Home > 世紀末の詩 > 対話考察 > 第5話
ふみ> 男|22才|学生 taki> 男|33才|コンピュータSE [HP] ちゃ> 峰>
■笑顔... 峰> 5話の表のテーマは「信じること」でしたが。 峰> なんとなく、「笑顔」の方が心に残ってますね。 taki> 最後の線路上の星野の笑顔? 峰> いや、留美の方。 taki> え?留美の方?? 峰> 最初から最後まで、留美は「本当に」笑ったことがあったのか?と思ったんです。 ちゃ> 留美さんは心から笑っていなかったってことですか? 峰> 見た目は、いつも笑顔の明るい人、って感じですが>留美 ふみ> 結婚を約束して星野に指輪を見せたあたりは?幸せそうだったけど。 峰> そうですか?>ふみ ちゃ> それも幸せじゃなかったような気がします。 峰> あれも、なんとなく、かげりが…>指輪のシーン ちゃ> 不安だったから指輪を見せたんじゃないかなと。 ふみ> どこかで信用していなかったってことですか? 峰> 不安・不信を残したままで、心から笑えますかね? taki> んー、あれって留美の愛情の象徴じゃないです?>指輪 峰> 愛情を渡すから、信じさせてくれ、ってことですか?>taki taki> そう、そうとうり。 ちゃ> エメラルドでしたよね。その宝石の意味は”精神の安定”です。 ふみ> おぉ。そうなんだ>意味 taki> 全体重をかけて、愛をくれる人かどうか試してた感がある>留美 峰> 確かに、そんな感じありましたね>全体重 taki> なにか、すぐ人を好きになるのに、すぐ疑う(笑)>留美 峰> 不幸に酔いたいだけだったりして(笑)>すぐ疑う 峰> なんかあの二人、最初から最後まで、すれ違ってたような…気がするんですけどね。 峰> 結局星野の方は、留美を、自分を心の闇から救ってくれた幻想の女性に重ね合わせていただけで、本当に愛していなかったような気がするんです。 taki> 本当に愛してなかった、っての同感>峰 峰> 舞い上がったスケッチの留美は、どれも天真爛漫に笑ってましたけど、あれだって、「そうあって欲しい」という願望を表していたような気がするし。 taki> ああ、そう「願望」だと思う>峰 ■懺悔... ふみ> じゃあ星野の最後の笑顔は、自分の願望としての留美に対しての笑顔? 峰> いや、そうとはいえないでしょう>ふみ taki> ああ、あれは「懺悔」の笑顔だったんでしょう?>星野の笑顔 峰> 同感>懺悔 taki> すべてを悔い改め、天に身をゆだねる笑顔だと思う>星野の笑顔 ちゃ> 最後の笑顔は後悔のない笑顔かな。 ■誠意... taki> でも、世紀末の最終話じゃないから、「星野の愛」は本物じゃなかった、って描方でしょう。 峰> そう。お互いに愛し合う「愛」とは別物だと思います。 ちゃ> 愛じゃなくて恋だったんですよね、きっと。 峰> いや。恋のような甘い夢ではなかったと思いますが>ちゃ 峰> でなければ、キンモクセイの小径のシーンが納得生きませんね>ちゃ taki> すべて身を預ける愛と、愛してもらいたかった者が差し出した「誠意」ってところですかね…。 峰> どっちがどっちですか?>taki taki> 前者が星野。後者が留美。 ふみ> 誠意って指輪のことですか? taki> んー、象徴と思いますよ>ふみ 峰> だとしたら、「誠意」は矛盾しませんか? taki> あ、かもしれない…(汗)>峰 ■前提... ちゃ> 恋は盲目だから見えるはずのものも見えなかったのかもしれません。 峰> 留美の方は「恋してる」状態だったかもしれませんが…>ちゃ 峰> 何が見えなかったと思いますか?>ちゃ taki> でも、留美は「愛されよう、愛されよう」としすぎませんでした?>ちゃ 峰> 留美の場合、「自分はもう相手を愛している」って大前提が、常に横たわった「恋」しかしてこなかったんじゃないかと思います。 峰> だから、あとは相手が愛してくれるかどうか…その愛を信じさせてくれるかどうか、しかなかった。 taki> あ、同感。 taki> 「自分はこれだけしたんだから」ってのが強かったですよね。 峰> そうなると、もうそれは、「愛」じゃなくなりますね。「恋」でさえない。 ■幸福... taki> 留美は、愛してくれる人を見つけることが、自分が幸せになれることと勘違いしてたんでしょうね。 taki> 自分は愛さずに。 峰> 愛してくれさえすれば、そして、その愛を信じさせてくれさえすれば、幸せになれる。相手を心から愛せる、と思いこんでいた?>taki taki> そうです。行動だけで愛を獲得しようとした>峰 taki> 留美の自分を卑下する気持ちは自分を愛してませんね。だから、悲劇にひたる>留美 峰> そうですね>taki 峰> 留美は、そもそも、自分自身を解放してなかったんじゃないでしょうか。 ふみ> どういう意味ですか?>峰 峰> 心から笑うこともできてなかった、というあたりが、そう思えるんですけどね。 峰> 恐らく、最初に騙された時から、自分で自分を封じてたと思いますよ。 ■救い... ふみ> でも星野はなんとか本物にしようと努力していた? taki> 救われた自分を、誰かを救えるならばって、思ってたかもですね>最初 峰> いや。少しずつ、救ってるつもりになってたと思いますが。似顔絵を描くことによって>taki ふみ> 絵描きのポリシーとして語ってますよね>誰かを救えるなら 峰> 星野は、「マリア」に逢った時点で、救われていたはずです 峰> だからこそ、他の人を救いたかった>星野 ふみ> 留美も?