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過去ログNo1
アナザーストーリー  Name:Ken
私もちょっと作ってみました。
セカチューのアナザーストーリーってもの。
以前書き込んだ「11年後のサク&一樹」って感じです。
感想待ってま〜す。
(自爆だったらごめんね)


このサイトに行ってみてください。
http://f57.aaacafe.ne.jp/~sekacyu/sekacyu1.html
...2004/09/19(Sun) 06:28 ID:FmI0BFts    

             Re: アナザーストーリー  Name:あき
イイ話です!!
続きが知りたいです^^
...2004/09/19(Sun) 11:06 ID:3e6E6Y/w    

             Re: アナザーストーリー  Name:セカチュウのファン
いいです!!
我儘を言ってすみませんが続きが気になって・・・
早く続編を読ませてください!!
...2004/09/19(Sun) 12:05 ID:HORHBXoA    

             Re: アナザーストーリー  Name:Ken
ありがとうございます。
続編は考えているます。
ちゃんと伏線張ってますし(笑)
ちょっと待って下さい。

見れないとのメールがありましたので、サイド掲載しなおします。
http://f57.aaacafe.ne.jp/~sekacyu/sekacyu1.html

「http://」だけ小文字に直すと小説のサイトにいけます。
...2004/09/19(Sun) 14:46 ID:FmI0BFts    

             サクの17年  Name:SATO
サクの高校卒業からの17年間は何があったのでしょう?想像にまかせて勝手に話を作ってしまいました。とりあえずご一読を・・・

1.大学時代
 サクと明希が知り合ったのは大学の演劇部。サクは演出担当で、明希は演技担当(要するに役者)だった。役者に事細かに演技のアドバイスや指示をするサク。その的確さにアキは妙な安心感をサクに感じる。演劇公演が終わったあとの打上げでは盛り上げ役でいつもみんなとニコニコ語り合うサク。アキはそんなサクに謎めいた興味を感じる。
ある日、演劇部で「ロミオとジュリエット」を上演することになった。ジュリエット役はアキ。サクは今まで以上に演出に熱が入り、アキに厳しい言葉を投げかけることもあった。アキも初めての主役ということで、サクの厳しい指導について行き、公演は大成功する。打ち上げで語り合うアキとサク。
アキ:松本君の演技指導すごく厳しかった。ちょっと怖いと思ったこともある。でもおかげて初めての主役は大成功よ。ありがとう、そしてお疲れ様。
サク:ちょっと入れ込みすぎたかな。いろいろキツイこと言ってゴメンね。でも、この題目には特別な思い入れがあるんだ。
アキ:何、その思い入れって?
サク:高校時代に文化祭の出し物にしたんだ。でも、ジュリエット役に予定していた子が急病で出られなくなってね、その子に早くよくなってほしい、その子を元気づけたいという想いで懸命に演出したんだ。
アキ:へーそうなんだ。松本君って、優しいんだね。その子、すぐ元気になれたんだろうね。なんだったら今回の公演に招待すればよかったのに。
サク:招待したいと思ったけど・・・来れないことが分かってたから・・・(口をつぐむ)
アキ:ごめんなさい、いけないこと聞いちゃったみたい・・・
サク:いや、気にしなくていいよ、ちょっと高校時代を想い出しただけだから・・・

アキはあわてて話題をそらした。急に顔が曇ったサクを見て、高校時代に「その子」のことで聞いてはいけない何かがあったと直感したからである。「その子」の名は広瀬亜紀。陸上競技に青春をかけ、サクと全身全霊をかけて愛し合いながら、17歳の短い生涯を閉じた少女である。もちろん、アキはこの事実を知らない。
...2004/09/20(Mon) 13:53 ID:/Z7jHrLM    

             Re: アナザーストーリー  Name:Capri
Ken さんのストーリー 一樹がしっかり成長していて、続きが気になります。

SATO さんのスナップショットっぽいのも、いいですね。〜 ”・・・来れないことが・・・”というのが泣かせます。


 ちょっと方向が違いますが、亜紀が元気なまま、サクと結婚して・・・ というのを書いてみました。ベタですが。 どうぞ 宜しく。


1997年 新婚時代の亜紀サク (超ベタ ですが。)




チャイムが鳴る、夜。


玄関に スーツ姿のサク。 言葉 少なに。


サク   ”・・・・ただいま。”


亜紀   ”・・・・・・・・・"


サク   ”・・・遅くなって、 ゴメン。”


亜紀:   ”・・・・・・・・・" (三角目)



亜紀:  ”鍵もってでかけたんじゃなかったの?”


サク:  ”あの、そ、それが・・・”


      ポケットをごそごそする サク。



亜紀:  ”今日も、こんな時間まで・・・”



サク:   ”亜紀、ホント、ゴメン。”

        ”取引先の、その、どうしてもハズせない、接待で・・”



       (BGM:05 愛とは  フェイド・イン) 
        テーブルの上で 冷めてしまった 亜紀の手料理にスポット 


亜紀:   ”ひどいよ、サク、 

       ここのところ、ずっとじゃない、

       いつもいつも、つきあいだ、とか、接待だとかいって・・”



亜紀:   ”きょうだって、わたし、待ってたのよ、

       サクが帰ってくるのを。


        ずっとひとりで、待ってたんだから。”



亜紀:   ”今日が締め切りの仕事も、

        ぜーんぶ無理いって、お願いしてきて。”



サク:   ”ゴ、ゴメン。 亜紀。”


亜紀:   ”いいわね、サクちゃんは、そうやって

         毎日、毎日楽しそうで、

        会社で、かわいいこでも、みつけたんじゃないの?”



サク:   ”そ、そんな・・・”



亜紀:   ”もういい。私、シラナイ。”



       踵を返し、足早に寝室に入り、扉を閉める 亜紀


       後も追えず、肩をおとして食卓の椅子にすわるサク。

       いつもは亜紀がすわる椅子だった・・・・・


       (BGM 15 1987年、夏・・・(オルゴールの))
 

       ため息をつき、玄関に投げ出したカバンと紙袋に目をやるサク。

 
        きちんと整えられてネットのかけられたテーブルの
 
       ふだん、さくが座る側からはみえないところに、

         絵葉書ほどの、手造りらしい二つ折りのカードをみつけた。


       亜紀が書いた、メッセージカードだった。



         ”サクちゃん、 いつも お仕事 おつかれさま。

          今日は、ちょっと お料理がんばっちゃいました。

          自分で、自分の、ってちょっとヘンかもしれないけれど、

          こんなときくらいしか、チャンスないから。


         いつも ”亜紀のつくるものはなんでも美味しい”って

         食べてくれるけど、ほんとは?
          
          でも、今日のはちょっと自信アリ、かも。

         直接いうのは、恥ずかしいから、ここに書きます。”

         いままでずっとわたしのこと、支えてくれて ありがとう。       


         明日もお仕事、



         ガンバレ !”




         その隣りには、ホイッスルを口にした、自画像らしき イラストが書かれていた。  


         
         ちょっと苦笑いになったサクの顔が微妙にゆがむ。


          玄関へ 一端もどり、寝室の扉をノックするサク。



サク:   ”亜紀、はいるよ。”

       
         灯りをつけたままの寝室、ベッドに横になった亜紀。
 
         頬の涙は、長い髪に隠れて見えない。



サク:   ”机の上のカード、 ありがと。”


       背を向けたままの亜紀


サク:   ”ごめん、みちゃった、

        亜紀のとこにすわったら、目にはいって、気になっちゃって。”

  
      ”でも、ありがと。”


       まだ 背を向けたままの亜紀の肩を、サクが軽くたたく。


亜紀:  ”もうーー”


       と、振り返ろうとする頬に、サクの人差し指があたる。

       ふくれて、目をこする亜紀。


サク:   ”はい、これ。”


       サクが亜紀に手渡したのは ブルーメタリックのウォークマンだった。
       中にはTDK のカセットテープが入っている。  
       いまどきどこにも売ってない・・・

         
亜紀:   ”これって・・・・”


        驚いた顔の亜紀、高校のとき、サクからもらったウォークマンは、


       もう、ずいぶん前に、役目を果たして動かなくなり、亜紀の思い出の箱の

       どこかにしまいこまれていたはずだ。



サク:   ”驚いた? まるっきり新品、なわけじゃないけど、

        新品同様。 オートリバースも、動作確認済みだよ。”
           


亜紀:   ”ひょっとして、同じ、の??”


サク:   ”いいから、いいから”

       と、亜紀の手のウォークマンの、イヤホンコードをほどいていく。



サク:   ”はい、どうぞ。”           
 
    
         ぽかんとした顔の亜紀、言われるままに イヤホンをセットして、
        スタートボタンをおす。

         見上げる サクの顔が 照れ笑いになる。



サク(テープ): 

        こんばんわ、松本朔太郎です。


        遅い帰りが続いてごめんなさい。

        だけど、どうしても亜紀にわたしたいものがあって。
  
        ここんとこ、ずっとさがしてました。      


        今、亜紀の手の中にある、それです。
     
        今日、やっと見つけました。

 
          間にあって よかった。

       松本亜紀さん。 27回目のお誕生日、おめでとう。

       そしてこれからもずっと、 僕を幸せにしてください。


        亜紀、好きだよ。 大好きだよ。ずっと。



亜紀:     ”サク、 ちゃん。”        
        

        照れ笑いの居心地の悪そうな顔のサク。


サク:     おめでとう。

         料理、あたためなおすよ。
   

亜紀:     うん。 ありがとう。


肩を寄せ合い、食卓へと戻る二人・・・・・・・


 (この後、ケーキだの、コロッケだの登場させたかったのですが、力つきました・・・)
...2004/09/20(Mon) 18:07 ID:b6ahE55g    

             Re: アナザーストーリー  Name:Ken
SATOさん>>
お〜サクの大学時代は演劇部ですか。
それはちょっと考え付かなかった。
もしかしたら、その設定使わせてもらうかもしれません。
その際はよろしく〜。

アナザーストーリーの続きですが、基本的には一樹メインで進みます。
サクちゃんは前半のストーリーテラーみたいな存在です。
そのほかの登場人物としては、谷田部先生、亜紀パパ&ママ、亜紀の主治医だった先生(名前なんでしたっけ?)、スケちゃん、ボウズ、智世ちゃん、智世の娘・亜紀ちゃん、スケちゃんの息子?、ボウズの息子?、などを考えています。
特にプロットを考えず、登場人物たちが好き勝手に動き出すので、イメージが湧いた時が続編の書き時(笑)
今のところ、一樹とサクちゃんしか動いていないので、次のキャラクターの動き待ちです。
ほとんど動き出しつつありますが・・・。
お楽しみに〜
...2004/09/20(Mon) 18:26 ID:N7cxfxtk    

             Kenさんへ  Name:SATO
僕の勝手なサイドストーリーを読んでくださってありがとうございます。演劇部の設定は文化祭の演出担当から思いつきました。どうぞどうぞ、設定はどんどん使って下さい。ちなみにあなたのアナザーストーリーを映像化するとしてキャストはこんな感じでいいかな?
サク:緒形挙さん 大学教授になったというので、息子さんではちょっと貫禄不足かと思いまして・・・ここで父親の出番です。
明希:十朱幸代さん 包容力とカッコよさのある女性ということで・・・
和樹:山田孝之くん セカチューワールドに欠かせない人物ですから
智世:松下由樹さん 谷田部先生役は老けすぎて無理そうなのと、顔かたちがユイカちゃんと似ているので、かつての教え子役にシフトしてもらいます
智世の娘・亜紀:綾瀬はるかちゃん 名前が同じなのと、セカチューワールドに欠かせない人物ですから
しかし、サクの両親や亜紀パパ&ママはどうしましょうか?大島さとこさんや手塚理美さんに70のお婆さんをやらせるのはちょっと無理があるような気がしますが・・・
...2004/09/20(Mon) 19:14 ID:/Z7jHrLM    

             サクの17年その2  Name:SATO
勝手なサイドストーリー第二弾です。
2.医学生サク
サクの大学でのもうひとつの顔は医学生としてのサクである。高校2年の冬、急に思い立って医学部受験を決めたあと、必死の受験勉強が実って見事合格。
大学入学後も優秀な成績で、教授陣からも一目おかれる学生となっていた。
卒業が近くなり、大学の研究室で論文作成に没頭するサク。
先に大学を卒業し、社会人となっていたアキは度々サクの研究室に差し入れを持って訪れていた。
アキ:お疲れ様。どう、論文の進み具合は?
サク:うん、もう少しだ。でも、どうしても納得できないデータがあってね。これから実験のやり直しをするんだ。
アキ:えっ、今からやり直したら徹夜になるんじゃないの。ちょっと無理しすぎじゃない?これから医者になる人がその前に病気になったら本末転倒よ。
サク:人間、一生のどこかで必死になって頑張る時期ってあると思うんだ。僕にとっては今がその時期なんだ。小林が心配してくれるのはうれしいけれど、今やらなければならないんだ。
アキ:松本君って、演劇部のときもそうだったけど、何かに取り付かれたように頑張っちゃうところがあるのよね。止めても無駄だな。
サク:これでも高校2年の夏まではのん気でチャランポランな生活してたんだ。でも、ちょっとしたことがキッカケになってやるときはやらなければ駄目だって思うようになったんだよ
アキ:立派な心境の変化ね。でも休むときは休まないと。松本君見てると大学入ったときからずっと全力疾走してるみたいで。なんか痛々しくさえ見えることがあるの。どうしてそんなに頑張らなきゃならないのかなって・・・

サクの心境の変化。それは広瀬亜紀の発病、そして死であった。その現実を受け入れられないサクは何かに取り付かれたように全力疾走してきた。それは広瀬亜紀への想いを振り切ろうとしていたからかも知れない。
...2004/09/20(Mon) 19:23 ID:/Z7jHrLM    

             Re: アナザーストーリー  Name:SATO
Capri さん、頼みますよ、亜紀の27歳の誕生日だなんて、泣かさないで下さいよ〜
...2004/09/21(Tue) 22:02 ID:xh1cnmiI    

             松本教授の総回診です  Name:SATO
Kenさん、くれぐれも「白い巨塔」のような展開はご勘弁くださいよ(笑)
まあ、サクだったら財前教授のようにはならないでしょう。でも、里見先生みたいになってほしいな。
※別スレで「白い巨塔」とのコラボを書き込んでいる方がいましたので、ちょっと気になりまして。
...2004/09/21(Tue) 23:48 ID:xh1cnmiI    

             Re: アナザーストーリー  Name:SATO
あっという間に下に来たのであげときました。
...2004/09/25(Sat) 01:10 ID:tW2QzgWQ    

             Re: アナザーストーリー  Name:natetta
kenさん

かなりお久しぶりですね(^^)
セカチューがはじまって最初の頃kenさんのサイドストーリーを見てかなり感動してました。
又続きお願いします(^^)

Capriさん、SATOさん

ここでも頑張ってらっしゃいますね(^^)
スゴイ!どうしてこんなに文章をまとめられて次々と感動できる作品ができるのか教えて欲しいですよ!SATOさんのキャストも最高です。本当にピッタリな方を選ばれたなと思います。
おまけにセカチューにはかかせない山田君と綾瀬さんがでる所がまたすごくいい(^^)
...2004/09/26(Sun) 02:50 ID:1DnvBal.    

             Re: アナザーストーリー  Name:SATO
Ms.natetta,Good Evening!
ほめてもらって照れくさいっす!
こういうストーリーを読むときに映像をイメージすると楽しいですよ。
ただ、緒形挙さんや十朱幸代さんに出演願うとなると、出演料を相当はずまないと・・・(笑)
...2004/09/26(Sun) 21:46 ID:YbGiG55I    

             過去ログ入り防止のため  Name:にわかマニア
 投稿ではありませんが,過去ログに追いやられそうだったので,呼び戻しました。
...2004/09/29(Wed) 12:50 ID:O1GNE53U    

             Re: アナザーストーリー  Name:奈美
公式ホームページの9/30の投稿に「もうひとつの結末」というタイトルのストーリーを送っている方がいらっしゃいます。すごく素敵なお話です。
泣きました・・・みなさん読まれてみてください。
最後の1行を読み終えた後、頭の中に自動的に「かたちあるもの」が流れる私ってやっぱり・・・セカチュー中毒?
...2004/10/01(Fri) 15:23 ID:c2gqJmw.    

             Re: アナザーストーリー  Name:みっきー
奈美さん、あたしも「もうひとつの結末」読んでみたいんですけど、どこのコーナー(?)にあるんですか?
...2004/10/02(Sat) 00:29 ID:I5fHwQu.    

             Re: アナザーストーリー  Name:しげ
奈美さん>>
情報ありがとうございました。読んでみましたが、本当に素敵なお話ですね。
みっきーさん>>
感想BBSのvol17、バックナンバー9,8,7に5つに分けて書かれています。バックナンバー8と7は下から捜したほうがよいと思います。是非捜してみてください。
...2004/10/02(Sat) 00:52 ID:1v/mDN/2    

             Re: アナザーストーリー  Name:taroko
>>奈美さん

「もうひとつの結末」って、朔の、そして私達の夢を叶えてくれる、よい話ですね。ただ、私は最後の1行を読み終えたとき、「かたちあるもの」が流れず、「朝目が覚めると泣いている・・・」のセリフが聞こえてきてしまいました(T_T)
...2004/10/02(Sat) 01:16 ID:zC8kuqt2    

             Re: アナザーストーリー  Name:奈美
嬉しい、もうひとつ見つけてしまいました。
公式HPのVOL17−77に同じ方が、朔と亜紀の初めての出会いの物語を書かれてました。
なんか情景が見えるような感じです。
第一話の最初、葬式の後すぐに朔にキーホルダーを渡していたのが微妙に気になっていたんですが、そうか・・という感じです。こっちも大好き。
...2004/10/02(Sat) 15:57 ID:ECGkCDBU    

             Re: アナザーストーリー  Name:カツ
何かストーリは、ありませんか?
...2004/10/04(Mon) 02:41 ID:QvP/UzOQ    

             Re: アナザーストーリー  Name:カツ
奈美さん、その朔と亜紀の初めての出会いの物語は公式HPの何って言う所のVOL17−77に書いてあるのですか?
...2004/10/04(Mon) 02:47 ID:QvP/UzOQ    

             Re: アナザーストーリー  Name:カツ
奈美さんへ見つかりました 迷惑かけてごめんなさい 読みましたよ けど、あれは続きからみたいですね 1番最初から読みたいのですが、奈美さんわかりますか?
...2004/10/04(Mon) 03:02 ID:QvP/UzOQ    

             Re: アナザーストーリー  Name:カズ
過去ログ入りしそうだったので書き込みしました
...2004/10/06(Wed) 20:12 ID:ShdqF7ps    

             Re: アナザーストーリー  Name:カズ
朔と亜紀が元気で、あのまま過ごして、亜紀は本の編集者に朔は助手みたいな感じの話があればいいなと思うのですが・・・
...2004/10/08(Fri) 16:40 ID:zXLT9GJg    

             過去ログ救出大作戦  Name:にわかマニア
 ただ今,過去ログ救出大作戦決行中
...2004/10/11(Mon) 01:08 ID:jljX0PpM    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
過去ログ行き阻止!
...2004/10/12(Tue) 20:20 ID:VSdS9lBE    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
過去ログ嫌!
...2004/10/15(Fri) 20:21 ID:itNPifNI    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
過去ログ阻止
...2004/10/20(Wed) 06:29 ID:jVM2TK5.    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
そろそろヤバイので、また阻止しておきます
...2004/10/22(Fri) 17:23 ID:pxSrnANE    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
皆さんの作品を見て触発されてしまいました。初投稿です。よろしければ、見てください。


朔「亜紀、入るよ。あれ?」

病室には亜紀ではなく真と綾子が。

真「ん?朔か、久しぶりだな」

朔「ご無沙汰してます。あの亜紀は?」

綾子「今の時間は、リハビリルームで歩行訓練中なのよ。4時くらいには戻ってくるはずよ」

朔「そうですか。あ、荷物の整理ですか?手伝います」

真「忙しい時期なのに、わざわざ来てくれてすまんな」

朔「いえ、実習が始まるまでは少しですが時間もありますし、といっても3日しかいれませんけど」

真「そうか、ゆっくりできんな」

綾子「本当にごめんなさいね、でも亜紀がどうしてもって言うから」

朔「亜紀が呼ばなくても勝手に押しかけますよ」

真「全くそこだけは5年経っても変わらんな。本当にありがとう」

綾子「でも、あの時から5年も経つのね。あっという間だったわ」

朔「ええ」

真「正直、あの時はもう駄目だと思ったが、神様はいるものだな。そして、朔、お前のおかげでここまでこれたとも思ってる。ありがとう・・・」(深く頭を下げる)

朔「そんな、やめてください。でも長いようで本当にあっという間でしたね。あれからもう5年ですか・・・」

(語り)
亜紀の最後の願いを叶えるために、病院から連れ出したが、失敗。あの日から5年が経っていた。

疲労で倒れた俺が、翌朝目覚めたときには、亜紀は意識不明の重体だった。いつ息を引き取ってもおかしくない状態だった。このとき、本当の自分の気持ちにようやく気付いた。

朔「亜紀にずっとそばにいて欲しいと言うことを再認識しました。亜紀がもう長くないと分かった時から、あの日のあの瞬間までは、最後の願いを叶える事だけを考えてました。でも危篤状態を抜け出した時からは、どんなにボロボロでも良いから生き続けて欲しいと思えるようになりました」

真「そうか・・・。よくやってくれたな。」

(語り)
亜紀が意識を取り戻したのは、3ヶ月後。亜紀と話ができたのはそれから1週間後だった。

朔「亜紀、ゴメン。俺もう・・・」

亜紀「朔ちゃん、言いたい事は分かってる。空港で倒れてから、目を覚ますことができたのは奇跡だと思う。神様がチャンスをくれたんだと思う。最後まで闘うから・・・。だから見ててね。ずっとそばにいてね・・・」

朔「ああ」

(語り)
再びの闘病生活、だが見通しは明るかった。今まで未承認だった米国の薬品を厚生省がようやく認可したのだ。新薬は亜紀の体に合っていたようで、容体
も好転していったが、やはり完治することはなく、その後に開発や認可されていった新薬を使い、現状維持の状態が続いた・・・。

俺は亜紀を助けたい一心で医学部に合格した。東京にある大学に出るのは不安もあったが、介ちゃん達に後を頼んで故郷を出た。それからもちょくちょく連絡を取り合う生活を続けた・・・。

そして4年後、骨髄バンク設立。すぐ亜紀も手続きし骨髄を提供してくれるドナーを待った。当時、数少ないドナー登録者の中に亜紀に合う骨髄を持つ女性がいた。女性からの骨髄提供を受け、移植が行われる前日・・・

朔「明日だな・・・」

亜紀「朔ちゃん、私、怖いけど頑張るから、だから・・・」
(涙ぐむ亜紀)
朔(たまらず抱きしめながら)「後ろ向きになるなよ・・・大丈夫だ亜紀、成功する」

亜紀「朔ちゃん・・・、朔ちゃん!ひくっ・・・」

朔「・・・亜紀は必ず戻ってくる。」

落ち着いた後、俺達はキスをした。4年ぶりのキスはどこか懐かしく、穏やかで・・・。

移植は成功した。多少の副作用もあったが、半年でほぼ乗り越えた。

死を覚悟し、長い闘病生活を乗り越えた2人・・・約5年の年月は、2人を比べものにならないくらい強くしていた。そしていよいよ明日退院する・・・。

続く
...2004/10/26(Tue) 20:51 ID:K/7EVxbs    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
リハビリルームから亜紀が戻ってきた。

亜紀「あっ、朔ちゃん!」

朔「久しぶり。だいぶ歩けるようになった?」

亜紀「まだ杖は取れないけど最初に比べたらいいよ。」

朔「そう、それならいいんだ」

真「私達は下にいるから。2人でゆっくり話しなさい」

真、綾子が病室を出て行く。

亜紀「ねえ、いつまでこっちにいるの?」

朔「3日間。今回はゆっくりというわけにはいかないんだ」

亜紀「そっか、忙しいんだね。呼んだりしてゴメンね、わざわざありがとう」

朔「亜紀に呼ばれればいつでも来るよ。それより、明日は何時ぐらいになる?」

亜紀「明日も歩行訓練があるから、夕方かな」

朔「じゃあ、そのくらいに迎えに来るよ」

亜紀「うん。ねえ朔ちゃん、明日防波堤に連れてって」

朔「いいよ。俺も久しぶりだ」

そこに、谷田部が入ってきた。

谷田部「廣瀬入るよ、あ、松本!いつ帰ってきてたの?」

朔「ついさっきですよ。ご無沙汰してます」

谷田部「そっか・・・あ!廣瀬、あんた呼んだね?」

亜紀「ふふ、呼んじゃいました(笑)」

谷田部「まったく、あんたって子は・・・」

亜紀「でも、今日はどうしたんですか?」

谷田部「どうしたじゃないわよ。明日退院でしょ、上田から聞いた。内緒にしてて驚かそうなんて、そうはいかないよ」

朔「高校の時と同じ手は通用しないってさ」

亜紀「さすがの智世も谷田部先生にはかなわないね(笑)」

谷田部「でも、よく頑張ったね・・・廣瀬も松本も。これからは良いことがたくさん待ってるから。安心して、早く日常に戻れるようにね」

亜紀「はい」

谷田部「悪いけど私は明日来れないんだ。」

亜紀「とんでもないです。ありがとうございます」

谷田部「あ、時間だ。学校に戻らないと。松本はまだいる?」

朔「ええ、面会時間ギリギリまでいます」

谷田部「じゃあ、2人とも、落ち着いたら顔見せに来なさいよ」

谷田部が病室を出て行く。

朔「変わらないな、先生は・・・」

亜紀「ホッとするよね。でも朔ちゃんだって変わらないよ。高校の時も、今回だって私の節目節目にいっつもいてくれるじゃない」

朔「そう?」

亜紀「そうだよ。大好き」

朔「(照れ)」

亜紀「いまさら照れないで。何回も言ったのに」

朔「いや、ひさしぶりだったからね」

亜紀「(いたずらっぽく笑う)」

朔「亜紀のそういうところも変わらないよ」

亜紀「え?」

朔「そーやって、意地悪そうなとこ」

亜紀「あ、ひどい、朔、朔だって未だに言ってくれてないでしょ。」

朔「何を?」

亜紀「あの時、テープでは言ってくれたけど、ちゃんと私に『好き』って言ってない!それもその1回だけ」

朔「あ・・・」

亜紀「どーなのかなー?松本朔太郎?」

真と綾子が入ってきた。
朔太郎にとっては思いがけない助け舟だ。

綾子「話もたくさんあるでしょうけど、そろそろ・・・」

亜紀「しょうがないか、ねぇ、朔ちゃん?」

朔「この続きは明日」

亜紀「うん」

真「じゃあ、亜紀、明日まで我慢してなさい。朔、明日も頼む。では行こうか」

朔「分かりました、失礼します。じゃあ、亜紀、明日。」

亜紀「約束ね」

朔「分かってる」

病院からの帰り、智世、ボウズ、介ちゃんに連絡を取り、タコパパでおちあうことにした。

続く
...2004/10/27(Wed) 23:19 ID:6najmbUo    

             Re: アナザーストーリー  Name:たか
すばらしいです。たー坊殿。続き待ってますよ
...2004/10/28(Thu) 12:21 ID:nMlsWNok    

             Re: アナザーストーリー  Name:clice
素敵なお話ですね、朔と亜紀の運命の分岐点はやはりあの日ですよね、続きが楽しみです。設定は若干違っても自分の書かなかった部分が読める事が嬉しいです。
山田君の朔と綾瀬さんの亜紀が確かに生きていますね。
...2004/10/28(Thu) 12:55 ID:QkBAe3hQ    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
たかさん、cliceさん感想をいただきましてありがとうございます。続きを現在考えています。

あらかじめ言っておきますが、妄想爆発の世界なので、お見苦しい点もあるかとは思いますが、よろしくお願いします。
...2004/10/28(Thu) 21:29 ID:ve97YfNc    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
タコパパにて・・・

一足早かったのか、ボウズが先に来ていた

ボウズ「よおっ!久しぶりだな〜、朔」

朔「ああ。それにしても来るの早いな」

ボウズ「急に連絡よこすし、宮浦に帰ってきてるっていうし、暇だったしな」

朔「そんな事言っていいのか?まだ修行中の身だろ」

ボウズ「ほっとけ」

ボウズは、現在修行僧だ。将来は家の寺を継ぐらしい。

そこに、スケちゃんと智世が来た。

智世「朔!」

龍之介「帰ってくるなら、連絡しとけ」

朔「悪い。俺も亜紀に急に呼ばれて・・・最近も忙しくて3日間しかいれないんだ。」

俺が上京してからは、暇を見つけては智世を中心にみんなでサポートしてくれている。

ちなみに、スケちゃんと智世はいつしか付き合い始めていた。

龍之介「んで?亜紀の様子は?」

朔「今日も歩行訓練してた。本人が言うには順調みたいだ」

龍之介「そうか良かった」

智世「大丈夫よ。私も時々様子を見に行ったけど、亜紀頑張ってたのよ。」

朔「ありがとう」

龍之介「そうそう、最近の話題も亜紀のことばっか。俺のことなんてお構いなし」

ボウズ「お前、人変わってるぞ」

智世「軟弱者みたいなフリしてんじゃないわよ。毎日海に出てるくせに」

朔「まあまあ。仲が良い証拠だろ」

ボウズ「・・・・・・」

龍之介「ん?どしたボウズ?」

朔「急に喋らなくなったな」

ボウズ「俺の春はいつくるやら・・・」

智世「急に何言い出してんのアンタ?」

龍之介「微妙に酒臭くないか?」

すると、テーブルの下にビールの缶発見。

智世「朔、飲ませた?」

朔「いや、俺は飲ませてないけど・・・」

ボウズ「いいよなぁ、お前らは。朔と亜紀は相変わらず仲良いし、スケ達はいつの間にか付き合ってるし・・・。」

朔「おかげさまで」

ボウズ「んなこというなら、呪いのお経あげるからな!」

朔「冗談だって」

龍之介「真に受けるなよおまいさん」

智世「いいから、よし、亜紀退院の前祝いだ!飲むぞ!パパさん、ビールと4人前ね!」

その夜は皆で盛り上がった。ボウズの愚痴を聞きながら・・・

続く
...2004/10/28(Thu) 22:41 ID:ve97YfNc    

             Re: アナザーストーリー  Name:あはは
介はいつのまにか2cherになった模様w
...2004/10/29(Fri) 23:03 ID:iHQgqW3w    

             Re: アナザーストーリー  Name:clice
たー坊さん、台詞いいですね。ほんとに彼らの口調そのままですね、ボウズも介ちゃんも智世も自然に彼らの声で読めてしまいます。この感じがドラマの世界ですよね上手いです。
...2004/10/30(Sat) 01:26 ID:Va.W6e0E    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
タコパパでの小宴会?の後・・・智世、ボウズと別れ、スケちゃんと歩きながら話をしていた・・・

龍之介「朔、長かったな。よく頑張ったよ」

朔「頑張ったのは俺じゃない、亜紀さ。スケちゃん達にもいろいろ助けてもらって・・・。本当に感謝してる、ありがとう」

龍之介「いや、朔だってあの日から必死だったじゃないか。亜紀を助けようと医学部に現役で合格するなんてそう簡単なことじゃない。この5年よく踏ん張ってきたと思う」

朔「結局、俺自身が医者の立場としては亜紀を助けられなかったけど」

龍之介「おいおい、贅沢を言うなおまいさん。でも、朔にすごく支えられたと思うぞ」

朔「付き合い始めたときに比べて、素直になったというか・・・」

龍之介「真面目な話、強くなったんだろうよ。俺たちも含めてな。2人がウルルに行ったと聞いた時、皆、死を覚悟した。二度と亜紀と話すことは無いだろうと・・・」

朔「覚悟を決めてたんだ・・・俺が亜紀にとどめをさすかもしれないと・・・でも、あの時は、なんというか、美しい死だけが頭を支配していた」

龍之介「・・・でも、亜紀は死ななかった。皆が最悪な現実に直面したからこそ、強くなったんだろうよ。・・・生きてて良かったな・・・おまいさん」

朔「ああ。亜紀がいない世界は考えられない」

龍之介「おのろけかい?よせよ」

朔「スケちゃんだって智世と仲良いだろ。高校のときは考えられなかったな」

龍之介「はは、そうだな。そろそろ帰るか。明日は皆行くよ」

朔「それなんだけど、俺、亜紀と約束あるから2人にして欲しいんだ」

龍之介「分かった。智世とボウズには言っといてやる。あんまり無茶はさせんなよ。病み上がりなんだから」

朔「分かってる。これでも医者の卵だ」

龍之介「そうだったな。じゃあ明日な」

朔「ああ。じゃ、明日」

スケちゃんと別れて、久しぶりに実家に向かった

続く
...2004/10/31(Sun) 21:48 ID:oGmqolxg    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
帰宅後

朔「ただいま」

富子「おや、今日はどうしたんだい」

朔「息子が帰ってきたのにどうしたはないだろ」

富子「亜紀ちゃんが明日退院するからだろ。それにしても、あんたは亜紀ちゃんがらみじゃないと帰ってこないねぇ」

潤一郎「まあいいじゃないか。ほれ、何ボサッとしてんだ。あがれ」

富子「夕飯は?」

朔「タコパパで皆と食べてきた」

潤一郎「じゃあ、迎え酒だな。母さん、ツマミ」

富子「あんまり飲むんじゃないよ!酔っぱらいども」

芙美子「お兄ちゃんお帰り」

朔「ああ、どうだ勉強は?」

芙美子「お説教はいらないよ。それより、明日だね、お姉ちゃん退院するの」

朔「お姉ちゃん?いつの間にそんなに仲良くなったんだよ?」

芙美子「亜紀ねえちゃんが、お姉ちゃんでいいよって言ってくれたの」

朔「じゃあ、たまに病院にも行ってくれてたのか?」

芙美子「うん」

朔「そっか、ありがとな」

芙美子「お父さんとお母さんも」

朔(二人を見て)「親父達も行ってくれたのか・・・」

富子「芙美子、余計なこと言わなくてもいいよ」
富子がツマミをもってきながら言った。

潤一郎「亜紀ちゃんの退院を祝って乾杯」

富子「朔、どのくらい居れるんだい?」

朔「3日間」

富子「じゃあ、あんたが帰る明後日に、廣瀬さんと皆を写真館に呼んどきな。ささやかにパーティーでもやろう」

潤一郎「どれ、その日は早めに店を閉めるとするか」

富子「毎日開店休業の間違いだろ。あんた」

朔「分かった。いろいろありがとう」

潤一郎「朔、明日は何時頃に行くんだ?」

朔「夕方」

富子「ま、久しぶりだから、私達は邪魔しないよ。その代わり、明後日はちゃんと亜紀ちゃん連れといでよ」

潤一郎「さてもう寝るか」

朔「そうするよ。なんか疲れた」

芙美子「おやすみなさーい。お兄ちゃん、お姉ちゃんによろしく」

朔「ああ」

翌日の夕方、朔は病院に向かった。最愛の人を迎えるために・・・

続く
...2004/10/31(Sun) 22:42 ID:oGmqolxg    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さん
Goodです
スゴクいいです
こうなってくれれば嬉しいですよね!!
是非、続編を
...2004/10/31(Sun) 23:59 ID:bkN.Hq0s    

             Re: アナザーストーリー  Name:clice
オールキャストですね。そうなんですよね、芙美子に亜紀をお姉ちゃんって呼ばせたいなと思っていました。
続きいよいよ楽しみです。
...2004/11/01(Mon) 00:04 ID:1BQetong    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
退院する亜紀を迎えに行く前に、谷田部先生に会いに久しぶりの母校に立ち寄った。

職員室のドアを開けようとすると、谷田部先生が出てきた。

谷田部「あれ?アンタ何やってんの?早く廣瀬を迎えに行きなさいよ」

朔「その前に、先生にお願いがあって・・・」

谷田部「何?」

朔「明日、写真館で退院祝いのささやかなパーティーをしようと思ってるんです。できれば、先生にも来て頂きたいんです」

谷田部「明後日なら大丈夫よ」

朔「良かった。では、お待ちしてます」

谷田部「じゃ、部活があるから。あんたも早く行きなさい」

朔「はい、失礼します」

(朔、語り)
そして俺は、病院に向かった。久しぶりに感じる故郷の空や海・・・。亜紀が帰ってくるせいか、なおさら、風が優しく感じた。

朔「亜紀、入るよ・・・あれ?」

病室には誰もいなかった。また、リハビリルームだろうかと思ったその時、右肩をたたかれ振り向くと、懐かしい感触が。

亜紀「ふふ、何回やっても引っかかるのね(笑)」

朔「分かってるさ、亜紀だって。」

亜紀「ま、5年も付き合ってれば分かるわね」

朔「亜紀の18番だしな」

亜紀「でも、誰にでもしないわ。朔ちゃんだけ」

朔「引っかかりやすいから?」

亜紀「そう。引っかかりやすいから(意地悪そうに笑う)」

そこに、真と綾子が入ってきた。

綾子「朔君、早いわね」

真「そろそろ行くけどいいか?」

亜紀「はい」

真「佐藤先生にも挨拶をしなければ・・・」

佐藤先生の部屋を訪ねると、今後についての事を話してくれた

佐藤「まずは、退院おめでとうございます。皆さん、本当にお疲れ様でした」

真「本当に先生にはご尽力して頂きありがとうございました」

佐藤「私は、手助けをしたに過ぎません。亜紀さんの生命力と周囲のサポートが白血病に対して勝利をもたらしたんです。」

朔「本当にありがとうございました」

佐藤「朔君も東京にいながら、よく頑張ったね。それで、よかったら、研修はうちの病院でやらないかい?」

朔「え?」

佐藤「いや、大学で一通りのことが終わったら宮浦に帰ってきてはどうかと思ってね。まあ、急な話でもないし、ちょっと、頭の隅に置いておいて欲しいんだ」

佐藤「それで、亜紀さんの退院後ですが、週2日のリハビリと、月に一度の血液検査ですね。あとは、免疫とかに問題ありませんし、急にハードな運動とかをしなければ、普段どおりの生活に次第に慣れていって構いません」

亜紀「あの、学校とかは・・・一応、休学扱いになってるんです」

佐藤「明日からっていうわけにはいかないね。でも可能性は大だよ。ここまで、健康時に近いレベルまで回復してるとね。まあ、焦らずに行きましょう」

亜紀「外に出てもいいんですか?」

佐藤「問題ないよ。でもくれぐれも無茶はしないように」

綾子「亜紀、よく聞いておきなさい」

真「朔も聞いておいたほうが良いんじゃないのか?」

朔「親子揃って見透かしてるんですね(苦笑)」

部屋は爆笑に包まれた。

朔「あの、佐藤先生、さっきの話ですが・・・」

佐藤「ああ、君をいつも教えている、久保教授、知ってるね?久保教授とは、学会などで知り合ってね、時々やり取りをしているんだ。ある時、久保教授が君の名前を出した時には驚いたよ。そして、私から事情を話したんだ。君がどうして医学部に入ったか、白血病の亜紀さんのこと、担当医が私だということ・・・」

