・。
笑顔・・・。
それらは亜紀が関わってるだけで全て愛しい・・。
亜紀がいれば日常の全てに僕は意味を見出せる・・。
大木には悪いけど亜紀の身体より亜紀が大切だ・・・。
朔「疲れた?」
亜紀「・・・本当は普段食事なんて作んないの。」
朔「あー。そんな感じだったね。」
亜紀「ひどい。」
朔「俺、得意だし苦になんないよ。亜紀と結婚したら俺がやる!!!」
亜紀「何ゆってんの。朔ちゃん!?」
朔「マジマジ大マジ!!」
この笑顔のためなら僕はなんだってできる・・。
亜紀「私としたかったの?朔ちゃん・・。」
亜紀「ごめんね・・。唐突にでもどうしても聞きたくて・・・・・・・。」
朔「そ・・・・・・。そりゃしたいけど。
亜紀がしたいって言うまで・・・・・。
どんだけでも待つ!!」
本音だ・・・・・・・・・・・・。
朔「今日はごめん・・・。」
亜紀「朔ちゃん・・。昼間、私が怒ったのは悔しかったからなの・・・・・。」
亜紀「だって、そうでしょう?私達二人のことなのに・・。私に黙ってた上、嘘までついた・・。
朔ちゃんの一人考えならまだ許せる・・・・・。
なのに大木くんには話してたんでしょ?
私には話してくれないのに私なんかどうでもいいの?
ひょっとして朔ちゃんは別に私じゃなくても良かったのかなぁって思ったら世界中で一人ぼっちになった気がして・・・・。
どうしていいか、わからなくなったの・・。
私は朔ちゃんだけなのに・・・・・。
どうしよう・・・って・・。」
彼女が泣くのを見たのは二度目・・・・・・。
前に泣いたのは亜紀の大好きな先生の死・・・。
人の死と同じ重さで亜紀の愛が僕に向いてる・・。
朔「亜紀、俺を好き?」
亜紀は、頷く・・・。
朔「だめ。声に出して言って・・。俺が迷わないように・・。怯えず亜紀を抱けるように・・。」
亜紀「好き・・。朔ちゃん。」
朔は亜紀を抱く・・・。
朔「亜紀・・。愛してる。」
朔「ランタン消えてる。星明かりで、こんなに明るいんだ・・。亜紀、いない・・・。
亜紀のいたとこ冷たい・・。
・・・・・・・・・・・・・・・トイレかな?
でもライトはある?亜紀は?」
ふと考えてしまった・・・・。
僕は昼間、大木と二人で釣りに来た・・。
大木だけが都合で帰る・・・。
僕は一人で島に残る・・・・。
亜紀なんて少女は、この世のどこにもいない・・・。
闇が広がる・・・・・・・。
亜紀「朔ちゃん!!!」
朔「呼んだ?」
亜紀「ねぇ廊下来て!!すごいよ!!」
亜紀「ホタルが割れた窓から入ってきてるみたい・・・。」
亜紀「朔ちゃんの顔暗いのに、はっきり見える。」
朔は亜紀にキスをする・・・。
幸せだった・・・。亜紀がいれば世界は完璧で闇などないように思えたんだ・・・。
それからしばらく亜紀が体調を崩して入院する・・。闇が静かに僕らを、のみ込み始めた・・・・・。
...2004/12/31(Fri) 22:06 ID:9lALCVvw    

             まん画のセカチュウE  Name:サト
亜紀が「生成不良性貧血」で入院し10日が経った。
亜紀の入院は夢島の一夜の半月後。
修学旅行のオーストラリア出発直前のことだった。
朔「この後ろのヒモが手間なんだよなぁ。俺が不器用なんだけど。」
僕と亜紀は去年の秋から、つき合ってて夢島を境に何かが変わった。
そこで僕は亜紀を今まで以上にはっきりと見つけたように思った・・・。
もう亜紀がいなければ僕の世界は成り立たなくなっていた・・・。
亜紀「朔・・・ちゃん。」
亜紀「やっぱり給食当番だぁー。懐かし〜♪」
朔「・・・るせぇなぁ。亜紀が免疫力とやら失くすからだろ。拾ってこい。」
朔「夢島じゃぁ亜紀の体じゅう触り放題だったのに今や俺バイ菌扱いだしさ。しゃべりにきーし。」
亜紀「怒ってるの?」
朔「別に!!」
亜紀「怒ってるのね。」
亜紀「キスしよっか?」
朔「いいの?」
亜紀「とりあえず、うがいはしてもらって・・・。」
亜紀「看護婦さんいない隙に!手洗うところに私のうがい薬あるから!早く!!」
朔「練習は三回まで?」
亜紀「バカ!」
朔・亜紀「ぷっ。」
亜紀「体が震う〜〜〜!!あははははははは!」
朔「・・・俺も。」
亜紀「オーストラリア行きたかったな。朔ちゃんと・・・。」
朔「新婚旅行で行こう。」
亜紀「はいはい。」
再生不良性貧血とは難病に類するが亜紀の場合は軽症だそうで本人も至って元気だった。
そして僕は亜紀のいないオーストラリアなんてちっとも楽しくなかった・・・。
空の広さエアーズ・ロックの雄大さに気圧されはしたものの入院したばかりの亜紀の容態の方が気がかりで・・・。
久しぶりに行動を共にした大木に申し訳ない程、亜紀のない場所はどこか虚しかった・・・。
亜紀の母「亜紀、夕食よ。」
朔「お母さん。」
朔「帰るよ」
亜紀「また、明日ね。」
朔、病院を出る・・・。
朔「秋の雲だ・・・。」
その虚しさは日本に帰ってもつずいてた・・。
(つずく)
...2004/12/31(Fri) 23:49 ID:vtbNE1K2    

