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「フードファイト」企画発端や、脚本家としての過去を振り返る

「JUNON」誌2000年10月号より抜粋


―――『フードファイト』とは食品会社の地下で、”短時間にどれだけ多く食べられるか”を競う非合法な賭博の意。 ”俺の胃袋は宇宙だ”と豪語し、向かうところ敵ナシの主人公は、実は人知れず勝ち得た賞金を施設に寄付する現代版・タイガーマスク的ヒーローだ。 今回の野島氏は”企画”という立場で作品に携わっている。

「草なぎ君でヒューマンドラマという話もあったんですよ。 でも、そういうのは僕がやらなくても誰かがやるだろうと。 ドラマの打ち合わせはファミレス系の店が多いんですが、そこでフッと西プロデューサーが”ダイエットしようかな〜”と言い出した。 そして”食”を扱ったバラエティは多いのに、食べる側が主人公のドラマってないよね?という話題になったんですね」

―――自ら筆をとる時は人間の弱さやその根底をえぐるような作風であるのに、今回は「大食いヒーロー」とは。

「企画というのはプロデューサー的に、いかに作品をエンターテイメントしようかという発想ですよね。 自ら書く時は内面的なところの発想になりますから、どういう人がゲストに来て何を食べたら面白いか、という打ち合わせで、”さだまさしさんの子持ちシシャモ”とか飛び出す。 こんな楽しい打ち合わせはないですね。 自分で書くのとは逆にあると思います。 僕がフードファイトを書いていたら…えらく暗いシリアスなものになったでしょうね(笑)」

―――書きたい物が書けるようになったのはデビューから5年後の頃だと言う。

とりあえず、視聴率を取ろうと思ってましたね。 どんな卑怯な手を使っても(笑)。 とにかく当て続ける。 コケたら次はないですから、とにかく視聴者を飽きさせないように、1話に150シーンも盛り込んだり、視聴者に需要が高い学園ドラマをあえて選んで書いてみたり。

でもね、気構えて書かなくても当たったんですよ、テンションをムリに上げなくてもね。 『101回目のプロポーズ』もものすごく当たった。 これは何をやっても受けるんだと。 周りは”若手流行作家”ともてはやすんですが、その時は正直”つまらない”なという思いで…。 大学やめてバイト暮らしで、将来の展望もなく心がすさんでいる刹那的な思いとまったく同じでしたね。

楽しても当たって、やりたいことやっても当たるようになると、変な言い方かもしれませんが”当たりたくないな”と思うんですよ。 で、それからは主役のキャラクターを自分に近づけて書くようになりましたね。

ドラマの中で主人公がこんなこと言ったら…?というセリフも、僕自身がこういう思いなのだから”引かないで――”っていうふうに父性的・母性的に受け止めてくれる視聴者が好きになった。テレビを通して甘えてるのかな…。

視聴率的には「世紀末の詩」は下降していきましたけど、あそこで残った視聴者が僕にとって大切な視聴者だと思うようになったんです。


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