朔「そうだったんですか。でも、どうしてその話が、俺が宮浦で研修する話になるんですか?」

佐藤「久保教授は言ってたよ、君の事を。『最近は穏やかだが、かつては、常に切羽詰ってるように必死だった』と、それで、私が余計なことをいろいろと話したんだ。そしたら、『彼は優秀だ。現実の医療を知ってもいい時期だ。佐藤さん、あなたの所で教えてやってくれないか?もちろん、彼が了承すればだが・・・』とね。」

朔「ありがとうございます」

佐藤「返事はいつでも構わないから。東京に戻ったら、久保教授と相談してみて、君のすきなようにするといいよ。受け入れ体制はいつでもできてるから(笑)」

朔「ありがとうございます」

真「それでは、先生、何から何までありがとうございました。そろそろ失礼します」

佐藤「こちらこそ失礼します」

病院の玄関で、俺は亜紀の両親にパーティーの事と、亜紀と2人にして欲しいと頼んだ。

真「亜紀、朔に家まで送ってもらうようにしなさい」

との了解をもらい、手をつないで防波堤に向かった

続く
...2004/11/01(Mon) 13:31 ID:Z0YwNBwE    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
防波堤近くの自販機で飲み物を買い、突端に腰かけ、夕日に染まり始めた海を見ながら、2人は闘病生活が終わった喜びをかみ締めていた・・・

朔「退院おめでとう!乾杯ー!」

亜紀「ありがとう(笑)」

朔「いつも缶コーヒーばかりのせいか美味い」

亜紀「あまり飲みすぎてもだめよ」

朔「普段、あまり寝れないからね。眠気覚ましに飲まないと、やってられないんだ」

亜紀「体壊さないでね。お願いだから」

朔「ああ。ありがとう」

見つめ合い、微笑む2人・・・

亜紀「やっと空を見れた・・・。久しぶりだ・・・


朔「亜紀」

亜紀「なぁに?朔ちゃん」

朔「おかえり」

亜紀「ただいま・・・」
そういって、亜紀は俺の肩にもたれた・・・

亜紀「私達、ここから始まったんだよね。」

朔「好きなものランキングか、懐かしいな」

亜紀「あの頃が一番幸せだったな・・・、」

朔「今は?」

亜紀「同じくらいかな・・・朔ちゃんがずっとそばにいてくれたらもっと幸せ」

朔「ありがとう」

亜紀「でも、あの頃は、あんなことになるなんて思わなかったけど・・・」

朔「でも、乗り越えたんだよな。それに、病気で良いこともあったし」

亜紀「いいことって?」

朔「亜紀が素直になって、甘えてくれるようになった」

亜紀「ひどい!私、可愛くなかったみたいじゃない」

朔「ウルル行きのあの日、俺、その最愛の人にタクシーから突き落とされたんだけど・・・」

亜紀「私は、その最愛の人の口から『好き』って言ってもらってないわ」

朔「・・・言わないとダメ?」

亜紀(満面の笑顔で)「うん。言って。今ここで」

朔「・・・えーと・・・・・・」

亜紀(煮え切らない朔に)「じゃあ、これ聞いて」
そう言って亜紀がバッグから取り出したのは、高校時代から2人が愛用しているウォークマン。

言われるままにイヤホンを付ける朔。

テープ亜紀「こんにちは。これをすることはもう無いと思ってました。恥ずかしいけどもう一回やります。今日は私の好きなものを話します」
「第5位、病気の私を助けようと医学部に入った朔ちゃん」「第4位、大事なときには必ずそばにいてくれた朔ちゃん」「第3位、私の願いを叶えようと倒れるまで頑張ってくれた朔ちゃん」「第2位、婚姻届を持ってきて、プロポーズしてくれた朔ちゃん」「第1位、私を愛してくれる、今の朔ちゃん」
「今の私があるのは、あなたがいてくれたから。これからも、私は朔ちゃんが大好き」

朔「・・・(感動)、じゃあ、俺のも聞いてくれる?本当は、亜紀のを聞く前に聞いてもらおうと思ってたんだけど」

そういって取り出したのは、これまたテープ・・・

テープ朔「退院おめでとう。昨日、亜紀に言われて、そろそろ言わないといけないと思ってました。今日は、俺の好きなものを話します」
「第5位、相変わらず意地の悪い亜紀」「第4位、一生懸命リハビリする亜紀」「第3位、白血病を克服し、帰ってきてくれた亜紀」「第2位、俺のプロポーズを受けてくれた亜紀」「第1位、俺に『好き』と言わせようとする亜紀」

亜紀、イヤホンを外して朔を見つめる

朔「今まで待たせてゴメン。俺は亜紀が好き。」

亜紀「やっと言ってくれたね。ありがとう・・・」

亜紀、朔に抱きつく、そんな亜紀を抱きとめる朔・・・。

唇を重ねる2人が夕日で照らされていた・・・

朔「暗くなってきたな」

亜紀「そろそろ帰ろうか」

家まで送る途中・・・

朔「お母さんが美味いもの作って待ってるんじゃない?」

亜紀「なにかな?」

朔「じゃ、せ〜ので」

朔・亜紀「カニクリーム!」

亜紀「やっぱり(笑)」

朔「それしかないよ(笑)」

楽しいお喋りをしてる間に、いつの間にか、亜紀の家に着いていた。

亜紀「ただいま」

綾子「おかえり。ご飯できてるわ」

朔「じゃ、俺はこれで」

綾子「朔君の分もあるわ。食べていって」

真「家に帰っても朔の分は無いぞ。私が連絡したからな」

亜紀「だって。食べていって(笑)」

朔「じゃあ、お言葉に甘えていただきます」

綾子「どうぞ」

亜紀「上がって、朔ちゃん」

こうして、廣瀬一家と朔の楽しい夕飯が始まった

続く
...2004/11/01(Mon) 20:09 ID:Z0YwNBwE    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さん最高!!
GJ!
このまま、結婚・出産・入学式
と続編宜しくです
マジ、楽しみです。
毎日、お邪魔しチェックさせてもらいます
...2004/11/01(Mon) 23:32 ID:ptrHoDy2    

             Re: アナザーストーリー  Name:hiro☆彡
今頃になってですが、はじめまして(^_^;)
セカチューは心が洗われる良い作品だと思いますが、
やはり「死」がついてくるだけに、作品に入れば入る程、辛くなる部分もあります。

そういった中でたー坊さんのアナザーストーリー「生きている亜希編」には、何か救われますねー(^^)

私も続編、期待しております!
...2004/11/02(Tue) 07:14 ID:uB0bSw3c    

             Re: アナザーストーリー  Name:clice
5年の闘病期間は亜紀のあの状態からは設定として長過ぎるかな、また当時の最先端医療である骨髄移植が稲代総合病院ではどうなんだろうと思っていましたが、朔が医学部に入り研修で戻ってくるというアイデアは、想像もしなかったものですごく素敵な設定ですね。
これで同じ町でみんなと一緒に物語が続いていきますね。本当にオールキャストのまま話を考えられたことに大拍手です。
...2004/11/02(Tue) 12:55 ID:retS3vrA    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
皆さん本当にご指摘、ご感想頂きましてありがとうございます。

サイトのファンさん、話の展開としては、結婚あたりまでは、うっすらとイメージできているのですが、出産、入学式となると、現段階ではかなり厳しいです。とりあえず続きを書かせて頂いて、イメージできればというレベルです。そこはご理解ください。

hiroさん、ご感想ありがとうございます。「生きている亜紀編」は私の一種の願望です。妄想といってもいいのかもしれません。期待していただけるのは大変ありがたいことですが、あまり期待せずに気長にお待ちください。その方が、私も気楽に書き込めますので(苦笑)

cliceさん、いつもご感想を頂き、ありがとうございます。ご指摘の通り、多々、不自然な箇所はございますが、そこは素人が書いているものですので、ご勘弁ください。

5年という数字は、私の祖父が以前、難病で闘病した期間からとりました。骨髄移植の施設という点では、配慮不足です。これからもこういうことはあると思いますが、ご容赦ください。
...2004/11/02(Tue) 18:19 ID:I5fHwQu.    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
廣瀬家の食卓・・・

朔「お邪魔します」

(朔語り)
そういえば、亜紀の家で夕飯をご馳走になるのは初めてだ・・・。

亜紀「久しぶりの我が家ね。お母さん、献立は何?」

綾子「カニクリームよ。あなた大好物でしょ」

亜紀、朔と顔を見合わせて笑う

真「何がおかしいんだ?」

朔「実は、送ってくる途中で夕飯の献立を予想してたんです」

綾子「それで、予想通りだったわけね?」

亜紀「2人ともカニクリーム。大当たりよ(笑)」

真「母さん、意表をつかないと。もう読まれてるぞ」

綾子「じゃあ、大当たりのカニクリームをたくさん召し上がれ」

一同「いただきます」

(朔語り)
まるで、我が家にいるかのような雰囲気だった。亜紀が帰ってきたのはもちろんあるだろうが、亜紀の両親、特にお父さんが以前より穏やかになったような気がする・・・。でも、やっぱり亜紀が隣で笑っているのが一番大きいのだろう。

(亜紀語り)
一時帰宅して以来の一家での食卓、しかも、今日は朔ちゃんがいる。今は、何もかもが嬉しい。

楽しいひと時が過ぎた時、真が切り出した。
台所では、綾子と亜紀が談笑しながら洗い物をしている。

真「朔、さっきの話だが」

朔「何の話ですか?」

真「佐藤先生がおっしゃってたことだよ」

朔「研修で、宮浦に帰ってくる話ですね?」

真「ああ。ついさっきの事だから、何とも言えないだろうが、どうなんだ?」

朔「医師になる前にそういう機会を与えていただけるのは、すごく貴重でありがたい事です。東京に戻って、久保教授に相談した上での話ですが、一度、こっちに帰ってこようかと思っています」

真「そうか、もちろん、ご両親にも相談するんだろう?本来なら私が聞くべきではないが、気になっててね」

そう言うと、真は亜紀の方を少し見て言った。

真「今日、亜紀は退院した。だが、これからどんな形であれ、社会に復帰していくうえでつらい事とかあるかもしれない」

朔「・・・はい」

真「これから、そんな時期に亜紀は入っていくと思う。そんな時、一番亜紀が頼れるのは朔だ。近くにいた方が、より良いのではないかと思ってな」

朔「ありがとうございます。どんな形であれ、頑張ります」

真「まったく、情けないがもう少し頼む」

朔「分かりました」

綾子と亜紀が戻ってきた。

亜紀「何の話?」

朔「いや、何でもないよ」

亜紀「ま、いいや。」

朔「おっと、もう9時だ。俺はこのへんで・・・ご馳走様でした。おいしかったです」

綾子「いいのよ。私たちも楽しかったわ」

亜紀「明日のパーティーは夕方でいいの?」

朔「ああ、親父が早めに店閉めるってさ」

真「皆さんによろしく伝えてくれ」

朔「はい。では失礼します」

亜紀「じゃあ明日ね。おやすみ朔ちゃん」

朔「おやすみ亜紀」

続く
...2004/11/02(Tue) 20:22 ID:I5fHwQu.    

             Re: アナザーストーリー  Name:hiro☆彡
たー坊さん
>あまり期待せずに気長にお待ちください。その方が、私も気楽に書き込めますので(苦笑)
はい(^^)
亜紀にも言われそうですね
「急がずに、ゆっくり一緒に待っていましょうね」
って(^_^;)

cliceさん
>当時の最先端医療である骨髄移植が稲代総合病院ではどうなんだろう・・・
骨髄移植を久保教授が行ったという設定にすると、話が現実的且つふくらむかも知れませんね。
朔の「結局、俺自身が医者の立場としては亜紀を助けられなかったけど」にもかかってくるかと思います。
「亜希、東京に行くの巻」だけでもかなりボリュームができてしまいますが・・・(^_^;)
...2004/11/02(Tue) 23:20 ID:fs01EiXw    

             Re: アナザーストーリー  Name:clice
hiroさんの書かれてる通り、新薬での化学療法で寛解と再発の一進一退を繰り返しながら亜紀も家族もがんばって、骨髄の適合者が現れるのをひたすら待ち続け、そして設立された骨髄バンクの登録者の中に適合者が見つかり、移植設備の整った朔の通う大学の病院に佐藤医師の紹介で転院、そして移植手術と成功。
その後の治療期間に3ヶ月、入院生活が長かったことによる体力の回復の為のリハビリと、免疫機能の低下の経過観察の為に稲代総合病院に再転院しそして・・。
という設定ならば現実的ですね。私が公式ページに書いた時も退院後の検査通院は稲代総合病院でと思っていましたし、東京での入院生活のエピソードはまた興味深いかもしれませんね。
...2004/11/03(Wed) 02:38 ID:Jcrz0MHs    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
お2人の言うとおりですね。私としては、佐藤医師と久保教授の接点は書きましたので、朔の通う大学での移植とは決めずに、県内で数少ない施設を持つ病院での移植でもいいかなと思っていました。もちろん、その病院への転院には久保教授の紹介等があるわけですが、もちろん、久保教授が朔と佐藤医師の接点を知るのは後の事と思っています。

いずれにせよ説明不足ですね。すいません。
...2004/11/03(Wed) 13:54 ID:KK3mE7Fs    

             Re: アナザーストーリー  Name:hiro☆彡
たー坊さん
>いずれにせよ説明不足ですね。すいません。
いえいえ、こちらは、話をふくらますネタをつついているだけですので、気になさらないでください(^^)
こういう風に持っていくと、「アキ、東京に行く」話もできておもしろいかなぁって・・・

たー坊さんの物語に、私たちの「妄想」も触発されてきているわけです(^^)

「わらわはばっちり読んでおるぞよ」(^_^;)
...2004/11/03(Wed) 16:48 ID:Bm2Y2jZQ    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
とりあえず、「ささやかなパーティー編(その1)」です。

富子「朔、私は先に行ってるよ!」

朔「はいはい」

その時・・・

「こんにちは〜」

綾子「はい〜、あ!亜紀ちゃん!」

亜紀「こんにちは」

富子「退院おめでとう!頑張ったね〜。朔!亜紀ちゃんだよ!」

朔「昨日はありがとう。どうしたんだ?」

亜紀「おじいさんに会いにきたの。上がっていい?」

富子「わざわざありがとうね」

仏壇で手を合わせたあと、亜紀が話し始めた。

亜紀「本当にいろいろお世話になっちゃって・・・」

富子「何を言ってんだい。亜紀ちゃんは私の娘同然なんだから。当たり前だよ」

亜紀「ありがとうございます。あの芙美子ちゃんは?」

朔「写真館に直行するって」

富子「じゃ、私は先に行ってるから。戸締りは頼んだよ」

朔「分かった」

富子が出て行った

朔「でもなんで、じいちゃんに?」

亜紀「おじいさんとサトさんの遺灰を撒いたでしょ?だから、私に力を貸してくれたのかなって」

朔「『来世で一緒になるために遺灰を撒かれるのはわしらだけでいい』って?」

亜紀「うん。あの時、私が死んでたら、自分の孫にさせようとするでしょ。朔ちゃんは」

朔「そうかも・・・」

亜紀「そうでしょう?」

朔「何でもお見通しだな(苦笑)それはさておき、行こうか?」

亜紀「みんなに連絡した?」

朔「したよ。えーと、あれ鍵・・・?」

亜紀「ここよ。相変わらずね。よく、東京で一人暮らししてるね。心配だわ。今度チェックしに行かなきゃ」

朔「・・・すみません」

写真館について真っ先に亜紀は親父に挨拶した。親父はそんなに喋らなかったが、嬉しそうだった。すると、亜紀が、飾られてる写真を見つけた。

亜紀「懐かしいね、これ」

朔「あの亜紀は・・・嬉しそうだったな」

亜紀「当たり前よ。ウエディングドレスは女の子の夢よ」

その時、
芙美子「お姉ちゃん!」

亜紀「久しぶり〜、芙美子ちゃん」

芙美子「おめでとう!良かった・・・(半泣き)」

亜紀「ありがとうね(つられて涙ぐむ)」

富子「おいおい、めでたいんだから」

芙美子「だって・・・」

潤一郎「泣くなら今のうちに泣いとけ。だが、皆が集まったら、涙は無しだぞ」

亜紀・芙美子「はい・・・」

朔「ふきなよ」

朔はハンカチを渡した。

続く
...2004/11/03(Wed) 17:10 ID:KK3mE7Fs    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
パーティー編その2です。

智世「亜紀!」

智世が慌しく入ってきた。

智世「良かったね〜終わったね〜(笑)」

そこに、スケちゃんとボウズが入ってきた。

龍之介・ボウズ「よっ!おめでとう」

亜紀「皆、ありがとう」

ボウズ「亜紀、これ、快気祝い」

ビニール袋の中には、たこ焼きが。

亜紀「食べたかったんだ〜。焼きたてね」

智世「今、焼いてもらったんだよ」

龍之介「今度皆で食べに行くかい?」

亜紀「絶対だよ。スケちゃんのおごりね」

智世「そうね。社会人だから当たり前よね」

龍之介「ボウズ半分出せよ」

ボウズ「拙僧は修行中だ」

龍之介「頼んだよ。おまいさん」

朔「俺、東京在住。観念しろ」

龍之介「分かったよ」

谷田部「何盛り上がってんの?あんた達?」
谷田部が入ってきた。

智世「先生、ご無沙汰してます」

富子・潤一郎「お久しぶりです。わざわざお越し頂いてありがとうございます」

谷田部「とんでもございません。お呼び頂いてありがとうございます」

そこに、廣瀬夫妻が入ってきた。

綾子「松本さん、今回はありがとうございます」

真「それに、皆さんもお集まり頂いて、ありがとうございます」

富子「いえ、私たちにとっても亜紀ちゃんの退院はうれしい事です。何もありませんが、ゆっくりしていって下さいね」

真「ありがとうございます」

潤一郎「皆さんお集まりのようですね。そろそろ始めますか」

全員に飲み物が配られる。

潤一郎「亜紀ちゃんの退院を祝って乾杯!」

(朔語り)
親父の音頭でパーティーが始まった。先生と亜紀の両親、俺の両親は談笑し、俺たちは芙美子を加えて、亜紀を中心にバカ騒ぎ。

ボウズ「1人ビールかけだ〜。(そういって、頭から缶ビールを被ろうとする)」

智世「ストップ!ストップ!! アンタ、着替えがないでしょ!」

芙美子「私、未成年なんですけど・・・」

亜紀「大丈夫。私も飲めないから」

朔「2人とも飲んでみる?」

龍之介「ウーロンハイなら飲めんじゃないか?」

亜紀「でも、病み上がりだし」

智世「そうね。体調が万全になってからにした方がいいよ」

亜紀「智世はお酒大丈夫なの?」

智世「少しだけだよ」

亜紀「知らない間に大人になったのね・・・。朔ちゃんは?」

朔「飲めるよ。中学のときから隠れて飲んでたから」

亜紀「そうなんだ・・・。よし、芙美子ちゃん、二人で飲めるようになろう」

芙美子「お姉ちゃん、無理しないほうが・・・」

亜紀「どうして?」

芙美子「合う合わないがあるから」

ボウズ「2人とも少しずつな」

そんなこんなで楽しい時間はあっという間に過ぎていった・・・。

真「今日は楽しい時間をありがとうございました。皆様のおかげで、娘は白血病に打ち勝つ事ができました。感謝の言葉もございません。本当にありがとうございました。」

亜紀「今、こうして生きている事が信じられません。まだ無理はできませんが、頑張りますので、よろしくお願いします」

谷田部「ほどほどにね、廣瀬」

亜紀「はい(笑)」

皆が帰った後、俺は後片付けをしていた。

芙美子「お兄ちゃん、明日は何時に帰るの?」

朔「昼ぐらいかな」

芙美子「ギリギリまでお姉ちゃんと一緒にいなくていいの?」

朔「余計な気を使うなよ。それに帰る前に会ってくるよ」

続く
...2004/11/03(Wed) 20:37 ID:KK3mE7Fs    

             Re: アナザーストーリー  Name:Apo.
たー坊さんへ

お上手ですね。毎日、楽しみにしています。
ところで、53の綾子「はい、あー亜紀ちゃん」は富子のせりふですよね?
...2004/11/03(Wed) 20:46 ID:8JSuvm6E    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
Apo.さんはじめまして。ご感想ありがとうございます。

ご指摘ですが、その通りです。結構、書き込むときってしんどいので、こういうことがこれからもあるとは思いますが、よろしくお願いします。
...2004/11/03(Wed) 22:44 ID:KK3mE7Fs    

             Re: アナザーストーリー  Name:ポパイ
たー坊さん本当に良い話です。これからも頑張って書いてください!楽しみにしています
...2004/11/03(Wed) 23:05 ID:.tbt7Ggs    

             Re: アナザーストーリー  Name:かえで
こんばんは。
[49] 「急がずに、ゆっくり一緒に待っていましょうね」は
原作の亜紀のセリフ「急がずに、ゆっくり一緒になっていきましょうね」ですね!
[52] 「わらわはばっちり読んでおるぞよ」は
ドラマのボウズへのテープ「わらわはばっちり聞いておるぞよ」ですね!
hiroさん使いこなしてますねー
わらわもがんばるぞよ!

たー坊さん、いっつも楽しく読ませてもらってます!
続き、頑張ってくださいね!
...2004/11/04(Thu) 00:30 ID:hxLR.C4I    

             Re: アナザーストーリー  Name:けん
たー坊さん。初めまして!このサイトも約1ヶ月ぶりに来まして、見たらたー坊さんのを読んでいたく感動しました。まさしく私も亜紀が生きていたら、どうなっていただろう?と思っていたので、とても感動して読ませてもらっています。これからも、続き楽しみにしていますので、頑張って下さい。
...2004/11/04(Thu) 16:02 ID:VILroOPs    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
ポパイさん、かえでさん、けんさん、ご感想を頂きありがとうございます。暇を見つけては、構想、投稿をしておりますが、なにぶん、こういうことは初めてで、さらに、ド素人が書いておりますので、多々、お見苦しい点があるかとは思いますが、気長に期待せずにお待ちください。評価して頂けてるようで、嬉しいです。ありがとうございます。
...2004/11/04(Thu) 19:52 ID:a8k75Pf6    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
朔が帰京する日(その1)です。

帰京する日・・・。松本家はいつもと変わらない朝を迎えていた。

富子「朔、芙美子、朝ご飯できてるよ!」

朔「・・・(半分ボーっとしている)」

芙美子「どうしたの?」

富子「おおかた、亜紀ちゃんが退院して緊張感が無くなってるんだろ。帰ってからもそんな調子で勉強できるのかい?」

朔「大丈夫。コーヒーある?」

富子「はいよ。毎日飲むのかい?」

朔「普段から睡眠不足なんだ。朝のコーヒーで1日を乗り切れる」

芙美子「大変なんだね・・・。あ、時間だ行ってきます。じゃ、お兄ちゃん気をつけてね」

朔「ああ、じゃあな」

富子「食べ終わったら、荷物まとめなよ!」

朝食を終え、自分の部屋で荷物を整理していたとき、スケちゃんと智世が来た。

朔「どうしたんだよ」

龍之介「いや、帰る前にちょっとな」

朔「ボウズは?」

智世「朝から法事の手伝いだって。よろしくだってさ」

龍之介「なあ、今度はいつ帰ってこれるんだ?」

朔「何で?」

龍之介「せっかく、亜紀が退院したのに、遠距離じゃあなと思ってさ」

智世「昨日、亜紀を送ってったんだけど、亜紀ちょっと寂しそうで。聞いたら、朔ともうちょっと話したいんだって。でもあんたは忙しいだろうし、いつ帰ってこれるかわかんないし・・・」

朔「なるべく帰ってくるようにするよ」

智世「そうしてあげなよ」

朔「分かってる」

龍之介「俺、今から仕事だ。悪いが見送りは行けない」

智世「私もやる事あるんだよね」

朔「ああ、わざわざありがとう」

龍之介「気をつけてな、おまいさん」

智世「じゃね、たまには連絡よこしなよ」

そう言って2人は出て行った。

続く
...2004/11/04(Thu) 21:01 ID:a8k75Pf6    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
朔が帰京する日その2です。

朔「じゃ、行ってきます」

駅の向かう前に、亜紀の家によることにした。
出迎えてくれたのは亜紀だった。両親は出かけているらしい。

亜紀「行くの?」

朔「うん」

駅に向かう途中、若干、重苦しい空気が漂ったが、亜紀が打ち破った。

亜紀「ねえ、なるべく帰ってきてね」

朔「できるだけそうするよ」

亜紀「寂しいなぁ、やっと退院できたのに。デートも無しね」

朔「それだけ?さっき、智世が言ってたよ。亜紀、話したい事があるんだろう?」

亜紀「・・・・・・できることなら、一緒にいて欲しいけど、しょうがないよね」

朔「早く帰ってくるようにする」

亜紀「ううん(首を横に振る)、ちゃんとしたお医者さんになるために、しっかり勉強して」

朔「分かった。」

(朔語り)
ホームで列車を待つ間も会話は続いていた。入院してても退院しても、後ろ髪を引かれる感じは変わらなかった。

亜紀「朔ちゃん、約束して?これから言う事」

朔「何?」

亜紀「まず、体を壊さない事。2つ目は、Hな本とか買わない事。最後に、浮気をしない事。東京はきれいな人が多いんでしょ?心配よ。もし、約束を破ったら、特に最後の約束」

朔「(おそるおそる)最後の約束を破ったら?」

亜紀「婚約解消ね」

朔「・・・・・・はい。肝に銘じます」

亜紀「(意地悪そうに笑いながら)分かればよろしい。わらわは、何でもお見通しぞ!」

朔「俺からも約束して欲しいことがあるんだ」

亜紀「何?」

朔「これ・・・(そう言ってテープを取り出す)」

亜紀「(イヤホンをはめて、再生ボタンを押す)」

テープ朔「何か、つらい事があったらいつでもいいから連絡して。住所は、東京都××区×××2丁目8番地 コーポ×××105号室  電話番号は03−5821−××××」

亜紀「(イヤホンをはずして)いいの?迷惑じゃない?」

朔「入院してたら、連絡も取りづらいかもしれないけど、今はもう大丈夫だろ。当分は遠距離だけど、俺だってたまには亜紀の声を聞きたい」

亜紀「ありがとう。時々連絡するね」

その時列車が近づいてきた。

亜紀「来たよ」

朔「亜紀」

呼ばれて振り向いた瞬間、亜紀は唇を奪われていた。そして気がつくと朔の腕の中にいた・・・

亜紀「行ってらっしゃい」

朔「行ってきます」

別れ際、2人とも笑っていた。長かった闘病生活が終わり、心地よい風が吹く夏の終わりの一日だった。

続く
...2004/11/04(Thu) 22:21 ID:a8k75Pf6    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊
今回もGJです
たー坊さんのアナザーストーリーを読ませて頂くと
心が温まります!!
是非、続編をお願いします。
たー坊さんのストーリーをコピーしてまとめたい
くらいです。
これからも宜しくです!!
...2004/11/05(Fri) 00:29 ID:2ZC0Vsz6    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファンからお詫び
たー坊さん、
最初にさんを付けるのが
漏れてしまいました。
呼びつけにしてごめんなさい
...2004/11/05(Fri) 00:32 ID:2ZC0Vsz6    

             Re: アナザーストーリー  Name:けん
  たー坊さん良かったですよ。          また、続きを楽しみにしています。
...2004/11/05(Fri) 04:02 ID:8ix2ndfI    

             Re: アナザーストーリー  Name:Marc
たー坊さん、良いです、本当に良いです。
毎日読むのが楽しみですよ、本当!

亜紀、学校は休学中ですよね。
復学したら、やっぱり制服ですよ...ね。
でも県立だから、私服になってたりして。
...2004/11/05(Fri) 08:14 ID:3AM7xwgw    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
皆さん、本当にありがとうございます。

サイトのファンさん、全然気にしないでください。私自身、気付いてませんでしたから(笑)

けんさん、喜んでいただけたようで嬉しいです。

Marcさん、私服というアイデアはいいですね。感心しました。
...2004/11/05(Fri) 19:46 ID:jFW17CZk    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
朔が帰京した後です。

(朔語り)
東京に戻ってから2ヶ月が過ぎた。帰ってきてからの俺は、講義、実習とかなり忙しい日々をすごしている。亜紀とは時々の電話と手紙でやり取りしている。最近の亜紀は、定期の検査も異常は無く、リハビリも順調とのことで、近い内に杖も完全に外れるだろうとの事だった。
そんなある日、部屋に戻ってくつろいでいると、亜紀から電話が掛かってきた

朔「はい、松本です」

亜紀「もしもし?朔ちゃん?」

朔「なんだ、亜紀か」

亜紀「『なんだ』はないでしょ。せっかく電話したのに」

朔「ゴメンゴメン、で、リハビリはどう?」

亜紀「その事で電話したの。私、杖がとれたの!」

朔「よかったな。思ったより早かったんじゃない?よく頑張った」

亜紀「ありがとう(笑)朔ちゃんは?どうなの最近」

朔「相変わらずだよ。睡眠不足の日々」

亜紀「大丈夫なの?ちゃんと食べてる?」

朔「大丈夫だって。亜紀こそ、体調は?」

亜紀「元気よ。検査も異常はないしね。」

朔「それならいいんだ。で?何かあるんじゃないの?」

亜紀「うん・・・私、これからどうしたらいいんだろうって・・・。復学しても、5歳離れてるわけでしょ。とても同い年のようにはいかないんじゃないかなって・・・」

朔「亜紀ならとけこめるんじゃないか?」

亜紀「どうかしら、少し不安なのよね」

朔「・・・・・・なあ、定時制の方に編入っていうか、復学はできないのかな?」

亜紀「定時制?」

朔「定時制なら年齢の幅も大きいから気にならないと思うし、色んな人がいるから面白いんじゃないかと思ってさ」

亜紀「もしかしたら、そっちの方がいいかも。谷田部先生にも相談してみるね」

朔「その方がいいよ。俺なんかよりずっといい相談相手になってくれる」

亜紀「ありがとう。・・・ところで、宮浦の研修の話はどうなってるの?」

朔「あー、あれは・・・」

(朔語り)
帰ってから一段落した後、俺は、久保教授の部屋を訪ねた。

朔「失礼します」

久保「どうぞ。佐藤さんから電話をもらってね。聞きたい事はその事だね?まあ、すわって下さい」

朔「はい」

俺がすわると久保教授が話してくれた。

久保「うちの大学のカリキュラムは知っているね?
5、6年は実習があるだろう。その一環として一般病院での研修がある」

朔「はい」

久保「そこで、松本君はその研修に参加する意思はないかと思ってね」

朔「でも何で宮浦なんですか?」

久保「実はうちの大学の研修に協力してもらってる病院は私の同期や、知り合った医師がいる所ばかりなんだよ。佐藤さんと私の関係は聞いたね?」

朔「はい。学会で知り合ったと聞きました」

久保「そう。そして知り合ってしばらくした時、相談を受けてね。骨髄移植のレベルが高い病院を紹介していただけないかと。それで、紹介したのが横浜市内にある私の知り合いの務める病院だった」

朔「それはもしかして・・・」

久保「そう、私も後で知ったが、君の恋人が移植を受けた病院だよ。えーと名前は・・・何だったかな?」

朔「亜紀、廣瀬亜紀です」

久保「そう廣瀬さんだったな。佐藤さんから、移植が成功したとの報告をもらった時に、佐藤さんと君とのつながりを知ったんだよ」

朔「そうだったんですか・・・いろいろありがとうございました」

久保「いやいや。それでどうかな?地元で研修を受ける気はないかな?」

朔「是非行かせて下さい。でも、何で僕を?」

久保「君にそれだけの能力があると私は思っている。場所が宮浦なのは、佐藤さんを知っているから、いろいろとやり易いのではないかと思ってね。」

朔「ご配慮ありがとうございます。それで、いつごろから行かせて頂けるんでしょうか?」

久保「その点を含めた話は、これから詰めの話をするんだ。詳しい事は決まり次第教えるから、もう少し待ってくれ」

朔「分かりました。では授業がありますので、失礼します」

久保「これから現場に出る身だ。気を抜かず頑張りなさい」

朔「はい。失礼します」

俺は久保教授との話の内容を全部話した

亜紀「そうだったの・・・私が横浜で移植を受けれたのはそういう事があったのね・・・」

朔「人とのつながりって面白いよね。聞いたときは俺も驚いた」

亜紀「先生にお礼言ってくれたの?」

朔「ああ、教授は医師として当たり前の事をしただけって感じだったけど」

亜紀「そう・・・。朔ちゃんはいずれは帰ってくるのね?」

朔「今すぐってわけじゃないけどね」

亜紀「うん。そしたら一緒にご飯食べれるね(笑)」

朔「・・・じゃあ、明日は早いしそろそろ寝るよ」

亜紀「相変わらず煮え切らないのね(苦笑)」

朔「亜紀が一番良く知ってるじゃないか」

亜紀「そうだった(苦笑)、じゃ、おやすみ朔ちゃん」

朔「おやすみ亜紀」

そういって俺は受話器を置いた

続く
...2004/11/05(Fri) 22:29 ID:jFW17CZk    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さん
このサイトのたー坊さんの書き込みを読むのが日課になってしまいました。
しかも最初から!
何回読んでもGJ!です
読んでいて気づかずにニヤけていました。
是非、続けてくださいね!
...2004/11/06(Sat) 00:08 ID:cX./EvI6    

             Re: アナザーストーリー  Name:ポパイ
毎日楽しくよんでいます!!私も毎日の日課になっています!これからも頑張って下さい
...2004/11/06(Sat) 22:10 ID:gZ4b6PZE    

             Re: アナザーストーリー  Name:にわかマニア
 たー坊様
 いつも楽しく拝見させて頂いております。この先の構想もかなり進んでおられるものと拝察いたします。
 さて,退院後のシーンで,「復学しても、5歳離れてるわけでしょ。とても同い年のようにはいかないんじゃないかなって・・・」と不安を漏らした亜紀に対して,サクは定時制への編入を提案していますね。
 それも一つの考え方だとは思いますが,定時制だと修業年限が確か4年でしたから,更にもう1年余計にかかることになります。そこで,これはちょっとした「裏技」なのですが,亜紀に「大検」を受けさせるという手もあります。9月出願の11月試験ですから,今すぐ出願しておいて,自宅療養中に猛勉強しておけば,何とかスケジュール面でのつじつまは保てます。
 東京ー宮浦間の遠距離恋愛をどう描くか,研修先を地元の病院に選ぶか等との兼ね合いもあるでしょうが,いきなり来春,亜紀を進学させ,東京で物語を再開するという手もあるのかなと思って,ちょっと余計な書き込みをしてしまいました。
 失礼がありましたら,お詫びいたします。
...2004/11/07(Sun) 15:33 ID:UyXUH46c    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
サイトのファンさん、ポパイさん、毎回の激励ありがとうございます。

にわかマニアさん、はじめまして。ご感想を頂きましてありがとうございます。
ご提案ですが、大検のアイデアは、私も以前から考えていました。実際にストーリー上の年代と同じ時期から、現実においても、受験者数が2万人を超えて、大検がより身近になってきたという事実から、ストーリーに取り入れようと思っています。同じお考えを持っていらっしゃることに安心致しました。
事実、病気以前の亜紀の成績なら、にわかマニアさんのおっしゃる通り、わずかな時間の猛勉強で資格は取れるでしょうし(笑)

「大検」のアイデアをつかわさせて頂きたいと思います。これからもご指摘などありましたら、宜しくお願いします。
...2004/11/07(Sun) 22:58 ID:tEBlrfAk    

             「大検」ってコトバが初めての皆さん...  Name:にわかマニア
 たー坊様。横からの口出し,失礼いたしました。
 このサイトをごらんの皆さんの中には,「大検」というコトバを初めて見たという方もいらっしゃるかもしれませんので,ご存知の方は退屈でしょうが,ちょっとお付き合いください。
 「大検」とは,「大学入学資格検定」の略称で,諸般の事情で高等学校を卒業していない人たちのため,高等学校卒業と同等の学力があることを証明する検定試験のことです。検定合格者は,大学・短大等の受験資格や,高卒を条件とする資格試験の受験資格を得ることができます。なお,全日制在籍者(休学中も含む)には受験資格がないため,定時制への編入というのは,この点からも必要な設定になってきます(何回か制度が変更になっていますので,80〜90年代と違っていたらごめんなさい)。
 詳しくは文部省のホームページをご参照ください。検索エンジンで「大検」と入れてもアクセスできます。
 以上,横からの割り込み失礼いたしました。
...2004/11/08(Mon) 00:55 ID:xgyjgX/w    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
今回は谷田部に相談するシーンを

(亜紀語り)
朔ちゃんに相談した次の日、私は早速、先生に相談した。
もし、普通に全日制に復学できた場合の不安や朔ちゃんが提案してくれた定時制への編入、一通り話した後、先生が話してくれた。

谷田部「あんたが不安がってる5年っていうのは、なかなか埋められるわけじゃないよ。ただ、うまくやれば、1年だけ短縮する事もできる」

亜紀「どうすればいいんですか?」

谷田部「学校を退学するか、定時制へ編入して、大検を受ける」

亜紀「大検ですか・・・」

谷田部「あんたが病気をする前の成績なら、大検は受かると思うけど、問題は、もし大学を受けるなら、レベルとかを考えると、近くの大学にしか行けないと思う」

亜紀「3年生の勉強はしてないですしね」

谷田部「・・・ねぇ、あんた、何の為に進学するの?目的とかある?ただ、松本達に少しでも追いつきたいとかの焦りだけで受けて合格しても、目標がないと時間が無駄になるんじゃない?」

亜紀「実は、私が移植手術を受けた横浜の病院に小さな女の子がいたんです。その子、いつも絵本を読んでたんですけど、絵本を見てるだけで笑顔で。それからなんです。絵本関係の仕事ができたらいいなぁって」

谷田部「最低限の目標はあるみたいね。でも正直言って、全面的に賛成というわけにはいかない。」

亜紀「どうしてですか?」

谷田部「やっぱり、焦りがあるのは否めないし、病み上がりの体で受験戦争を戦うにはどうかと思う」

亜紀「・・・」

谷田部「体を壊したら何にもなんないよ?松本だって医学部に合格した後は受験疲れで学校に来なかったし。ねえ廣瀬、もう1年だけ甘えさせてもらったら?ご両親にも、松本にも・・・できない?」

亜紀「・・・(考え込む)」

谷田部「あんたの意志は尊重する。でも、ご両親にも相談しないとね」

亜紀「はい」

谷田部「松本には相談したの?」

亜紀「はい、それで、先生に相談してみたらどうかって」

谷田部「そう・・・大検に必要な書類とかは一応揃えておく。ご両親にも相談して、復学するか、大検受けるか決めてから来なさい。ただ、あまり時間は無いよ。大検の出願締め切りも迫ってるから」

亜紀「はい。それでは失礼します」

続く
...2004/11/08(Mon) 10:14 ID:qTXQ8.kU    

             Re: アナザーストーリー  Name:勇気
いつも楽しみに読んでいます。たー坊さん、これからもがんばって書いてください。 
応援してます。
...2004/11/08(Mon) 11:16 ID:zXLT9GJg    

