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この世の果て 名セリフ+解釈 ―― 士郎のナレーション ―― まりあ ―― 士郎 ―― 神矢 ―― なな ―― ルミ ―― 吉田 ―― 佐々木 ―― 二村 ※セリフはすべて 「この世の果て」ノベライズ本(ハードカバー版/幻冬舎)からの引用です。 ページ数(p.xxx)はハードカバー版のページ数です。
[1話] たとえば僕が君と出会えなくても たとえば君が僕を知らずにいても きっと何事もなく 世界は穏やかに動いていただろう 僕たちふたりだけを置き去りにして… (p.7) [1話] (なな) 地球が滅びてね、一艘の船があります。つまりノアの箱舟だね その船に自分ともうひとりだけ連れてっていいのね 次の動物から選びなさい 馬、孔雀、虎、羊 …心理テストなの 自分が何を一番大事にしているか、何を求めているか 馬はね、仕事。孔雀はお金だって。虎はプライド。羊は愛情だよ 男の人の場合はね、羊って答えた人だけが女の子を幸せにしてくれるんだって (p.26-27)
[1話] (士郎) 世界が滅んだら きっと僕は…船に乗らない (p.34)
[1話] 愛しいまりあ いつか星に願いを込めて 雲から遠く離れた所で君と目覚めたい 悩み事などみんな レモンドロップスのように溶けて 煙突よりもうんと高い 空の向こうに消えてしまう… (p.36) [2話] (吉田) 私をひどい医者だと思ってるんでしょうね、金の亡者だと 確かに金はあるに越したことはない しかし私はそれだけで要求してるんじゃありません 私は偽善というのが嫌いでね テレビの募金番組があるでしょう いかにも親切ぶった人たちが大勢会場に詰めかける しかし、そのうちたったひとりでも、たとえば明日生活するお金もすべて差し出すような人間がいますか 決していない 私はね、自分は安全な船の上にいて、浮き輪を投げるような人間が嫌いなんです (p.43)
[3話] なんで逃げたんです あんな美人の奥さんがいて、金もある、才能も名誉もあるあなたが、どうして無一文で逃げたりするのか 私のような人間にはどうも理解しづらいんです …僕は…機械なんだ そう、ある日、自分の体が機械のように感じた 体の中で、油が切れて軋むような音が聞こえて…。 彼女といると、生身であることを実感する 生まれてから、僕は誰かのために何かをしたいなんて衝動にかられたことはなかった 何かをしようと思う前にもう決められていたから けど今は… (p.81-82)
[4話] 過去を捨てるこの痛みを 愛しいまりあ 君に未来をあげられる喜びが消してくれる ただの男として僕は 今、君と生きていくんだ… (p.132) [5話] (神矢) 俺は、十人の男と付き合える女より ひとりの男と十年付き合える女が好みでね (p.152)
[5話] (京子) こっちに来た何年ものこと考えると、結局何もなかった気がする ただ年取っただけ ろくな男いなかったし 女は惚れられたほうがいいよ 惚れると弱気になるからね 甘やかして、結局男を駄目にする悪循環でさ あたしはそんなことないよ シロを駄目になんかしない シロを死なせたりしない (p.160-161) [6話] (佐々木) 突き放すことですね 決して甘やかさずに強く突き放す でないと、その彼はますます駄目になる あなたもまた (p.172)
[5話] まりあ、愛しいまりあ 惨めな僕をどうか笑わないでおくれ たとえ世界中が僕を見下しても どうか今の僕を笑わないで… (p.163) [7話] (二人の仲を引き裂こうとするのは)何が目的? (ルミ) 目的なんかないわ ただ、頭痛がひどくなるの 愛とか恋とか永遠とか、そんな言葉口にする奴を見ると、頭がガンガン痛むのよ そんなものはこの世にありはしないのに だから引き剥がしてやるの 二度と口にできないように絶望させちゃったりするの (p.214)
[7話] 早く…俺の指を返してくれ。 返して、返して! おまえが俺の人生狂わせたんだ! (p.224) [7話] まりあ 愚かな僕は、君との出会いから すべてを悔み始めていた まりあ、君も同じように後悔しているだろう 愛しいまりあ 僕たちの出会いからを… (p.224) [8話] 俺の想像だが、おまえは父親に愛されたことがないな 幼い頃、父親に愛されなかったと感じる少女は、自分が悪い子だからだと思ってしまう やがて成人して恋をしても、その潜在意識は消えない だから、男が駄目な奴でも、それは自分のせいだと思ってしまう その女は母性的であるとも言えるが、心理学的には完全な病気なのさ (p.234)
[8話] 男と女が暮らすのは簡単だよ けど、生きていくのは難しい 互いに何か、相手より優位な何かが必要なんだ 記憶喪失を装っていた時の僕は、戻る気になればいつでも鍵盤の前に戻れる、そういう心の余裕があったから、きっとまりあにも優しくできたんだ まりあも、言葉は悪くても、優しくしてくれた 互いにいたわり合えたんだ 束の間だったけど、僕たちは幸せだった けど、僕はピアノを弾けなくなって、何もかも失ってしまったんだ まりあに誇れるものは何もなくなった そのことでまりあに当たってしまう まりあのせいだと思わないと、自分を見失ってしまいそうで… (p.242-243)
