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世紀末の詩のテーマ

TV雑誌記事より抜粋。すべて「世紀末の詩」制作発表時の同一の発言だと思いますが、各TV雑誌により掲載の仕方が少し違うようです。(記事執筆者が表現を変えて書いている可能性もあり)


ラブストーリー、ホームドラマ、サスペンスといった「ワク」を超えた作品にしたい。 TBSでは抗議をもらいながら実際の社会問題を、フジではエンターテイメントをやってきたわけだけど、日テレでは何をやろうかと考えた時、何か若い作家と競合しないドラマを書けないかと思って…。 旬の役者さんで恋愛ドラマというのは、もう若い人にまかせます。

今、最終回の少し手前を書いてるんだけど、7話ぐらいから異次元の世界に行ってしまってる気がします。 「愛」がテーマなんですが、ペースにあるのは「この世に愛なんてないんだ」という気持ち。 生物学、心理学、物理学、いろんな方向から愛を否定してみて、最後に残るものが愛なんだと、そういう感じですね。


ラストに向けては脚本家としてというよりは、詩人として書いていこうと思っているんです。 もちろんそれは、野亜亘という世紀末の詩人が「愛とはこういうものなんだよ!」と見せる形で終わるはずです(笑)。

この脚本を書こうと思ったきっかけは、そもそも僕自身が本来の愛の形を探したかったからです。 だから毎回「この世に愛なんて存在しないよ」というアプローチをしていって、1回づつ「これは愛じゃない」と塗りつぶしていく。 で、塗りつぶせなかったものが本物の愛なんだよと教えたいんです。
まぁ今までの僕の作品を全て否定するようですが、いちど愛について真剣に問いたかったんですよね。


「人間の本質の中には愛はないんだ」という気持ちが僕のベースとしてあります。 僕たちが普段、"愛"と呼んだり思ったりしてるもの、それは本当に愛なのか? ただ思い込んでいるだけじゃないのか? と問いかけたくてこの脚本を書いています。

亘は愛を信じ続け、夏夫はそれをシニカルに否定し続ける。 この正反対の2人は、僕自身を半分に割ったようなキャラクターで、物語の最後で2人を融合させようと思っています。 男2人が本当の愛を探す旅の物語ですね。

僕は11話を通して、生物学、社会学、遺伝学などさまざまざなロジックで「やっぱり愛はないじゃないか」と、その存在を否定し続けていきます。
それでも否定し切れずに残ってしまったものがあるとしたら、それを"愛"と呼ぶことにしようと思っていますが、今現在、否定できないものは何もないので、結末をどうしようかと迷っているところです。


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