             Re: アナザーストーリー  Name:Marc
たー坊さん、私も応援しています。

でも、(亜紀と一緒で)無理はしないでくださいね♪
...2004/11/08(Mon) 11:57 ID:pTUWy4A2    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
勇気さん、Marcさん、ありがとうございます。
無理せず、ほどほどに書きたいと思いますので、よろしくお願いします。

そんなわけで、相談のシーンその2です。

亜紀「ただいま」

綾子「おかえりなさい」

亜紀はそのまま部屋に戻って、今までの授業ノートなどを眺めていた。ほとんどの問題は今でも解ける。大検の資格だけなら取れるかもしれないと思った。
その時、真が帰ってきた。善は急げとばかりに、亜紀は夕飯前に相談する事にした。

亜紀「お父さん、ちょっと相談あるんだけど」

真「なんだ?」

亜紀「私、大検受けて資格を取って、大学受験したいんだけど・・・ダメかな?」

真「(少し驚いて)・・・ダメではないが、どうしたんだ?それに、体も完璧というわけではないだろう」

(亜紀語り)
私は、漠然としてではあるが、将来やりたい仕事があること、このまま全日制に復学する事への不安、朔ちゃんに相談した事の内容、今日先生に相談してもらった事、すべてを両親に話した。

真「・・・早いんじゃないか?」

亜紀「体のこと?」

真「お前の気持ちは良く分かった。復学に関しても、どんな形をとっても良いと思う。退学して大検一本に絞るのも良いだろう。だが、一番私たちが気がかりなのは体調面だ」

綾子「全日制か定時制に復学して、卒業するころには体も元に戻ってると思うの。それからでも遅くは無いと思うの。どう考えても1年は早いと思うの・・・」

亜紀「反対?」

真「私達からすれば、『そんなに焦らなくてもいいんじゃないか?』って事なんだ」

綾子「・・・朔君よね?」

亜紀「え?」

綾子「上田さんや大木君、中川君の影響もあるでしょう?どうしても気になってしまうわよね。なんとなく分かるような気がするのよ」

亜紀「・・・うん」

真「そうか・・・(考え抜いて)妥協案だ。ひとまず、定時制に編入する。そして大検を受け、合格したら大学受検をしてもいい。ただし、あまりに無理をしすぎて、体調を崩したら即中止だ」

綾子「(苦笑しながら)亜紀ちゃんは言っても聞かないものね」

亜紀「本当にいいの?」

真「さっき言った事を必ず守るんだ。いいな」

亜紀「はい」

(亜紀語り)
こうして私の大検への挑戦が始まった。
谷田部先生には、翌日、すぐに大検に出願する事をお願いし、定時制に編入する事に決めた。先生は苦笑いしながら「分かった。無茶だけはしないようにしなさいよ」と言ってくれた。佐藤先生は「今のところは異常は無いよ。でも、ちょっとおかしいなと思ったらすぐ来なさい」と釘を刺された。

志望校は隣町にある智世が通う大学に絞った。
智世にこの事を伝えるため、私は智世の家を訪ねた。

続く
...2004/11/08(Mon) 22:37 ID:qTXQ8.kU    

             Re: アナザーストーリー  Name:勇気
たー坊さん、あせらず無理せずに自分のペースで書いてくださいね。
楽しみに待ってますね。
...2004/11/08(Mon) 23:10 ID:zXLT9GJg    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さん
今回もスゴクいいです
これは、もはやアナザーストーリーではなく
たー坊さん版世界の中心で愛をさけぶ、愛をさけぶですね。
私も読むのが楽しみですが、とにかく続けて欲しいです。
マイペースで作品を制作し
私達を楽しませてください
本当にいいストーリですよ!!
...2004/11/09(Tue) 01:36 ID:8hchA4sk    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
勇気さん、サイトのファンさん、毎回ありがとうございます。

未だに、皆さんを不快にさせていないかと不安もありますが、マイペースで書いていきたいと思いますので、よろしければ見てください。
...2004/11/09(Tue) 18:43 ID:cY7QwG0E    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
たー坊様へ
 アナザーストーリー読ませていただきました。
このストーリーも元のストーリーより勝るとも劣らないものだと思います。亜紀が助かる「アナザー・ワールド」でのストーリーをこれからも楽しみにしております。これからもぜひ続けてください。
 
...2004/11/09(Tue) 19:00 ID:019s.JMk    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
グーテンベルク様、ご感想ありがとうございます。私にとって最大の賛辞です。これからもよろしくお願いします。
...2004/11/09(Tue) 19:49 ID:cY7QwG0E    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
とりあえず、まとまっている所を書かせていただきます。 

亜紀と智世の会話のシーンを。

亜紀「こんにちは」

智世「はーい、何か・・・あれ、亜紀か」

亜紀「今、大丈夫?」

智世「いいよ。上がって」

智世の部屋に入ると、そこにはスケちゃんが。

龍之介「よう!」

亜紀「あれ?スケちゃん。ねえ智世、もしかしてお邪魔しちゃった?」

智世「気にしない!余計な気は使わないの!」

龍之介「そうそう。別にたいした話してないし」

智世「で?何か話があるんじゃないの?」

亜紀「たいした事じゃないんだけど・・・。」

智世「何よ?」

亜紀「私、大検とって、智世の大学受ける事にした」

智世「え!?だってあんた体は?」

亜紀「ちょっとでも体調崩したら、即中止が条件なの」

智世「どこの学部受けるの?」

亜紀「文学部」

智世「何でまた?」

亜紀「絵本の編集者なんかになれたらいいなぁ〜って」

智世「そーなんだ・・・。目標あるなら応援するよ」

亜紀「ありがとう(笑)」

龍之介「俺も陰ながら合格を祈ってっから。朔には?もう言ったのかい?」

亜紀「うん。少しは。」

・・・そのころ、東京の朔は久保教授に呼び出され、授業の一環である宮浦での研修の説明を受けていた。

久保「えーと、決まった事をまず伝えるよ。期間は来年の4月から。つまり、5年生になった時点で宮浦に行ってもらうことになる。期間は1年半。研修後、戻ってきてもらって、卒業試験と医師国家試験を受けてもらう事になるね。研修中にレポートなどを郵送してもらったりするかもしれないから、そのつもりで。医師国家試験の説明会などもあるんだが、なるべく出たほうがいいと思う。向こうの住所に資料などを郵送してあげよう」

朔「何から何までありがとうございます。助かります」

久保「質問はあるかね?」

朔「進級するまでの授業はこれまで通りでいいのでしょうか?」

久保「えーと・・・松本君は・・・(朔のデータを見て)問題なしだ」

朔「分かりました。いろいろありがとうございました。それでは失礼します」

こうして、朔の研修が正式決定した。
一方、智世の部屋では3人の世間話に花が咲いていた。

亜紀「大学って楽しい?」

智世「薬学部はきつい事もあるけど、すっごい楽しいよ」

龍之介「俺も水産学部のある大学に行けばよかったかな・・・」

智世「アンタは行かなくて正解よ」

龍之介「なんでだよ?」

智世「浮気するの目に見えてる」

亜紀「高校の時の事もあるし・・・」

龍之介「信用ねえなぁ、俺・・・」

智世「朔はどうなのよ?ある意味、あいつが一番危険よ?場所が場所だけに・・・」

龍之介「東京には魔物が棲んでるからなぁ。自分の意思とは関係なしに泥沼って事に・・・」

亜紀「大丈夫。釘刺しといたから(意地悪そうに笑う)」

智世「何よ〜その顔は?何言ったの?」

亜紀「もし、浮気したら婚約解消って言っといた」

智世「朔も大変だわ。早くも尻に敷かれて・・・(憐れみの表情で)」

亜紀「でも心配なのよね・・・」

龍之介「よお、受験終わったら、皆で東京に行こうか」

智世「面白そう。ドッキリね」

亜紀「内緒にしておかないと」

智世「龍之介、旅費よろしく!」

龍之介「勘弁してくれよ。この前遊び行った時も俺が持ったじゃないかよ」

亜紀「(2人のやり取りを見て)智世が主導権握ってるね」

龍之介「亜紀の所と同じだよ・・・俺もきつくて・・・」

亜紀「言っとくけど、私は敷いてないよ」

智世「いや、敷いてるよあんたは」

亜紀「敷いてない!」

そんなこんなで時間は過ぎていった・・・。そして家で夕飯を済ませた後、朔に電話。

亜紀「もしもし?」

朔「亜紀?ちょうど良かった。俺も電話しようかと思ってたんだ」

亜紀「何?」

朔「宮浦研修の話。来年の4月からに決まったから」

亜紀「そうなの?本当に?」

朔「ああ。その前に正月に一回帰れると思うけど」

亜紀「私も報告があるんだけど」

朔「何?」

亜紀「私、定時制に編入する事になったから。」

朔「そっか」

亜紀「それで、大検取って、智世と同じ大学受ける」

朔「え!?」

亜紀「心配しないで。体の調子もいいし。もし、体調崩したら、即中止っていう条件付きでお父さんも賛成してくれた」

朔「・・・」

亜紀「やっぱり反対?」

朔「・・・反対して、やめる亜紀じゃないだろ。分かった。ほどほどに頑張れよ(笑)」

亜紀「ありがとう(笑)」

続く 
...2004/11/09(Tue) 22:10 ID:cY7QwG0E    

             Re: アナザーストーリー  Name:北のおじさん
たー坊様、初めまして。
毎日この時間が楽しみでなりません。
ストーリーの作成、投稿と大変な事と思いますが、私のように楽しみにしている人も多い事と思います。
ドラマのメンバーがそのまま生きているかのような物語、これからもがんばって下さい。
...2004/11/09(Tue) 22:18 ID:M7uS2Gkc    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さん
毎回GJです
NHKの朝の連ドラみたいに(比較してはたー坊さんに申し訳ないですが)毎日、見させて頂かないと気になります。職場で自宅でここをチェックしてしまいます。
今後の展開気になります
...2004/11/09(Tue) 23:13 ID:8hchA4sk    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
たー坊様へ
 何度見てもいいストーリーですよ。ドラマのメンバーを頭の中でイメージしながら読ませていただいております。朔と亜紀がこれからどのよな未来を紡ぎだしてゆくのか楽しみです。このアナザーワールド版世界の中心で愛をさけぶ を楽しみにしている人も多いと思います。無理をせず、マイペースで頑張ってください。
...2004/11/10(Wed) 18:43 ID:DvMvJWL2    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
北のおじさん様、サイトのファン様、グーテンベルク様、楽しみにしてくださってるようで何よりです。私としても書きがいがあります。ありがとうございます。

少しだけ書かせて頂きます。電話の後です。

亜紀は受話器を置くと、「よし」と言って机に向かった。病気になる前と同じように、再び人生の目標に向かって全力疾走を始めた。朔たちの影響を受けた事が自然と亜紀を頑張らせた。
試験までの日常は、夕方以降は定時制に通い、時には、全日制の谷田部を訪ね、古文などの指導を仰いだ。朔にも電話口で数学、理系科目の質問をした。空いてる時間は同じく受験生の芙美子と図書館などで情報交換をしつつ勉強した。おかげで、芙美子の方も成績は伸びていったのだが・・・。

そして、11月の大学入学資格検定前夜・・・
電話のなる音、綾子が出た。

綾子「はい、廣瀬です」

朔「こんばんは、松本です」

綾子「あ、朔君?ちょっと待ってね。亜紀ちゃん、朔君からよ」

亜紀「はーい。もしもし、どうしたの?」

朔「いや、明日だろ、大検」

亜紀「それでわざわざ?」

朔「うん、長話も迷惑だろうから手短にするけど」

亜紀「大丈夫。やるだけやったって感じだから。もし、だめでも悔いはありません!清々しいよ」

朔「前向きだね。自殺未遂の時とは大違いだ(笑)」

亜紀「あなたの影響は大きいわよ」

朔「『あなた』か・・・(結婚したら、そう呼ばれてみたいと密かに思う・・・)」

亜紀「『あなた』はなんか変ね(苦笑)よし、結婚しても今まで通り呼ぶね」

朔「何年後かな・・・(思いきりガックリ来てる)・・・それはそうと、何か芙美子までお世話になってるみたいで、ゴメン。邪魔になってないか?」

亜紀「そんな事無いよ。大丈夫。可愛い妹をそんな風には思わないよ(笑)」

朔「ならいいんだけど。じゃあ、明日頑張れよ」

亜紀「はい。わざわざありがとう。じゃあね」

受話器を置き、朔の声を聞き気合いの入った亜紀
は、机に向かい、最後まで粘るのだった。

そして翌日・・・

(亜紀語り)
程よい緊張感の中で受けた試験、私としては上出来だったと思う。手応えも十分だった。家に帰る前に谷田部先生に会って、テストの報告をした。「結果が出たら、私から渡すから」と言われて、少し嬉しかった。
家に帰ってからは、今度は大学の本試験の勉強を始めた。

2週間後、結果が来た。大学入学資格検定に合格。すぐに東京に電話すると、朔ちゃんは「おめでとう。これからが勝負だよ。もうひとふん張りだから。でも体には気をつけて。最近寒くなって来てるから」と言ってくれた。

そしてさらに1ヶ月が過ぎた。

亜紀「(カレンダーを見ながら)あと1ヵ月半か・・・願書も用意したし」

ふと、あることに気付く。

亜紀「もう、クリスマスか・・・。そういえば、朔ちゃんと普通にクリスマスを過ごしたこと無かったなぁ。・・・お正月に帰ってくるって言ってたけど・・・クリスマスから帰って来てくれないかなぁ・・・・・やっぱり会いたいよ。朔ちゃん」

机の上に飾られた2人の写真を見つめながら亜紀は、1人呟いた・・・。

続く
...2004/11/10(Wed) 23:28 ID:758dhlZU    

             Re: アナザーストーリー  Name:ポパイ
何かもう良すぎです!!結婚生活までみたくなっちゃいました!!!!
...2004/11/10(Wed) 23:33 ID:X2hDORBo    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さん
読んでいると亜紀とサクの姿が浮かんできます
(ドラマ版かな?)
完全にもう一つの世界の中心で愛をさけぶですね。
サクと亜紀だけでなく、芙美子や谷田部先生まで
話しに加わってくるので物語が魅力的です
毎日忙しく大変でしょうが
たー坊さんの物語のファンの方はたくさん
いますので続編がんばって書いてください。
たー坊さんは何故、谷田部先生は独身だと思いますか?
たー坊さんの観点で物語で解明して頂けませんか?
続編、楽しみにしてます!!
...2004/11/10(Wed) 23:50 ID:QroJgABo    

             Re: アナザーストーリー  Name:yosi
たー坊さん
これは完全なパラレルワールドですね
私も毎日楽しみにしております
無理せず頑張って下さいね
...2004/11/11(Thu) 18:54 ID:9hSU2Tz6    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
皆さん、ご感想ありがとうございます。時間を見つけ次第書き込みますので、よろしくお願いします。

サイトのファンさん、谷田部先生の独身理由は閃き次第書きたいのですが、現時点では、考える暇もありません。ご勘弁下さい。
...2004/11/11(Thu) 21:01 ID:bKJxrTME    

             Re: アナザーストーリー  Name:SATO
たー坊さん、ステキな話を読ませていただき、ありがとうございます。亜紀が生きていたら・・・というみんなの願望が反映されているようですよ。
...2004/11/11(Thu) 21:56 ID:76ZdWiUE    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
たー坊様へ
 この物語の読者はたくさんいるみたいですね。
仕事帰りの電車内でこの物語の話をしている方がいましたよ。
 ちょっと真面目な話になりますがこの場を借りて書かせていただきます。
素晴らしい物語というのは見ている人たちに様々なよい影響を与えるそうです。
 例をあげると、イライラ、悲しみ、憎しみといったマイナス感情を消し去ってしまったり、また、こんなふうに幸せになりたいと思ったり自分も努力しようと思ったりすることで日々の生活にも活気がでたりするそうです。
 この物語はまさにそういった”素晴らしい物語”だと思いますよ。
 これからもこの物語を楽しみにしております。よろしくお願いします。
...2004/11/11(Thu) 22:13 ID:ahB./f5Q    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
続きです。

澄みきった12月の空の下、亜紀は気分転換を兼ねて智世とタコパパでたこ焼きを食べながら、情報交換をしていた。

智世「注意する事はそれぐらいかな。他になんかある?」

亜紀「大丈夫。ありがとう」

智世「あっ、神頼みじゃないけど、一応、初詣も忘れずに行ったほうがいいよ(笑)お正月には朔も帰ってくるんでしょ?一緒に行きなさいよ」

亜紀「・・・うん」

智世「どした?朔とケンカした?」

亜紀「ううん。お正月に帰ってきてくれるのは嬉しいんだけど、できればあと1週間早く帰ってきてくれないかなって」

智世「?・・・あー、クリスマスか・・・」

亜紀「うん」

智世「そーいえば、あんたが倒れてから、朔どころか、みんなで揃ってパーティーをするとか無かったもんね」

亜紀「今年、智世は?スケちゃんと過ごすんでしょ
?」

「過ごすんだろ?」

会話に入ってきたのはボウズだった。

智世「何なのよ!いきなり」

ボウズ「独り身だからな俺は・・・。お前ら贅沢なんだよ。愛してくれてるんだからいいじゃねーか」

智世「それとこれは別!」

亜紀「それで?過ごすんでしょ智世?」

智世(少し恥ずかしそうに)「うん、一応」

亜紀・ボウズ「いいなぁ」

智世「私からすれば亜紀達の方が羨ましいよ。遠距離とはいえ、お互いをすごく大事にしてるじゃない?」

亜紀「やっぱり私は、いつも会えるほうがいいと思う」

ボウズ「高校の時みたく?やっぱり寂しいか・・・」

亜紀「うん。・・・これは、皆に話してなかったんだけど」

智世「何?」

亜紀「私が倒れて、皆がオーストラリアに修学旅行に行ってる間、私、朔ちゃんと別れようと思ったの」

智世「え?」

亜紀「結局、帰国した朔ちゃんがプロポーズしてくれて、皆と結婚写真撮ったんだけどね」

ボウズ「朔は途中で帰ろうとしてたけどな。その時に俺たちは亜紀が白血病って知った・・・」

亜紀「そうだったんだ。それでね、私、別れを告げるためのテープを吹き込んだんだけど、その時、やってることとは反対に、すっごく朔ちゃんに会いたかったの・・・」

智世「その時と同じくらい今、朔に会いたいわけ・・・?」

亜紀「うん。(寂しそうな顔をして)付き合い始めて5年経つんだけど、1度もクリスマスを過ごしたことが無くて・・・」

ボウズ「あいつだって、同じ気持ちなんじゃないか?」

智世「受験を控えてナーバスなんじゃない?私達で良かったらいつでも会うからさ。あんまり考え過ぎると良くないよ」

亜紀「入院してるときは気にならなかったのにね(苦笑)あ、そろそろ帰るね。最後の追い込みしないと」

智世・ボウズ「じゃあね。程々に」

残った2人はスケちゃんを呼び出し、一部始終を話し、緊急会議。

龍之介「なるほどな。俺、朔に連絡とってみるわ」

智世「どうなるものでもないけど、そうしてあげてよ」

ボウズ「なんつーか、亜紀のあーいう表情、初めて見たな」

智世「病気を乗り越えて強くなったどころか、弱くなった気がする」

龍之介「いや、強くなったさ」

智世「え?」

龍之介「なんとなくだけどさ、以前の亜紀なら、自分の本音を話すことなく、強がるっていうか、意地張って頑張ってたんじゃないか?・・・さらけ出す勇気を持ってるよ。今の亜紀は」

智世「・・・朔と付き合いだしてから、確かに亜紀変わった」

龍之介「素直になったというか、別の意味での強さを身に付けた感じだな」

2人と別れ、夜になってから、自分の部屋からスケちゃんは朔に電話した。

龍之介「よお」

朔「よう、スケちゃんか。珍しいな」

龍之介「なあ、いつ帰ってくるんだ」

朔「正月」

龍之介「もうちょっと帰ってこれないかい?」

朔「ちょっと、難しいな」

龍之介「できれば帰って来いよ」

朔「ああ。でもどうしたんだ?」

龍之介「智世から聞いたんだけど、亜紀が寂しがってるんだと」

朔「?」

龍之介「おいおい、クリスマスだよ。付き合ってから、一度もおまいさんとクリスマスを過ごしたことが無いって言ってたってよ」

朔「・・・ああ」

龍之介「できれば、早く帰ってやれよ。受験も控えてるから、ちょっと参ってるみたいだ」

朔「分かった。わざわざありがとう」

龍之介「おお。じゃあな」

受話器を置いた朔の表情は、硬いままだった。

続く
...2004/11/11(Thu) 22:30 ID:bKJxrTME    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
SATO様、評価していただいてありがとうございます。「世界の中心で愛をさけぶ2」の製作も大変だと思いますが、頑張ってください。

グーテンベルク様、毎回、ご感想をいただきましてありがとうございます。
どうやら、想像以上に多くの方に読んでいただいてるようですね。その点を、いろんな意味で、肝に銘じて書かせていただきますので、よろしくお願いします。
...2004/11/11(Thu) 22:59 ID:bKJxrTME    

             Re: アナザーストーリー  Name:SATO
たー坊さん、どうも。「2」も読んでくださってたんですね。ちょっとした遊びで始めたら完全にハマッテしまいましたよ。たー坊さんも今そんな心境では?
...2004/11/11(Thu) 23:04 ID:76ZdWiUE    

             Re: アナザーストーリー  Name:けん
たー坊様
 久しぶりです。仕事でこのサイト開けなかったので、今ドラマのサントラを聞きながら、まとめて読ませてもらっています。相変らず、とても良いストリーですね。亜紀や朔はもちろん他のキャストが話している情景がとても想像出来て感動しています。これからも、楽しみにしていますので頑張って下さい。
...2004/11/11(Thu) 23:07 ID:moz4.j4I    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
SATO様のおっしゃる通りかもしれません(笑)
ただ、不特定多数の方が見られるわけですから、あまりいい加減なことはできないなと。そこを踏まえて書かせて頂こうと思いますので、よろしくお願いします。
...2004/11/11(Thu) 23:12 ID:bKJxrTME    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
けん様、ありがとうございます。相変わらず、妄想爆発しておりますが(苦笑)、よろしくお願いします。
...2004/11/11(Thu) 23:14 ID:bKJxrTME    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さん
執筆、お疲れ様です!
グーテンベルク様からも書き込みがありましたが
私も知り合いに、たー坊さんの世界の中心で愛をさけぶの話しをしたら毎回読んでいるみたいです。
その知り合いも友人に勧めたみたいです。
私の周りでも多くのファンがいますよ!
少しプレッシャーをかけちゃったかな?
私も願いは一つだけです。
忙しいでしょうが是非、心が温まる作品を続けて下さい。
...2004/11/11(Thu) 23:14 ID:zKvaUW4I    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
サイトのファンさん、ありがとうございます。
多くの方に読んでいただける事はありがとうございます。マイペースで書かせて頂きますので、よろしくお願いします。
...2004/11/12(Fri) 19:50 ID:VSdS9lBE    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
続きです。

翌日、朔は昨日スケちゃんに言われたことが引っかかりつつも、学校に出ていた。

朔「・・・・・」

「おはよう」

(朔語り)
挨拶してきたのは同期の小林だった。彼女とは、不思議と何でも話せる。亜紀の事も話した。サークルとかでも一緒になることも多かった。東京での俺の良き理解者の一人だ。

朔「・・・ああ、おはよう」

小林「どうしたの?珍しくボーっとしてるじゃない?」

朔「ん、ちょっとね」

小林「亜紀さんの事?」

朔「まあね・・・」

(朔語り)
俺は小林に昨日知った事を彼女に話した。何かアドバイスをもらえないかと思った。

小林「なるほどね〜。私も経験あるなぁ」

朔「そうなんだ」

小林「高校2年の時の話。その時、付き合ってた人がいたの。その人は野球部で、『来年が最後だから』って、冬場も一生懸命練習してたの。怪我するんじゃないかってくらい頑張ってた。私は、クリスマスに会いたかったんだけど、そんな彼を見てると、とても言えなくてね。今の亜紀さんは、もしかしたら、そんな感じなのかもしれない」

朔「遠慮してるって事?」

小林「そう。まして、松本君がこの道を選んだ最初の理由は、『病気の亜紀さんを治すため』でしょう?もちろん亜紀さんもそのことを知っているわけだから、なかなか、ハッキリとは言いにくいんじゃないかしら?」

朔「気にしなくていいんだけど・・・」

小林「そういうものなのよ」

朔「・・・なあ、小林が付き合ってた人とはクリスマスに会ったの?」

小林「うん。私は親友に彼のことを相談してた。その親友の彼も野球部でね。親友の彼から言ってくれたんだと思う。結局、彼の方から『会おう』って言ってくれてね。とっても嬉しかったわ」

朔「今回とほとんど一緒だな」

小林「そうね。私は帰ってクリスマスを一緒に過ごしたほうがいいと思う。やっぱり忙しい?」

朔「うん・・・。でも何とかしてみようと思う」

小林「そのほうがいいわよ。亜紀さんも喜ぶと思うわ。じゃあ、私、授業だから」

朔「ありがとう。助かった」

講義を終え、部屋に戻った朔は、帰郷を早めることを決め、やるべきことに手を付けていた。一方、亜紀は芙美子を部屋に呼んで一緒に勉強していた。

亜紀「ちょっと休憩しようか」

芙美子「うん、ちょっと疲れた」

綾子「お疲れ様」

綾子が、飲み物とお菓子を持ってきてくれた。

芙美子「すみません。いただきます」

綾子「どうぞ、ごゆっくり」

そういうと綾子はすぐに出て行った。

亜紀「芙美子ちゃんは、クリスマスどうするの?」

芙美子「え?ちょっと・・・」

亜紀「彼?(微笑を浮かべながら)」

芙美子(顔を赤くして)「うん」

亜紀「いいねぇ。スミに置けないんだから(笑)」

芙美子「お姉ちゃんだって、お兄ちゃんと一緒に過ごすんでしょ?なんたって、初めて2人で過ごすクリスマスだもんね」

亜紀「どうかな・・・。朔、忙しいし、お正月には帰ってくるって言ってたんだけど・・・」

芙美子「・・・ごめんなさい。余計なこと聞いちゃって・・・」

亜紀「気にしないで。受験が済んだら、私が東京に行っても良いしね」

芙美子「でも、お兄ちゃんもひどいな〜。こんなキレイな婚約者を、よりによってクリスマスにほったらかしにして」

亜紀「でもね、来年になったら毎日でも会えるから。それまでの我慢よ」

芙美子「私は許せないな〜」

亜紀(微笑みながら)「いい?私の旦那様になるかもしれない人は、1人東京で頑張ってるの。だから、私も頑張らないといけないの」

芙美子「・・・・・・」

亜紀「私もやっぱり会いたいよ。でも、ワガママばっかり言ってられないよ。それに私達、受験生だしね。・・・あ、でも、芙美子ちゃんは、楽しい時間を過ごしてきてね(笑)」

芙美子「やっぱり、お姉ちゃんにはかなわないな・・・」

亜紀「何が?」

芙美子「なんでもない。それよりお姉ちゃん、ここ教えて」

続く
...2004/11/12(Fri) 22:03 ID:VSdS9lBE    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さん
今回もいいですね!
サクがクリスマスに帰郷し亜紀と一緒に
過ごせるかドキドキしますね。
マイペースで書いて下さいね!
応援してますから!!
...2004/11/12(Fri) 23:37 ID:R2xWP9fU    

             Re: アナザーストーリー  Name:ごろ
たー坊さん、はじめまして。
たー坊さんの妄想ワールド(笑)いつも楽しみにしております。
ドラマに感動した人なら誰しも思う「廣瀬亜紀が生きていたなら・・・」がここでは実現されているのですから嬉しい限りですね。
執筆作業、大変だと思いますが、マイペースでこれからも「妄想」していただいて、廣瀬亜紀に会わせて下さい。
...2004/11/13(Sat) 01:16 ID:.iBQpVMI <URL>   

             Re: アナザーストーリー  Name:Apo.
たー坊さん、頑張ってくださいね。

亜紀さんが死んでしまうより、生きていて頑張ってくれるほうが幸せが倍増しそうです。
芙美子ちゃんに彼氏がいるんですか?
テレビドラマオールキャスト出演ですね。
何処まで続けていただけるか、楽しみに毎晩チェックしています。
...2004/11/13(Sat) 12:44 ID:6tSJMVAQ    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
たー坊様へ
続き、読ませていただきました。宿直勤務の日以外は毎日みております。そのたびにいつも心が温まっております。本当にありがとうざいます。
 
...2004/11/13(Sat) 17:09 ID:h13/ABaA    

             Re: アナザーストーリー  Name:けん
たー坊様
 こんばんわ。続き読ませてもらいましたよ。私は、亜紀のファンなので、亜紀が生きているこの物語はとても気に入っています。きっと私と同じように思っている人が多いと思うので、無理しないで、ゆっくり書いて下さい。また楽しみにしています。
...2004/11/13(Sat) 18:59 ID:hSsCF04E    

             Re: アナザーストーリー  Name:Marc
たー坊様
こんにちは、いつも楽しませて頂いています♪
もうひとつの世界を知っている私達(すみません複数にしました)
には、明るい希望が見えるこの世界は心が癒され温まります。
まさにLiveで生き続けてゆく亜紀をありがとうございます。

でも、無理しないでくださいね〜
...2004/11/14(Sun) 12:48 ID:FktGV19w    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
皆様、毎回本当にありがとうございます。

続きです。

12月24日の朝・・・。学校は冬休みに入っていた。この時期になるとかなり寒く、受験生は、連日深夜までの勉強のために風邪などで体調を崩すものも多いのだが、亜紀は、そんなことも無く、いつも通りの朝を迎えていた。起床し、身支度と朝食を済ませると、すぐに机に向かった。朔からの連絡は無く、亜紀は「私も受験生だし、しょうがないか」と思っていた。

集中していると時間は経つのは早いもので、あっという間に昼を過ぎ、気がつくと夕方になっていた。

亜紀「もうこんな時間・・・ちょっと休憩しよう」

下におりてテレビを点けると、クリスマスで賑わう街のデートスポットなどが映し出された。

亜紀「智世も、芙美子ちゃんも今頃はこういうところでデートしてるのかな・・・。ま、しょうがないわね・・・」

朔とクリスマスを過ごすことにこだわりすら持ちかけていた亜紀だったが、受験生であるという自覚と、朔も頑張っているのだからという思いが、割り切りをもたらしていた。

亜紀「さて、夕飯までもうひと頑張り」

そういうと、再び机に向かう亜紀だった。一方、東京の朔は、やるべきことを終え駅のホームで、伊豆方面の電車を待っていたのだが・・・。

構内アナウンス「お客様に、列車の運行状況についてお知らせします。ただいま人身事故のため、下り列車のダイヤが大幅に乱れております。列車到着まで今しばらくお待ちください。お急ぎのところご迷惑をお掛けしております・・・」

朔「よりによって、今日かよ・・・。あんまり遅くなると亜紀と過ごす時間がなくなる・・・」

そういって、朔は自分の右手に持っている小さな箱を見つめていた。

そのころ亜紀は、夕食をとっていた。食卓には、真と綾子がいた。テーブルのにはミニクリスマスツリーが置かれ、クリスマスの雰囲気が醸し出されていた。

真「しかし、朔は帰ってこれんのか?」

綾子「せっかくだから、朔君も一緒にご飯食べようと思ってたのに・・・」

亜紀「しょうがないわよ。忙しいし、私は受験生だし」

真「今日ぐらいは何とかならなかったのか?少しくらいだったら、2人で過ごしてもよかっただろう」

(亜紀語り)
お父さんの言葉は嬉しかったし、驚いた。私が倒れるまではこんなことを言うような人ではなかったのに。人が丸くなった気がする。なにより、朔ちゃんを信用してくれてるのがすごく嬉しかった。

亜紀「お正月には帰って来るっていってた。もう少しの辛抱よ。それに朔ちゃんは、来年宮浦にいるんだし、その時に今年の分を埋め合わせてもらうから(笑)」

綾子「ほどほどにしないと、嫌われるわよ」

亜紀「分かってます(笑)」

一家団欒の後、自分の部屋に戻った亜紀は、三度机に向った。その頃、朔は電車の中にいた。予定より大幅に遅れたが、何とか今日中には宮浦に着けそうだ。

朔「運が良かったな。思ったより早く乗れて良かった」

すでに暗くなった外の景色を見ながら、朔は、出来るだけ早く宮浦に着けることを考えていた。
   ・
   ・
   ・
亜紀は、勉強しつつも朔のことが頭をよぎっていた。時計はすでに9時を指している。

亜紀「さすがに今日は帰ってこれないよね。でも、なるべく早く帰ってきて欲しいな・・・」

密かに、朔が来ることを期待していたが、さすがにこの時間では来ないだろうと思っていた・・・。
その時、ドアをノックして綾子が声を掛けた。

綾子「亜紀ちゃんケーキ食べない?おいしいケーキなんだけど」

亜紀「いただきます」

綾子「じゃあ、もって来るわね」

亜紀「いいよ。下に行くから。この問題が解けたら行くから」

綾子「分かったわ」

そう言って綾子は部屋を出て行くが、すぐまた、部屋に入ってくる人間が・・・。
肩を叩かれ、

亜紀「お母さん?本当にいいよ。すぐ下に行・・・」

と言いながら振り返ると、冷たい感触が・・・・・

朔だった。

朔「ゴメン、遅くなって」

亜紀「・・・おかえりなさい・・・えっ?えっ?」

朔「ただいま」

訳が分からないといった表情の亜紀に、朔はスケちゃんから連絡があったことなどを話した。

亜紀「智世が喋ったのね。なんか恥ずかしい」

朔「前から亜紀は俺のこと特別扱いしないもんな」

亜紀「ごめんなさい」

その時、綾子がケーキを持って入ってきた。

綾子「朔君、本当にありがとう。これ食べて」

朔「すみません。夜遅くに」

綾子「いいのよ。今日はゆっくりして行って」

綾子が部屋を出て行く。久しぶりに部屋で2人きりになった。

朔「体は大丈夫?」

亜紀「うん。でもありがとう。本当に」

朔「5年も待たせちゃったからね」

亜紀「気にしないで。あ、でも入ってくる時くらいノックしてよね」

朔「いや、たまには、俺が意地悪してみようと思って。高校時代の仕返し(笑)」

亜紀(脹れながら)「私が意地悪な女みたいな言い方やめてよ」

朔「ゴメン、ゴメン」

2人とも久しぶりに会うせいか、嬉しさを隠せない。ケーキを食べながら、話は弾んでいた。すると亜紀が思い出したように切り出した。

亜紀「ごめんなさい・・・私、プレゼント用意してない・・・」

朔「気にしなくていいよ。俺もいきなり帰ってきたんだし、連絡もしてなかったから」

亜紀「本当にごめんなさい」

朔「それより、ちょっと目を閉じてて」

亜紀「どうして?」

朔「いいから」

朔は亜紀の左手にあるものをはめた。亜紀もまたその感触に気が付いていた。

朔「目を開けていいよ」

目を開けると・・・

亜紀「・・・これって・・・」

しばし呆然とする亜紀。薬指には指輪が光っていた。

朔「(すっごく照れくさそうに)あの時は、ここまで頭が回らなかった。本当は、一緒に渡さないといけなかったんだけど・・・」

亜紀「・・・(じっと、朔を見つめている)」

朔「亜紀?」

亜紀「・・・うん(涙目)」

朔「正直言って、そんな高い物じゃないんだけど・・・メリークリスマス」

亜紀「・・・婚約指輪よね?」

朔「俺はそのつもりで渡したんだけど・・・ダメ?」

亜紀「本当に、本当に私なんかでいいの?」

朔「亜紀じゃなかったら、5年も付き合ってないよ」

朔の言葉に、亜紀は朔に抱きついた・・・。

亜紀「ありがとう・・・朔ちゃん・・・大好き・・・」

朔と亜紀のクリスマスはこうして過ぎていった・・・。

続く
...2004/11/14(Sun) 13:59 ID:Uy.A.MM6    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
たー坊様へ
幸せそうな朔と亜紀の顔がうかびます。クリスマスに2人が会えてよかったとおもいます。
...2004/11/14(Sun) 15:10 ID:Vxs0wUnU    

             Re: アナザーストーリー  Name:北のおじさん
たー坊様。
私も朔と亜紀のセリフ、ドラマ版の二人の声で聞こえてきます。 もっともっと幸せな二人の様子、見ていきたいと思います。
マイペースで構いません、私をそしてこの物語を楽しみにしている皆さんを幸せにして下さい。
...2004/11/14(Sun) 16:54 ID:3opqgPmI    

             Re: アナザーストーリー  Name:くれい
た−坊様
ある意味視聴者の願いを叶えてくれてありがとうという感じです。

楽しみに観ております。これからもお願いします。映画「いま、会い」の竹内結子さんの言葉を借りるなら「ゆっくりで、ゆっくりでいいから」
という感じで。

綾瀬はるかさんを久々に観ましたが、すっかり第一話の頃の顔に戻られましたね。
...2004/11/14(Sun) 19:19 ID:sDnkZf3.    