[8話] (ルミ) 好きな人がいたの 中学の時、初めてのデート 彼もあたしを好きだと言ってくれた 何遍も何遍も、それこそいろいろな言葉で 囲まれたの、バイクに乗った三人に… あたしは泣きながら助けを呼んだ 彼の名前を何度も 彼は逃げたの 何遍も好きだと言ってくれた彼は、あたしを置いて逃げたの (p.249)
[9話] まりあ、そう僕は君から逃げて来たんだ 男にとって一番大事なプライドというものを 君に見せることができなくなって… まりあ、女にとって一番大事なものってなんなんだろうね 愛しいまりあ 女にとって一番大事なものは… (p.255) [9話] 愛などいつかは… 愛? 違う。そんな陳腐なもんじゃない それではなんですか。女にとって一番大事なものは 生まれて初めて、必要だって言われたの、シロに 忘れない。嬉しかった… (p.268-269)
[9話] 俺の幸せか 今の俺は欲しいものは何でも手に入る、何でも動く それなのに以前より不幸に感じられるのは何故だ 水商売をして俺を学校に上げたお袋と、貧しいがささやかに暮らしていた頃と比べて不幸に感じるのは一体何故なんだ …忘れていたな 俺の手に入らないもの いや、誰にも手に入らないものがあった… 誰かを愛している女だ (p.260-261)
[11話] まりあ 今の僕は消えかかる物語の羊飼いだ もう助けを叫んでも、誰も振り向きはしないだろう 愛しいまりあ 君を幸せにすると誓い 一方で欺き、傷つけたこの僕を… (p.307) [11話] (夕子) あたしはこの人の後を追って行くつもりだよ きっとまりあ、おまえには分からないだろうけど 人間はある期間を過ぎたら、後はどうでもいい時間なのさ それに、この人は駄目なんだから、ひとりじゃあの世だって生きちゃいけないだろうから まりあ、ななのことは頼んだよ そしておまえは、決してあたしと同じようには生きないでおくれ (p.317)
[11話] どうして刑事を辞めたの (二村) 何、たいして理由はありませんよ ただ金のない奴が金を盗む、愛情を受けなかった奴が人を殺す みんな同じようなもんだと思いましてね 生まれた家や親が違うだけで、誰だってそうなる可能性があるんじゃないかって思うと やるせなくなりましてね (p.329)
[11話] まりあ、愛しいまりあ 僕がもう少し大人で もう少し何かを諦められたなら 僕たちはうまくやれたのだろうか? それとももっと簡単なことなのだろうか? 愛しいまりあ 気づくのが遅かったけれど… (p.332) [最終話] (吉田) 妻です 式の直前で事故に遭いまして、もうかれこれ二十年、この状態です 私は前にあなたに言いました 偽善が嫌いだと 自分は安全な船の上にいて、浮輪を投げるような人間が嫌いだと 一度でいい、死ぬと分かって尚、助けに飛び込む人間を見たい、そう言いました 疲れてたんです。そして、怖かった 妻の看病だけじゃない この先の長い孤独 子供もいないでたったひとりで生きなくてはならない 話しかけても彼女は何も返してはくれない 二十年、疲れ果てた もう愛してるのかさえ分からなくなった しかし、あなたのお母さんを見て、ようやく、ようやく決心がつきました 病院から自宅介護に ええ 人間は愛だけで生きるんじゃない 運命を受け入れて生きる時、より穏やかな幸福を掴めるのかもしれません もう何かにもがき苦しむこともない… (p.344-345)
[最終話] いや、あいつは疲れてるんだ おまえとのすべてのことに疲れきっている 俺にできるのは、まりあの心と体を癒してやることだけだ …… 泣いているのか? 哀れな奴だ おまえは一生後悔して生きるだろう 世の中には星の数ほどの女がいる しかし、その中におまえのために命さえ差し出すような女は他にひとりもいない ただのひとりも おまえは自分の犯した罪と、失ったものの大きさに苦しみ続けるんだ たとえまた生まれ変わったとしても 未来永劫に (p.354) [最終話] また同じ苦しみを味わうだけだ あいつも、おまえがいては駄目になる (p.360) まりあ 僕は君を壊してしまった あるいは僕が壊れてしまったのか しかし、そうだね もうそんなことはどうでもいいことなんだ 肝心なのは今、とても静かで穏やかな気持ちだということ この世界では もう僕は自意識に苦しむことも 失った何かを取り戻そうと苛立つこともない まりあ 僕は君を失うことで 君を取り戻したんだ そしてまりあ 僕は過去の全てを失い これからの全てを君に差し出すだろう この僕の全てを 愛しいまりあ たとえ君の意志や記憶が 永遠に戻ることはなくても… (p.362-363)
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