透明の国のアリス―少年鑑別所の少女の言葉 (西街守 著)
[ 情報センター出版局 1997年刊 ¥1500 ] 「リップスティック」(1999)のオープニングのスタッフロールに「協力」としてクレジットされている本です。 野島氏が「リップスティック」を書くにあたって、インスピレーションを受けた本のひとつだと思います。 物語は違うので「原作」とまでは言えませんが、細かいところで類似点がいくつか見られるのと、この本の主人公は藍のモデルだと思います。 非行少女の哀しみと嘆きが胸に響きます。 野島作品を一通り見て、他にも野島テイストの作品を読みたい人はまずこの本をお勧めします。 [帯の紹介文] 傷害、覚醒剤、窃盗、妊娠中絶――。 自分と他人を傷つけることでしか生を実感できない14歳の非行少女。 「本当の自分探し」に同行する若き元法務教官が描く感動ノンフィクション。 |
若きウェルテルの悩み (ゲーテ)
「ストロリベリー・オンザ・ショートケーキ」(2001)の制作発表時に、モチーフとしてこの作品が挙げられていました。 片思いのせつなさと苦悩が描かれているゲーテの古典的な名作で、”片思い”が「S.O.S.」のテーマと共通しています。 「S.O.S.」はハッピーエンドでしたが、「ウェルテル」の方は愛をまっとうするラストが衝撃的。何百年経っても色褪せることのない、普遍的な恋の感情が描かれた名作です。 |
利己的な遺伝子 (リチャード・ドーキンス) [ 紀伊国屋書店 1991年刊 ¥2854 ] 「高校教師」(1993)で羽村隆夫が持っていた本として有名。 一般向けとはいえ読むのはそれなりの根気が必要ですが、人間観が変わるほどの影響力を持った1冊。 「生物学的には愛は意味をなさない(子孫繁栄に愛は不要)」や「無償と思える母性愛も(子孫繁栄のための)利己的な感情でしかない」をスタート地点として、野島氏がそれに抗うことのできる”本当の愛”をこの「高校教師」で探そうとしたとも言えます。 そしてその葛藤はその後の野島作品にも受け継がれていると思います。 「高校教師('93)」で隆夫が繭に話していた、ペンギンやカマキリの話はこの本の1章に載っています。 |
愛はなぜ終わるのか (ヘレン・E. フィッシャー) [ 草思社 1993年刊 ¥1937 ] 小説「ウサニ」(2003)に登場した「愛は4年で終わる」というキーワードは、この本の著者であるヘレン・E. フィッシャーの学説です。 熱烈な恋をしてもその感情もいつしか失われていく理由、愛していても浮気をしたくなる理由などを、生物学的に解説。 その真相は残酷でもありますが、生物学者でもなければ知りえないことを教えてくれたという意味で、この本はとても良かったです。 「ウサニ」で生物学的な恋愛論に興味を持った人はこの本をお勧めします。 |
図説 世界の数学の歴史 (リチャード・マンキェヴィチ) [ 東洋書林 2002年刊 ¥4725 ] 「高校教師('03)」のスタッフロールに「参考文献」としてクレジットされている本。湖賀が部屋でこの本を読むシーンもありました。 数学の歴史や天才数学者の逸話が豊富な図版と共に紹介・解説されています。湖賀の部屋にあるトマス・ライトの絵もこの本で紹介されています。 「高校教師('03)」のテーマやメッセージとは特に関係ありませんが、ドラマ中に登場した数学理論や数学者の逸話はこの本からの引用が多いです。詳しくはこちら。 |
星の王子さま (サン=テグジュペリ) [ 岩波書店 ¥1050 ] 「この世の果て」(1994)や「ウサニ」(2003)で引用されていました。他にもあったかもしれません。また「世紀末の詩」4話のサブタイトルも「星の王子様」でした。 「大切なことは目には見えない」というメッセージは野島作品にも共通します。きっと野島さんも好きな本なんでしょうね。 |