             Re: アナザーストーリー  Name:あきおじ
たー坊様
本当に、本当にいい話ですね。読んでいて心が洗われるというか、改めて人を愛することっていいなぁと思いました。
だんだん寒さが厳しくなってきましたので体に気をつけて執筆がんばって下さい。
...2004/11/14(Sun) 22:39 ID:uOxQMVyc    

             Re: アナザーストーリー  Name:yosi
>たー坊さん
読んでいて涙がこぼれて来ました
本当に良い話です・・・
こうあって欲しいと願う人たちの思いがそのまま
文章になった感じですね
私はこスレッドを読みながら目の前に映像が浮かんでおりました
...2004/11/14(Sun) 23:35 ID:JYANrBuk    

             Re: アナザーストーリー  Name:けん
たー坊様
 毎回感動する話ありがとうございます。今回のクリスマスの話もとても感動しました。なかなか心憎い演出でとても良かったと思います。特に、朔が、列車が遅れてクリスマスが終わるぎりぎりまで、これなくて、しかも亜紀の部屋に入るところもノックしないで、高校時代亜紀がしたように朔がする所なんかドラマの続きを観てるようで、とても良かったと思います。これからも楽しみにしていますので、体に気をつけて頑張って下さい。
...2004/11/15(Mon) 00:57 ID:9cuiOUfA    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
皆様、本当にありがとうございます。体調管理をして、これからも、構想、執筆していきたいと思います。
...2004/11/15(Mon) 19:46 ID:itNPifNI    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
続きです。

智世「朔、帰ってこれたのかな」

龍之介「さあな・・・あいつのことだから帰ってきたと思うんだけどなぁ」

智世「あたし達ばっかり良い思いして、亜紀一人ぼっちで過ごすなんてイヤだなぁ」

龍之介「デートしてた時も、お前、気にしてたもんな」

智世「ゴメン。せっかくのクリスマスなのに」

龍之介「まあ、お前の性格じゃ無理も無いな。別に怒ってるとかってわけじゃねえよ。俺もどっか気にしてたしな」

2人とも、今日は特別とばかりに遠出をして、デートを楽しんでいたのだが、時間が経つにつれ、なんとなく朔と亜紀の事が気になっていた。龍之介は、早めにデートを切り上げ、自分の部屋に智世を連れて来ていただった。高校時代から自分の恋より亜紀の恋を応援している智世らしいと思っていた。

龍之介「なあ、腹減らない?」

智世「そういえば、ご飯食べてこなかったねぇ。よし、今日は私が作ってあげる」

龍之介「おっ!初めての手料理だ」

智世「そういうこと(笑)でも、龍之介も手伝ってよ」

龍之介「おう」

2人きりのときはとても良い感じの二人だった。
一方、無事にクリスマスを過ごす朔と亜紀は、肩を寄り添いながら2人きりの時間を過ごしていた。

亜紀「ねえ、いつまでいるの?」

朔「1月6日かな。2週間くらいはいる。それに、4月からはこっちに帰ってくるんだから」

亜紀「その時には、私も大学生になってるかな?」

朔「そうなるように頑張らないと。でも、無茶はしないように」

亜紀「大丈夫よ。じゃあ、朔ちゃんがいる間は家庭教師してもらおうかな」

朔「いいよ。理系ならまかせなさい(笑)」

亜紀「頼りにしてます(笑)」

朔「じゃあ、明日来るよ。もうこんな時間だ。親父もお袋も寝てるよ」

亜紀「うん。本当にありがとう。あ、初詣一緒に行こうね」

朔「分かった。おやすみ亜紀」

亜紀「約束だよ。おやすみ朔ちゃん」

そう言って玄関まで見送ってくれた亜紀の薬指には、婚約指輪が光っていた。

一方、智世と龍之介は・・・。

智世「はい」

龍之介「何だよ?」

智世「クリスマスプレゼントよ」

そう言って包みを渡す智世。

龍之介「・・・開けていいのかい?」

智世「いいよ」

早速開ける龍之介。中には手編みのマフラーが入っていた。

龍之介「ありがとな。編むの大変だったろう?」

智世「(顔を赤くして)あんたのために頑張ったんだから大事に使ってよね」

龍之介「ああ。んで、これは俺から」

智世「・・・うそ」

龍之介「サイズが合ってるかは、はめてもらわないと分からないけどな」

龍之介が取り出した箱の中に入っていたのは、ペアリングだった。

智世「・・・龍之介がはめてよ」

龍之介「おお」

智世「ぴったりだよ。ありがとう」

龍之介「2人お揃いのものをつけたこと無かったなと思ってさ」

智世「大学で自慢しちゃおう」

龍之介「おいおい。反感買うぞ」

智世「冗談。でも、ホントにありがとう。・・・龍之介」

龍之介「何だよ」

智世「・・・すき」

龍之介「何だよいまさら」

智世「だって嬉しいんだもん」

龍之介「おっ、もうこんな時間か。送ってやるよ」

智世「ありがとう」

続く
...2004/11/15(Mon) 22:46 ID:itNPifNI    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
思わず「よかったね。アキちゃん、智世ちゃん」と言いたくなりますね。クリスマス、最高の展開になりましたね。私の心まで温まる思いです。ありがとうございます。執筆、大変でしょうけど無理せずに頑張ってください。
...2004/11/15(Mon) 22:56 ID:21h1ot/Y    

             Re: アナザーストーリー  Name:clice
素敵な物語になってきましたね。亜紀と智世それぞれにとって最高のクリスマスを迎えられて良かったなと思います。これからも楽しみにしています。
...2004/11/16(Tue) 12:06 ID:Eo3TdiGE    

             Re: アナザーストーリー  Name:不二子
皆様、はじめまして。
素敵なお話になってるようで、本当にこれからが楽しみです。私の様に、ただ読ませて頂いているだけで、随分と幸せな気持ちになってる人は大勢いると思います。執筆には、大変な労力が掛かろうかと思いますが、お体に気を付けて頑張って下さい。

〜clice様〜
いきなり不躾で申し訳ないのですが、clice様は、公式HPのclice様ですか?
もしそうでしたら、あの素晴らしい脚本をありがとうございました。始めの頃、素敵なラストシーンを書いて下さって多くの人が涙した様に、もう一度書いて下さらないかなぁと、ずっと思っていました。最後の最後に、素敵なお話が読めてとても幸せでした。
...2004/11/16(Tue) 12:58 ID:0Pfhiehs    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さん
毎回g
...2004/11/16(Tue) 21:04 ID:wIv78Dt2    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さん
毎回GJです!
亜紀も智世も幸せで(もちろんサクも龍之介もですが)読んでるこちらまで嬉しくなります。
これから初詣やバレンタイン(気が早すぎますね)の場面も楽しみです。
続編、宜しくです!!
...2004/11/16(Tue) 21:08 ID:wIv78Dt2    

             Re: アナザーストーリー  Name:不二子
失礼致しました。
私が知りたかった事は、clice様ご自身がお書きになっていて、もう少し丁寧に遡っていればすぐに判明した事でした。すみません。お名前を見つけて、是非ともお礼を言わなくてはと、気持ちが先走ってしまいました。改めて、有難うございました。

〜たー坊様〜
こちらの素敵な物語をこれからも楽しみにしております。いきなり見知らぬ者からの激励を、気持ち悪がらないで下さいませ(笑)。
無理せず、どうぞお身体ご自愛しながら!!
執筆、いや熱筆!励んで下さい。影ながら応援しています。(やっぱり私、黙って静かに読ませて頂きますね。お騒がせしました。)
...2004/11/17(Wed) 02:19 ID:aixLkYnU    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
皆様、喜んでいただいているようで何よりです。
返信が送れて申し訳ありません。

続きです。年明け後です。

(朔語り)
新年を迎えた。去年は、俺にとっても亜紀にとっても再スタートの年だったが、やっぱり今年は気持ちが違う。俺は4月から宮浦研修、亜紀は受験を控えている。互いにステップアップにできる年になればと思う。今年も忙しさは相変わらずだろうが、亜紀との時間は大切にしたい。

朔「ん・・・もう8時か、起きないと・・・そろそろ皆が来るな・・・」

大晦日は皆で過ごした。うちの両親と亜紀の両親
が中心になって年越しそばを作ってくれた。
スケちゃんと智世が手伝った。クリスマス以来、傍目にも2人に笑顔が増えているのが分かる。何か良いことあったのだろうか?

唯一来れなかったボウズ。除夜の鐘を鳴らす為に来れなかった。亜紀の「じゃあ、大晦日はボウズが鳴らす除夜の鐘の音をバッチリ聞いておるぞよ」の言葉に、少し複雑な表情を浮かべていたボウズだった。

亜紀と芙美子の受験組は、ラストスパートの真っ最中。そばを打ってる時も、手伝いながら2人で英単語の暗記大会をしていた。2人が勉強している間の俺の部屋は即席の個別指導教室と化している。といっても、2人からの質問が無い時、俺は俺で医学書を読んだりして4月からの研修に備えている。

皆でそばを食べて年を越す。ボウズが鳴らしているであろう除夜の鐘の音を聞き、カウントダウンをして新年を迎えた。
隣にいた亜紀が

亜紀「今年もよろしくね(笑)」

朔「こちらこそ(笑)」

亜紀「朝起きたら、皆で初詣行こう」

朔「いいよ」

去年までは隣に亜紀が寄り添って立っていることは無かった。すぐ横に笑っている亜紀がいる。何気ないことがすごく幸せなことだと思う。
   ・
   ・
   ・
翌朝、朔が寝ぼけ眼のまま、いつも通りに朝食を取ろうとしていると・・・

亜紀「おはよう、朝ごはんできてるよ(笑)」

一発で目が覚める朔。目の前では潤一郎、富子、芙美子、亜紀がお雑煮を食べていた。

潤一郎「亜紀ちゃん美味いよ」

亜紀「本当ですか?良かった(笑)」

芙美子「お兄ちゃんおいしいよこれ。食べなよ(笑)」

(朔語り)
・・・これは夢か?なんで元旦に家に亜紀がいて、お袋とお雑煮作って食べてるんだ?

朔「(頬をつねりながら)夢じゃない」

富子「何をやってんだい?」

朔「いや、夢かと思って」

富子「いつまで寝ぼけてるんだい!せっかく亜紀ちゃんがつくったんだから。早く顔を洗ってきな」

食卓につく朔。早速、亜紀特製のお雑煮を食べる。

亜紀「どう?おいしい?」

朔「うん、美味い」

亜紀「良かった(笑)」

朔「元旦から亜紀の手料理が食べられるとは思わなかった」

亜紀「昨日、朔に内緒で、芙美子ちゃんと、朔のお父さんとお母さんには話してたの。クリスマスのお礼。もちろん今日のことは、うちの両親にも話してあるわ(笑)」

朔「何よりのプレゼントをありがとう。今年はいい年になりそうだね(笑)」

続く
...2004/11/17(Wed) 21:42 ID:ktinRzzQ    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
たー坊様へ
早速続きを読ませていただきました。クリスマスに正月、みんな幸せそうで読んでいる私まで嬉しくなってきますよ。思わずこの幸せがいつまでも続きますように、と祈りたくなりました。また、大切な人が存在する。当たり前なようで、実は幸せな事なんだと思いました。いつも心温まる作品をありがとうございます。
...2004/11/17(Wed) 21:58 ID:B4fEdI.Q    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さん
毎回、心が温まります!
スケちゃんと智世も幸せそうでGOODです。
一つ心配が・・・
ボウズにも笑顔の日々が訪れるのでしょうか?
続編、期待してます
...2004/11/17(Wed) 22:42 ID:cR1AkoNE    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
グーテンベルク様、サイトのファン様、いつもご感想を頂いてありがとうございます。

サイトのファン様、ボウズの件ですがご心配なく。
バレンタインの話あたりで今、考えています。
まあ、修行僧ですから甘やかすのもどうかとは思うんですが・・・。
...2004/11/17(Wed) 23:07 ID:ktinRzzQ    

             Re: アナザーストーリー  Name:clice
不二子様へ
はじめまして、いやご無沙汰をしています。
あの公式HPへの怒涛の書きこみが懐かしいですね。まさか不二子様からこの場で感想をいただけるとは思ってもいませんでいた。ありがとうございます。
あの文章は自分にとってのドラマの感想のつもりで書きました。もうすぐ公式HP再稼動ですね、皆さんに会えるのが楽しみです。その時またあの話の続きを書けたらと思っています。
...2004/11/17(Wed) 23:59 ID:OxJ5p81w    

             Re: アナザーストーリー  Name:Marc
たー坊様

良いです!楽しみがどんどん広がりますね。
それから、朔の家で”おはよう”は亜紀の夢でもありましたよね。
叶って良かったです、朔も一発で目が覚めて当然ですね。
...2004/11/18(Thu) 08:30 ID:ThRITj.U    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
Marc様、ご感想頂きましてありがとうございます。

続きです。

朔と亜紀が向かい合っての朝食が続いていた。2人とも、内心嬉しいような恥ずかしいような感情を覚えていた。
「2人とも幸せそう・・・まわりの空気が違うよ。」と遠目から見ていた芙美子は思う。
当の2人もまた、幸せの絶頂を噛み締めていた。

朔「そういえば、亜紀の作ったもの食べるのは初めてだっけ?」

亜紀「そうよ。おいしいでしょ?たまに家の手伝いとかして練習してたんだ。」

朔「初耳だね。電話じゃ、一言もそんな事言って無かったよ。」

亜紀「驚かそうと思ったの。普段、朔ちゃんは自炊してるから、たまにはこういうのもいいかなって(笑)」

朔「ありがとう。あー美味しかった。ごちそうさま。」

亜紀「どういたしまして(笑)」

2人にとっては、ある意味、一番待ち望んでいたことなのかもしれない。朔にとっては朝一番に亜紀の癒されるような笑顔を見ながら、亜紀の作った食事を食べられる。
亜紀にとっては、朔が、自分の作った料理をおいしそうに食べてくれて、笑顔で会話ができる。
一方、「こんな良いこと滅多にないなぁ・・・幸せだなぁ。でも、いつまでこの幸せは続くのだろう・・・。」
2人とも微妙な気持ちを抱えていることも事実だった。しかし、互いにそれを口には出さず、「今は前向きに生きよう」という思いが、2人に自然と笑顔を作らせていた。

「おはようございまーす」
食事を終えて片付けた所に、スケちゃんと智世とボウズがやってきた。亜紀を見るなり、智世が口を開く。

智世「亜紀?何?その格好?」

亜紀「変?・・・何かおかしい?」
自分のエプロン姿を見て聞き返す亜紀。

智世「おかしいわよ。何で亜紀が朔の家でエプロン姿なのよ?」

ボウズ「昨日泊まったのか?」

朔「違う違う。亜紀がわざわざ朝早くから作りに来てくれたんだ。俺に内緒でね。最初見たときは俺も夢かと思ったよ。」

亜紀「朔ちゃん、私を見て、ちょっと固まってたね(笑)」
そう言うと、昨日のことを話す亜紀。

龍之介「へえ〜、そうかい。全然気付かなかったなぁ。それにしても良かったなぁお前さん。今年は良い年になるんじゃないか?」
そういってニヤつくスケちゃん。
すると智世がぼそっと

智世「私も、亜紀のマネして、そういうことやってみようかな。」

龍之介「やめろよ」

智世「何でよ?龍之介にとっても良いことだと思うんだけど?」

龍之介「いや、寝てる所を襲われそうだしな・・・。」

智世「いまさら何言ってんのよ!それは、あんたでしょう。」
智世の「言葉」に朔、亜紀、ボウズの視線が一斉に2人に向けられる。ボウズが、すかさずつっ込んだ。

ボウズ「え?・・・『いまさら』って・・・。お前ら、まさか・・・」

朔「2人とも、いつの間にかそこまで進展してたんだね・・・」

亜紀「智世、何か寂しいよ・・・。先に大人になってたのね。」

しみじみと言う朔と亜紀だった・・・。
スケちゃんと智世を囲む、朔と亜紀とボウズ。ワイドショーの芸能リポーターと化して質問攻めにする一歩手前で、富子に「玄関で何やってんだい?さっさと初詣に行っといで!」と言われ、家を出た5人だった。

続く
...2004/11/18(Thu) 23:41 ID:3CCZSLOA    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さん
繰り返しになってしまいますが
本当にいいです。
心がホッとします。
今は楽しさの最高潮ですが
亜紀と芙美子には受験が待っていますね。
二人の受験もうまくいって欲しいと願ってしまいます。
寒くなったのでたー坊さんも風邪を引かずに
続編を書いて下さいね!!
...2004/11/18(Thu) 23:50 ID:biuR/RJs    

             Re: アナザーストーリー  Name:北のおじさん
たー坊様。

アキ・サクファンの私にとってたー坊様の作品はとても楽しみです。
だんだんと作品をアップする時間が遅くなってきているような気がしますが、無理をなさらず楽しませて下さい。
こう書きながらも明日のこの時間が楽しみな自分が・・・
...2004/11/19(Fri) 00:03 ID:cz9ylU4s    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
サイトのファン様、私の体調まで気遣って頂きましてありがとうございます。

北のおじさん様、毎日楽しみにして下さってるようでありがとうございます。気長にお待ちいただけるとありがたいです。
...2004/11/19(Fri) 21:43 ID:IB4wMbWc    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
朔と一緒に朝ごはんを食べる。アキの夢、叶ってよかったです。読んでいる人までも幸せな空気が感じ取れますよ。文章の使い方、上手ですよ。これからも楽しみにしてます。体を壊さないようにお気を付けてください。
...2004/11/19(Fri) 22:57 ID:yey.tm.k    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
グーテンベルク様、毎回ありがとうございます。お互い、体調には気をつけて頑張りましょう。

続きです。

神社へと向かう道の途中、スケちゃんと智世に対するボウズの詮索攻撃が続いていた・・・。

ボウズ「だから、どうなんだよ!?ハッキリしろよ〜。なんなんだよ?さっきの『いまさら』の意味は?なぁ智世〜。」

智世「アンタも本っ当にしつっこいわね〜。」

龍之介「うるせぇよ。いい加減にしろよ、お前。」
さすがの2人も、あまりのしつこさに、少し怒っている。

ボウズ「しょうがないだろ?気にならない方がどうかしてるって。なぁ朔?」

朔「え?・・・いや、俺は別に気にならないけど。」

ボウズ「おかしいって。亜紀は気になるよな?」

亜紀「ううん。私も別に気にならないよ。だって2人の間の問題だよ。必要以上に詮索することじゃないよ」

朔「亜紀の言うとおり。別に仲が悪いとかって話じゃないしな。もうこのへんにしとけよ。な?ボウズ」

龍之介「そういうことだ。この話は終わり。」

ボウズ「分かったよ。」

ようやく詮索が終わり、気がつけば、男同士、女同士での話しになっていた。

智世「サンキュ、亜紀。話し終わらせてくれて。」

亜紀「いいの。そんな事・・・。あ、こっちこそありがとう。智世が朔ちゃんに電話するようにスケちゃんに言ったんでしょ?」

智世「何?朔がしゃべったの?余計なことするよねぇ、アンタの旦那も。」

亜紀「ちょっと、まだ結婚してないよ!」

智世「冗談よ。で?どうだったのよ。クリスマスは?」

亜紀「智世こそどうだったの?」

智世「じゃ、せーので。」

2人「せーの・・・」
そういって、指輪を見せ合う亜紀と智世。

智世「亜紀も?よかったね〜(笑)それ婚約指輪?」

亜紀「うん(照れ)でも、智世だってよかったじゃない?」
お互いにすごく恥ずかしそうに喜び合う2人。

亜紀「ねぇ、智世は婚約したことになるの?」

智世「そういうんじゃないの。なんていうか、お揃いの物、そういうのをつけることで、お互いの気持ちを確認し合うって感覚だと思うの」

亜紀「なるほどね。そういう意味合いがあるのね。嬉しかったでしょ?」

智世「もちろん。亜紀だってそうでしょ?」

亜紀「うん(笑)」
そういって、指輪を見つめて嬉しそうに微笑み合う智世と亜紀だった。

続く
...2004/11/20(Sat) 20:12 ID:jVM2TK5.    

             Re: アナザーストーリー  Name:北のおじさん
たー坊様。

毎回心和む話、ありがとうございます。
私もボウズ同様、二人につっこみたくなりました。(笑)
亜紀そして智世、幸せそうですね。こちらまで微笑んでしまいました。
まだまだ話は続く事と思います。マイペースで構いませんので読者に幸せを分けて下さい。
...2004/11/20(Sat) 21:07 ID:UxAareB2    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
たー坊様へ
こんばんは。早速読ませていただきました。智世と亜紀の会話、いいですね。読者の心を和やかにする才能ありますよ。絶対に。先を楽しみにしております。
...2004/11/20(Sat) 21:16 ID:zEdYUaGU    

             Re: アナザーストーリー  Name:すばる
たー坊さんへ。

初めまして、こんにちは。遅ればせながら、たー坊さんのアナザーストーリー執筆に敬意と感謝を表すべく、筆を・・・いやマウスを取りました。

本当に、情景が目に浮かんでくるようです。声が聞こえてくるようです!「生きていて、存在していること」がどれほど素晴らしいことかを見事に表現していらっしゃる。こんなに楽しい小説、久しぶりに読みました。たー坊さんの脚本でセカチューを見たいぐらいですよ。「亜紀に生き延びて、朔と幸せになって欲しい」という、全てのファンの願いが叶う時!・・・読んでいて、ついついニコニコしてしまいます。

是非お体に気をつけて、執筆を続けてください。これからも楽しみにしています。
...2004/11/20(Sat) 22:09 ID:iaL5uHrI    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さんへ
毎回ですが、読ませて頂きながらニヤけてしまいました。
二組の幸せなカップルと孤独なボウズ??
でも、きっとボウズにもたー坊さんが幸せを
運んでくれるでしょう??
続編、楽しみにしてます!
...2004/11/21(Sun) 03:26 ID:AuxG/jgo    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
皆様、楽しんでいただけて何よりです。

続きです。

ものすごく幸せそうな亜紀と智世を見ていた男性陣。3人とも、微笑ましげにそんな亜紀と智世を見ていた。朔と龍之介は心穏やか・・・。ボウズはそんな2組のカップルを見て

ボウズ「良かったな・・・辛い事があったから今があるんだよな・・・。」

そんな思いの一方、

ボウズ「でも、俺は絶対に、亜紀以上の女をみつけてやる!」

高校時代に誓ったあの思い、未だにボウズの野心の中にある。その一方、5年が経ち、かつてのような、亜紀に対する恋愛感情はこれっぽちも残っていなかった。

時の流れは変化をもたらす・・・皆、呼び方が変わったのがいい例だった。亜紀が「大木君」から「スケちゃん」と呼ぶようになったり、スケちゃんが「亜紀ちゃん」から「亜紀」と呼ぶようになった。また、各々がやりたいことを見つけたりしていた。
どんな形であれ、皆、仲良くやっている・・・5人とも、「今が一番いい時だろう」と感じていた。

神社には町の人たちが集まっていて、いつもとは違う雰囲気を醸し出していた。

亜紀「お参りが終わったら、おみくじ引かない?」
参道沿いの一画に、御神籤の箱を見つけた亜紀が皆に提案した。

智世「賛成。やっぱり、おみくじ引かないと1年が始まらないよね。あんた達はどうする?」

朔「いいよ。俺、今の所2年連続吉なんだ。」

龍之介・ボウズ「俺らも付き合う。」

亜紀「よし、決まりね(笑)」

5人はお賽銭をしてそれぞれの願いことをした。それぞれの願い事はシンプルだが、とても温かいものだった・・・。

朔「亜紀が合格して、また俺にいつもの笑顔を見せてくれますように」
朔の願い事は毎年変わらない。亜紀が倒れて以来、「亜紀の笑顔が見たい」が朔のなによりの願いだ。

亜紀「大学に合格することと、皆が元気で過ごせること、朔ちゃんの研修がうまくいきますように・・・。」
亜紀は毎年、いくつか願い事をする。無論、去年までは病室の窓から外を見ながらの初詣だった。
自分の事と自分を支えてくれる人達、そしてなにより、朔のことについて祈ってきたのだった。

龍之介「今年も事故が無いように。うまく智世とやっていけますように。」

智世「今年も龍之介に素直になれますように。」
いつもは愛情表現もままならない2人。だが、特にスケちゃんは、こういう時に智世の幸せを願ったりしている。

ボウズ「・・・今年こそ、今年こそ、可愛い彼女ができますように・・・。」
毎年ボウズは、お坊さんらしからぬ世俗的な願いが多かった・・・。

もちろん、それぞれの家族の無病息災を願うことは忘れない。そして「今年5人仲良く」が共通の願いだった。

朔「誰から行く?」

龍之介「平等に、じゃんけんで勝った順に行かないか?」

ボウズ「いいだろ。それで。」

朔「じゃ、せーの!」
初詣を終え、おみくじをひく順番を決める5人。今年の順番は、亜紀、龍之介、ボウズ、智世、朔の順に決まった。

亜紀「自分で引くのは5年振りね。」

朔「そうだね。」

亜紀「去年までは朔ちゃんに引いてもらって、3年連続大吉だったのよね(笑)」

朔「ああ。」

亜紀「凶だけは引きませんように。」

そう言って亜紀はくじを引きに向かった。

続く
...2004/11/22(Mon) 21:44 ID:pxSrnANE    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
たー坊様へ
 時の流れにより変化するもの。変化しないでいるもの。幸せな時間はいつまでも続くといいですね。スレット一覧の「アナザーストーリー」のところから幸せな空気が漂ってきているようにすら感じられますよ。いつも幸せな気分にさせていただきましてありがとうございます。私の書いている物語(アナザー・ワールド)白血病の克服編の次に幸せとは・・編を執筆する予定ですが。たー坊様のように読者の多くを幸せで暖かな気分にできればいいなと思います。
...2004/11/22(Mon) 22:40 ID:xSiHuTVM    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さん
執筆お疲れ様です!!
>>ボウズ「でも、俺は絶対に、亜紀以上の女をみつけてやる!」>>
いったい、どういう女性とボウズは巡り会うのか
ドキドキです。
きっと皆が驚くほど美しい女性が・・・・
期待して続編待ってます!!
...2004/11/23(Tue) 00:19 ID:sSuwiy56    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
ご感想頂きましてありがとうございます。

グーテンベルク様、お疲れ様です。私としては、「人生はプラスマイナス0」の言葉通り、幸せの中にもマイナス要素があるということを書きつつストーリーを考えていこうと思います。お互い頑張りましょう。

サイトのファン様、美しい?かどうか分かりませんが、たまにはボウズの幸せをメインで書こうと思います。気長にお待ちください。
...2004/11/24(Wed) 19:17 ID:Xzg2Act2    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
亜紀がおみくじを引きに行ってる間にボウズが朔に声をかけてきた。

ボウズ「なあ、お前が代わりにくじ引いてたってどういうことなんだよ?」

朔「そのままだよ。毎年、初詣に行ったときは、『私の代わりにくじ引いて来て』って亜紀に頼まれてたんだ。」

ボウズ「どうやってたんだ?まず、朔が自分のを引いて、次に亜紀の分をとかって決めてたのか?」

朔「最初は、そうしようと思ってた。」

ボウズ「思ってた?」

智世「どういうこと?」
智世とスケちゃんが会話に加わった。

朔「最初は、出た結果をそのまま亜紀に教えようと思ってたんだけど、よりによって、1年目の亜紀の分のくじが「凶」で俺のくじが「吉」だったんだよ。」

智世「うん。それで?」

朔「皆も知ってると思うけど、当時の亜紀は、結構、悲観的になりやすくてさ。こういうのも病気に悪影響があるかもしれないと思ったんだ。だから、お互いのくじを逆にしたんだ。」

龍之介「逆?どういうことだい?」

朔「俺の「吉」を亜紀の「凶」と取り替えたってことだよ。つまり、俺が「凶」で、亜紀が「吉」だった事にして、亜紀に伝えたってことだよ。」

智世「へぇ〜。優しいねぇ。亜紀のことになるとあんた別人ね。」

智世の言葉に照れる朔。
朔「それ以来、亜紀の分のくじが「大吉」になるまで、俺のくじの方が良かった場合、取り替えてたんだ(苦笑)」

龍之介「そんな事があったのかい・・・。まさに「病は気から」ってことかい?」

朔「まあ・・・そんなとこだよ(笑)」

智世「ん・・・?じゃあ、亜紀のくじが3年連続「大吉」っていうのは、朔の嘘なの?」

朔「いや、2年連続が本当。3年間のうち、1年目だけ取り替えた。俺のが「大吉」で、亜紀のが「吉」だったかな・・・。」

智世「よく、バレれなかったねぇ。亜紀なら「見せて」とかって言いそうじゃない?まして、あんたは見透かされてるし。」

朔「くじを1度見せてから、神社の木の枝に結んでたから、今のところはバレてないと思う。多分・・・。」
自信なさげな朔。

ボウズ「多分?なんでだよ?」

朔「智世の言うとおり見透かされているかもな。バレてるのかもしれない。」
思わず苦笑いを浮かべる朔。するとスケちゃんがある事に気づく。

龍之介「なあ、それっておみくじのご利益をないがしろにしてないかい?」

顔を見合わせる朔、智世、ボウズ・・・。

智世「いいんじゃない?」

朔「実際、亜紀は助かったんだし・・・。」

ボウズ「むしろ、ご利益はあったんじゃないか?」

話をしてるうちに亜紀が戻ってきた。

続き
...2004/11/24(Wed) 20:18 ID:Xzg2Act2    

             Re: アナザーストーリー  Name:北のおじさん
見透かしていても朔のやさしいところが好きなんですよね、亜紀は。
今年のおみくじも大吉が出ますように。

続きを楽しみにしています。
...2004/11/24(Wed) 22:17 ID:JjuDwwLk    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
 たー坊様へ
今日も早速読ませていただきました。朔のやさしさがよくわかりますね。北のおじさん様とおなじように大吉が出ますようにと思わず祈りたくなります。
 それと、たー坊様のアナザーストーリー最高ですよ。読んでいて仕事の疲れがすっかり吹き飛びました。もうすっかりアナザーストーリーのファンになってしまいました。
続きを楽しみにしております。
         グーテンベルク
...2004/11/24(Wed) 22:55 ID:4yBzgBlY    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さんへ
執筆お疲れ様です!!
サクの優しさが感じられホノボノとしますね。
確かに智世の言うように亜紀もおみくじの裏は
分かっていて気づかぬふり??してるのですかね?
サクと亜紀の優しさが伝わってきます。
今年のおみくじの結果をドキドキして待ってますね
続編、楽しみです!!
...2004/11/25(Thu) 00:13 ID:vIRQUqb6    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
皆様、ご感想ありがとうございます。

グーテンベルク様、お褒めの言葉を頂いてありがとうございます。アナザーワールドの方も楽しみにしてます。お互い頑張りましょう。

北のおじさん様、毎回、応援して頂いて嬉しい限りです。これからもよろしくお願いします。

サイトのファン様、個人的には、朔にも秘密の1つや2つあってもいいかと思うのですが、なんかすぐにばれそうですね。その辺を今考えてますので、もう少しお待ちください。
...2004/11/25(Thu) 11:35 ID:MulOIMWQ    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
亜紀「はい、次はスケちゃんね。」

亜紀がくじを引き終わり、戻ってきて言った。
「じゃ、ちょっと行って来る。」と言って、スケちゃんがくじを引きに行った。

亜紀「ところで何の話してたの?戻って来る時に皆で何か話してたでしょ?」

「するどい・・・。」と皆が皆そう思った。
「この洞察力が朔を尻に敷くことができる最大の要因。私も見習わないと・・・。」と智世は思った。どうやら、智世は主導権を握り切れてないらしい。

ボウズ「別にたいした事じゃない。ただの世間話。」

智世「そうそう。ボウズの愚痴を聞いてたのよ。」

亜紀「愚痴?」

ボウズ「俺の春はいつ来るやら・・・って話。」

亜紀「ふーん・・・。」
そういって朔を見る亜紀・・・。

亜紀「何か隠してない?」

朔「何もないよ。」

亜紀「嘘。」

朔「何もないって本当に。」

亜紀「何か怪しいなぁ〜。確かに高校時代より演技はうまくなったけど。私にはなんとなく分かるよ。」

智世とボウズは「・・・朔も演技が下手だな・・・」と思った。そして「本当に何もないから」と智世が助け舟を出した。

亜紀(疑いの眼で)「・・・まあいいや。後でしっかり、取り調べるから。」

朔「いいかげんに、少しは俺を信用しろって。」

亜紀「・・・はい。ごめんなさい。」

朔の若干強い口調に、一気に亜紀はしおらしくなる
「まあ、元旦からケンカはやめようぜ。な?」とボウズが言ってくれたおかげでその場は事なきを得た。そこにスケちゃんが戻ってきた。

龍之介「よお、今すいてるから皆引けよ。」
くじを引いて戻ってきたスケちゃんの言葉に、くじを引きに行くボウズ、智世、朔。3人が戻ってきたところで、皆一斉にくじを開いた。結果は・・・。

智世「やった!私、大吉だって。なになに・・・順風満帆な1年だってさ。」

龍之介「俺は・・・吉か。ごくごく平凡な1年か。」

亜紀「私は・・・あ〜、中吉よ。」

ボウズ「4年連続ならずだな・・・おっ!俺も大吉だ。」

亜紀「え〜と・・・学業は努力次第、健康面は・・・無理をしすぎるといいことはなしだって」

ボウズ「俺は・・・待ち人来たる。好機を逃すべからず?」

龍之介「おいおい、一番いいんじゃないか?頑張れよ〜ボウズ。」
ニヤつくボウズに思わずスケちゃんがツッコミを入れた。

亜紀「・・・朔ちゃんは?」
さっき、軽く怒らせたので、少し恐る恐る訊ねる亜紀。目は少し不安げだ。

朔「凶・・・だって。え・・・と、学業運は問題なし。順調にこなす。ただし、恋人と些細な事で衝突しやすい年なので、注意。だって」

智世「あらら・・・今年は朔と亜紀にとっては試練の年になるわけ?せっかく退院して、4月からは朔
が戻ってくるのに・・・。」

ボウズ「いや〜大丈夫だろ。さっきすでに衝突したじゃないか(笑)」

智世「あ、そっか。でもね、あんた達仲良すぎるのよ。多少ケンカしたほうがいいんじゃない?」
そういって、意地悪そうな表情を浮かべる智世。

龍之介「お前、せっかくボウズがいいこと言ってんだからよぉ。」

亜紀「智世の意地悪!」
すっかり亜紀は膨れ顔だ。

朔「気にしないさ。所詮、本人次第なんだから。」

龍之介「それもそうだな。朔は5年も神様に逆らってたから、説得力あるな(笑)」
皆、龍之介の言葉に笑っていた。おみくじの結果は自分への戒めくらいに思っておこうと感じていた。朔の言うとおり「自分次第」である。そうやって闘って、亜紀の運命をも変えた朔の言葉だからこそ納得できた。

初詣を済ませ、智世が口を開いた。

智世「これからどうする?」
基本的に正月は暇だ。智世も例外ではなかった。

亜紀「帰るよ。勉強しないと。朔ちゃん、今日もよろしくね。」

ボウズ「俺も帰ろうかな。」

智世「龍之介は?」

龍之介「特にねぇよ。どっか行くか?」

朔「元旦からデート?やるなぁスケちゃん。」

智世「あんたこそ、亜紀をどっかに連れて行きなさいよ。元旦ぐらいいいんじゃない?」

亜紀「油断禁物よ。受験終わったらどこか連れて行ってもらうわ(笑)」

龍之介「そうしてもらいな。じゃあ、俺ら行くわ。」

ボウズ「ああ、じゃあな。」

智世「じゃあね。朔、亜紀。」

朔・亜紀「うん。」

皆と別れ2人きりになった朔と亜紀。すると「亜紀、ちょっといい?」と朔が亜紀をある場所に連れ出した。

続く




こうして
...2004/11/25(Thu) 15:16 ID:MulOIMWQ    

             Re: アナザーストーリー  Name:たか
こんにちわ。

いつも拝見させてもらっております。素晴しいですねぇ。書いてると止まらなくなってしまうって感じですよねぇ??