             まん画のセカチュウF  Name:サト
「面会拒否」っと看板が亜紀の病室に掛かっている。
朔は、おみやげにケーキを持ってきた・・・。
朔「軽症っても難しい病気なのか。やっぱり・・。」
ロビーで、女性が「あれから告知は?今のところ娘さんには、なんて?」
女性「まだ・・・。でももう白血病だって言うつもり。”再生不良性貧血”」
朔「亜紀の母親じゃない・・・・・・。」
女性「髪も殆ど抜けてやせて・・・。でも、今回も寛解にもっていけそう・・・。」
女性「よっちゃんは頑張り屋ね。」
女性「先生の話だと経過も良好で移植の必要はないみたい。」
朔「不謹慎だけど・・・。」
亜紀はこんな暗い場所似合わない・・・。
早く僕の世界に戻ってこいよ・・・。
たくさんキスして抱き合おうよ・・・。
早く・・・。僕の亜紀に戻れよ・・・。
朔は、箱に入ったケーキをゴミ箱に捨てる・・・。
朔「今日は面会OK!5日ぶりの再会!!」
白衣・マスク・手袋・帽子を着た朔は病室に行く・・・。
朔「こんちはー。」
亜紀「気分が悪いって言ってるでしょ!?」
亜紀は、昼食を「ガシャン!!」っとひっくり返す。
亜紀「食べるくらいなら飢えて死ぬ方がマシ!」
亜紀の母「亜紀!!これからまだ薬は増えるのよ!?体力をつけて!!」
亜紀「だったら。お母さんも同じ目にあってみたら!?」
亜紀「・・・・・・朔ちゃん。」
朔「わり・・・。昼メシ時に。お母さん、いいの・・・?」
亜紀「いいよ!今日、土曜日だったね!!」
僕は亜紀の怒鳴り声に面食らった・・・。
朔「亜紀・・・。俺。またあとで来るわ。」
亜紀「帰らないで!!」
朔「点滴してんだ。」
亜紀「薬をここから入れるようになったの・・。」
朔「・・・お母さん。かわいそうだろう?
亜紀のために厳しくしてんだろ?亜紀だって頑張れよ。」
亜紀「朔ちゃんまで・・・。私のこと怒るの?辛いって私が言うと、わがままだとか誰のためだとか言って皆が怒る・・・。」
朔「亜紀!それは怒ってんじゃないだろう!?」
亜紀の涙は三度目・・・。
一度目は・慕っていた先生の死・・・。
二度目は・僕への愛・・・。
久しぶりの亜紀の身体は、やせて骨が当たった・・・。
この涙はどこに向いてる?
亜紀「ごめんね・・・。これも薬にせいかな?気が弱ってて・・・。吐き気がひどくて口内炎も・・・。
あと・・・・。髪の毛が信じられない程、抜けるの・・・・。怖い・・・。」
朔は5日前にロビーで女性の話を思い出す・・・。
女性「娘さんには、なんて?」
女性「再生不良性貧血」
女性「髪も殆ど抜けて、やせて・・・。」
本当の病名は、なんだった?
朔、大雨の中図書館に・・・。
朔「医学書ってどこですか!?」
受付の女性「向かって左の棚上段です。」
朔「”再生不良性貧血”亜紀が医師から受けてる説明どおり・・・。
でも治療で髪が抜けるとは・・・・・。
まさか・・・。
亜紀の病名は「白血病」だった・・・。
朔は、ショックを受ける・・・。
...2005/01/01(Sat) 01:59 ID:PJLjHecg    

             まん画のセカチュウG  Name:サト
翌日、亜紀の病室には「面会拒否」の看板が掛けてあった・・・。
亜紀の母「朔太郎くん?」
亜紀の母「いつも来てくださって、ありがとう。」
近くのカフェで・・・。
亜紀の母「先日は、お恥ずかしいところを・・。」
亜紀の母「本当は優しい子なんですが・・・。」
朔「知ってます。」
亜紀の母「ありがとう。」
亜紀の母「朔太郎くんに是非協力していただきたいから・・・。正直にお話しします。・・・白血病って、ご存知かしら?」
朔「は・・・はい。」
亜紀の母「亜紀は白血病なんです・・・。白血病は私達の世代では死を意味する病だったけれど。今では治癒する可能性があるわ・・・。
ただ亜紀は病状の進行が早く骨髄移植しか治療法がなくて・・・。
さらに、あの子は白血球の型も特殊らしく提供者が現れる確率は、ほとんど0です・・・。
希望は捨ててない。お願い朔太郎くん・・・。
一日でも長く生きられるようあの子を励ましてやってください・・・。」
まるで・・・。絶望のための答え合わせ・・・。
「病名はまだ伏せておいてください。」「ドナーが見つかる前では死の宣告です。」
朔「もう・・・。落ち葉の季節・・・。」
空が闇だ・・・・・。
辛い・悲しい・・・。
そんな時は、どうするんだっけ?
僕のことなんかいい・・・。今は亜紀だ・・・。
亜紀を守ろう・・・。
次の日は、面会OK!!
亜紀「朔ちゃん!!」
亜紀「久しぶり!会いたかった!」
朔「髪・・・・・・」
亜紀「抜けたとこ目立ってきたから切っちゃった!!」
亜紀「本当はね・・・。髪が抜けることずっと黙っていたかった・・・。
ハゲますって宣言するようなもんでしょ?
朔ちゃんもハゲの彼女じゃひくよね・・・。」
朔「んだよ。それ・・・。」
朔「亜紀なら、どんな姿でも好きだよ!!怒るぞ!!」
(つずく)
...2005/01/01(Sat) 02:38 ID:78HOEonQ    

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