| | 以前,この掲示板に「ドラマの年代を1987年と設定したため(その解釈は過去ログ参照),骨髄バンク設立の4年前という微妙な年代設定になった」と書きました。つまり,安静にしていれば間に合ったかもしれないという後悔が強調される年代設定だと言いたかったのですが,微妙な年代設定という意味でもう一つ気が付きました。 サクは,(懇願されたからとは言え)亜紀を病室から連れ出したことが亜紀の寿命を縮めてしまったという自責の念にかられていますが,では,2人はなぜ病室から脱け出したのでしょうか。もちろん青い空が見たかったからですが,結婚写真を撮った際に空を見上げた亜紀が「空が見たい」と言った時,そのコトバの前段で「病室には空がない」と言っているのです。 当時(今でも多くはそうですが)の病院は,延命治療優先で,患者の「生活の質」は顧みられていませんでした。これが,苦痛緩和は施しながらも,自由に中庭を車椅子で散策できるような治療方針だったら,果たして亜紀は病院を脱け出したでしょうか。サクやクラスメートや谷田部先生らを招きながら日々を送っていたかもしれません。 実は,こうしたターミナルケア(日本語で書くと漢字から受ける印象があまりにも直接的なので,カタカナ表記をお許しください)の在り方について政府が検討会を立ち上げたのが1987年で,診療報酬にこれが盛り込まれたのが1989年なのです。 その点もちょっと微妙な年代設定だなあと感じました。
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