続きも楽しみにしていますよwだんだん寒くなってきていますし、お体にもお気をつけて頑張ってください。期待してます。
...2004/11/25(Thu) 15:45 ID:bopRp95Q    

             Re: アナザーストーリー  Name:Marc
こんばんは、たー坊様

毎回本当に楽しませていただいてます。
無理しないで、ながーく楽しませてくださいね♪

亜紀、入試までもう少しですね。 
入試が終わったら東京の冬を楽しませてあげたいですね、神宮や皇居
の外苑も落ち着いた感じですし、夕暮れの御成門あたりから東京タワ
ーの散歩もコンサバですが良いかもしれませんね、神保町には大きな
書店と古書店が軒を並べていますので絵本を探すには最適かも。
あの時期って今思うと、バブルの残り火の時代なので見せかけの華や
かさが無くなった、ちょっと冬の時代だった気がします。
...2004/11/25(Thu) 18:56 ID:0fSwHjSY    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
 たー坊様へ
今日も早速読ませていただきました。
凶を引いてしまった朔ですが、喧嘩をしたり仲直りをしたりしながら一層幸せになってほしいと思いました。続きを楽しみにしております。いつも心あたたまる作品をありがとうございます。
...2004/11/25(Thu) 19:08 ID:tuneEm2Y    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
皆様、毎回読んで頂きありがとうございます。

たか様、世界の中心で愛をさけぶ2、私も毎回楽しみにしております。体調にはお気をつけて頑張って頂たいと思います。

Marc様、そうなんですよね。朔と亜紀のデート場所といったらそのあたりになりますよね。山手線沿線(渋谷・原宿・新宿・池袋)はちょっと違うかなと思ってるんです。ちょっと悩んでいます。まとまるまで気長にお待ちください。

グーテンベルク様、構想、執筆と大変でしょうが、お互い完成まで頑張りましょう。結構長丁場になりそうですね。
...2004/11/25(Thu) 22:04 ID:MulOIMWQ    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
なだらかな坂を上り、2人は町を一望できる所に来た。今の季節は花が咲いていることもなく景色もどこか寂しげだ。しかし、2人にとっては思い出と記念の場所に違いはない。そう、ここはあじさいの丘だ。

朔「今年は暖冬かな・・・。」

亜紀「思ったより寒くないね・・・。」

この季節は北風が吹いて、とても外でのんびりデートしようとかは思わないのだが、今年の冬は暖かく過ごしやすい。亜紀の体への負担も少なかった。

朔「体は?具合悪かったら言ってよ。」

亜紀「大丈夫。もし倒れたら今度は朔ちゃんに助けてもらうから。」

朔「そうなってからじゃ困るんだよ。少しでもおかしいと思ったら言わないと。」

亜紀「うん。」

朔「・・・それで、ここに来たのは、謝ろうと思ってさ。さっきのこと。」

亜紀「やだ、気にしてたの?さっき怒ったこと。」

朔「ああ・・・。さっきあまりにも不安そうに俺の顔見てたからさ。俺もまだ子供ってことだね。ゴメン。」

亜紀「私の方こそゴメンね。でも、2人の間に隠し事はナシにしたいな・・・。もちろん信頼してるよ?でもそういうのって不安になっちゃうんだ・・・。」

寄り添う2人・・・。朔にも亜紀の不安が手に取るように分かる。朔も亜紀もお互いに無理をする事はまず、なくなっていた。さらけ出しあうことで優しく接しあう事ができると思うようになった2人だった。

朔「分かった・・・。」
そういって、後ろから亜紀を抱きしめる朔・・・。

亜紀「あったかいな・・・朔ちゃん・・・。」
朔の腕の温もりを感じながら、亜紀がつぶやく。

朔「『ありがとう』と『ごめんね』っていいよね。」

亜紀「え?」

朔「その言葉を繰り返してさ、積み木みたいに積み重ねてきて、俺たち今までやってこれたんだと思う。」

今までの出来事を思い出しながら亜紀が
亜紀「ありふれた言葉だけど大切だよね。これからも大事にしてこうね。」

朔「ああ。」

亜紀「ありがとう・・・。」

そういうと、朔の方を向く亜紀。「ずっと一緒ね?」そう言うと朔の懐に顔をうずめる・・・。
そんな亜紀を朔は優しく抱きしめるのだった。

時間は過ぎ・・・。

亜紀「そろそろ戻らないと・・・。」
腕の中にいる亜紀が切り出した。

朔「勉強しないと。」

亜紀「・・・ねえ、合格したら、東京に行って良い?」

朔「いいよ。どこか行こうか。どこが良い?」

亜紀「すぐには思いつかないよ。」

朔「終わったら、ゆっくり考えなよ。」

亜紀「そうするね。」

幸せな時間を過ごす二人。そして唇を重ねる・・・。

朔「そういえばここだった・・・。」

亜紀「初めてキスした場所でしょ?覚えてるよ。あの時は強引だったね。」

朔「亜紀が拒むからだよ。『口内炎があるから』って。」

亜紀「考えてみれば、あの時からすでにおかしかったのよね、体。」

朔「思い出すな・・・いろいろ。あの時は亜紀の親父さんにも認めてもらえてなかったし。テープも捨てられてさ(苦笑)」

亜紀「サトさんの遺灰を盗んできたの見せてくれたのもここだよね。」

朔「うん。まあ、いろいろあったけど、これからも一緒に・・・。」

亜紀「一緒に?」

朔「好きだから一緒にいたい。」
この言葉に笑顔になる亜紀。

亜紀「はい(笑)」

朔は亜紀の笑顔が見たくて・・・。亜紀は朔の「好き」が聞きたくて・・・。

亜紀「これでもう今年はケンカはしないね。私達(笑)」

朔「おみくじ、はずれたな・・・。また神様に逆らっちゃたよ、俺(笑)」

亜紀「そうね(笑)」

朔「行こうか?」

亜紀「うん。時間取ったんだから、しっかり教えてね(笑)」

朔「了解(笑)」

意地悪そうに笑う亜紀。そんな亜紀をみつめる朔。2人の正月はこうして過ぎていったのだった。

続く
...2004/11/25(Thu) 23:11 ID:MulOIMWQ    

             Re: アナザーストーリー  Name:北のおじさん
『ありがとう』と『ごめんね』、本当に良い言葉ですね。
なかなか素直に言えません。(特にカミさんには)

東京でのデート、楽しみです。
でもその前にボウズのイベントが・・・

楽しみにしています。
...2004/11/26(Fri) 00:00 ID:XF1XxkAk    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さん
毎回、GJです。
最近、ふと思います。
たー坊さんが執筆しているストーリーが
世界の中心で、愛をさけぶのストーリーで
原作がアナザーストーリ??
どっちも大好きです!!
続編、お願いします!!
...2004/11/26(Fri) 00:36 ID:GZ/PIvdI    

             Re: アナザーストーリー  Name:にわかマニア
 たー坊様
 ボウズがこの先どうなっていくのか,あれこれ想像しながら楽しませて頂いています。
 ところで,今頃気がついたのですが,夢島であまりに不器用な包丁の使い方にサクから「強制終了」をくらった亜紀が雑煮を作れるようになったのですね。これって,「素直になった」ことと並んで,やっぱり「サク効果」って言ってもいいんでしょうね。
...2004/11/26(Fri) 03:58 ID:nCIniha6    

             Re: アナザーストーリー  Name:朔五郎
たー坊さん
私も先週、アジサイの丘に登ってきましたので、懐かしく読ませていただきました。ただし、私は途中でくじけてしまいましたが。登ったとはいえませんね(苦笑)
...2004/11/27(Sat) 00:52 ID:ZaF3A5rU    

             Re: アナザーストーリー  Name:けん
たー坊様。
 久しぶりです。また仕事でなかなか観れなかったけど、今やっと一気に読ませていただきました。朔と亜紀のクリスマスから正月までの話とてもほのぼのして良かったです。あと考えてみると智世と龍之介の場面もドラマとはむしろ正反対の展開がとても良かったです。ドラマでは、結果的に智世と龍之介はカップルになれなかったので・・・あとはボウズですね。たー坊様はボウズの事も考えてるみたいなので、とても楽しみにしています。それでは、体にきをつけて頑張って下さい。
...2004/11/27(Sat) 02:33 ID:XT3MxCNc    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
 たー坊様へ
今回、ドラマのシーンを思い出させてくれる場面がいくつかありましたね。読んでいて心が癒される気分です。「ありがとう」「ごめんね」本当にいい言葉ですね。読者の心ににいろいろなもの残してくれるこの物語。最高ですよ。執筆や構想、大変だとは思いますがこれからも頑張ってください。
それとお互いに完成を目指して頑張りましょう。
            グーテンベルク
...2004/11/27(Sat) 18:46 ID:4.g15nO2    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
皆様、多くのご感想を頂きましてありがとうございます。私も励みになります。マイペースでUPしていきますので、読んで頂けたら幸いです。
...2004/11/28(Sun) 12:55 ID:45dV2tyI    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
充実した冬休みを過ごしている朔と亜紀。東京に戻るまで残された時間は少なかったが、相変わらず、即席個別指導教室となっている朔の部屋で亜紀と芙美子を教えていた。

亜紀「この主人公の心情を表しているのってこれでいいの?」

芙美子「うーん、お姉ちゃん、こっちのような気もするけど・・・?」

この時期になると、過去問を解いて実戦慣れするための作業が多くなる。
前回の模擬試験の結果は2人とも「B判定」このままいけば「A判定」と同等の実力を備えて入試に臨むことができる。
残り1ヶ月。最後の追い込みをしていた。今日は現代文の問題演習をしている。

朔「亜紀のが正解。芙美子のは、正解を出すための過程の部分。でもいい線行ってるよ、7割方正解かな。」

もちろん理系が得意な朔だが、亡き祖父、謙太郎のの影響もあって幼いころからの読書量は半端ではない。
高校時代に勉強しなかった割に国語の点数は悪くなく、読解問題では力を発揮していた。
亜紀が倒れ、医学部を目指すようになり、理系科目を勉強しだし、数学などの難解な問題文にてこずるも、真意を読み取る能力に長けていたため、短い時間でも成績が伸びていったのだった。

亜紀「でも、まさか朔ちゃんに教えてもらう事になるとは思わなかった。」

朔「正直、俺もこうなるとは思わなかった。」

亜紀「昔は私のほうが成績よかったのにね。」

芙美子「お兄ちゃんは、お姉ちゃんが倒れるまで勉強しなかったもんね。」

亜紀「朔ちゃんが猛勉強してるって聞いた時は『え???朔ちゃんが???』って思ったわ。後でその理由を聞いたときはすごく嬉しかった。」

芙美子「今はこういう状況だもんね・・・愛の力はすごいね。ね、ガム太郎兄ちゃん。」

この言葉に「年上をからかうんじゃない。」と言って、朔が芙美子をつつく。

芙美子「へへへ・・・。でも本当にすごかった。あのころのお兄ちゃんは。」

亜紀「うん・・・忙しいはずなのに毎日病院に来てくれて、いろんなことを話してくれて。」

朔「何事もメリハリだよ。切り替えをうまくして取り組んだほうが効率がいい。少し休憩しようか。」

続く
...2004/11/28(Sun) 13:40 ID:45dV2tyI    

             Re: アナザーストーリー  Name:北のおじさん
たー坊様。

亜紀も芙美子も順調に進んでいるようですね。
3人に楽しい春が来る事を期待しています。
寒くなってきています。 私の家の周りも、白いものが積もってきました。
風邪などひかぬようご注意下さい。
...2004/11/28(Sun) 20:38 ID:R.FPyQDQ    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
 たー坊様へ
正月が終わったらまたあまり会えなくなるのが切ないですね。でもだからこそ一緒にいられる時間を大切にすることができるのかもしれませんね。この物語を読んで、私も恋人と一緒にいる時間を大切にしていこうと思いました。
 それと、風邪がはやっているようなのでたー坊様もご注意ください。
     グーテンベルク
...2004/11/28(Sun) 21:44 ID:FdxTHqUs    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
北のおじさん様、グーテンベルク様、ご感想ありがとうございます。私の体調を心配していただいて嬉しい限りです。お2人こそ体調管理に気を使っていただいてお元気で過ごされる事を願っています。
...2004/11/29(Mon) 20:06 ID:Q3fAlsys    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
「ちょっと何か持ってくる。」そう言って朔が富子の所に飲み物を取りに行った。
朔の部屋には亜紀と芙美子が残り、姉妹で女同士の会話が盛り上がっている。

芙美子「お兄ちゃんにしては気が利くね。普段あんまりしないのに。」

亜紀「そうなの?皆といる時は率先してするよ?」

芙美子「お姉ちゃんにいいトコ見せようとしてるんじゃないかな。」

「朔ちゃんもまだ可愛い面もあるのね。」と思う亜紀。表情はどこか嬉しそうだ。

亜紀「でも、本当に朔ちゃんは変わったよ。私は何の不満もないもの。」

芙美子「いいなぁ。私もそういうこと言ってみたい・・・。」

亜紀「?・・・彼とケンカでもしたの?」

芙美子「違うの。お姉ちゃんと同じで不満はないの。でも・・・」

亜紀「でも?」

芙美子「1度もちゃんと『好き』って言われたことないの。付き合い始めてから、もう1年近く経つのに・・・。」
顔を赤くしつつもどこか寂しげな表情の芙美子。そんな芙美子を見る亜紀、「同じことで悩むのね・・・。本当の姉妹みたい(微笑)」自分も同じことを経験してるだけに芙美子の悩みはよく分かる。

芙美子「私嫌われてるのかな・・・。」

亜紀「それはないよ。私も同じ経験してるから。私なんて『好き』って言わせるのに5年掛かったんだから(笑)」

芙美子「うそー。信じられない。お兄ちゃん何やってんの・・・。」

亜紀「そうだよね(笑)その分、初めて言ってもらったときはすごく嬉しかったんだよ。」
そういうと、亜紀は高校時代の時から話し始めた。
夢島で倒れて入院して、朔がお見舞いに来てくれるまで1ヶ月の時間があったこと、そして外泊許可が下りて学校に出て、午後の授業をサボって防波堤に行ったこと・・・。

亜紀「その時に初めて気付いたの。それで『最悪、私、一回も好きって言われてない!』って言ったんだけど、朔ちゃんすっごく困ったような顔してた。それで、とびきりの笑顔を作ったんだけど、私と距離作ろうとしたのよ(笑)」

芙美子「結局、その時は言わなかったんでしょ?」

亜紀「そう、何にもなかったわ。それから5年も掛かったのよ。でも私も待たせちゃったからね。」

亜紀の脳裏に懐かしい思い出が浮かぶ・・・。
普通なら思い出したくないことも多いが、今なら笑って話せる事も多々あることも事実だ。そのほとんどに朔が関わっていてくれたからこそ、そう思えるのだろう・・・。
普通に付き合ってこれなかったことを恨めしく思った時期もあったが、その分、これから朔とともに、白血病と闘った時間を取り戻す・・・。
亜紀もまた朔と一緒にいる時間を大切にし続けようと思っていた・・・。

亜紀「いい?彼とのありふれた時間が愛しく思えたら、その気持ちをずっと大切に持って、優しい笑顔を作ってあげて。いつか絶対に『好き』って言ってくれるから・・・。」
諭すように芙美子に言い聞かせる・・・。
亜紀の言葉は芙美子にとってあまりにも大きかった。そして・・・。

芙美子「ありがとうお姉ちゃん。少し楽になったよ・・・。」
どこか晴れ晴れとした表情の芙美子。

また、亜紀自身もどこかにわずかに残っていた不安が消えていくのを感じていた。普段は全然気にならない不安だが、時に一気に大きくなったりしていた
りもしていた。
でも、もし次にそんな事を思ったら、自分自身に『頑張らなくていいんだよ』と言い聞かせようと思っている。「私と朔ちゃんに残された時間はまだあるのだから」と・・・。
   ・
   ・
   ・
隙間からそんな2人のやり取りを聞いていたのは朔だった。

「亜紀が疲れた時は、俺が頑張ればいい。灯りが心にともる限り、俺は亜紀と歩き続けよう。俺は亜紀の支えになれてこれたのかは分からないが、亜紀を支え続けよう。亜紀は俺の心の光だ・・・。」
これまでにない決意。朔も亜紀も想い合う強い絆は、今まで以上に強い・・・。
   ・
   ・
   ・
そして、2日後・・・。
駅のホームには朔と亜紀の姿が。

朔「見送りよかったのに。寒いし、勉強もあるんだから。」

亜紀「そういうわけにはいかないわ。大丈夫。絶対に合格するから。」

朔「あと1ヶ月、頑張れよ。」

亜紀「朔ちゃんも、4月から研修あるんだから。しっかりね。」

朔「分かってる。あ、芙美子の事も頼むね。」

亜紀「大丈夫よ。芙美子ちゃんも受かるわよ。」

朔「受かったら1度東京に来なよ。どこかに行こう。落ち着いたところ。」

亜紀「絶対だよ。約束ね、朔。」

その時、列車の汽笛が聞こえた。

朔「もう来た。」

亜紀「じゃあ、気を付けてね(笑)」

朔「亜紀こそ無茶はするなよ。何かあったら連絡しなよ。」

亜紀「うん。」
そういうと朔の胸に頬を寄せる。そんな亜紀を抱きめる朔。
キスを交わす2人・・・そして、

朔「いってきます!」

亜紀「いってらっしゃい!」

夏の時と同様、笑顔の2人だった。
自宅に戻った亜紀は机に向かう。クリスマスの夜に2人で写った写真と、薬指に光る指輪を見つめながら・・・。

続く
...2004/11/29(Mon) 22:04 ID:Q3fAlsys    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
 たー坊様へ
病気を乗り越えてより強くなってゆく朔と亜紀の絆。そして朔と亜紀がここまで歩んできた時間の道のり。見ていて嬉しくなってきます。早くみんなに春がくるといいですね。続きを期待しております
...2004/11/29(Mon) 22:32 ID:qsmnKd46    

             Re: アナザーストーリー  Name:けん
たー坊様へ
 今回も亜紀と朔が会っている情景がみえてくるようで、とてもいいです。あと亜紀と芙美子の会話もドラマをみてるようで、感動しました。続きとても期待していますので、頑張って下さい。
...2004/11/30(Tue) 00:15 ID:UeY2I84.    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さんへ
いいですね、だんだん亜紀がサクの家族の一員に
なってきていますね。
芙美子とは実の姉妹のようですね。
亜紀は一人っ子だから妹が出来たようで
嬉しいでしょうね。
続編が待ちどうしいです。
期待しております!!
...2004/11/30(Tue) 00:52 ID:Sx8katjs    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
グーテンベルク様、お疲れ様です。グーテンベルク様の作品には及びませんが、精一杯書いていきますので、これからもよろしくお願いします。

けん様、お忙しい中お読み頂いているようで、嬉しい限りです。頑張りますので気長にお待ちください。

サイトのファン様、亜紀と芙美子の姉妹関係は、私自身、実現して欲しい部分でしたので書かせて頂いてます。評価していただけてる様で嬉しいです。これからもお読み頂けたら幸いです。
...2004/11/30(Tue) 18:59 ID:ce9njQS2    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
2月、東京でも雪がチラつく。
この時期の学生達は、帰省したりする人もいるようだが、朔は、東京に残り研修に向けた準備をしていた。
時間がある時は部屋でくつろいだりするが、そんな時は亜紀のことが頭をよぎる。試験日は、1週間後に迫っている。

今日の朔は都心にいる。目的は合格祈願のお守りを手に入れるためだ。本当なら、もっと早く亜紀に渡したかったが、結局、今日になってしまった。2日前にはスケちゃんから電話があり、そのことで話したばかりだ。
   ・
   ・
   ・
部屋でくつろいでいた朔、飲み物を取ろうと冷蔵庫の扉に手をかけたとき、電話が鳴った。

朔「はい、松本です。」

龍之介「よう、元気か?」

朔「スケちゃんか。何?」

龍之介「お前さん、亜紀にもう渡したのか?」

朔「亜紀に?何を?」

龍之介「おいおい、合格祈願のお守りに決まってるだろ。もう時間もないぞ。」

朔「それなら、近いうちにもらってこようと思ってるよ。」

龍之介「まだもらってなかったのかい?俺も智世も渡したぞ。ボウズは最近、毎日のようにありがたいお経をあげてるらしいぞ。まだお守りを渡してないのは、お前さんだけだ。」

朔「ああ。皆、渡してくれたのか。ありがとう。」

龍之介「ずいぶんのんきだな。それで、東京に、合格祈願で有名な場所があったよな?」

朔「どこ?名前は?」

龍之介「名前までは知らないけどよ、有名なら、すごく、ご利益もあるんじゃないかと思ってよ。」

朔「さあ・・・どうかな・・・有名は関係ないんじゃない?」

龍之介「とにかく、どうせ渡すなら、そういう縁起をかつげるものを早く送ってやれよ。合格して欲しいだろ?おまいさんも。」

朔「分かった。早く送るよ。」

龍之介「そうしてやれ。じゃあな。」
そういうと電話は切れた。

目的を終えた朔は、そのまま近くにある郵便局へ。
お守りと一緒に昨夜録音したテープを同封した。もちろん、芙美子の分も忘れてはいない。実家宛に送ったのだった。

そのころ、宮浦では、亜紀が最後の詰めの段階に入っていた。

亜紀「あと、1週間だね。」

芙美子「最後まで諦めないよ。」

亜紀「うん。前向きにやれば、何とかなるよ。」
本当の姉妹のように仲の良い2人。この日も図書館で一緒に勉強している。

芙美子「そういえば、まだ来てないね。お守り。」

亜紀「え?智世たちからもらったじゃない?」

芙美子「そうじゃなくて、お兄ちゃんからの。」

亜紀「たぶん、忘れてるのよ。朔ちゃん、肝心なところを忘れる時があるから。そそっかしいとこもあるし(笑)」

芙美子「そうだね。しょうがないよね。」

最後の1週間はあっという間に過ぎ去っていく。
「病み上がりの体を押して頑張ったんだから、悔いのないように頑張って欲しい。」と父親の真が心の底から思っている。
もちろん、「できることなら、合格して欲しい・・・。」と朔、谷田部をはじめ、皆が思っている。

そしてついに試験日の朝を迎えた・・・。

続く
...2004/12/01(Wed) 19:38 ID:64RcEDns    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
 たー坊様へ
いつも執筆お疲れ様です。いよいよ受験ですね。2人とも合格しますようにと祈りたくなります。亜紀と芙美子、まるで仲のよい姉妹ですね。読んでいて心が和みます。たー坊様の文章により情景がありありと想像できます。私も見習いたいと思います。
 ちょっと余談ですが。私は仕事の関係上このサイトを見れない日があります。(宿直勤務の日)そんなとき、アナザーストーリーの続きはどうなっているのかな?と気になってしまうのです。そして家に帰ると真っ先にアナザーストーリーを開きます。たー坊様のストーリーは本当に心温まりますよ。これからも頑張ってください。
...2004/12/01(Wed) 20:31 ID:5LAtYwnI    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さん
執筆お疲れ様です。
亜紀と芙美子の受験がどうなるか
ドキドキですね。
亜紀と芙美子の関係は本当の姉妹ですね。
サクが浮気したら亜紀と芙美子タッグで
責められそう・・(サクは浮気しないか)
続編、期待してます!!
...2004/12/01(Wed) 23:38 ID:ptrHoDy2    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
グーテンベルク様、お疲れ様です。自信を与えてくださるような励ましのお言葉、嬉しい限りです。
ありがとうございました。
「アナザー・ワールド」は私も楽しみにしていますので頑張ってください。

サイトのファン様、毎回、ご感想頂きましてありがとうございます。
朔を「最強姉妹タッグ」で責めるのは面白いですね。とんでもない修羅場になりそうです。ますます尻に敷かれてしまう朔なのでしょうね。
続編、頑張ります。
...2004/12/02(Thu) 21:11 ID:QFDGqEsA    

             Re: アナザーストーリー  Name:北のおじさん
たー坊様。

執筆お疲れ様です。 いつも楽しみに読ませて頂いています。
此処の所仕事が立て込んでいて、読むだけで精一杯でした。
亜紀と芙美子、本当に姉妹のように仲が良いですね。
「最強姉妹タッグ」に責められる朔の姿、傍から見る分には面白そうです。(笑)
何方が書いても朔が亜紀の尻に敷かれてしまうと言うところ、とても面白いです。

続きを楽しみにしています。 がんばって下さい。
...2004/12/02(Thu) 22:22 ID:U1HYR5D6    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
北のおじさん様、お仕事お疲れ様です。体調に気をつけて頑張ってください。
私も続きを頑張ります。
...2004/12/03(Fri) 20:14 ID:95/xexfM    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
廣瀬家の玄関先。今まで頑張ってきた娘を見送る真と綾子の姿があった。

綾子「受験票持ったわね?忘れ物はない?」

亜紀「大丈夫。持ったよ。」

真「本当に車で送らなくて良いのか?」

亜紀「うん。朔ちゃんの家に寄って、芙美子ちゃんと一緒に行くから。」

真「そうか。芙美子さんにも頑張るように伝えてなさい。松本さんにもよろしく伝えてくれ。」

綾子「気をつけてね。いってらっしゃい」

亜紀「いってきます。」

松本家にて・・・。

亜紀「おはようございます。」

富子「亜紀ちゃん。いよいよだね〜。頑張ってね。」

亜紀「はい。」

芙美子「お姉ちゃん、おはよう・・・。」
少し緊張気味の芙美子。眠れはしたが若干テンションは下がっている。

亜紀「リラックス。ね?」
いつもの微笑を見せながら亜紀が言う。
「何か朔の受験を思い出すなぁ。」潤一郎が家から出てきた。

富子「そうだねぇ。あの時の朔もこんな感じだったねぇ。」
芙美子を見ながらつぶやく。
松本家の両親と亜紀は落ち着いてる。

亜紀「やっぱり、朔ちゃんも緊張してたんですか(笑)」

潤一郎「朔は自分で自分を追い詰めてたからなぁ。ブツブツ何か言ってたよ。」

富子「そうだったねぇ。まあ、芙美子は朔ほど硬くなってないね。」

芙美子「うん。」

富子「そうだ!2人ともまだ時間あるだろう?ちょっと仏壇に手を合わせて行きなよ。朔もそうしたんだ。」

富子に勧められ、手を合わせる亜紀と芙美子。
「これでやるべきことは全部やった。後は全力を尽くすのみだ。」不思議とそんな気持ちになった2人だった。

富子「じゃあ、悔いのないようにしっかりね。」

潤一郎「よし、いってこい!」

亜紀・芙美子「いってきます!」

こうして2人は受験会場に向かった。
会場では受験生が各々の様子を見せている。最後まで参考書や単語帳と向き合う者、辺りを見回したり
して落ち着かない者、数は少ないが落ち着いている者・・・。

テスト開始15分前、とても落ち着いてる様子の亜紀。右手には3日前に、朔から届いたお守りが握られていた・・・。

続く
...2004/12/03(Fri) 21:15 ID:95/xexfM    

             Re: アナザーストーリー  Name:けん
たー坊様
 今晩は。執筆お疲れ様です。いまドラマのサントラを聞きながら、2話分読ませていただきました。いよいよ亜紀と芙美子の受験ですね。こっちまでなんだか緊張しています。だけどもちろん亜紀も芙美子も合格ですよね?なんたって朔が家庭教師がわりで教えていたし、朔のお守りがあるのですから・・私も応援しておるぞよ。
 では、次の話も楽しみにしていますので、頑張って下さい
...2004/12/03(Fri) 23:24 ID:ScVAqt.U    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さん
執筆、お疲れ様です。
公式ホームページのBBSが再開されましたが
たー坊さんの世界の中心で、愛をさけぶが私の公式なのでコチラがメインです。
試験、ドキドキですね。
サクのお守り効果があるといいですね。
亜紀と芙美子の合格を祈りつつ
続編、お待ちしております!!
...2004/12/04(Sat) 01:01 ID:7NV7mP16    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
けん様、サイトのファン様、応援していただきましてありがとうございます。

現在、次の話を構想中ですので今しばらくお待ちください。
...2004/12/05(Sun) 11:54 ID:NbEDyX6U    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
「机の上にある筆記用具以外のものをしまってください。」試験官が試験開始前に受験生に伝える。いよいよこの時が来たのだ・・・。
   ・
   ・
   ・
試験会場は、わずかな間の静けさに包まれる・・・。そして・・・。

試験開始時間を告げるチャイムと同時に、「解答を始めてください。」の試験官の号令で一斉に鉛筆を走らせ始める受験生。
会場には、鉛筆の音だけが響いていた。

亜紀も解答に取り組んでいる。時間配分に気をつけながらも一心不乱に問題を解いていった・・・。
   ・
   ・
   ・
試験官「解答をやめてください。これで、本日の試験は終了となります。お疲れ様でした。」

あっという間に全試験科目の解答を終えた。試験官の終了の合図を聞き、会場を出て帰宅する亜紀と芙美子。あとは合格発表の日を迎えるだけである。

亜紀「ただいま。」

綾子「お帰りなさい。」

真「どうたった?」

亜紀「やるべきことはやったわ。後悔はないし、さっぱりしてる感じ。問題も落ち着いて解けたし。」

真「そうか。よくがんばったな。後は結果だけか。」

綾子「とりあえず、ここ2,3日は体を休めなさい。松本さんに伺ったんだけど、やっぱり朔君も受験の後は疲れきっていたそうよ。」

真「朔は学校にも出なかったらしい。お前も少しは羽を伸ばすつもりでリフレッシュするといい。」

亜紀「はい。」

真「だが、朔にはちゃんと報告だけはしておきなさい。」

綾子「お父さんの言うとおりよ。でもまずはご飯にしましょう。」

食卓を囲む3人。真と綾子は、合否はともかくとして、亜紀が体調を崩さずに受験できたことに、ほっと胸を撫で下ろしていた。まずはひと段落といったところだろうか。

夕食を終え、亜紀は東京に電話する。しかし朔は出ない。

亜紀「忙しいのね朔ちゃん。仕方ないか、また後で電話しよう。」
朔の声が聞きたいが、留守だろうか朔は出ない。少し落胆しつつ、亜紀は自分の部屋に向かった。

亜紀「私が落ち着いて受験できたのもこのおかげね・・・。」
亜紀が握っているのは朔から送られてきたお守りと試験前夜に聞いたテープ。

テープをウォークマンに入れ、イヤホンを付け亜紀は再生ボタンを押した。

続く
...2004/12/05(Sun) 16:40 ID:NbEDyX6U    

             Re: アナザーストーリー  Name:けん
こんばんわ。亜紀の受験終わりましたね。あとは、合格発表を待つばかりですか。悔いはないみたいだから大丈夫と祈りつつ、次も楽しみにしています
...2004/12/05(Sun) 23:40 ID:8ix2ndfI    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さんへ
執筆、お疲れ様です!!
試験終わってしまいましたね。
結果がどうなるかドキドキですね。
けど、サクからのテープ内容が気になります。
続編、楽しみに待ってます。
...2004/12/06(Mon) 00:13 ID:cX./EvI6    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
けん様、サイトのファン様、楽しみにしていただいて何よりです。

早速続きをUPします。


テープ朔「いよいよだね。本当に、よく今まで頑張ったと思うよ。
今だから言えるけど、最初に亜紀が『大検とって、大学に行きたい。』と言ったときは、すごく驚いたよ。俺の本音は『絶対に反対』だった。病み上がりの体で無理をして、また倒れたりされるのが怖かったんだ・・・。
あの電話の後、いろいろ考えた。『なんでそんなに焦るんだよ?1年かけて万全の状態で受験すればいいだろう?なんでもっと俺に甘えてくれないんだよ?』と・・・。『なんで、いまさら俺の前で無理するんだよ?』って口に出しそうにもなった。俺が賛成することで、もし、亜紀がまた倒れたら・・・、『俺は、2度も大切な人を殺しかねないのではないだろうか・・・?』とさえ考えたよ。今回ばかりは、俺が悲観的になってた・・・。」

次第に亜紀の目に涙が浮かぶ・・・。
お互いの間では無理をしないと決めたにもかかわらず、付き合ってきて初めてであろう、朔が亜紀に漏らした不安・・・。
そして、テープは続く・・・。

テープ朔「・・・でも、それは、俺の勘違いで、余計な心配だったんだろうな・・・。
亜紀は、ただ純粋に、もう1度自分のやりたいことに向かって全力で走りたいだけだよな?高校時代と同じようにさ。
『亜紀にとって、今年受験しないことの方が無理することになるんだろうな・・・。』と。なんとなくだけど、多分そんな気がするんだ。今はそう思える。だから、もう反対したいとはこれっぽちも思えない・・・。
焦りが全く無かったわけじゃないよな?ただでさえ不安な受験生の立場なのに、さらに体調面での不安。人並み以上のプレッシャーの中で、よくここまで来たね。

付き合い始めの時に言ったこと覚えてる?無理して、俺を特別扱いしないで頑張る亜紀に『そのままの亜紀がいい』って・・・。
昔なら、俺にさえ何も言わないで受験する事を決めたりしたんじゃないかと思う。でも今は、俺に不安を打ち明けてくれたりして・・・俺に少しだけかもしれないけど亜紀の不安を少し持たせてくれて・・・俺を特別扱いしてくれて・・・ありがとう。それでいいんだよ、そうやって頑張るのが一番良いと思う。
そうやって、俺が好きな今の『そのままの廣瀬亜紀』で・・・きっと良い結果が出るからさ。
それじゃあ、悔いを残さずに受けておいで。俺も東京で亜紀の合格を祈ってるから。落ち着いたら、電話もらえる?報告待ってるよ・・・・・・・・。」

テープはそこで終わっていた。
亜紀の頬に一筋の涙がつたう。
昨日、寝る前に聞いた時には緊張がほぐれたと思うだけだったが、改めて聞くとなぜかほっとする・・・。とめどなく溢れてくる涙を亜紀は止めることができない・・・。
流れる涙をぬぐうこともせず、ただ、イヤホンから聞こえてくる大切な人の言葉と声の温もりを抱きしめていた・・・。

亜紀「朔ちゃん・・・ありがとう・・・。」

その時だった。ドアをノックする音。涙をぬぐいながら返事をする亜紀。
「亜紀、入るぞ」の声とともに入ってきたのは・・・・・真だった。

亜紀「お父さんか・・・」

真「・・・何か不満か?」

亜紀「朔ちゃんが入ってくるときと同じように言うから、まさかと思って。」

真「それはすまなかったな。電話だ。」
そういって受話器を渡すと部屋を出て行く真。

亜紀「もしもし?」

「もしもし・・・」
その声の主は朔だった。

朔「お疲れさまでした。よく頑張ったね。」

亜紀「朔ちゃん・・・、ありがとう。」

朔「・・・?何が?」

亜紀「テープとお守り。」

朔「ああ」
言われて「そのことか」と気付く。やはり鈍感だ。

亜紀「昨日、寝る前に聞いた。かなり緊張してたんだけどすごく楽になったよ。」

朔「そう、ならよかった。」

亜紀「それと、やっぱり私のことを、1番考えてくれてるのは朔ちゃんだよ・・・。」

朔「なんかいつもと違うね。恥ずかしいから、やめてくれる?」

朔のテープのおかげで、涙でボロボロの表情の亜紀だが「らしさ」は失わない。
亜紀「そしたら、もう好きって言ってあげないもんね。」

朔「それだけは勘弁して。」

亜紀「フフフッ(笑)嘘。好きよ、朔ちゃん。」
今日はいつも以上に素直だった。

朔「もう一度・・・。」

亜紀「好きよ、朔ちゃん・・・。本当に大好きだよ。」

朔「ありがとう。」

亜紀「うん・・・。こちらこそ・・・。」

しばしの沈黙。涙をぬぐい亜紀が切り出した。

亜紀「朔ちゃんが教えてくれたところ出たよ。もうばっちり解けたぞよ。(笑)」

朔「全体としてはどう?手ごたえはある?」

亜紀「結構、解けたんじゃないかなって。力は出し切れた。後は結果だけね。」

朔「合格発表日はいつ?」

亜紀「2月14日、バレンタインデーよ。」

朔「良い結果がでるといいな。」

亜紀「チョコの代わりに、朔ちゃんにあげられたら良いなって思うわ。」

朔「俺が受験したわけじゃないんだからさ。まあでも、ありがとう。」

亜紀「どういたしまして。」

朔「じゃあ、今日は疲れただろう?早く寝なよ。これから、一気に受験疲れが出ると思うから、体をしっかり休めて。」

亜紀「分かってるわ。ありがとう。」

朔「じゃあ、結果が出たら、また電話して。」

亜紀「うん。おやすみなさい、朔。」

朔「おやすみ、亜紀。」
そういって電話は切れた。

そして1週間後・・・。
2月14日を迎えた。亜紀と芙美子は緊張の面持ちで大学の合格発表の掲示板が張り出されるのを待っていた・・・。
付き添いに、智世と龍之介、ボウズが来てくれた。

そして、掲示時間がきた。一斉に合格者の番号が張り出された。

亜紀「えーと、1B25170・・・。」

芙美子「1K93804・・・は・・・。」

必死になって自分の番号を探す2人。智世も一緒になって探している。

智世「ん?ねえ?亜紀あれじゃない?」

すぐに確認する亜紀、
亜紀「あった・・・。やったよ!智世!」

すると、芙美子も
芙美子「私もあった!」

智世「2人ともあった?本当に?」

芙美子「お姉ちゃん・・・よかった〜。」
半泣きの芙美子。そんな妹に亜紀は「笑顔で行こう」と促す。
そんな2人と熱く抱擁する智世。

智世「やったじゃない!ほら、行くわよ!」

少しはなれたところに待機していた龍之介とボウズ。

亜紀「スケちゃーん!ボウズー!」
駆け寄ってくる亜紀、智世、芙美子。
表情は笑顔だ。ということは・・・・。

龍之介「受かったのか・・・!そうだろ!?」

亜紀「おかげさまで、2人とも合格しました!」

ボウズ「ヨッシャー!!」
思わずガッツポーズが出るボウズ。すかさず、智世が「あんたが受かったわけじゃないんだから!」とツッコミを入れる。

龍之介「とにかくおめでとう!よく頑張った。2人とも。朔も喜ぶぞ。」

芙美子「何か、安心したら、おなか減ってきちゃった・・・。」

芙美子の言葉に緊張の糸は完全に切れ、一同は笑いに包まれていた。

続く
...2004/12/06(Mon) 13:46 ID:hkezxw3E    

             Re: アナザーストーリー  Name:yosi
たー坊さん
今回も良いお話ですね
もしの世界ですが、みんなの表情が生き生きしていて
まるでドラマの続きを見ている錯覚に陥るほどですよ
朔のテープは感動ものでした(^^)v
これからも続きを楽しみにしております
...2004/12/06(Mon) 15:05 ID:nLIQm5zM    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
たー坊様へ
今日も執筆お疲れ様です。早速読ませていただきました。昨日から宿直だったので読みたくてウズウズしておりました。(家に帰ったらパソコンへと直行でした。(笑))亜紀と芙美子の努力が実ってよかったです。朔からのカセットテープのメッセージも凄いよかったですよ。これからも楽しみにしております。マイペースで頑張ってください。
      グーテンベルク
...2004/12/06(Mon) 17:19 ID:VdF82g66    

             Re: アナザーストーリー  Name:けん
こんばんわ。今回の話とても良かったです。朔のテープ・亜紀と朔の電話での会話・そして、亜紀と芙美子の合格発表どれも、頭にドラマのシーンみたく思い出されて、とても感動しました。特に朔のテープはすごく良かったし、よくここまで、ドラマのテイストを残しながら書けると感心しました。
 また次回はどんな話か楽しみにしていますので、体に気をつけて頑張ってください
...2004/12/06(Mon) 21:37 ID:gC24x4eE    

             Re: アナザーストーリー  Name:SATO
たー坊さま、いつも執筆お疲れさまです。
ドラマのムードがたっぷりでホノボノさせられます。
芙美子と亜紀の仲良しぶりが微笑ましいです。
...2004/12/06(Mon) 23:51 ID:eBIlQRvw    

             Re: アナザーストーリー  Name:すばる
たー坊さん、いつも素晴らしいです。今回はサクのテープのメッセージに感動してしまいました。亜紀を一心に愛する思いが伝わってきて、キューンとなりました。

亜紀パパが「・・・何か不満か?」と言った時の、真の複雑な心境が伺えますね。

さて、亜紀たち一同は、合格をまず誰に伝えるのか?合格祝いは?芙美子と亜紀はどんな大学生活を送るのか?