>救いたかった 峰> そうですね。 taki> ああ、だから線路の上の笑顔がでたんですよね>もはや救われてた ■献身... ふみ> じゃあただ自分の願望を留美に押し付けていたわけじゃなかったと? 峰> 自分を救ってくれた「マリア」と瓜二つの留美が、苦しんでいるのを見て、救いたい、と思った>星野 峰> だから、「捧げる愛」…「献身」だったようにも思います。 taki> うん、かなり同感>峰 峰> いや、でも、「マリア」と重ねてしまった時点で、すでに、もう、十分エゴイスティックだと思いますが。 ■殉教... taki> 私としては「身をゆだねる愛」でしょうか。でも、神にささげる祈りのような…。やはり、懺悔か? 峰> 殉教ですか?>taki taki> 「つぐない」かもしれません>峰 峰> なんに対する「償い」ですか?>taki taki> 過去の罪へのつぐないじゃないでしょうか>峰 峰> なるほど>taki taki> じゃー、これでお互いに全然、愛じゃなかったって論証されましたね(笑) ふみ> 少し一方的なような感じもしますけど>星野から留美への償い 峰> 自己完結で、押しつけっぽくはありましたからね。 taki> あー、でも償いに対して「願望」が先走ってましたねー。 ■善悪... ふみ> じゃあラストの、信じることと疑わないことの違いに関してはどうですか? 峰> 疑わないことというのは、相手を「善」と規定してませんか? taki> あ、そうだ。規定してるな。 峰> つまり、信じたかった、と叫ぶ留美は、相手を最初から「悪」と規定していた。 taki> そうそう。「信じたかったのに!」と叫んでた。 ちゃ> 信じるっていうことはやっぱり盲目だからそれよりも? ふみ> 善でも悪でも許すっていうのはありえないですか? 峰> 通常、心の動きから言って、あり得ないでしょうね。 taki> それだと、宗教的概念の「愛」になってしまう>善悪許す ■善悪2... ふみ> あの踏み切りのシーンでは悪だと決めつけてましたよね。だから置き去りにした自分の行動も正しいと。 taki> ですねー。「私は被害者」になってました>留美 峰> あそこで、やっと表に出した>留美 峰> 「自分は悪くない」 ふみ> でも最初から星野を悪だと規定していたんですか?>峰 峰> 決めつけ、まではいってなかったでしょうけどね>ふみ 峰> 「信じること」が、まず相手を悪だと規定するところから発するのであれば、です。 ふみ> 善だとも思えてはいなかった? 峰> 相手が善であれば、疑う必要はないでしょう?>ふみ ふみ> そうですね(^^; ふみ> 悪か善か分からないから信じようとするってことですよね? ちゃ> そうかもしれない 峰> ちょっと違うかな>ふみ ふみ> どこらへんがですか>峰 taki> んー、自分のせいかも?といつもどこかで思っていたかもですね>留美 taki> だから、「悪者」を見つけたがった部分も…。ああ、なんか関係なくなっていく(笑) 峰> 自分という存在が、「悪=信じられない、騙す人」を引き寄せる。だから、自分が愛する人はまず、悪かもしれない、というところから入るタイプじゃないですかね>留美 ふみ> なるほどー taki> なんか、ずっと「罪悪感」抱えてたような感じですよねー>留美 峰> ですね。「今度こそ」とか言ってましたし。 ■盲目... ふみ> その教授のセリフには同意します?>愛は信じることですらなくて疑わないこと taki> 微妙ですね>ふみ 峰> いや。同意しかねますね>ふみ 峰> それは、盲目的な愛になりますから。 峰> あ、ミアが最後に描いてた絵は、星野ですかね、留美ですかね。 峰> 俺は星野だと思ってたんですけど、両方かなー ちゃ> ふたりともだと思ってました ふみ> 悲劇を象徴するような印象的な絵でしたけどね taki> とりあえず「悲劇」にはまちがいないとおもいます>絵 峰> そうですね ■5話の感想... 峰> 星野は、結局、「マリア」に逢ってから、似顔絵を描くことで、それまでの「心のない自 分」の犯した罪を、一つ一つ償い続ける余生を送っていた。 そして、「マリア」に瓜二つの留美に出会う。 その留美に捧げた「愛」を信じてもらえず、彼女を救えなかった時点で、縮こまってしまっ ていた留美の心を解放するかのように、散っていった。 それは、ほとんど献身であり、殉教であったように思う。 星野が、留美に、信じる前に疑わないこと、を教えてあげられたかどうかは判らないが、 少なくとも、彼女が「愛」だと思っていたものがそうではなかったことだけは、 教えられたのではないかと思う。 ふみ> なんか考えれば考えるほど悲劇的な話だと思いました。。ただ疑わないことって 難しいんだなぁと。留美の今後の人生が心配です。。 taki> 最後の星野の笑顔は「懺悔」。そして、愛を求めるだけの留美は人を愛することなく 、信じることも出来なかった。彼女は愛を持っていなかったと思う。そして、 幸せになることで分けてもらおうとした。それが、彼女の持つニセモノの指輪に象徴 されたいたのではないかと思った。 ふみ> 本物だと思い込んでいたニセモノの指輪ですね。自分の愛は本物なのに、 なんで幸せになれないんだろう…みたいな気持ちが常にあったんでしょうね>taki taki> そう思います。だから最後の4行詩になったんでしょうね。
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