楽しみです!
...2004/12/07(Tue) 23:04 ID:dIHbD9Ug    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さん
毎回、GJです!!
読ませて頂きながら
合格したのだろうか?とドキドキし
亜紀と芙美子の合格が分かるとホッとしました!
ボウズの「ヨッシャー!!」に智世のツッコミ
いいですね!!
続編、楽しみに待ってます!!
...2004/12/08(Wed) 00:29 ID:/5z1wWVg    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
yosi様、グーテンベルク様、けん様、SATO様、すばる様、サイトのファン様、
おかげさまで、受験終了まで書くことができました。ずいぶん書いてきましたが、その間、励ましのお言葉をいただけた事、大変感謝しております。

マイペースで頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。
...2004/12/08(Wed) 18:48 ID:ZvJq28xs    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
掲示板に自分の番号を確認し、大学合格を勝ち得た亜紀と芙美子。
亜紀は真っ先に東京の朔に電話したのだが、留守だろうかつながらない。仕方なく廣瀬家に電話を入れる。電話に出た綾子に合格を伝えると、涙ながらに「良かったね・・・おめでとう・・・。」と言ってくれた。1度は人生のどん底に叩き落された一人娘に春が来た・・・。その喜びはひとしおだ。ただ、真が不在だったのが残念だ。

芙美子も松本家に電話、富子が出た。合格を伝えると、「あーそうかい。おめでとう、良かったね。」と一言。さらに「卒業式が終わったら、またパーティーでもしようか。」と言ってくれた。

「大学合格おめでとう!!カンパーイ!!」

5人は宮浦に戻るとタコパパで祝杯をあげていた。
昔からよく知るパパさんが亜紀と芙美子の合格を知ると、「俺からのささやかな合格祝いだ。」と言って飲み物をサービスしてくれた。

龍之介「これで進路も決まったわけだ。特に秋は長かったよなぁ。ひと安心ってところだな。」

ボウズ「そうだな。しかし、いくら高校時代に成績優秀だったといえど、あんなにブランクがあったのによく合格できたなぁ。」

亜紀「少しでも早く皆に追いつきたかったの。だから、頑張れたっていうのはあると思うわ。」

芙美子「お兄ちゃんに教えてもらってたしね。」

智世「朔のサポートもあったんだ。それは合格もするよね。」

龍之介「そうだな。勉強のコツとかも分かってるし。智世も受験の時にいろいろ教えてもらったって言ってたよ。俺も期末テストとかではいろいろ世話になったな。」

ボウズ「2人には良い家庭教師がついてたわけだ。んで?その朔先生は帰ってこないのか?」

亜紀「4月からの研修で帰ってくるまでは、東京で頑張りたいんだって。そのかわり、私が東京に行こうかなって。」

智世「手料理でも振舞ってあげなよ。朔も喜ぶよ。なんなら私が教えてあげようか?」

亜紀「よろしくね。」

芙美子「あと、浮気調査も。」

智世「それがあったわね。亜紀、しっかり取調べしなさいよ。」
女性陣の話を聞いていた男2人・・・。

龍之介「朔も大変だな・・・。」

ボウズ「そういうお前はどうなんだよ?」

龍之介「・・・尻に敷かれてる・・・聞くなよ。」

ボウズ「大変だなお前も・・・。」

龍之介「大きなお世話だ。お前も早く良い子見つけろよ。」

ボウズ「ほっとけ!俺は絶対幸せになる!」

エスカレートするボウズの野望。しかし、そう遠くない未来、ボウズに人生における一大転機が訪れようとは本人さえも想像していなかった・・・。

それぞれの帰宅する5人。
廣瀬家では、帰宅した真が態度には出さないものの、亜紀の帰りを待ちわびていた。
本当は綾子だけは知っているのだが、真には言っていない。驚かせようと話していないのだ。
亜紀の朔へのいたずらは綾子の血筋の影響が大きいようだ。

その時、ついに亜紀が帰ってきた。

続く
...2004/12/08(Wed) 20:11 ID:ZvJq28xs    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
訂正です。
今日UPしたストーリー(192)の龍之介の最初のせりふの一部に間違いがありました。

×・・・「秋は」
○・・・「亜紀は」

以上です。申し訳ありません。
...2004/12/08(Wed) 20:16 ID:ZvJq28xs    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
 たー坊様へ
早速読ませていただきました。亜紀も芙美子も合格できてホッとしました。(実は仕事中も結果が気になっておりました。(笑))芙美子の「浮気調査も」と、母親譲りの亜紀のいたずらのところで思わず笑ってしまいました。たー坊様は絶対に文章の才能ありますよ。今日も心和む物語を書いていただきましてありがとうございます。続きを楽しみにしております。
     グーテンベルク
...2004/12/08(Wed) 20:34 ID:w8Xev0QI    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
グーテンベルク様、ご感想ありがとうございます。次の話も頑張ります。日曜日あたりまでにはUPしたいと思いますので、また読んで頂けたら幸いです。
...2004/12/09(Thu) 20:13 ID:.owjWFQs    

             Re: アナザーストーリー  Name:SATO
ボウズの一大転機も気になります。
...2004/12/09(Thu) 23:22 ID:bKLxk1Qw    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
「ただいま。」そう言うと亜紀は真の待つリビングへ。その真は顔には出さないが、合否の結果が気になって仕方がない。今日も仕事中は気が気でなかった。

亜紀「あ、お父さんお帰り。」

真「ああ、それでどうだったんだ?」

亜紀「どうって?決まってるじゃない。」

返す言葉に少し困り気味の真の反応に、今回のイタズラを仕掛けた綾子は、吹き出しそうになっている。そんな綾子の様子に亜紀が気付く。

亜紀「お母さん?」

真「何だ・・・?」

亜紀「ねえお父さん、聞いてないの?」

真「聞いていないが・・・。綾子、もしかして知ってたのか?」
この言葉に、綾子は耐え切れず笑い出し、頷いた。

真「まったく、娘の人生の節目にこんな事しなくてもいいだろう。」

綾子「ごめんなさいね。もう、嬉しくて嬉しくて・・・(笑)」

亜紀「そういうわけで、合格しました。」
満面の笑顔の亜紀。そんな娘の笑顔に

真「よく頑張った。おめでとう。」
と言ってくれた。

真「朔には?」

亜紀「電話したんだけど出てくれなかったの。肝心な時に出てくれないのよ。」

綾子「あ、亜紀からの報告の後、東京からは2回電話があったわよ。『結果は出ましたか?まだ亜紀は帰ってませんか?』って。本人も口から言った方が良いと思ってまだ教えてないわ。」

亜紀「そうなんだ。後で電話しよう。」
朔が気にかけてくれたことが分かって、亜紀は笑顔だ。

真「芙美子さんはどうだった?」

亜紀「芙美子ちゃんも無事に大学生になりました!」

真「そうか。それはめでたいな。近いうちに松本さんを伺って、お祝いをしないといかんな。」

綾子「何はともあれ、まずは内輪でお祝いしましょう。」
そういうと綾子ができたての夕食を運んでくる。
もちろん今日はカニクリームだ。
一家団欒の時間が始まった。真は終始上機嫌だ。
そんな中、亜紀が切り出した。

亜紀「それで、ちょっとお願いがあるの・・・。」

真「何だ?言ってみなさい。」

亜紀「3月になったら東京に行きたいの。」

綾子「朔君のところ?」

亜紀「うん。4月になったらこっちに帰ってくるでしょう。でも普段の朔ちゃんは忙しいから、荷物の整理とか大変だと思って。今まで、すごく助けてもらっちゃったから、今度は私の番かなって思うの。」

真「東京に行くのは構わんよ。しかし、荷物の整理だけが目的じゃないだろう?」

亜紀「・・・うん。実は朔ちゃんが、『受かってひと段落したら、遊びにおいで』って言ってくれて・・・。」

綾子「東京でデートするのね?良い機会だから行って来なさい。あなた、いいですよね?」

真「ああ。たまには都会の雰囲気を満喫するのも良いだろう。朔に東京を案内してもらいなさい。それに、もうお前達も22歳だ。もう私達が必要以上に干渉するのもおかしいだろう。」
真の口からとうとうこの言葉が出た。病気の娘を支え続けた朔のことは信用し、今となっては息子のような存在だ。「朔なら、娘を任せられる・・・。」娘を思う気持ちが誰よりも強いという自負があるからこそ、2人のことを見守る事を決めた。

亜紀「じゃあ、お言葉に甘えて行ってきます(笑)それで、もう一つ。お母さん、いろいろ料理を教えて欲しいの。朔ちゃんは普段自炊したりしてるから、たまには手料理を食べさせたいなって。」
顔を赤くする娘の願いを快諾した母。

綾子「明日から始めるけどいいわね。」

亜紀「よろしくお願いします(笑)」
こうして、亜紀の「第一回花嫁修業」が始まることになった。

夕食を済ませ、部屋に戻った亜紀はベットに仰向けになり、「やったー!!」と喜びをかみ締めながら東京の朔に電話をかけた。

続く
...2004/12/09(Thu) 23:42 ID:.owjWFQs    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さん
執筆お疲れ様です!!
ボウズの今後がスゴク気になります・・・
たー坊さんが私達読者の想像力を刺激して
しまう良い作品なので。
亜紀の花嫁修業も気になりますが!!
あーあ、続きが読みたいです。
たー坊さんのペースで結構ですから
続編、お願いしますね!!
...2004/12/10(Fri) 00:58 ID:QroJgABo    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
たー坊様へ
綾子のイタズラ、亜紀にそっくりですね。さすが親子。サイトのファンさんからもありましたが、想像力を刺激されるほど素晴らしい作品ですよ。今後を楽しみにしております。これからもマイペースで頑張ってください。
...2004/12/10(Fri) 23:25 ID:74sUZ65o    

             Re: アナザーストーリー  Name:けん
たー坊様へ。
  また2話分一気に読ませていただきました。最初のボウズの今後とても気になりますね。どういう展開になるかとても楽しみです。あととうとう亜紀パパの口から、朔と亜紀の事を認める発言がでましたね。今までの病気の亜紀を支え続けた朔の事見てきたから、当然といえば当然ですけど・・でも私としては、とてもうれしいです。今後どういう展開になっていくのか楽しみです。
 では、体に気をつけてマイペースで頑張って下さい
...2004/12/11(Sat) 00:31 ID:moz4.j4I    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
サイトのファン様、グーテンベルク様、けん様、毎回のご感想ありがとうございます。

真の、朔と亜紀を容認する言葉は、亜紀に対しては明確には話していなかったのではないかと思い、書きました。
また、いつかは、今度は亜紀が朔に支えるようなところを書きたいと思いますので、その時に読んで頂けたら幸いです。

さて来週ですが、忙しくなりそうで作品をUPしづらい状況です。気長にお待ちくださるようお願いします。
...2004/12/11(Sat) 21:26 ID:9jqBWbWM    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
宮浦で亜紀が電話をかけようとしているまさにその頃・・・。
東京では、朔が今か今かと首を長〜くして報告を待ちわびていた。

朔「・・・・・・何やってんだよ。亜紀。・・・遅い・・・遅すぎる。」

昼間から何をしていても落ち着かない。「俺が受けたわけじゃないんだから」と分かっていてもダメ。
とりあえず夕食を作ろうとしても、気がつくと視線は電話の方を向いていた・・・。

その時!

朔「来たっ!」
ついに電話のベルがなる。緊張してるせいか、いつも聞き慣れてるはずの電子音がいつもより大きく感じられる。
飛びつくように電話に出る朔、なんと1コールしないうちに受話器を取った!

朔「もしもし、松本です。」

亜紀「もしもし?・・・朔・・・ちゃん?」

思いっきり沈んだ恋人の声に、思わず「ヤバイ・・・」と思う朔。
もちろん亜紀が速攻で、朔にイタズラを仕掛けたのだが・・・。

朔「ど・・・どう、どうだった?」

亜紀「うん・・・それがね・・・。」

朔「それが・・・?」
これ以上ないほど完璧に騙される。すっかり沈みきった亜紀の声に「駄目だったのか・・・」と思ってしまっている。
一方の亜紀は必死に笑いをこらえながら演技を続けている。

亜紀「私も芙美子ちゃんも・・・」

朔「2人とも・・・?」
ここまでくると、朔の頭は絶望にも似たもので満たされる。「そ・・・そんな・・・」という言葉が出そうになったその時・・・

亜紀「合格してました!」
急に明るい声を出す。そんな亜紀に朔は・・・?

朔「・・・・・・へ?合格・・・?」
のリアクション。
この一言があまりにおかしかったのか、亜紀が爆笑し始める。

亜紀「あははははは!(爆笑)あーおかしい。朔ちゃんたらもうー。何年経っても、引っかかるんだからー(笑)」

朔「・・・・・・亜紀・・・まったく、こんな大事なことを使って、からかわなくてもいいじゃないか・・・。」
軽〜く怒り、ヘコミ気味の言葉を返す朔。
仕返しとばかりに、今度は、朔がイタズラを仕掛けていた。
そうとは知らず、朔の言葉を真に受けた亜紀は慌てはじめる。

亜紀「あ、ごめんなさい、怒っちゃった?本当にごめんね。」

朔「はぁー。いいよ別にっ!」
どっちつかずの反応に、亜紀はさらに慌て始める。

亜紀「本当に、本当にごめんね。朔ちゃん、お願いだから、私のこと嫌いにならないでね・・・。」

朔「ぷっ・・・。はは、嘘だよ。その程度じゃ
怒りません。俺たち何年付き合ってると思ってんだよ。からかわれるのはもう慣れたよ(笑)」

亜紀「・・・あっ、やられたーっ。もう最悪!ひどいよ、朔!」

朔「お互い様だよ。俺だって散々やられたんだから。」

亜紀「本当に悔しい!まさか、朔ちゃんに仕返しされるとは思わなかったわ!」
電話口で思いっきり膨れ顔の亜紀。

朔「はは、どう?たまには引っかかるのも良いんじゃない?(笑)」

亜紀「絶対に嫌よ!あーあ、私だけの特権だったのに・・・。何か新しいの考えないと。」

朔「もう勘弁してくれよ。」

亜紀「絶対に勘弁しませんっ!もういい、私、しらないもんね!」

今度は朔が焦る。
朔「ゴメン。お願いだから・・・。」

亜紀「・・・いいよ。今回はこれで許してあげる(笑)」
どうしても亜紀に敵わない朔。やはり、亜紀の尻に敷かれることは宿命のようだ・・・。

亜紀「私、頑張ったよ。」

朔「うん。おめでとう。これから良いことたくさんあるよ。」

亜紀「人生プラスマイナス0だもの。そうなってくれないと困るよ。」

朔「そうだな(笑)」

亜紀「ところで、朔ちゃんはいつごろ帰ってくるの?」

朔「3月末かな。それまでに東京に来れる?」

亜紀「3月に入ったら行こうと思ってたの。荷造りも手伝えるでしょう?」

朔「本以外には大きい荷物は少ないから気にしなくていいよ。それより、行きたい所考えておいて。なるべく希望に沿うようにするから。」

亜紀「うん。わらわは、ばっちり考えておくぞよ!(笑)」

朔「楽しみだな。待ってるよ(笑)」

亜紀「そんなのんきなこと言っていいの?ただ遊びに行く訳じゃないんだから。」

朔「なんだよ?」

亜紀「ちゃんと1人暮らししてるかどうか見に行くのよ。あと、約束も守っているかどうかもね。」

朔「ご心配なく。俺は亜紀を悲しませるようなマネはしてないから。」

亜紀「そうね・・・。Hな本以外はなさそうね。」
この言葉に朔は「当たってる・・・鋭い。」と思う・・・。

朔「それは無いって。」
とは言いつつも、男・松本朔太郎、22歳。部屋にそういう類のものが無いわけが無い。そして、口が裂けても言えるハズもない。

亜紀「フフ、もしそういうものがあるなら、私が行く前に処分しなさいよ(笑)」

朔「分かったよ。」

亜紀「あるんだ・・・。そういう本。」

朔「ないって。」
「ヤバイ」思いっきりそう思う。

亜紀「私、本当に怒るよ。」

朔「本当にないから。」
いつもはなるべく亜紀の声を聞いていたいが、今だけは「電話よ、電話線が切れても良いから、早く切れてくれ・・・。」と願う。

亜紀「ま、いいわ。証拠もないしね(笑)」

その時、「亜紀ちゃん、ちょっと来て」と下から綾子の呼ぶ声が。

亜紀「ゴメン。お母さんに呼ばれてるから、また今度ね。おやすみ朔ちゃん。」

朔「(ホッとして)・・・ああ。おやすみ亜紀。」

受話器を置くと、すぐさま隠してあった例のブツをゴミ袋に入れる。そして、翌朝のごみ収集車を、亜紀からの電話以上に首を長〜くして待ち続ける朔だった・・・。
...2004/12/13(Mon) 22:01 ID:96mFa9oQ    

             Re: アナザーストーリー  Name:北のおじさん
たー坊様。

亜紀と朔の会話、楽しく読ませていただきました。
朔よりも1枚も2枚も上手の亜紀。 とても面白いですね。
東京でのデートも楽しみです。
忙しくなり大変なことと思いますが、これからも楽しませて下さい。
首を長〜くして(笑)待っていますから。
...2004/12/13(Mon) 23:08 ID:63fV8TiY    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
北のおじさん様、毎回のご感想ありがとうございます。
読者の皆様に何か印象に残る作品になるように頑張りますので、またお読みいただければ幸いです。
...2004/12/14(Tue) 17:32 ID:YLwxnOg.    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
たー坊様へ
こんばんは。グーテンベルクです。やはり朔は亜紀にかなわないようですね。普段は亜紀が主導権を握り、ここぞという時は朔が亜紀の手を引く。理想的な姿ですね。これからも応援いたしておりますので体に気を付けて頑張ってください。
...2004/12/14(Tue) 18:07 ID:iza6Cpjc    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
 たー坊様へ
こんばんは。グーテンベルクです。アナザー・ワールドでのお褒めの言葉、ありがとうございます。とても幸せな気分です。ただ、たー坊様の作品が私の作品以下だとは決して思っておりません。たー坊様の作品の素晴らしいところを数えるときりがありませんが、読者の方の想像力を上手く刺激して、その心に温かなものを残すことができる点、そしてその力を与えるたー坊様の文章力。何度読んでも幸せな気分になれるところなんか特に素晴らしいですよ。こちらこそ脱帽です。
 私もたー坊様のようなすばらしい作品をつくれるように頑張りますのでこれからも改めてよろしくお願いいたします。
...2004/12/14(Tue) 18:46 ID:iza6Cpjc    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さん
執筆お疲れ様です
お忙しいのにサンクスです。
今回もサクと亜紀がほのぼのとして描かれ
心が暖まります!
Hな本のくだりは思わず爆笑です。
ありますよね、こういうシチュエーションは!!
続編、お待ちしています!!
...2004/12/15(Wed) 00:36 ID:Q.e1ZyvQ    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
グーテンベルク様、サイトのファン様、毎回のご感想ありがとうございます。
今回は、ちょっとお遊び的要素を入れてみました。

次回も頑張ります。
...2004/12/15(Wed) 20:56 ID:4P2DIpO.    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
雲一つない青空の翌早朝、1台の青い車がアパート前を通過した。その車を見送る青年が「ふぅ。」とため息混じりに胸を撫で下ろす。

朔「これでよし。亜紀は怒らせると怖いからな。下手なことすると、また、車から落とされかねないし・・・。見つかったら、口を利かなくなるだけじゃ済まないだろうなぁ・・・。」

無事に例のブツを処分することができた事で、安堵と爽快感が一緒になったような表情を見せる朔。
今日は休み。亜紀とのデート場所でも考えようかと思ったその時、電話が鳴る。
受話器を取るなり「おはよう。ちゃんと処分した?」と最愛の人の声が聞こえてきた。

朔「だから、最初から持ってないよ。」
一瞬、体に緊張が走る。あまりに鋭すぎる指摘に、24時間監視でもされてんじゃないかとすら思えてしまう朔だった。

亜紀「冗談よ。でも何か忘れてない?」

朔「何を?」

亜紀「お父さんにも言われてるでしょう。『人に会ったら挨拶をしなさい』って(笑)」

朔「・・・これ、電話。それに、開口一番にあんな聞き方されたら、それは挨拶も忘れるよ。」

亜紀「ゴメンね。でも、お医者さんなんだから、もうちょっと冷静さが欲しいよね。ね?朔ちゃん(笑)」

朔「すみません・・・。」

今日も好きな人の声を聞けることに感謝しつつも、もうその話は終わりにしてくれと切に願う朔。そんな朔をからかい続ける亜紀だった。

同じ頃、宮浦にあるボウズの寺・・・。
朝から寒さに耐え、墓地を掃く僧侶が1人。

ボウズ「うう・・・。今年の冬は暖かいと思ってたんだけどなぁ。このままだと、身も心も完全に冷え切っちまうよ・・・。」

ブツブツ言いながらも掃除を続けるボウズ。ふと、線香のにおいがする。よく見ると、町が一望できる場所にある墓の前で、同年代くらいであろう女の子とその両親らしき人が、手を合わせている。

ボウズ「この時期に、しかも朝から来るなんて珍しいな・・・。」

続く
...2004/12/15(Wed) 23:14 ID:4P2DIpO.    

             Re: アナザーストーリー  Name:SATO
ブツを処分する朔が微笑ましいです。まあ、このくらいの男の子だったら誰でもあわててやることでしょうからね。

ボウズの寺の墓に来た女の子が一大転機のカギになりそうで、楽しみです。
...2004/12/15(Wed) 23:31 ID:UAqSgb2g    

             Re: アナザーストーリー  Name:けん
たー坊様
 こんばんわ。今日も2話分読ませていただきました。2話の朔と亜紀の電話での会話とても微笑ましく、そして相変らず朔は亜紀にはかなわないのかも・・それと亜紀だけでなく大抵の女の子はこういう勘って鋭いかもしれませんね。
 あと次の話から、いよいよボウズの一大転機になる女の子の登場ですか?ドラマと関係がある女の子なのか?そうでないのか?とても興味があります。
 年末で何かと忙しいと思いますが、マイペースで執筆活動して下さい。続編楽しみにしています。
...2004/12/16(Thu) 02:50 ID:jzLimg6s    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さんへ
執筆、お疲れ様です!!
どんな忙しくても、たー坊さんのアナザーストーリーを読ませて頂いています。
いよいよ、ボウズにも何か起きるのですね??
ワクワクです。
サクも亜紀が来る前にブツも処分出来て
一段落ですね。
続編、楽しみにお待ちしてます。
...2004/12/16(Thu) 23:36 ID:wIv78Dt2    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
SATO様、けん様、サイトのファン様、
毎回のご感想ありがとうございます。

ボウズ、始動し始めました。とりあえず、出会いぐらいは書こうと思ってますが、その後はボウズ次第という事で。

年明けあたりには、東京デートに突入できたらと思います。
...2004/12/19(Sun) 18:10 ID:Geplekg2    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
ボウズ「おはようございます。朝早くからご苦労様です。」
墓参りに来ている一家に声をかけるボウズ。墓石には「近藤家之墓」とある。

ボウズ「この時期に墓参とは珍しいですね。ご先祖様もさぞお喜びでしょう。」

父「おはようございます。いえ、お盆など以外は、なかなか墓参できないのですが、こういう時ですから・・・。」

ボウズ「こういう時?失礼ですが、差し支えなければ教えて頂けないですか?」

父「私は結城と申します。墓石の近藤というのは、家内の旧姓です。あと、次女の梓です。」
結城が紹介すると後ろにいた2人が頭を下げた。

ボウズ「ご丁寧にありがとうございます。私は、この寺の坊主の顕良と申します。」

結城「そうですか。実は、私たちにはもう一人、長女がいるのですが、その長女が入院してましてね・・・。」

ボウズ「それは大変ですね。どうして入院されてるのですか?」

結城「長女は恵美といいます。実は交通事故に遭いまして・・・。足を骨折してしまいましてね。最近、リハビリができるくらいに回復はしたのですが、そのリハビリが本人にとっては相当の苦痛のようでして・・・。当初は頑張ってたのですが・・・。」

ボウズ「リハビリから逃げてるのですね?」

結城「おっしゃるとおりです。このところは、リハビリルームにも行こうとしません。」

この言葉に、ボウズは亜紀の歩行訓練の様子を思い出していた。移植を受け、稲代総合病院に戻ってきた亜紀に待っていたのはつらい歩行訓練の日々。龍之介、智世とともに朔に後を託され、時間を見つけては、リハビリを手伝ったりもした。

「これは参考になるか分かりませんが・・・。」と前置きした上でボウズは亜紀のことを話し始めた。
朔、龍之介、智世・・・自分を含めて周囲皆の支えでつかみとった今の幸せな日々を・・・。

その頃・・・。

智世「ちょっと、その指の置き場所と包丁の使い方じゃ切るよ!」

亜紀「こうじゃないの?この辺?」

亜紀が智世に料理を教わっていた。正月に朔に雑煮を振舞ったが、その時以来料理をしていなかったので、もとの木阿弥になってしまっていた・・・。

続く
...2004/12/20(Mon) 18:05 ID:MAy5Y8.U    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
グーテンベルク様へ
 こんばんは。グーテンベルクです。いよいよ新たな展開へとなってきましたね。ボウズに春がくるのを楽しみにしております。たー坊様の物語、最高ですよ。亜紀が夢島で包丁を片手に料理をしようとして朔にストップをかけられた光景を思い出しました。これからも心温まる作品を楽しみにしております。決して無理をせずマイペースで頑張ってください。
...2004/12/20(Mon) 21:14 ID:0oIx5gj2    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さんへ
執筆、有り難うです!!
ボウズもいよいよですね
この後の展開から目が離せませんね。
亜紀とサク、龍之介と智世、ボウズと?
又、続編が楽しみです!!
年末で忙しいでしょうから
じっくりお待ちしてますね
...2004/12/21(Tue) 00:38 ID:AuxG/jgo    

             Re: アナザーストーリー  Name:けん
たー坊様へ
 いよいよボウズの物語が、始まりましたね。これから、どのように展開していくのか楽しみです。 
 あと、智世と亜紀の料理をするシーンは、私も夢島の事を思い出してとてもほのぼのとして良かったです。次回も楽しみにしていますので、マイペースで頑張って下さい。
...2004/12/22(Wed) 04:23 ID:MVzA89C2    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
グーテンベルク様、サイトのファン様、けん様、いつもご感想を頂きましてありがとうございます。
ほぼ毎週3回のペースでアップさせて頂いてましたが、最近はそのペースが維持できなくなっています事をお詫び致します。
今週中に一度アップできるよう頑張りますので、気長にお待ちください。お読み頂けたら幸いです。
...2004/12/22(Wed) 18:26 ID:IFWqbqDI    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
危なっかしい手つきで食材を切っていく亜紀、次第にコツをつかめてきたのか、心なしか手つきがよくなってきた。

智世「そうそう。なんだ、思ったよりできるじゃない。後は慣れることね。料理って数をこなせばこなすほど上手になっていくから。」

亜紀「そうね。これからは1日1食を目標に作ってみるわ。」

智世「半年もすればずいぶん違うと思うわよ。あ、その切ったやつちょうだい。」

思えば、こんな風に女2人で一緒に料理を作って食べようなんて事は今までなかった。
亜紀も智世も何年後かにまたこうして2人で作ってホームパーティーみたいなことができたらいいなと思っていた。

30分後・・・

智世「そろそろいいかな。」

亜紀「いい匂い。味はどうかな?」

智世「大丈夫よ。」

台所に鍋からの良い匂いが漂う。今日の昼食はカレーだ。亜紀が「朔にオーソドックスな家庭料理を食べさせたい」と相談し「カレーなんかどう?」と智世が提案したのだった。

智世「その大き目のお皿使って。」

智世の指示で亜紀がテキパキと動く。炊飯器のご飯もスタンバイ済みだ。

2人「いただきます。」

亜紀「あ、おいしい(笑)」

智世「・・・うん。今日のと同じのを朔に作ってあげたれたら上出来ね。あいつ驚くよ。」

亜紀「ハチミツが隠し味になってるのね?」

智世「そう。本格的にカレー粉から作るときも使ったりするのよ。市販されてるルウと一緒に使っても良いと思ったんだけど、思ったとおりだったわ。」

亜紀「レシピのメモもらっていっていい?」

智世「いいよ。頭の中に入ってるから。」

カレーを食べながら料理談義に花が咲く。
ふと亜紀が束ねていた髪をほどいた。それを見た智世が別の提案をした。

智世「あんた、だいぶ髪が伸びてきたね。一時期は抗がん剤の副作用で、それこそボウズと一緒の頭だったのに。」

亜紀「スキンヘッドだったね。結婚写真撮った時は髪の毛に踏ん張るように命令して・・・。でも、撮り終わった時には限界だったわ(笑)」

智世「”スキンヘッド亜紀ちゃん”の写真はないの?」

亜紀「いらないわよ。そんな写真。」
膨れ顔の亜紀に智世も膨れ顔を返す。思わず「似合わなーい」とつっこむ亜紀に「ナニィ?」と余計に膨れる智世。

亜紀「スケちゃんの前でもそういう顔するの?」

智世「やったことないんじゃないかな。あんたも知っての通り、こういう駆け引きみたいなことって、そうそう通用する奴じゃないから。」

亜紀「ふーん。」

智世「それより、亜紀。東京行く前に美容院で髪セットしたら?ちょっと変えるだけでも違うと思うよ。」

亜紀「東京の女性に負けないためにも?」

智世「そう。朔の浮気防止の対策の一つ!」

亜紀「・・・いいかも。」

大人への階段を上り、女性の魅力に磨きをかける時期に入院生活を送っていた亜紀。たまに智世がファッション雑誌を見せてくれたりしてたが実際にはそういうことをできるはずもなく、退院してすぐに受験勉強を始めたため、今日までそんなことなど気にも留めてなかった。

亜紀「朔ちゃんも喜ぶかなぁ?」

智世「その前に、気付かないかもね・・・朔は。鈍感だし・・・。」

亜紀「・・・そうかも。でも、そういうのもいいよね。智世はそういうの詳しそうだから教えてね。」

智世「よし。決まりね。あ、ついでに、大学を案内してあげる。」

こうして、智世は亜紀と一緒にキャンパスを案内することになった。

続く
...2004/12/24(Fri) 15:24 ID:8C5PkRIQ    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さん
お忙しいのに、私達ファンのために執筆
サンクスです。
智世と亜紀の女同士の会話もいいですよね。
亜紀の髪型のセット、是非見てみたい気がします。
でも、智世が正解ですね、サクは気づかないかも?
ボウズの恋の予感?、亜紀と智世の友情
今後の展開が楽しみです!!
続編、ゆっくり待ってます
...2004/12/25(Sat) 00:41 ID:vIRQUqb6    

             Re: アナザーストーリー  Name:けん
たー坊様
 いつも執筆お疲れ様です。今回の亜紀と智世の会話いいですね。私も成長して髪型をセットした亜紀の姿みてみたいです。(もちろんはるかちゃんで)
その亜紀の姿をみて朔はどんな反応するのか楽しみです。今後の展開楽しみにしていますので、マイペースで頑張って下さい
...2004/12/25(Sat) 12:24 ID:lLqMniNo    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
たー坊様へ
こんばんは。グーテンベルクです。ドラマのシーンを思い出しながらいつも楽しく読ませていただいております。そういえば私・・・髪を少し切った恋人の変化に気付かずに彼女を怒らせてしまった経験があります。(笑)(「鈍すぎる、最低」て言われました。トホホ・・)ですから朔は亜紀の変化に気付くように祈りたい気分です。
 お忙しい中の執筆、お疲れ様です。お互いに頑張っていきましょう。
...2004/12/25(Sat) 21:37 ID:1FBoYe1.    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
サイトのファン様、けん様、グーテンベルク様、毎回のご感想をありがとうございます。

ボウズは恋の予感、女同士の友情、書いている私も先を下手に考えすぎずに書いています。
年内に2回くらいはUPできるように頑張ります。
...2004/12/28(Tue) 15:25 ID:g.LuYwZo    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
結城「どうぞ、お入りください。」

ボウズ「失礼します。」

寺で自分の経験談を話したボウズは、結城に、ぜひ本人に直接話をして欲しいと頼まれていた。今日は入院先である病院を訪ねていた。
長い急坂をボウズを乗せた車が走って行く。この病院は何度か訪れたことがある。時に一人で、時に4人で・・・。そう、ここは稲代総合病院だ。

恵美「お父さん。」

結城「ああ。」

恵美「そちらの方は?何か珍しい格好してるけど。」

結城「近藤の墓のある寺の方だ。」

ボウズ「初めまして、中川顕良です。」
そう言って頭を下げるボウズに恵美も会釈を返す。

「早速だが、今日はリハビリルームには行ったのか?」との結城の一言に、恵美は首を横に振る。

恵美「・・・このままじゃいけないと思っているんだけど、どうしても・・・」

結城「そうか・・・。それで、今日顕良さんをお連れしたのは、話をしてもらうためだ。」

恵美「話?」

ボウズ「先日、寺で結城さんにお会いしたときに、大体の事情を伺いました。その時に参考になればと思い、私の経験談を話させて頂きました。今日お話しするのは、そのことです。」

結城「お前がリハビリに行けないのは、心のどこかに迷いみたいなものがあるのだろう。それを無理やりこじ開けては、ますますリハビリしたくなくなるのだろうと思って。それで来て頂いたんだ。」

恵美「・・・うん。」

ボウズ「私の幼馴染にサクって奴がいまして、そいつは、高校2年の時に同じクラスのアキっていう子と付き合い始めたんです。そんな2人を私とこれまた幼馴染のスケと智世は応援してました。5人でいっつも集まったりして。時にはぶつかり合って、仲直りしながら、仲は良かったと思うんですよ。サクとアキもホントに仲が良くて。思わず私、『痒いんだよ、お前ら』と言ってしまったくらいです。」

恵美はボウズの方を見て聞き続けている。

ボウズ「ところが、そんな2人の幸せな時間は長くは続きませんでした・・・。アキが倒れたんです。白血病でした。この病院に入院してたんですよ。それからというもの、アキは外に出ることも叶わず、絶望に支配されていきました。
そんなアキを支え続けたのはサクで、毎日のようにこの病院に通い続けました。
しかし、当時の抗がん剤はあまり効果がなく、どんどんやせ細っていきました。私とスケと智世はそのうち面会もできなくなりました。そのうち、サクだけがアキにとっての希望になったんです。2人は最後の最後まで諦めようとはしませんでしたが、生還ということについては、だんだん諦めへと変わっていきました。
2人は死を覚悟でアキの『青い空がみたい。』という最後の望みをかなえるために、オーストラリアへ行こうとしたんです。が、空港が限界でした。
病院に連れ戻されたアキは一命を取り留めました。奇跡ですよ。」

恵美は固唾を呑んで話に聞き入っている。

ボウズ「危機を脱してからはサクと再びの闘病生活
に入りました。それから4年後、運良く、骨髄移植を受けることができました。その間サクは『アキを助けるために医者になる』と言って、アキを俺たちに託し上京して行ったりもしたんです。」

恵美「それで、そのアキさんは?」

ボウズ「無事に骨髄移植を終えた後、最後の難関として待っていたのは歩行訓練でした。3人で、時間を見つけては手伝ったりもしたんですが、見てるこっちも辛くなるほどでした。でも、1日もリハビリを休もうとはしませんでした。」

恵美「どうして?あんなに痛いのに・・・。」

ボウズ「アキ自身、サクを含めた周囲を支え続けてくれた人たちのためだったんではないかと私は思ってます。
早く元気になって、元の生活に戻ることが何より幸せなことであり、恩返しになるのではないかと・・・。」

恵美「・・・・・・。」

ボウズ「去年の夏にアキは退院しました。それから病み上がりにもかかわらず猛勉強をして、このあいだ大学に受かったんですよ。今は東京にいるサクの所に行くとか。張り切っています。」

恵美「すごいですね・・・。私なんかよりずっと悪い状況だったのに・・・。」

ボウズ「こういう人もいるのです。あなたは幸いにもリハビリさえすれば、元の生活に戻れるのです。少しだけ頑張ってみませんか?ここにいるお父さんも、お母さんに妹さん、お友達もいるでしょう。勇気を出して、その人たちのためにも頑張ってみませんか?」

恵美「・・・お父さん、ちょっとでいいからリハビリに付き合って。」

結城「分かった。」

恵美「顕良さん、ありがとうございました。前向きにやってみます。」

ボウズ「ええ。」
どこかふっきれたような顔の恵美に笑顔を返すボウズ。修行の中で、人前で話すことも多くなった成果が出たようだ。

リハビリに向かう親子を見送ろうとしたボウズに「そうだ!」と恵美が声をかけた。

恵美「顕良さん、良かったら、またお話してくれませんか?入院中は暇で・・・(笑顔)」

ボウズ「分かりました。時間があるときはいいですよ。」

ボウズの答えに笑顔を見せた恵美は廊下を曲がってリハビリルームに向かった。
「さて、帰るか」と思ったその時、「今のかわいい子は誰かなぁ?」と後ろで声がする。
亜紀と智世だった。

ボウズ「お前ら・・・なんでここにいるんだよ?」

亜紀「私は、今日は定期の通院日。」

ボウズ「智世は?」

智世「亜紀の付き添い兼運転手。」

亜紀「今のは誰?」

ボウズ「ちょっとな。」
そういうとボウズは2人に事のなりゆきを説明した。

智世「へぇ〜、それで説得できたんだ。あんたもやるじゃん!!」

亜紀「朔ちゃんとスケちゃんに見せたかった。2人とも驚くよ。」

ボウズ「それ、遠まわしにバカにしてないか?」

そういうと3人は笑った。
そして、これがボウズと恵美の出会いだった。

続く
...2004/12/28(Tue) 21:21 ID:g.LuYwZo    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
ある日の宮浦高校グランド・・・。
「はい!次いくよ!」と谷田部が相変わらず大きな声を出して、陸上部員たちにゲキを飛ばしている。
そんな光景を遠目から見ていたのは亜紀と智世の陸上部OG。
2人は、いつも朔が亜紀の練習が終わるまで待っていた場所で練習を眺めていた。

智世「ここは変わらないね〜。」

亜紀「そうだね。」

今日は風がなく、この時期にしてはずいぶん過ごしやすい。

亜紀「付き合い始めたときは、いつもここに朔ちゃん待ってたっけ。」

智世「そうだね。あいつもよっぽどの暇人だったよねー(苦笑)もう気が散ってしょうがなかったんじゃないの?」

亜紀「うん。余計なことばかり考えちゃった。」

智世「なに考えてたのよ〜。」
そういうと亜紀をつつく智世。

亜紀「もし、転んだりしたら、朔ちゃんなら真っ先に飛んできそうでしょ?そうなったら、すっごく恥ずかしいじゃない。」

谷田部「ほーんとにあいつにはあきれたわ。私が『しつこーい』って言っても食い下がろうとしたからね(苦笑)」
2人を見つけた谷田部が会話に加わった。

谷田部「ま、それはそれとして、廣瀬、早く松本と2人で顔出しなさいよ。」

亜紀「3月の末には帰ってくるって言ってましたから、その時に。」

谷田部「そっか。稲代総合病院で研修するって言ってたね。これからが本当の勝負だね松本も。」

智世「でも大丈夫ですよ。亜紀もいるし。ね!」

亜紀「恥ずかしいからやめてよ。」

谷田部「はいはい。ご馳走様。まったく2人とも幸せぶりを見せつけてくれちゃって。」
この言葉に2人は恐縮しきりだ。

谷田部「そうだ!あんたたち、時間あるなら後輩達に指導してよ。」

2人「いいですよ。」
という間もなく、谷田部にグランドの方へと連れて行かれた・・・。

続く
...2004/12/29(Wed) 13:16 ID:wQVNAimU    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さんへ
執筆、お疲れ様です!!
ドラマの再放送を見て悲しくなっても
たー坊さんのアナザーストーリーのおかげで
救われます。
ボウズと恵美さんの今後が楽しみです。
あと気になるのは谷田部先生・・・
何故、独身主義なのでしょうかね??
でも、たー坊さんが謎を解き明かして
くれるのを待ってます。
続編、楽しみに待たせて頂きます!!
...2004/12/30(Thu) 00:42 ID:Sx8katjs    

             Re: アナザーストーリー  Name:夕妃
たー坊さんへ。
初めまして。夕妃といいます。
勝手ながら、始めの投稿から全て読ませていただいてます。
俺的に、亜紀の合格発表の時の電話での会話や、亜紀が朔と3月の予定を考えている電話での会話が、たまらなく好きです。
読んでいると体がムズムズしてきました(苦笑

これからの展開も楽しみにしています。
頑張ってください。
...2004/12/30(Thu) 01:34 ID:e6RtYCnQ    

             Re: アナザーストーリー  Name:けん
こんばんわ。2話分読ませていただきました。今回の話は、ボウズかっこよかったですね。これから、恵美とボウズの今後の展開は楽しみです。そういえば恵美は何歳くらいの設定ですか?ボウズや朔達と同じくらいですかね?良かったら教えて下さい。
 また続編楽しみにしています。
...2004/12/30(Thu) 01:54 ID:UeY2I84.    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
 たー坊様へ 
こんばんは。グーテンベルクです。ボウズと恵美の出会い、すごくよかったですよ。本当に必要な時に恵美に希望を与えるボウズ、かっこいいですね。
亜紀と智世、そして谷田部先生の会話もとても好きです。この物語、何度読んでも最高ですよ。
 完成は来年以降になりそうですが、お互いに頑張っていきましょう。これからも、そして来年も心から応援いたします。
...2004/12/30(Thu) 20:27 ID:kfdySFtM    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
皆様、今回もお読みいただきましてありがとうございます。来年も執筆させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

サイトのファン様へ
谷田部先生についてですが、正直申し上げて私にも???です。なぜあそこまで独身なのか・・・。私が書かせて頂いてるストーリーではもう40歳・・・。朔と亜紀に関わりのある人たちには1度くらい幸福が訪れても良いと思うのですが、本当に謎です。解き明かすには相当の時間がかかりそうです。執筆中には書けないのではないかと・・・。その点はご容赦ください。

夕妃様へ。
はじめまして。たー坊と申します。私の投稿を読んでいただきまして、ありがとうございます。
このストーリーは、私の「こうだったらいいな」という願望を形にさせていただいているものです。作家希望でもない素人が書いているものですから、お見苦しい点が多々あるとは思いますが、これからも読んで頂けたら幸いです。

けん様へ
毎回のご感想をありがとうございます。
さて、恵美の年齢ですが、ボウズたちより2〜3歳年上ということだけは頭の中にあります。いずれ、年齢を明かす時が来るかもしれませんし、こないかもしれません。
今は朔と亜紀を中心に書きたいと思います。よろしくお願いします。

グーテンベルク様へ
お疲れ様です。アナザー・ワールドでの丁寧な御返事、ありがとうございます。お互い、より良いストーリーになるように頑張りましょう。参考にさせて頂くこともあるかとは思います。その際はよろしくお願い致します。
...2004/12/31(Fri) 00:00 ID:TjlGlSwk    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
智世「さて、どこから見たい?案内するよ。」

2月下旬。来春から亜紀と芙美子が通う大学の正門前。今日は在学している智世が亜紀に大学の案内をしている。

亜紀「とりあえず・・・、文学部の校舎と図書館は絶対に見ておきたい。」

智世「いいよ。今、現在地がここね。文学部がある校舎はこのC棟。ほら、あの新しい建物。」
キャンパス入口にある掲示板を見ながら智世が説明する。

早速C棟へと入る2人。入るなり亜紀は「わぁ・・・」とあたりを見ながらつぶやく。その目は、希望に満ち溢れている。

亜紀「ここが私のキャンパスライフの中心になる所だよね。教室もきれいだし、うれしい。(笑)」

智世「でしょう?亜紀と芙美子は、教室がある校舎がきれいで羨ましいよ。私の通う校舎なんてあれだよ・・・。」
そういうと、窓から見えるA棟を指さす。

智世「あの、一番古いのが私のいるA棟。で、まだ少し新しい建物が、芙美子の通うB棟。一目瞭然でしょ。実験とかする時は匂いがすごいの。」

亜紀「仕方ないじゃない。薬の勉強をするんだから。」

智世「・・・そうね。ハァ・・・。」
亜紀になだめられ、ため息まじりに答えるも、テンションは下降線をたどる。

亜紀「次。図書館行こう!ねっ?」
明暗分かれる2人だった・・・。

図書館にやってきた2人。中に入ると智世が「ちょっと借りてた本があるから適当に見てて。」と返却口に向かった。亜紀は、自分が興味がありそうなコーナーを見つけ、本棚を物色。
朔をイチコロにした愛くるしい顔は、キラキラと輝いている。まるで、小さい子供がお目当てのおもちゃを見つけた時のような目だ。

亜紀「近代の文学史の本もあるんだ・・・。あ、各国の伝説とかが集められたものもあるのね・・・。」

ふと、気配に気付き横を向くと、本を返し終えた智世が、ニヤニヤしながら亜紀の顔を見ている。

亜紀「何?智世?」

智世「ううん。好きな物を見つけたときって、誰でも良い顔するなーって思ってさ(笑)朔も同じような顔することがあるから。」

亜紀「えっ、朔ちゃんの好きなものって何?私、全然聞いてない。」

智世「あれ、もう1時半じゃない。おなかすいたね。ついでに食堂に行こう。」

亜紀の言葉をさえぎり食堂のある建物へと向かう智世。亜紀を座らせた後、この食堂で1番人気のランチを運んできた。
そして席に着くなり亜紀に問いかけた。

智世「亜紀の1番大切で好きなものって何?よ〜く考えて。」

「よ〜く考えて」と言われたが、悩む時間は必要ない。答えはすぐに出した。

亜紀「朔ちゃん。私にとって1番大切で好きなものは朔ちゃんだよ。智世。」
即答する亜紀の目は真剣でまっすぐだった・・・。

答えにうなずきながら
智世「亜紀を見る朔の顔って、さっき亜紀が図書館で見せた顔と同じような感じだよ。もう分かるよね。朔が好きなものって他の何でもない。亜紀だよ。」

亜紀「・・・うん。」
内心亜紀は嬉しかった。今まで、朔に好きと言われたことはほとんど無かったから。

智世「朔が東京に行くとき、ビニールカーテンの中のあんたに代わって、私と龍之介、ボウズで駅まで見送りに行ったよね。その時に朔こう言ったよ。『スケちゃん、智世、ボウズ・・・。後はよろしく頼むね。俺は絶対に亜紀を助けられるようになって帰ってくるから。俺にとっても皆にとっても亜紀が必要だから絶対に死なせない。ただ、もしもの時に俺が間に合わなかったら、代わりに看取ってあげて。』って・・・。」

亜紀「・・・。」

智世「朔は、私たちの知らないところで相当の努力と覚悟をして亜紀を支え続けたんだよ。辛いはずなのに何にも無いような顔をして・・・。だから、今度は亜紀が支えてあげないとね(笑)」
笑いながら言う智世。雰囲気が重くならないように気を使いながら話している。

亜紀「ありがとう、智世。話してくれて。」
ウルッと来たが我慢した。分かっていても改めて聞くと、朔の自分に対する想いに胸がいっぱいになる・・・。

智世「よし。食べたら近くにある美容院に行くよ!朔をますますイチコロにして尻に敷くチャンスよ!」
いつもの調子で智世が言う。

亜紀「敷いてない!」
いつもの膨れ顔で亜紀が言う。

昼食後、2人は美容院に向かった。”親友”という互いに、ごく当たり前の存在に幸せと感謝を感じながら・・・。

続く
...2004/12/31(Fri) 01:36 ID:TjlGlSwk    

             Re: アナザーストーリー  Name:SATO
智世が料理・・・ちょっと意外な感じがしました(失礼、智世さん)

このアナザーストーリー、スケと智世のアナザーも見たい気がします。
先日第4話の再放送を観てふと思いました。
...2004/12/31(Fri) 08:57 ID:yHOoOjKA    

             Re: アナザーストーリー  Name:北のおじさん
たー坊様。

忙しい中の執筆活動、お疲れ様です。
9月にドラマが終わって以来、こちらのサイトでたー坊様方が書かれるアナザー系ストーリーを読ませていただいています。
『亜紀が生きていたら・・・』と言う誰もが思う二人の物語の続き、毎回楽しませていただいています。
まだまだ物語は続く事と思いますが、体調に気をつけて頑張って下さい。
良い年を迎えられますように。
...2004/12/31(Fri) 19:19 ID:ldOVOgmM    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
たー坊様へ
こんばんは。グーテンベルクです。相手を思う気持ち。それは受け取る側にとってはとても嬉しく、励みになり、そして幸せにしてくれるものですね。それがたー坊様の文章によりひしひしと伝わってきますよ。
いつも心温まる作品をありがとうございます。
それではよいお年を!
...2004/12/31(Fri) 21:18 ID:QBQZ1m1k    

             Re: アナザーストーリー  Name:けん
たー坊様へ
 明けましておめでとうございます。大学での智世と亜紀の会話とても良かったです。朔がどれだけ亜紀の事を思っていたか十分亜紀に伝わっていたのかと思います。私は、朔は亜紀に対して言葉ではあまり表現していませんが、その分行動で表現しているんですね。とてもかっこいいし、羨ましいです。
 今年も続編楽しみにしていますので、頑張って下さい
...2005/01/01(Sat) 05:59 ID:e3x.eytU    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
あけましておめでとうございます。たー坊です。

昨年から書かせて頂いてますが、気がつけば年を越しておりました。今年もご期待に応えられるよう、構想、執筆をさせていただきたいと思います。お読みいただけると幸いです。

SATO様、あけましておめでとうございます。「世界の中心で、愛をさけぶ2」もパート4に入りましたね。現在は特別編が多いようですね。もちろん、読ませていただいてますよ。これからも期待してます。お互いに頑張りましょう。

北のおじさん様、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
お気遣い、ありがとうございました。そちらは、この時期は寒さで大変だと思います。北のおじさん様も、体調には十分お気をつけて過ごされますよう、祈っております。

グーテンベルク様、あけましておめでとうございます。お互いに刺激し合って、良い作品を作り続けていけたらと思います。今年もよろしくお願いします。

けん様、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
毎回のご感想ありがとうございます。白血病、受験と2つの大きな闘いに終止符を打った今は、2人だけの時間を満喫させてあげたいと思います。
次も頑張りますので、よろしくお願いします。

読者の皆様へ。次回は、2、3日中にUPする予定です。お読みいただけたら幸いです。
...2005/01/04(Tue) 01:35 ID:x6JmDYbA    

             Re: アナザーストーリー  Name:朔五郎
たー坊さま
いよいよ「東京デート」でしょうか。
こちらの「第二世代」の二人にとって、東京は悲惨な思い出の地であります(苦笑)
たー坊さまは、朔と亜紀のためにどんなデートをプロデュースされるのでしょうか?楽しみにしております。
...2005/01/04(Tue) 22:35 ID:.s6UZERE    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
朔五郎様、楽しみになさっていただいてありがとうございます。第二世代の二人にとって、東京は悲惨な思い出の地でということですが、朔と亜紀には、闘病生活の分も取り返してもらうかのごとく、他人にも、距離にも邪魔されない時間を過ごしてもらおうと思っています。
...2005/01/05(Wed) 16:18 ID:Oa0kUFZo    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
3月2日。廣瀬家の二階の部屋では早朝から亜紀が東京に行くための荷造りをしていた。「どれにしようかな〜♪」と服を選ぶ目はキラキラと輝いている。まさに恋する乙女だ。

綾子「え?そんなに持って行くの?重いし、服だけでいっぱいになるわよ。」
部屋に入ってくるなり綾子が言った。

亜紀「そんなこと言ったって・・・。」

綾子「あまり大きい荷物になっても邪魔になるだけよ?」

亜紀「どうしよう・・・。」

そんな2人のやり取りを見ていた真が、下からある物を持って来た。

真「亜紀、少しは頭を使ったらどうなんだ?必要最低限のものをそのバッグに持って、後はこれに詰めて送れば良いだろう。」
そう言って渡したのはダンボール箱。

真「荷造りが終わったら持って来い。車で運んでやる。」

亜紀「お父さん、ありがとう。」
その言葉をはっきりと聞いてから真が部屋を出て行く。

真「亜紀が嫁に行く時もこんな風なんだろうか?」
階段を下りながら一人つぶやく。複雑な心境。背中はどこか寂しげだ。そんな真を見る綾子も、
綾子「昔ならこんなことする人じゃなかったのに・・・。丸くなったわね。」
と思う。

荷造りも終盤。ダンボールには少し余裕がある。そこに綾子が野菜や果物などを持って来た。

綾子「どうせ、2日3日じゃ帰ってこないでしょう?髪まで切っちゃって・・・。これ入れておきなさいよ。食費節約。デートするにもお金かかるんだから。」

亜紀「ゴメンね。お金ばっかりかかって。」

綾子「今に始まったことじゃないわ。病気も受験もあったんだから。」

亜紀「ふふ(笑)」

綾子「さてこれで終わりね?今日のうちに出してきなさい。あと朔君に電話して、迎えに来てもらうとかしないと。」

亜紀「うん。」

真の運転で荷物を出しに行く途中、潤一郎が荷物を持って歩いていくのを見つけた。

真「松本さん。」

潤一郎「あ、どうもこんにちは。」

亜紀「おじさん、こんにちは。」
後部座席から亜紀も顔を出す。

真「その荷物は?」

潤一郎「うちのバカ宛てです。時々、女房に運ばされるんです。」
そういうと苦笑する潤一郎。

真「トランクを開けますから乗せてください。行き先は一緒のようですから。」

潤一郎「いいんですか?」

亜紀「私も朔ちゃんに荷物を送るんです。乗ってください。」

こうして3人は荷物を出しに向かった。
その車内・・・。

潤一郎「でも、なんで朔に?」

亜紀「明日から遊びに行くんです。それで、私の荷物がバッグに入りきらなくて。それで。」

潤一郎「そういえば、芙美子がそんなこと言ってたよ。でも、廣瀬さん、いいんですか?」

真「何が・・・ですか?私は朔・・・いえ、朔太郎君を信頼しています。今回、亜紀の東京行きを許したのは、娘を支えてもらったお返しです。今度は亜紀が朔太郎君を支える番です。そうだろう。亜紀?どうせ、1週間くらいじゃ帰って来ないだろう。」

亜紀「うん。朔ちゃんの荷造りも手伝うつもりです。」

2人の言葉に、潤一郎は頭を下げながら「ありがとうございます」とだけ言った。潤一郎は、亜紀が危篤になった時の原因は朔にすべての責任があると思っていた。それは、父親の自分の責任でもあるのだと、亜紀が退院した今でも、わずかながら心のどこかに引っかかっていた。
そんな潤一郎の気持ちを汲んだのか、真は「いえ。」とだけ答えた。

荷物を出し終え、帰宅するとき・・・。

潤一郎「では、これで。」

真「ご自宅までお送りしますよ。」

潤一郎「それが、まだ仕事が残ってまして、写真館に戻らないといけないんです。」

真「そうですか。それでは失礼します。」

亜紀「おじさん、失礼します。」
そう言って、ドアを閉めようとした亜紀を潤一郎が呼び止める。

潤一郎「亜紀ちゃん、悪いんだけど、明日行く前に、うちに寄ってくれないかな?渡したいものがあるんだ。」

亜紀「分かりました。じゃあ、明日伺います。」

真「失礼します。」
そういうと車を発進させる真。

帰宅後、夕食を済ませた亜紀は朔に電話で明日の遅い時間にそっちに着くことと荷物を送ったことを伝えた。2週間近く電話をしていなかったので、電話口の2人は距離を越えて声が聞けることに喜び合っていた。
朔はとにかく亜紀が来るのが楽しみな様子で、「どこ行こうか?」とか聞いてくる。そんな朔に「焦らないの。明日の今頃には会えるんだから。」と言う亜紀だった。
電話を切り、事前に手配しておいた切符を手に何か企んでいるような微笑を浮かべる亜紀。目的地の到着予定時刻は夕方の17時32分とある。
つまり、朔にはわざと遅い時間を教えておいて、実際にはもっと早い時間に東京に着いて、驚かすのが亜紀の狙いなのだ。こういう細かいところも忘れない。

亜紀「朔ちゃんのいる所ってどんなだろう?東京でのデートってどういうのかな?どこに連れて行ってくれるんだろう?」

夜空に浮かぶ星を見ながら、亜紀は期待に胸を踊らせていた。でも、何より嬉しいのは、朔とたった2人きりの空間で一緒にいれること。

亜紀「2ヶ月ぶりかぁ・・・。朔ちゃん、早く会いたいよ。」
そういうと微笑を浮かべ、明日に備えて眠りにつく亜紀だった・・・。

一方の朔は、部屋を一生懸命になって片付けていた。

朔「まったく、まだここ汚れてるよ。」
などとブツブツひとりごちながらも掃除を続ける。「少しでも綺麗にして、少しでも亜紀が過ごしやすくなるようにしてあげたい。」そんな思いが、日々の多忙で疲れている体を動かす。
前日までで研修の準備も終わった。これで、距離、時間、他人・・・。宮浦に帰る間だけとはいえ、もう2人きりを邪魔されるものは何もない。いわば、何にも気をとられずに、新婚生活を送れる・・・。
そんな、下心にも近い絶大な希望もまた、朔を動かす大いなるキッカケの一つだ。

ふと窓から星が見える。当然、宮浦よりも見ることのできる星の数は少ない。
朔は「亜紀も同じ星を見てるのか?」とつぶやいた。「もし見ている星が同じなら、2人の距離も近くなる・・・。」上京してから、時々そんなことを考える朔だった。
2人は距離を越えて一緒に笑っていられる。そんな気がした。
そんなこんなで部屋の掃除も終了。朔も眠りについた。

夜は更けていく。2人の楽しみが膨らめば膨らむほど、それに反比例するかのように・・・。

そして、夜が明けて3月3日の太陽が昇った。

続く
...2005/01/05(Wed) 18:50 ID:Oa0kUFZo    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
たー坊様へ
こんばんは。グーテンベルクです。さっそく読ませていてだきました。真や綾子、そして潤一郎の行動や言動がとてもいいですよ。そしていよいよ朔と亜紀の再会と思うと・・・とても楽しみです。今年もたー坊様とアナザーストーリーを楽しみにしております。今年もよろしくお願いします。
...2005/01/05(Wed) 19:40 ID:IDvLiBmg    

             Re: アナザーストーリー  Name:北のおじさん
たー坊様。

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
早速読ませていただきました。いよいよ東京でのデートですね。
朔は亜紀を何処へ連れて行くのでしょうか?楽しみです。
二人の膨れあがる気持ち、よく伝わってきました。
新婚生活(?)も楽しみです。 でもきっと亜紀の尻に敷かれてしまうのかな?
今年もマイペースで結構です。頑張って下さい。
...2005/01/05(Wed) 20:20 ID:8qvTtuJg    

             Re: アナザーストーリー  Name:Marc
たー坊 様、いつもありがとうございます。

"下心にも近い絶大な希望"...、朔らしい真っ直ぐな考えで納得
してしまいます。
とうとう、亜紀の上京ですね楽しい二人を描いて下さいね、私も
"絶大な期待"で待ってます。
...2005/01/06(Thu) 08:30 ID:vZJzgbIk    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
グーテンベルク様、お疲れ様です。今年もよろしくお願いします。良い作品になるようお互い頑張りましょう。

北のおじさん様、あけましておめでとうございます。今年も読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします。

Marc様、あけましておめでとうございます。昨年と同様、今年もお読みいただけると嬉しいです。ただ、あまりに期待されると、私としても困るのです。なにぶんプレッシャーにもろいもので・・・(苦笑)気長に、期待せずに楽しみにしていただければ幸いです。よろしくお願いします。
...2005/01/06(Thu) 17:35 ID:TZqVaWY2    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
3月3日、正午過ぎ・・・。
廣瀬家の玄関では早めに昼食を済ませた亜紀が、出発しようとしていた。

亜紀「じゃあ、行って来ます。」

綾子「ちょっと待って。これお父さんから。」
そういって渡されたものは餞別だった。

亜紀「会社に行く前に渡してくれれば良いのに・・・。」

綾子「そういうことが苦手なのよ。でも、昔に比べたら、感情を出すようになったでしょう?」

亜紀「そうだね。」

綾子「あっ、松本さんの所に寄って行くって言ってたわね。電車の時間もあるし、早めに行きなさい。」

亜紀「うん。じゃ、行って来ます!」

綾子「気をつけてね。朔君によろしく。」

松本家にて・・・。
芙美子が迎えてくれた。いつもどおりに仏壇に手をあわせる。亡き謙太郎夫婦の写真に旅中の無事を願いながら。すると富子が奥から封筒を持って出てきた。

亜紀「おばさん、これは・・・何ですか?」

富子「小遣いだよ。といっても少ないけどね。」

亜紀「そんな、申し訳なくて受け取れないです。」
恐縮しながらも辞そうとする亜紀。そんな亜紀に富子が言う。

富子「亜紀ちゃん、勘違いしてないかい?私がそんなお人好しじゃないのは知ってるだろう?そのお金は謙太郎じいさんから。」
そういうと台所の方へ行く富子。亜紀も後を追う。

富子「朔が、亜紀ちゃんをオーストラリアに連れ出そうとしたろう?高校生がどうやって旅費を出したと思う?うちの旦那が隠し持ってたんだよ。おじいさんが朔の名義で貯めてた通帳を。そこから朔が旅費を出したんだよ。」

亜紀「初めて知りました・・・。」

富子「そうかい・・・。それで、今、亜紀ちゃんに
渡したのも、その通帳からだよ。」

亜紀「でも、本当に良いんですか?」

富子「良いの。おじいさんは、朔はもちろん、亜紀ちゃんのこともとても気に入ってたんだよ。本当の孫みたいにねぇ。だから、持って行きなさいよ。」

亜紀「・・・ありがとうございます。」

富子「そうそう。私らに気なんか使うことないんだよ。あ、お土産、忘れるんじゃないよ(笑)」

芙美子「私の分も忘れちゃダメだよ。お姉ちゃん(笑)」
部屋から出てきた芙美子がヒョコッと顔を出しながら言った。

亜紀「はい(笑)」

再度仏壇に手を合わせてから、亜紀は宮浦駅に向かった。
ホームには誰もいない。階段で反対側のホームに向かうと、あの日に朔と2人で電車を待ったベンチで上り電車を待つ・・・。
事前に智世を通して、龍之介から渡された東京への行き方が記されたメモと切符をながめていると、ほどなくして電車がホームに滑り込んできた。
車内はガラガラ・・・窓から見える海と空を見ながら「今、私が見ている景色と、朔ちゃんが上京した時に見た景色って、同じ場所でも全然違って見えるのかな・・・。朔ちゃんが東京で頑張りはじめてから、もう4年になるのね・・・。」などと亜紀は当時の朔の心境などを考えたりしてみる・・・。

宮浦を出てから1時間くらい電車に揺られ、乗り換える駅に到着。ここで快速に乗り換えて東京駅に向かう。
快速電車はすでに停車していた。売店で飲み物を買い、乗り込む亜紀。座席に着くと車内アナウンスが流れてきた。

アナウンス「この列車は、16時ちょうど発、快速東京行きです。停車駅は、湯河原、真鶴、小田原、国府津、平塚、茅ヶ崎、藤沢、大船、横浜、川崎、品川、新橋、東京の順に停車致します。根府川、早川、鴨宮、二宮、大磯、辻堂、戸塚には停車しません。通過駅をご利用の方は普通列車をお待ちください。終点、東京には17時32分の到着予定です・・・・・。」

亜紀「なぁんだ。快速と言っても結構、停まるのね・・・。」
ひとりごちる亜紀。東京へはあと1時間半以上、電車に揺られないといけないのだ。
ラッシュ時間の前だろうか、思ったより人は少ない。それがまだ救いだろうか。
           ・
           ・
           ・
定刻どおりに発車した電車の中、「キレイ・・・」とつぶやく。亜紀は右手に見える夕日に染まる相模湾に見とれていた・・・。
列車が東京駅に近くなればなるほど、空は闇に染まっていく・・・暗くなればなるほど、朔と亜紀の距離が近づいていく・・・。
           ・
           ・
           ・
アナウンス「間もなく、横浜です。横須賀線、京浜東北線、横浜線・・・。」

夕日に見とれていた亜紀は、いつの間にか寝てしまっていた。アナウンスで目が覚めた亜紀が窓の外に目をやると、すでに暗くなっていて、ビルの明りや車のライトなどが目に入る。

亜紀「あと30分・・・」
腕時計で時間を確認し、心の中で、

亜紀「もうすぐだね・・・。あと少しで会えるんだよね。この時をどのくらい待ちわびたか分かる?楽しみで楽しみでしょうがなかったんだから!朔ちゃん、今、会いに行くよ!」
と、溢れる想い抑えきれないでいた・・・。

電車はなおも走る。密集する建物の間をすり抜けて行く・・・。多摩川を渡り都内へ。そして・・・。

アナウンス「ご乗車お疲れ様でした。間もなく終点東京です。新幹線、中央線、山手線・・・。」

外に目をやる亜紀。最後のカーブを曲がる時に東京駅の赤レンガが見える。
電車が停車しドアが開く。ホームに降りた亜紀が

亜紀「やっぱり、空気は汚い・・・。」
開口一番つぶやく亜紀だった・・・。気を取り直し、構内で公衆電話を探す。押しなれた朔の家の番号をプッシュする指も軽快な亜紀だった。

続く
...2005/01/06(Thu) 20:11 ID:TZqVaWY2    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
 たー坊様へ
こんばんは。グーテンベルクです。執筆お疲れ様です。さっそく読ませていただきました。富子と亜紀の会話、それと芙美子の「私の分も忘れちゃダメだよ。お姉ちゃん」のところで思わず笑顔になりました。そして朔のことを考えながら朔との再会を待ちわびる亜紀の姿もよく書かれているなと思いました。いつも素晴らしい作品を読ませていただいてありがとうございます。
...2005/01/06(Thu) 21:05 ID:NJ25bFu6    

             Re: アナザーストーリー  Name:朔五郎
たー坊さま

<「なぁんだ。快速と言っても結構、停まるのね・・・。」

こんな言葉に亜紀の心情がよく表れていて、ステキな表現だと思います。
連絡するのに「ケータイ」でないのが「時代」を表してますよね。
...2005/01/06(Thu) 22:32 ID:eGIQGniE    

             Re: アナザーストーリー  Name:北のおじさん
たー坊様。

朔もきっと亜紀が来るのをワクワクしながら待っているんでしょうね。
私も遅ればせながら明日より仕事です。
新年早々、こんな二人の姿を見る事ができ、楽しい気持ちで取り組めそうです。
東京でのデート、二人の記念に残るような楽しいものにしてあげて下さい。
...2005/01/06(Thu) 23:02 ID:NaHqKSKI    

             Re: アナザーストーリー  Name:SATO
朔五郎さん、そうですよね。
現在は「ケータイ」の時代で、公衆電話はどこにあるのかな?と思ってしまいます。

たー坊さま、よく時代考証が出来ているとおもいましたよ(笑)
私もつい先日、同じルートを東京へ向かいました。東海道線の駅の名前はどこか、海と果物を思い出させます。
...2005/01/06(Thu) 23:32 ID:vl26DPsw    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
グーテンベルク様、お褒めいただいて嬉しいです。ありがとうございます。次回も頑張ります。

朔五郎様、ケータイは当時もあったとは思いますが、家庭電話の子機並みのサイズで、とても大学生が持ってるようなものではないと思い、公衆電話にしました。
これからも、お読みいただければ幸いです。
「世界の中心で、愛をさけぶ2」期待してます。

北のおじさん様、今日から仕事始めということで、お疲れ様です。
東京に一定期間滞在するのは、滅多にないことなので、2人きりの時間を満喫させてあげたいと思います。

SATO様、お疲れ様です。「世界の中心で、愛をさけぶ2」の方も順調のようですね。続編期待してます。
...2005/01/07(Fri) 21:41 ID:Qpt4Cv7A    

             Re: アナザーストーリー  Name:たか
たー坊様 

遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。

たー坊様の作品毎回楽しませてもらっております。まだあまり読めていませんが、ゆっくり読もうと思います。

マイペースで楽しんで書き上げていってください。
同じ執筆者同士、良い1年にしましょう。それでは
...2005/01/07(Fri) 22:06 ID:9YTPfWv.    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
今日の朔は、久しぶりの休日ということもあって、思いっきり寝過ごした。起きてからは、昨夜の片付けの総仕上げとして、家具の位置やカーテンを整え、洗濯物を済ませ、掃除機をかけて、亜紀の電話を心待ちにしつつ、TVなんかを見てくつろいでいた。
気がつけば、もう夕方の6時手前。昨日の亜紀の電話では、東京駅到着時刻は午後の8時頃。朔の部屋から東京駅までは約1時間かかる所にあるため、「7時前に出れば良いかな。」などと思っていた。

しかし・・・。

亜紀の乗った列車はすでに東京駅に到着済み!
そして、亜紀は・・・。

駅の中央コンコース、新幹線乗り換え改札口の前に公衆電話を見つけると、朔の家に電話をかけている。

そして・・・。

「トゥルルルル!トゥルルルル・・・・・。」
朔の部屋の電話が音を立てる。

朔「まさかな・・・」
少し嫌な予感を感じつつ受話器に向かう・・・。

朔「はい、松本ですが?」

亜紀「もしもーし?朔?」

朔「亜紀!えーと今の時間だと熱海あたり?」
頭のどこかに引っかかるものを感じつつも、冷静さを保ちつつ、亜紀のいる場所を確認する。

亜紀「フフッ(笑)どこにいると思う?」
悪戯っぽく笑う亜紀に朔は

朔「・・・・・。」
思わず無口になる朔。亜紀がこういう笑い方をするときは、大体何か企んでいる・・・。

亜紀「ヘヘッ(笑)今、東京駅におるぞよ。早く迎えに来て欲しいぞよ。朔。(笑)」

見事に悪い予感的中!!気を取り直して、

朔「駅のどこにいるの?」
と聞く。

亜紀「えーと、新幹線の改札口の前にある公衆電話。あ、本屋さんとベンチがあるから、そこで待ってるね。」
あたりを見回しながら答える亜紀に朔は

朔「すぐに行くから、間違っても動くなよ!」
と言って電話は切れた・・・。

朔は、上着を着て持つ物もとりあえず、ダッシュで駅に向かった。

1時間後・・・。

ベンチに座り、在来線の方の出口の方を時々見ながら、亜紀は朔を待ち続けていた・・・。

その時・・・。

朔「亜紀。」
と呼ぶ声が・・・。

振り返ると人ごみの向こうから走ってくる朔を見つける亜紀。自然と、いつもの優しげな笑みを浮かべる。

朔「・・・亜紀!」
呼吸を整えながら、名前を呼ぶ。

亜紀「遅ーい。私、1時間くらい待ったんだよ。」

朔「ごめん・・・・・・何で、俺が謝ってんだ?」

亜紀「ヘヘ、嘘(笑)びっくりした?」

朔「・・・したよ。悪戯も良いけど、ほどほどにして。」

亜紀「フフッ(笑)」

朔は亜紀の笑顔を見ると、疲れも怒ることさえも忘れていた。そして・・・。

朔「いいね。そういうのも。」

亜紀「何が?」

朔「髪。先の方を少し切っただろ?そのまんまの亜紀もいいけど、そういう亜紀もいいよ。」

この言葉に亜紀の笑顔はますます輝きを増す。
智世の予想は見事にハズレた・・・。

亜紀「うれしい・・・。良かった。気付いてくれた?(笑)」

朔「いつ切ったの?」

亜紀「この前、智世に大学を案内してもらったの。その帰りに。」

朔「そう。」

亜紀「うん(笑)」
このときの亜紀は、セットして全体にやわらかさを感じる髪に今の自分にできる精一杯のおしゃれをして朔に会いに来た。
そんな亜紀に、朔は不器用なりに精一杯の愛情表現をした・・・。

朔「行こうか?今日は思ったより寒いから、これれ。」
そういうと、朔は自分がしていたマフラーを亜紀に
巻くのだった。

亜紀「ありがとう・・・。連れてって。朔の部屋に(笑)」
ほのかな心地よさを亜紀は感じていた。こういう朔の亜紀に対するさりげない優しさは、亜紀がすごく好きで好きでしょうがないのだ。そして、夢島でしょうが汁を作ってくれた時から、朔の優しさは変わらない・・・。

2人は山手線のホームに向かった。
電車を乗り継いで約1時間。大都会という場所柄、
ラッシュという時間帯もあり、電車の中は大混雑していた。亜紀は経験のないほどの人ごみに困惑していたが、朔に「朝はもっとすごいよ。」と言われ、さらに驚いたのだった。
電車の中はまさにギュウギュウ詰めの状態。目的地で降りれるのかという不安すらあった亜紀だが、乗車中は朔がしっかりとガードしてくれていたので不安はすぐに消えていった。そして、そんな朔を頼もしいとすら思えた。
そして、

亜紀「朔ちゃん・・・大好き。」
と声には出さずに言った。

いよいよ目的地に到着。電車を降り改札口を出ると、目の前にスーパーを見つける。

亜紀「朔ちゃん、夕飯まだだよね?」

朔「まだだよ。」

亜紀「冷蔵庫の中に、材料ある?」

朔「ほとんどない。」
そういうと苦笑いを浮かべる朔。

亜紀「行こっ。私が作ってあげる(笑)」

そういうと2人は仲睦まじい様子で入口へと向かった。そして、これが2人きりでする最初の買い物となるのだった。

続く
...2005/01/07(Fri) 23:25 ID:Qpt4Cv7A    

             Re: アナザーストーリー  Name:けん
こんばんわ。今日3話分一気に読ませていただきました。1〜2話は、主に亜紀が東京に行くまでをかいたものですね。亜紀の両親の会話・朔の両親や芙美子との会話等どれも心温まる話ですね。
 そして、今回の話で東京での朔との再会は、とても亜紀らしくてとても良かったです。更に朔は、亜紀の姿を見てすぐ髪切った事気づきましたね。ここの場面は、智世も思っているように私も気付かないのかなと思っていたのですが、そこは、高校時代とは違う成長した朔が見れて良かったと思いますよ。
 では、次回は、いよいよ朔と亜紀の東京での生活が見れますね。どんな展開になるのか楽しみにしていますので、頑張って下さい。
...2005/01/08(Sat) 02:14 ID:1uK0DwlU    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
 たー坊様へ
こんばんは。グーテンベルクです。宿直勤務明けの疲れも、たー坊様のアナザー・ストーリーを読んだらどこかへと吹き飛びました(笑)。待ちに待った朔と亜紀の再会、とてもいいですね。朔を驚かそうと早めに待ち合わせ場所に来た亜紀、それを知って慌てて迎えに行く朔。亜紀の変化にちゃんと気付いた朔。マフラーを亜紀に巻いてあげる朔。亜紀を思えばこその朔の行動ですね。今回も感動ものですよ。
...2005/01/08(Sat) 21:02 ID:5d82KZFg    

             Re: アナザーストーリー  Name:朔五郎
たー坊さま

 亜紀「朔ちゃん・・・大好き。」
 と声には出さずに言った。

こういう表現はすばらしいと思います。勉強になります。
...2005/01/08(Sat) 21:12 ID:bfuv4QKI    

             アナザーストーリー  Name:。。。
あげます
...2005/01/09(Sun) 03:35 ID:.ZqDNC0U    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さんへ
遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
今年も執筆をお願い致します。
未読分を一気に読ませて頂きました。
今年もたー坊さんのアナザーストーリーはスゴクいいです。
亜紀の大学生活とサクの宮浦での研修、ボウスの出会いやスケちゃんと智世のことと、どんどん物語が広がって行きますね。
購入したDVDもいいですが、私はたー坊さんのアナザーストーリーが一番好きです。
今年も読ませて頂くので宜しくです!!
...2005/01/09(Sun) 23:50 ID:8hchA4sk    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
けん様、今回もお読みいただきましてありがとうございます。お忙しい中でも目を通していただけていることに感謝いたしております。次回もよろしくお願いします。

グーテンベルク様、お疲れ様です。アナザーワールドの方はいかがでしょうか?お互いに頑張っていきましょう。次回も期待しております。

朔五郎様、お褒めいただき大変恐縮です。私の方こそ「世界の中心で、愛をさけぶ2」では大変勉強させていただきました。これからもよろしくお願いします。

。。。様、初めまして。あげて頂きましてありがとうございます。またお読みいただければ幸いです。

サイトのファン様、あけましておめでとうございます。こちらこそ、今年もよろしくお願いします。
最大級の賛辞をいただきまして、大変嬉しい限りです。またお読みいただければ幸いです。
...2005/01/11(Tue) 14:10 ID:HRrVFfJU    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
鍵を回すと「カチャン。」という音。ドアノブを回す。

朔「いいよ。」
そう言うと、先に亜紀を中へ案内する。

亜紀「おじゃまします・・・。」

スーパーで夕飯の材料を買い終えた2人は、駅から15分位のところの朔の部屋へ。
朔が暗闇の中、壁にあるスイッチを探し灯りをつけ終え、中からサムターンを回す。
「カコン・・・」ドアに金属音が反響して鍵が掛かった・・・。とても長い間待ち望んだ空間が出来上がった瞬間だった。

朔「・・・・・・。」

亜紀「こんなに時間がかかるなんて思わなかったよ。」

朔「本当だよ。」

カーテンのわずかな隙間から月の光が差し込む仄暗い部屋の中、一つだけ灯った灯りの下。靴を脱ぐ事もしない・・・。
朔の腕の中に亜紀はいた。真にようやく2人の交際を認めてもらい、病室の前できつく抱きしめあったあの時と同じように・・・。
一つだけ決定的に違うのは、一滴の涙も無かったということ。ただ、あの時も、今も、お互いの温もりを久しぶりに感じ合えてることには違いない・・・。

朔「寒いね、暖房入れるよ。」

灯りをつけ、奥に進む。そこには、これから2人が生活するメイン、そして唯一の場所が明らかとなった。
背を向け、暖房のスイッチを入れる朔に亜紀が部屋の感想を言う。

亜紀「部屋のセンス、いいと思うよ。外からこのアパート見たときは少し古いのかなと思ったけど、中はきれいね。どこか、私の部屋に似てる気がする。」

6畳よりやや広い部屋は、白い壁紙とフローリングの組み合わせ。そして家具も同じような色で統一されている。

亜紀「物とか置かないの?」
一方、どこか殺風景な雰囲気すら感じる部屋でもある。医学書などが整然と並べられた本棚と机、必要な家具以外にまるで物が無い。宮浦の朔の部屋とは大違いだ。生活感もほとんど無い。

朔「毎朝、部屋を出て、帰ってくるのが10時以降は当たり前って生活を送ってたから。ご飯食べて、風呂に入って、寝るためだけにしかこの部屋はなかったから。3年になって、実習とかが始まると、12時過ぎることもあったからね。のんびりくつろぐのは、休日と亜紀の移植が終わってからだよ。」

相当ハードな毎日を送っていたことを改めて聞くと、どこか申し訳なさを感じる。

亜紀「私のためなんだよね。ゴメンね。長い間無理させちゃって。」

朔「何で謝るんだよ?病気のおかげっていうのも変だけど、自分のやりたい事を見つけられたし。それに今まで頑張ったから、4月から宮浦で研修させてもらえるようになったんだから。」

亜紀「朔は『私のこと見ながらやりたい事をのんびり考える。』って言ってたけど、本当に見つけたんだね(笑)」

そう言うと2人で笑った。
          ・
          ・
          ・
気がつくともう時計は8時近くになっている。お腹をすかせた2人は仲良く台所へ。スーパーで買ってきた材料を使って、亜紀が朔の目の前では初めて腕を振るう。

朔「本当に大丈夫?なんなら俺がやっても・・・。」
朔は思い出していた。倒れる直前、夢島での亜紀の包丁さばきを・・・。
          ・
          ・
          ・
5年前。

17歳朔『あっ・・・いいよ。』

17歳亜紀『手伝うよ。』

17歳朔『いいって。』

17歳亜紀『でもー・・・』
そういうとかなり危なっかしくジャガイモの皮を実ごとむく。というより切り落とす・・・。
それを見た朔は、

17歳朔「お願い!やらないで・・・。」
思わず、強制終了させた・・・。
そんな朔を見る亜紀。
          ・
          ・
          ・
はたして、今日は?
亜紀が自己ベストを出したときのように、集中して野菜を切っていく。朔の目から見ても明らかに上達していた。しかし、あの時と同じようにジャガイモだけは・・・。

朔「かなり練習したみたいだね。上手になったよ。でも、まだまだだね(笑)」

そういうと、実が少しついたジャガイモの皮をヒラヒラさせる。

亜紀「朔ちゃんの意地悪!あーあ。夢島の借りを返そうと思ってたのに。」

朔「強制終了させたの気付いてた?」

亜紀「だって、『お願い』って言うんだもん。さあ、もう後は大丈夫。朔は座って待ってて。絶対満足させてあげるから!」
軽く追い出される格好になった朔だが、時々台所をうかがう度に亜紀と目が合い、微笑み合う。そしていよいよ料理が運ばれてきた。

亜紀「今日は少し寒いから、これにしてみたの。」
そういって朔の目の前に出された皿には、クリームシチューが。

朔「早速、いただきます。」
言うなり、スプーンを口に運ぶ。

亜紀「・・・どう?」
期待と不安が交錯した表情の亜紀。

朔「うん。うまい。おいしいよ亜紀!」

亜紀「本当?良かったー(笑)お母さんと智世に色々教わってたんだけど。朔ちゃんに喜んでもらえてうれしい(笑)」
満面の笑顔の亜紀。
こうして、少し遅い時間ではあるが楽しい夕食が始まった。自然と会話も弾む。お互いの近況や他愛もない話、どこに行こうかなどと、デートの希望も出し合う事も忘れない。
食事後、亜紀は実家に電話し無事に朔の部屋に着いたことを綾子に伝えた。また朔も電話口に出て、釘を刺された。

綾子「朔君、2人きりだからって、いかがわしい事は考えないようにね。」と・・・。

いつしか11時を回っていた。

亜紀「ちょっと眠くなってきちゃった。」

朔「長い時間移動したから疲れたんじゃない?今日は寝ようか?」

亜紀「うん。でも、人ごみの中を歩いたからお風呂入りたいな。」

朔「いいよ。風呂はそこだから。」
言うなり、亜紀は風呂場に向かう・・・。
          ・
          ・
          ・
「シャー」と音が聞こえてくる。
最初、亜紀がそばにいてくれるだけでよかったのに、シャワーの音と、さっきの綾子の言葉が、朔の頭の中で何倍にも増幅されていく・・・。

朔「母娘して本当に・・・。」

さらに追い討ちをかけるように亜紀が顔だけ出す。

亜紀「朔ちゃんゴメンね。バスタオル貸して。忘れちゃって・・・。」
もちろん、何も身に着けてはいない。さらに少しだけ見える肩とぬれた髪が、朔をさらに追い詰める・・・。
この後の数分間に、朔がもう一人の自分と激しい戦いを繰り広げたのは言うまでもない・・・。
・・・なんとか、自分との戦いに勝った朔。平静さを取り戻していた。その時、亜紀が出てきた。

亜紀「朔ちゃんも入ったら?」

朔「うん。」
戦いの疲れを癒すには風呂はもってこいだった・・・。

亜紀1人きりになった部屋。髪を乾かしていると、医学書ばかりのはずの本棚に一冊だけアルバムが目に入る。
開くと、そこには朔と亜紀だけの写真が・・・。
最初は夢島でのもの、次は結婚写真、ウルル行き失敗後、意識を回復してからのもの。病室での成人式の時の物や、移植後の一枚など・・・。
何枚かの裏にはメモが・・・。

結婚写真の裏には『ウルル行き失敗。でもこれでいいと思っている。やっぱり亜紀に生きていて欲しい。俺が必ず助けて、もう一度結婚写真を撮る。』

成人式の一枚には『あれからもうすぐ3年。骨髄バンク設立の話もある。できればもっと早くできていて欲しかった。そうしたら亜紀の晴れ着姿も見れたかもしれない。なんで俺だけスーツ姿なんだろう・・・。』

移植後の写真には『成功した。経過も順調。長かった・・・。あともう少しの辛抱だ。もう一度亜紀の温もりを感じられる。一緒にまた歩いていける。』

・・・涙を止められなかった。朔のその時その時の心境が、亜紀の心を打つ。

朔「見られちゃったか・・・。」
亜紀が声のほうを見ると、顔を真っ赤にした朔が立っていた。

朔「亜紀はベッド使っていいよ。俺は布団と・・・。」
何もなかったように収納から布団を出そうとする手を亜紀が止める。

朔「亜紀・・・?」

亜紀「出すのは枕だけでいいよ。もう付き合って5年経つし、こういうことできるのは滅多にないよ。一緒に寝よう。でもヤラシイ事はダメ。」
涙をぬぐい、微笑みながら言った。朔にはその声が天使の声にも思えた。
          ・
          ・
          ・
部屋に闇と寒さが戻った。

亜紀「寒いね。」

朔「暖房つける?」

亜紀「ううん。そういうことじゃなくて・・・。」

ベッドの中、2人は手をつないだまま横になっていた。思い出を語り合いながら・・・。

朔「どういうこと?」

亜紀「こういうことよ。」
そう言うと、亜紀は朔の体と自分の体をくっつけ、朔の顔のすぐ下に自分の顔を近づける。
何も考えなくても体は勝手に動いてくれるような気がした。
口付けを交わすと同時に、朔の両腕が亜紀を包む・・・。

亜紀「やっぱりあったかい。おやすみ朔ちゃん・・・。」

朔「おやすみ。亜紀・・・。」
こうして2人は眠りについた・・・。
          ・
          ・
          ・
翌朝・・・。
アパートの隣の緑道からの木漏れ日が、昨夜からそのままのカーテンの隙間から部屋に差し込み、亜紀の顔に当たる。

亜紀「・・ん・・・。」
目を覚ますと、背中には昨夜からずっと抱きしめていてくれたのであろう・・・。朔の両腕がある事に気付く。そんな朔は「スースー」と寝息を立てている。まだ夢の中だ。

亜紀「朔ちゃん・・・。おはよう。」
聞こえないくらいの小声で微笑みながら言った。
時計は7時をまわったところだ。

亜紀「私が来るまでは忙しかったって言ってたよね。たまには思いっきり寝坊するのも悪くないよね?朔ちゃん?」
再び小声でささやく。もちろん朔には聞こえていない。

亜紀「もう少し寝かせてあげるね。そのかわり、もう少しこのままでいさせてね。フフッ。(微笑)」
朔が好きな優しげな微笑を浮かべて三度囁く。

亜紀「もう少しだけ・・・このまま・・・。」
消えそうなくらいな声でつぶやきながら、朔の顔のすぐ下、胸の辺りに顔を寄せた・・・。

どこにも行かなくてもいい・・・。こうして、毎日が過ぎていくだけでも悪くない。そう思えた。
春が近づきつつあることを感じさせる3月4日の朝。至上の幸せを感じる事のできる太陽からの光を受け、2人きりの東京での生活が始まった・・・。

続く


続く
...2005/01/11(Tue) 19:09 ID:HRrVFfJU    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
毎回お読み頂いている読者の皆様こんばんわ。たー坊です。先ほど続きをUPしましたが、手違いで文字の色選択を誤ってしまいました。
違和感を感じるかもしれません。申し訳ありませんでした。

また、今週中はUPするのが難しくなってしまいました。次週に続きをUPできると思います。
気長にお待ちくださるようお願いいたします。
...2005/01/11(Tue) 20:06 ID:HRrVFfJU    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
 たー坊様へ
こんばんは。グーテンベルクです。忙しい中での執筆、大変お疲れ様です。今回のストーリーも感動にあふれる内容でした。写真に添えられたメモの所では、亜紀を思う朔の気持ちが伝わってくるようでした。そして亜紀にとっての天国・・・朔の腕の中で暖かくねむることができた亜紀のところでは思わず「よかったね。」とつぶやいてしまいました。とても・・・とても素晴らしい作品を読ませていただきましてありがとうございます。来週のアップを楽しみにしておりますが、決して無理をしないように頑張ってください。
...2005/01/11(Tue) 21:47 ID:.84ZaEcA    

             Re: アナザーストーリー  Name:すばる
(ToT)たー坊さん素晴らしい、本当に素晴らしいです。朔と亜紀が待ち望んでいた幸せは、まさしく私たちファンが待ち望んでいた幸せです。たー坊さんの脚本家としての能力に、ただただ感心させられるばかりです。情景が目に浮かぶようです。

玄関を閉めて鍵をかけて、靴を脱ぐこともしない・・・分かります。本当に分かります。読んでいて涙してしまいました。そして「戦いの疲れを癒すには風呂はもってこいだった」は、相当ウケました(笑)。
...2005/01/11(Tue) 21:52 ID:pNwwipxg    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
グーテンベルク様、お疲れ様です。お褒めの言葉を頂き嬉しい限りです。来週の時間があるときにUPしますので、よろしくお願いいたします。

すばる様、涙と笑のコントラストはいかがでしたでしょうか?(笑)といった悪ノリはこのくらいにします。
当分は2人の幸せを描きます。またお読みいただければ幸いです。
...2005/01/12(Wed) 19:58 ID:fWrYpxXY    

             Re: アナザーストーリー  Name:けん
こんばんわ。けんです。今回の話とても素晴らしいですよ。皆さんも思っていたのですが、私も亜紀が写真を見る場面はとても感動しました。そして、朔の腕の中にいる場面なんかとてもほのぼのしていて良かったですよ。これからもこういうシーンいっぱい載せて下さい。では、次回も楽しみに待っています。
...2005/01/13(Thu) 02:40 ID:hSsCF04E    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
けん様、お忙しい中感想を頂きましてありがとうございます。また、楽しみにしていただいて、ありがとうございます。
当分は、東京で2人きりなので、朔も亜紀もすごく仲睦まじい生活を送るようにしていきますので、これからもよろしくお願いします。
...2005/01/13(Thu) 22:11 ID:l4o8K8Ag    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さんへ
執筆お疲れ様です。
今回は、(毎回Goodですが)読んでいて感動してしまいました。
一瞬、サクと亜紀がやっと結ばれるか?と思ったり、二人の微笑ましく幸せな状況が目に浮かび嬉しくなってしまいました。
以前も書かせて頂きましたが、たー坊さんが執筆なさっているストーリーはアナザーストーリーでなく
世界の中心で、愛をさけぶ、そのものですね。
続編、期待してお待ちしています。
亜紀ママ、最高ですね!!
...2005/01/15(Sat) 01:49 ID:Q.e1ZyvQ    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
サイトのファン様、お疲れ様です。今回もご感想を頂きましてありがとうございます。
世界の中心で、愛をさけぶ、そのものとの評価、大変光栄であると同時に恐縮します。それだけの評価を頂けること大変感謝してます。
さて、「一瞬、サクと亜紀がやっと結ばれるか?と思ったり。」とのことですが、当分、結ばれる事はないと思ってます。もちろん、いずれ結ばれますが。もっと別のところでと思ってます。楽しみにして頂ければ幸いです。
...2005/01/16(Sun) 12:30 ID:OgR344ik    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
3月上旬。

どこからともなく声が聞こえる。
「さ・・・く、サ・ク、起き・・・て・・・朔ちゃ・・・朔ちゃん。」

朔「ん・・・、あ・・・き?綺麗だ・・・。」

亜紀「・・・。」

亜紀「ダメだ。こりゃ・・・。(笑)」

何の夢を見ているかは分からないが、良い表情のまま夢の中の朔を見て嬉しそうな亜紀。
東京での2人暮らしが始まって5日が過ぎた。まだ、デートらしいデートはしていない。けれど、24時間一緒にいられることに2人ともとても満足していた。

亜紀「こんなに呼んでるのに起きない朔が悪いんだよ。(笑)」
そういうと、パジャマ姿のままバッグの中から口紅を取り出し自分の唇に塗る。そして・・・。

亜紀「ヘヘッ。できた。(笑)」

夢の中の朔の右頬には、亜紀がつけたキスマークが2つ。
そのまま、朔の顔の近くに頬杖をつき、覗き込むようにして朔が目覚めるのを待つ。

亜紀「・・・幸せだよね、今の私たち。普段からいつでも当たり前にあるハズのことなのにね・・・。・・・それがある日突然できなくなって、当たり前のことさえ当たり前じゃなくなるんだよ?描ける夢も、分かち合える未来も・・・。」

たった1つを除いて失い続けた5年前と、

亜紀「私たち、どん底まで落ちて、また上がってきたじゃない。ゆっくりゆっくりって。そうしたら、当たり前の日常と、他の人には分からないかもしれない小さな幸せに感謝できるようになってて・・・。もう一度、夢を描けるようになって、もう一度、未来を分かち合えるようになるかもしれなくて・・・。」

たった1つを中心に、崩れていたものが元どおりになり、さらに膨らむ、今この瞬間。

亜紀「夢島で私が言ったこと覚えてる?神様がいて+−をコントロールしてもらうって。本当にそうなったよね。それで、今はもちろん+の時期。ということは、これからだんだん−の時期になっていくんだよ、きっと。
不安だなぁ。5年前は、最高に幸せだったのに次の日からは・・・。1ヶ月も朔ちゃんに会えなくなるし、皆に遺言残すし、死にかけたし・・・。
でもね朔ちゃん、1つだけ確信したんだ。やっぱりあの世とか天国は、生きている人が創った物だって。たぶん、この世からいなくなるって分かった人が、自分の一番好きな居場所のことを表現して、天国って言葉にしたんだと思うの。
私が好きな場所、つまり私の天国は、朔ちゃんの腕の中。だから、私が次に−の時期になった時は、そこに避難させてね?その腕の中で、私のことを守ってね・・・大好き・・・。(微笑)」

亜紀「これでよし、と。(笑)」

しかし・・・、キスまでして、あれだけの愛情表現をしたのにも関わらず、まだ朔は夢の中・・・。
時計は8時半を回っている。

亜紀「もう一回しないとダメね。」
そういうとまた顔を近づける。今度は本当のキスだ。

亜紀「ヘヘッ(笑)恥ずかしいけど、嬉しい。先に起きた私へのご褒美。あ、これを私の新しい特権にしようっと。朔にとっても悪くないでしょ?」
顔は真っ赤になっている。

そんな朔は、まだ夢の中・・・。

亜紀「もう!コラ、起きろ朔!」
口調は不機嫌だが本心は全然怒ってはいない。

朔「んぁ・・・?おはよ、亜紀・・・。」

亜紀「おはよ。もう8時半過ぎたよ。ちょっと、気を抜きすぎじゃないの?」
亜紀の一言に、ポリポリと頭をかいてみる・・・。

朔「ゴメン・・・。」

亜紀「ウソ(笑)おかげでいいことあったし。」

朔「何?」

亜紀「内緒。」

朔「何だよ?」

亜紀「いいから。顔洗ってきて。」

いわれるままに洗面台に向かう。ふと顔を見たとき、亜紀の言っていた意味が分かる。

朔「亜紀!!」

亜紀「早く起きた私の特権!」

このあと、2人がどうなったかは言うまでもない。

少しして、一緒に朝食を取り、近所に散歩ついでに亜紀に街を紹介し、スーパーで食材を買い、昼食と夕食は2人並んで台所に立ち、ご飯の準備をする。

夕飯後はベッドに寄り掛かり、一緒にTVを見る。バラエティを見て笑い、ドラマに見入ったりする。

眠くなったら、亜紀から先に風呂に入り、ベッドにもぐりこむ。
そして、手を繋ぎながら今までのことを振り返ると同時にこれからのことを話し合う。
体を寄せ合っていき・・・。亜紀の一番好きな場所に着いたら、朔が腕という名の鍵を掛ける。そして、互いの背中に腕を回しあいながら眠りにつく・・・。
そんなふうにして、日々は過ぎていく・・・。ただ幸せだった。何もない平々凡々でも、そうやって暮らしていけたら・・・と抱きしめあいながら夢の中で願っている・・・。

続く
...2005/01/17(Mon) 16:38 ID:Oc8epQg2    

             Re: アナザーストーリー  Name:朔五郎
たー坊さま
いやあ、だんだん「凄味」がでてきましたね(マジ)
これ、ホントに「朔と亜紀 3時間スペシャル」とかドラマ出来ちゃいそうですね(マジで観たい・・・)
...2005/01/17(Mon) 18:54 ID:2yXcghhM    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さんへ
執筆、お疲れ様です。
本当にサクと亜紀は幸せそうですね。
読ませて頂いている私もニヤケてしまいます。
けど、一つ心配です・・・・
−の時期が訪れることが・・
でも、きっとサクと亜紀が二人で乗り越えて行く事を信じてます!!
続編、期待してお待ちしております!!
...2005/01/18(Tue) 00:21 ID:biuR/RJs    

             Re: アナザーストーリー  Name:夕妃
>たー坊さん
毎回読むたびに、嬉しくなります。
これほどまでに、あの朔とアキの幸せな姿が見れるなんて・・・。
闘病生活の−分だけ、いや・・・それ以上に+の情景を、幸せな二人の姿をもっと!もっと!もっと!!って欲が出てしまいます。
続編、期待しています。
...2005/01/18(Tue) 00:29 ID:xSn30NPs    

             Re: アナザーストーリー  Name:北のおじさん
たー坊様。

毎回楽しませていただいています。
今回は特に素晴らしいというか、朔五郎さん同様に「凄味」の様なものを感じました。
私も見たい、「朔と亜紀 3時間スペシャル」。
...2005/01/18(Tue) 00:30 ID:rF78rveo    

             Re: アナザーストーリー  Name:ゴン41
たー坊さまへ。

はじめまして。いつも本当に楽しく、朔と亜紀を思い浮かべながら読ませてもらってます。皆様も書かれている様に、回を追う毎素晴らしくなってきてますね。
このまま二人に辛い事等無い様についつい祈ってしまいます。ず〜っと幸せな日々が続いてほしくなります。
このたー坊さまの「アナザーストーリー」も「純愛」が大前提だと思いますが「もう付き合って5年」
これだけ愛し合って、二人で歩んできたのだから、
”そろそろ自然に結ば・・・”って思ってしまう私はダメな・・・。
次の執筆楽しみにしております。
 私も「3時間15分スペシャル」見たい。
...2005/01/19(Wed) 05:42 ID:GEHYW.Y.    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
朔五郎様、「凄味」と評していただいて。大変嬉しく思っています。
「世界の中心で、愛をさけぶ2」の方も期待しておりますので、お互い頑張りましょう。

サイトのファン様、毎回のご感想ありがとうございます。
マイナスの時期についてですが、当分は幸せ全開の日々になると思いますので、しばらくは心配ないですから、ご安心ください。

夕妃様、期待していただいている通り、闘病生活のの−分をこれから取り返すだけの幸せを描けたらと思います。よろしくお願いします。

北のおじさん様、「3時間スペシャル」ですか・・・。まあ、長いこと不自由な生活を送っていた朔と亜紀ですから、ご祝儀みたいなものでしょう。当分は幸せが続きます。またお読みくだされば幸いです。

ゴン41様、はじめまして。たー坊です。
「これだけ愛し合って、二人で歩んできたのだから、そろそろ自然に結ば・・・って思ってしまう私はダメな・・・。」とのことですが、全然ダメじゃないですよ。むしろ、そのほうが自然であり、必然です。
ですが、私の中ではもっと先に舞台を用意してみたいと思ってます。気長にお待ちください。
...2005/01/20(Thu) 21:41 ID:U1aVrY46    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
 たー坊様へ
こんばんは。グーテンベルクです。今回の亜紀の行動、いたずら系の愛情表現、亜紀らしくていいですね。亜紀にとっての世界の中心?朔の腕の中の亜紀の幸せな様子、そして亜紀を思う朔の気持ちが伝わってくるようですよ。私のアナザー・ワールドでも朔と亜紀の幸せの場面にさしかかろうとしております。お互いに頑張っていきましょう。
...2005/01/20(Thu) 22:33 ID:zEdYUaGU    

             Re: アナザーストーリー  Name:ゴン41
たー坊さまへ
いつも執筆お疲れ様です。これから先の
「朔と亜紀」いずれ訪れる二人の今以上の
「幸せの瞬間(とき)」

たー坊氏曰く、”もっと別な所で””もっと先に舞台を”用意してくれると。

言われる通り気長に待ちますね。
どういったシチュエーション、どのようなロケーションなのか、楽しみにしています。「とても、とても。」
高2の「亜紀」は本当に清楚でかわいいお嬢さんでしたね。難病を乗り越えここまで朔と歩んできましたね。「時」と「朔」が亜紀を少女から大人の女性に変えていくのかな〜。
...2005/01/21(Fri) 12:14 ID:RfD1gqvM    

             Re: アナザーストーリー  Name:にわかマニア
 そろそろ危険水域に差し掛かってきましたので,掲載順を上げておきます。
...2005/01/26(Wed) 08:44 ID:yslTgtjQ    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
グーテンベルク様、お疲れ様です。アナザー・ワールドでも、朔と亜紀の幸せが描かれていて、とても微笑ましいです。
これからも頑張っていきましょう。

ゴン41様、ご理解を頂けてありがたい限りです。これからも頑張ります。

にわかマニア様、避難勧告を発令していただいた上に、救助活動までしていただきありがとうございました。(多謝)

読者の皆様へ。
毎回お読みいただいてありがとうございます。
最近、私自身の多忙と体調不良により、構想、執筆をすることが難しくなっています。これから当分の間はUPするペースが、かなり遅くなると思います。ご理解をいただけるようお願いします。
また、次回は今週中にUPできるよう頑張りますので、お読みいただけると幸いです。よろしくお願いします。
...2005/01/26(Wed) 19:59 ID:7mCvsFBE    

             Re: アナザーストーリー  Name:ゴン41
たー坊様へ。

お疲れ様です。お体ご慈愛下さい。仕事はもちろん、体調ともよく相談し、ゆっくりのんびり構想を練って下さい。でも待ち遠しいな〜。(うそです。プレッシャーはかけれません。)

私はこのドラマがとても好きで、このサイトも大好きで、今迄は皆さんの書き込みを見てるだけでした。
たー坊様の作品を拝見し続け、ついに書き込んでしまったのです。何故かと申しますと、ドラマの結末はそれはそれで大変良かったのです。しかし、もし亜紀が奇跡的に助かったなら、どの様な展開、未来になっていたのだろうと、よく考えておりました。そしてこのサイトに出会い、色々な方の作品を拝見しました。私には文才が無いので、こういうストーリーは創れません。皆さん本当に素晴らしいです。その中でもたー坊様の作品が、一番私の心に響いたというか親しみやすく(失礼)、自分の理想、願望に近かったのです。私のレスが、いずれ訪れる「朔と亜紀」の結ばれる「瞬間(とき)」に拘るのは、そこで私の中の「世界の中心で、愛をさけぶ」が完結するからです。自分の理想の結末が、「たー坊」様の作品に秘められてると思うのです。
「夢島」での二人だけの時間は、”KISS”だけだったでしょう。高校生の二人にとって、それはそれでとても素敵ですね。朔は少し企んでいた様ですが、亜紀は父を裏切る様なことはしませんね。そして時が流れていったのですよね。確かめ合いながら。
私も「にわかマニア」様には及びませんが、過去ログ行き危険水域に達しない様、気にかけます。

「にわかマニア」様。
はじめまして。
若い方の多少乱暴なスレッド等に対しても、いつも相手を思いやる、貴方の書き込みには、感服しております。

すみません。めためた長くなってしまいました。
...2005/01/26(Wed) 22:14 ID:xVRSTBDM    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さんへ
Upするスピードが遅くなっても
たー坊さんのアナザーストーリーの大ファンです。
体をじっくり休めて
体調回復に努めて下さい。
たー坊さんのファンの私達で過去ログ行きは阻止
しますからご安心を!!
たー坊さんファイトです!!
...2005/01/27(Thu) 02:08 ID:5G.px4Qg    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
 たー坊様へ
こんばんは。グーテンベルクです。いつも仕事、執筆、構想ご苦労様です。健康第一ですので決して無理はなされないようにしてください。私もサイトのファン様と同じくアナザーストーリーの大ファンです。絶対に過去ログ行きはさせません。お大事に!
...2005/01/27(Thu) 21:11 ID:4.g15nO2    

             Re: アナザーストーリー  Name:ゴン41
掲載順UP!
...2005/01/29(Sat) 14:38 ID:qQUlBlzY    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
ゴン41様、素人の私が作ったストーリーを、そこまで評価して頂けてるばかりか、過去ログ行きの阻止までしていただいて、本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

サイトのファン様、ご理解頂き、大変感謝しております。私自身、のんびり、気長にできる範囲で書かせて頂きたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

グーテンベルク様、お疲れ様です。アナザー・ワールドの方も順調かと思います。最近、グーテンベルク様の物語を拝見できない非礼をお許しください。これからもよろしくお願いします。
...2005/01/29(Sat) 17:46 ID:wQVNAimU    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
夜が明け、カーテンの隙間から部屋に朝日が差し込んでいる。
今日は、珍しく朔が先に目を覚ました。ゆっくりと目を開けると朔の視界に入ってきたのは・・・。

朔「!!」

おもわず、出かかった言葉を飲み込んだ。

朔「そういえば、そっか・・・。」

3月3日に亜紀が部屋に来て以来、ベッドに枕を2つ並べて、一緒に布団を掛け合って寝ていたが・・・。

朔「おはよう。」
長い髪を分からないくらいにそっと撫でながら言った。

2つ並べていた枕は昨夜から1つに減っていた。
どちらが言い出したわけではなく、自然とそうなった。
目覚めた朔が驚いたのは、顔のすぐ前に亜紀の寝顔があるためだった。
そうなったのは、枕を一つにしたことだけではない。
季節の移り変わりのこの時期、たまに、夜に冷え込むことがある。昨夜も例外ではなかった。

昨夜・・・

亜紀「もうちょっと、そっちに行っていい?」

朔「いいよ。おいで。」

亜紀「うん(笑)」
いつも以上に体をくっつける。より体温が感じられるようだった。

           ・
           ・
           ・

今朝、朔が起きた時、亜紀との距離わずかに5センチ。驚くのは無理もなかった。

亜紀を起こさないようにベッドから出ようとした時、あることに気付く・・・

朔「亜紀・・・。」

意識したのか、それとも無意識か分からない。朔の
パジャマの左腕の所を、亜紀の手が掴んでいた。「片時も離れたくない・・・。」そんな思いが込められているかのように・・・。

そんな気持ちを感じ取ったのか、朔は亜紀の寝顔を残そうと思った。幸い、手を伸ばしたところに、1台だけ宮浦から持って来たカメラがあった。

朔「怒るかもしれないけど、どうしても欲しいんだ・・・。俺と亜紀だけの写真だけのあのアルバムをいっぱいにして、2冊目、3冊目って数を増やしていきたいから・・・。」
そう言って、シャッターを切った。もちろん、左腕の所も忘れてはいない。

朔「これ、盗撮?もしかして犯罪とか・・・?」
少し不安になる朔・・・。

亜紀「う・ん・・・。さく・・・ちゃん。」
一瞬ドキッとするが、寝言だと分かり胸を撫で下ろす・・・。

朔は、亜紀の寝顔を見ながらあることを考えていた。

朔「考えてみたら、亜紀って何で俺なんだろう?もっと周りにいい男もいるよな・・・。
ひいき目なしで見ても、亜紀は優しげな笑顔で、俺を見ててくれてるし、包容力を持ってるし、素直で、甘えるときは甘えてくれて・・・。俺、すっごく素晴らしい女性と愛し、愛されてるんじゃないか・・・?」
ふと、そう思う。

朔「考えてみれば、今、当然のように亜紀といるけど、思いが通じ合うことってそうは無いよな。本当に素晴らしいこと・・・。そうだよな、亜紀・・・。」

気がつけば、時計は8時近くを指している。
珍しいほど亜紀は熟睡している。いつもの優しい、微笑を口元に浮かべる亜紀の寝顔が、朔にある願望を芽生えさせた。

朔「そろそろ起きようか・・・。」
そう言って再び髪を撫でながら、口唇を寄せていく・・・。

亜紀は口唇が重なった直後に目が覚めた。まるで、童話の物語のように・・・。
少し驚いたが、まだ起きていないように装った。もっと朔の温もりを感じていたいと思えたから・・・。

亜紀「おはよう。朔ちゃん。いきなりでびっくりしたよ。でも、とっても嬉しいよ(微笑)」
口唇を重ねながら心の中で言った。
そのかわり・・・。
掴んでいた左腕のパジャマに力をさらに入れて掴んだ。

亜紀「朔ちゃん・・・。もう少し、このままで・・・。」
そう願った。心から・・・。

顔を遠ざけると、

朔「この前のお返しだよ。よく、こんな恥ずかしいこと・・・できるよな。」

心なしか、亜紀の顔が不満そうに見えた。

亜紀「朔ちゃんは、1回だけしかしてくれないの?私、3回したんだよ。私は、手を繋ぐことさえできずに入院していた時の分もしたいの・・・。」
そう思っていた。

そのときだった。2回目の口づけは・・・。

朔「今日はどこか行こうか。もっといろいろな表情をする亜紀を見たい。」
そんなことを言ってみる。
「本当に、本当に愛おしく、必要でなくてはならない存在だよ。」そう思っている・・・。

そんな気持ちが伝わったのか、
亜紀「今日はこれで許してあげる。そのかわり、これからは、もっともっと愛情表現してね!(笑)」

朔が再び顔を離した時の亜紀の表情は、また優しげな表情に満ちているように見える・・・。

目覚めるまですぐそばのところで優しく見守る朔と、朔の存在を感じて安心して、寝ているフリを
続けている亜紀がそこにいた。

続く
...2005/01/29(Sat) 22:35 ID:wQVNAimU    

             Re: アナザーストーリー  Name:みみずく
こんにちは!
こんなにたくさんのセカチュウアナザーストーリがあるなんて・・皆さんの思い入れたっぷりのサクと亜紀のストーリー。素晴らしいです!!

特に最後のたー坊さんのお話のラブラブな二人は、最高に甘甘で、幸せそうで・・こんな二人が見たかったんです!読んでてこちらまで幸せな気分になりました。ありがとうございました。
ほんとに、こんな二人の実写版(ドラマ)を見てみたいです!
...2005/01/29(Sat) 23:33 ID:RqdjBgb6    

             Re: アナザーストーリー  Name:夕妃
たー坊様

体のほうは大丈夫ですか?
無理をなさらずに、たー坊様のペースで続けてくだされば嬉しいです。
俺もアナザー・ストーリーの大ファンです。第10話を見た後、このストーリーを見ながら幸せな朔と亜紀をイメージするんです。それが俺の楽しみです。
このストーリーを本当にドラマでやってくれたら、日本中の人が幸せな気持ちになれる気がします。

今回も、朝から幸せな二人をイメージできてとてもよかったです。
今日はどんな亜紀の顔が見れるか、朔と同じぐらい俺も楽しみです。
次回も期待しています。頑張ってください。
...2005/01/30(Sun) 01:25 ID:vXQRB0BY    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さん
執筆、お疲れ様です!!
体調は平気ですか??
たー坊さんの体調を元に戻すのが一番ですから
無理しないで下さい。
今回もいいですね!!
亜紀がサクのパジャマの腕を掴んで寝ているなんて
思いの強さが感じられますね。
過去ログ行きは阻止しますので
ゆっくり体を治してから続編を私達に届けて下さい
...2005/01/31(Mon) 01:25 ID:bkN.Hq0s    

             Re: アナザーストーリー  Name:朔五郎
今回も甘〜いお話しありがとうございました。

たー坊さんのお話は甘いチョコレートみたいだけど、どろっと溶けたりしないで、カドがきっちり立って型崩れしない感じがして素敵だと思います。

厳しい季節、お体を労わられながら創作をお続けください。
...2005/01/31(Mon) 15:14 ID:.hohifUk    

             Re: アナザーストーリー  Name:ゴン41
たー坊様

今回は、愛しい亜紀の寝顔をカメラに収めることが出来て良かったです。夢島ではシャッターを切る直前、失敗に終わったから。あの時うまくいってれば、「17歳の亜紀」と「現在の亜紀」のソロの寝顔の写真が二人だけのアルバムに並んだのに。
...2005/02/01(Tue) 01:11 ID:RiRH0.ok    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
みみずく様、はじめまして。たー坊です。
私ごときのアナザーストーリーをお読み頂きましてありがとうございます。
幸せな気分になられたということで、私としても良かったと思えます。
また、お読みいただければ幸いです。

夕妃様、毎回お読みいただいてありがとうございます。
お気遣いありがとうございます。体は、かなり良い状態になってきました。これからもマイペースで頑張ります。

サイトのファン様、お気遣いしていただきましてありがとうございます。体調が万全になるまでは、スローペースで頑張っていきますので、またお読み頂けると嬉しいです。

朔五郎様、「世界の中心で、愛をさけぶ2」の執筆も相変わらず順調のようで何よりです。お疲れ様です。
朔五郎様も体調管理にはお気をつけて頑張っていきましょう。

ゴン41様、毎回お読み頂きましてありがとうございます。
ソロ寝顔写真ですか・・・。朔としては是非欲しいですね。今回はカメラに収めることができたのですが、そういう写真の存在に気付いた亜紀はどんな反応をするのかなと。朔がビンタを食らわないことを願います。
...2005/02/02(Wed) 22:53 ID:s6Yl6Brs    

             Re: アナザーストーリー  Name:グーテンベルク
 たー坊様へ
こんばんは。グーテンベルクです。今回も心温まる物語をありがとうございます。お体のほうはどうでしょうか?決して無理をなされないでください。
...2005/02/03(Thu) 22:27 ID:5eBncfsE    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
グーテンベルク様、お疲れ様です。
ご心配頂きましてありがとうございます。
体調は五分五分といったところでしょうか、ゆえに、今週は執筆するのを見送らせていただきました。
次回は、週明けの早い時期にUPする予定なので、よろしければお読みください。
...2005/02/04(Fri) 23:30 ID:x6JmDYbA    

             Re: アナザーストーリー  Name:SATO
たー坊さま
ゆっくり充電して下さいね。
気分転換にグーテンベルクさんや私どものストーリーを一読者としてお楽しみ下さい。
...2005/02/04(Fri) 23:38 ID:DmbqLeGM    

             Re: アナザーストーリー  Name:北のおじさん
たー坊様。

気長に待ちます、ゆっくりとお休み下さい。
でもたまには他の方々の書かれているストーリーの読者としてレス付けて下さいね。
たー坊さんの書き込みの無いのは少し寂しいので。
...2005/02/05(Sat) 00:31 ID:8qvTtuJg    

             Re: アナザーストーリー  Name:サイトのファン
たー坊さんへ
たー坊さん、ゆっくり休んでいますか?
アナザーストーリーが下がらないように
レス付けさせて頂きます。
書き込まれている皆様と一緒に
たー坊さんの復帰を気長に待ちますので
ゆっくり休んで下さい!!
...2005/02/06(Sun) 23:11 ID:cX./EvI6    

             Re: アナザーストーリー  Name:にわかマニア
 これを含めてあと投稿6件で満杯,Part2突入ですね。たー坊さんの休養期間中,アナザーストーリー談議で盛り立てていきましょう。
...2005/02/06(Sun) 23:24 ID:0EucPrzE    

             Re: アナザーストーリー  Name:けん
たー坊様
 お久しぶりです。けんです。体調は大丈夫ですか?無理せずマイペースで、朔と亜紀の幸せな物語を書いて下さい。
...2005/02/07(Mon) 03:09 ID:ZrelRHK6    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
SATO様、お気遣いありがとうございます。
正直申し上げて、多忙ゆえに「世界の中心で、愛をさけぶ2」を、なかなか読むことができずにおります。
もう少ししたら、一段落するので、その時は楽しませていただこうと思っております。

北のおじさん様、ご不快な思いをさせてしまった様で申し訳ありません。ただ、私としても極力他の作品を読ませていただき、時間がある時だけではありますが、レスをつけるように努力をしています。
申し訳ありませんでした。

サイトのファン様、お気遣いありがとうございます。ご理解いただきまして感謝しております。
もう少ししたら、徐々にではありますが、復帰していくつもりなのでよろしくお願いします。
...2005/02/07(Mon) 14:28 ID:Qpt4Cv7A    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
にわかマニア様、盛り上げていただきましてありがとうございます。そろそろ、休養期間から再出発できそうなので、また、よろしくお願いします。

けん様、こちらこそお久しぶりです。ご心配おかけしてすみません。そろそろ、復帰する予定なので、多忙とは思いますが、たまに、お読み頂ければ幸いです。
...2005/02/07(Mon) 14:33 ID:Qpt4Cv7A    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
「ゴォー・・・」という音とともに地下を電車が走り抜けていく。

亜紀「どこに連れてってくれるの?」

朔「うん?それは着いてからのお楽しみ。俺なりに考えてた場所とだけ言っておくよ。」

亜紀「ナニナニ?どんなところ?」

朔「それは・・・内緒。」

亜紀「意地悪ね。でも、朔ちゃんと一緒だったら、どこに行っても楽しいと思うよ。」

朔「・・・(亜紀にはかなわないな・・・)それは・・・、俺も一緒だよ・・・。」

亜紀「へへへ・・・(笑)」

亜紀の言葉に急に声が小さくなってしまう朔。
付き合い始めてかなりの時間が経った。ほとんどの時間は他愛も無い話をして過ごしてきている。闘病生活中もそんな風に過ごして、朔は亜紀を支え続け、亜紀は朔に愛される喜びを知った。

年月が過ぎていくにつれて、そうやって自分達も周囲も変化してきた部分というのは、多少ではあるがあった。
しかし、変わらないもの、変わって欲しくないものもたくさんある。
亜紀からみて、「朔ちゃんは、結構変わったよね・・・。」と思える。ただ、悪い意味ではない、亜紀にとっても嬉しい変化だった。
逞しくなり、やりたいことを見つけ、それに向かって全力で走ること。もう一つは、亜紀への愛情表現が多くなったこと。
一方で、変わって欲しくないと思うところもある。
亜紀への1つ1つの態度、仕草。さっきみせたような、照れる様子なんかは特に「変わって欲しくないな。」と思う。

亜紀「あとどのくらい?」

朔「10分くらいで着くと思うよ。」

今日は、東京初デートの日。
朝から、亜紀の寝顔をカメラに収めることができた朔と、最高の目覚め方ができた亜紀は、朝からご機嫌だった。
笑いながら朝食を取っていた。今日のデートを切り出したのは朔。

朔「なあ、亜紀、今日はどこか出かけないか?」

亜紀「ホントに?」
正面に座りパンを食べながら聞いた朔の言葉に、一気に顔がほころぶ。

朔「いい?」

亜紀「絶対に行く!やったぁ・・・。」
笑顔に嬉しさが表れている。

朝食を済ませ、昼前に部屋を出てきた。

亜紀「ここじゃないの?」

朔「うん。降りよう。」

「シュー・・・」と音がしてドアが開く。
2人は改札を抜けて出口へと向かった。

地上に出ると目的地に向おうとした。
すると・・・

亜紀「えいっ!」
といって朔の腕と亜紀の腕組んで歩き始めた。

朔「ちょっ・・・おい、亜紀・・・。」

亜紀「いいじゃない。デートなんだから。行こ(笑)」

朔「うん・・・。」

「そういえば、腕を組むのは結婚写真を撮って以来かもしれない。」そう思うと、朔も嬉しくなる。
どことなく嬉しそうな朔の顔を見た亜紀もまた嬉しくなる・・・。

そして歩くこと5分くらいだろうか。

朔「着いたよ。ここだ。」

そういうとビルの中に入っていく。繋いだ手を引かれて亜紀も続く。

そこには、亜紀が喜ぶ空間があった。

続く
...2005/02/07(Mon) 15:53 ID:Qpt4Cv7A    

             Re: アナザーストーリー  Name:たー坊
読者の皆様、こんにちは。たー坊です。

皆様のご理解を頂き、休養させていただいてましたが、このたび復帰させていただくことができました。当分の間、無理はできないのでUPする間隔はあきますが、よろしくお願いします。

また、この「アナザーストーリー」はスレが300になりました。最初の方は私ではなく皆様が投稿された作品も多くあり、まさに皆様の力でスレがいっぱいになりました。「世界の中心で、愛をさけぶ」のいちファンとして嬉しく思います。

さて、私としてのストーリーは、体調優先ではありますが、まだ続く予定です。続きは新しく立ち上げる方にUPしていきたいと思いますので、お読み頂ければ幸いです。
...2005/02/07(Mon) 16:09 ID:Qpt4Cv7A    

             楽しみ  Name:
いつも楽しみにしています
...2005/02/07(Mon) 18:29 ID:rM5FNUOA    

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